My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

英語で通じないと思ったときは「説明的に」考えるのがコツ

2010-06-18 16:08:05 | 6. 英語論・英語学習

今日は英語の話を。

単語力や英語表現が身についても、「日本語なら何となく伝えられることが、英語だと伝えられない」と苦労する人は多いと思う。
日本語で考えたことを、そのまま英語に訳そうとして、変な英語を勝手に作って相手に通じなかったり、
対応する訳語が無いので詰まってしまったり、とか。

この場合、「英語でモノを考えろ」とアドバイスする人は多いのが、いきなり英語でモノを考えようなんて無理に近い。
どうすればいいか?
ということで、私が普段英語を話すときに気をつけてることを紹介。

私は2年前にアメリカに来て、初めて英語100%の環境になった時に気づいたのは、
日本語って余り説明しなくても、擬態語とかで何となく通じてしまったりするが、英語ではそうは行かない、ということ。
それで「英語で考える」とは、日本語で何となく言える内容を説明するべく考えることなのだ、と気がついた。

具体的には、
1. 日本語の表現を直訳しない。要するに何が伝わればよいのかを考え、説明的に考える
2. 自分の話す内容が、日本の文化・社会でしか通じないことかを考える。そうであれば、日本とその国の違いを背景として説明する

という二つ。2は応用編なので、ここでは特に1を説明してみる。

1) 日本語の動詞表現を直訳せず、説明する
2) 日本語の擬態語や感覚的表現を説明する。get/bring/take などの動詞が使える
3) 5W1Hを考えて、主語や目的語を補う

1)日本語の動詞表現を直訳しない

日本語は何でも動詞に出来ちゃう言語で、一つの動詞が表す意味も幅広いと思う。
ところが英語の動詞は日本語と同じ発想とは限らないので、相手が分かるように説明する必要がある。

例えば、焼肉のときに「この肉、私が育ててるの」など、肉を焼くことを「育てる」と表現する人がいる。
先日、韓国人の友人と焼肉に行ったとき、その友人が「Are you developing this?」と私の焼いていた肉を指して聞いてきた。
(このときは、韓国でも日本人と同じモノの発想するんだな、と感心した。)
しかし日本人の私には通じたが、この英語はネイティブの英語スピーカーにはほとんど通じないだろう。

「肉を育てる」という言葉を普段使っていたとしても、「育てる」をそのまま「Develop」と訳してはイミフメイである。
こういうときは、自分の言っている「育てる」とはどういう意味か、を一瞬考える。
「調理する」だと気づけば、「Do you cook this meat?」となってまだマシな英語が言える。
非常に不自然な英語だが、Cookという動詞なら誰にでも通じる。

更に「結局私は、これがあなたのか私のなのかを聞きたいんだ」と質問の目的まで考えれば、
「Is this yours?」と聞けるだろう。
これなら、とても自然な英語だ。

そういえば、「英語が通じない」も日本語独特の表現だ。
日本語では「通じる」という自動詞があるが、英語ではこれは英語を主語とした自動詞では表現しない。
辞書を調べると「通じる」=「Get through」などと出てくるが、My English does not get throughとか言われてもイミフメイである。

ここでも、「通じない」とは一体どういうことか考えるのだ。
「私がイイタイコトを十分に表現できない」ということで、私に原因があるのか?
であれば、I cannot express myself fully in English となるだろう。
更に説明的に言うなら、I cannot express what I am thinking exactly in English となるかもしれない。
どちらも、若干不自然な英語ではあるが、これなら100%通じる。

更に、英語がちゃんと話せない、ってことを言いたいんだ、ってとこまで気が付けば、
I don't speak English となって、より英語らしい表現となるだろう。

同じ「英語が通じない」でも、「この地域の人は英語を話さない」であれば、People in this area don't speak English となる。

このように、日本語の動詞表現と同じ発想を英語が持っているとは限らないので、
自分がイイタイコトは何か考えて、説明するのが、通じる英語を話すのに大事だと思う。

2) 日本語の擬態語を説明する-be動詞のほか、get/take/bring などが使える

日本語は、これまた擬態語が多くて、これまた感覚的に話せる言語なんだけど、
当然英語にはこんなに無いから、考えないとならない。

たとえば「わくわくする」。
そのまま英語にはならないので、状況を説明する形に言い換える。
「私が」(Who)、興奮しているということなので、I'm excited! とか I'm getting excited となる。

「どきどきする」 これも意味を考える。
「緊張する」という意味であれば、I'm get tensed と表現できるし、
もっと説明的に「私の心臓の鼓動が早くなる」と考え、My heart is beating と言っても意味は通じる。
(ちょっと歌の歌詞みたいでキザだけど)

「しわしわになる」
「しわ」という名詞はwrinkleだから、It gets wrinkled といえば「(それが)しわしわになる」と言う意味に出来る。

このように擬態語は、もとの意味を良く考えて、より説明的に表現を加えることで、英語らしくなると思う。

3) 5W1Hで文章を補う。

更に、日本語の文章はハイコンテクストで、文脈を読ませて、主語や目的語をハッキリさせなくても、通じることが多いが、
移民国家のアメリカではそのような発想では通じない。

この場合、5W1Hを使い、「いつ、どこで、誰が、何を、何故、どうした」のか、ハッキリしない部分を説明する。

完全な文章が話せなくても、カタコトでも正しい単語が入っていれば、ネイティブの人には英語は通じる。
カタコトの日本語でも私たちが相手が何を言いたいのが分かるのと一緒だ。
逆に通じないときは、5W1Hがちゃんと説明されてなくて、話の状況が読めないから、だと思う。
5W1Hの全てを説明する必要は無いけど、WhoとWhereだけ説明するとか、いくつかの要素は説明して分かりやすくすると、通じやすくなる。

以上、英語を話すときに気をつけること-説明的に話すように心がけること。
ここに挙げた例以外にも色々あると思うんだけど、通じないときは「説明しよう」と心がけると、通じるようになることが多い。
そしてそれが自然に出来るようになってくると、英語で考えるのが苦ではなくなってくる。

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17 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (そくら)
2010-06-18 17:56:04
受験の英作と同じですね(最近の
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>Are you developing this? (佐藤秀)
2010-06-18 18:13:45
韓国人のお友達は肉を鉄板とか焼き網に広げて焼くことをワンワードdevelopで表現したんじゃないんですか?
誤解してるのはあなたの方では?
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Unknown (Unknown)
2010-06-18 18:38:57
記事の内容に対して異論はないけど、↑コメと同じ様はことは思った。
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単純化 (taktak0088)
2010-06-18 21:13:52
Lilacさん

内容に同感ですが、私の視点でちょっと補足させてください。
私は、言いたいことを単純化することと、分解すること(特に、曖昧表現は、分解して単純化)を心がけています。

日本語は、主語を省略することが多いので、主語を考え(あるいは、Itで始まる慣用表現などを使い分けるなど)、目的語が何かを念頭に置いて英語表現することが、とっても重要と思っています。

それが、Lilacさんの言う「説明的に」に通じることかな、と勝手に解釈しています。

昨年の11月から、英語圏の人を対象に、週1回、日本語を教えるボランティアをしていますが、その現場でも、日本語と英語の違いを身近に感じています。また、いろいろな出身国の人がいるので、発想や文化の違いにふれたりと、結構、面白い経験を楽しんでします。

卒業後の至福の時ですね。鋭気を養って、新たな目標にチャレンジしてください。
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Unknown (fua)
2010-06-19 00:40:07
はじめまして。いつも楽しく拝見しています。

とても興味深く読ませていただきました。
私は英語は不得手なのですが、仕事で英文メールを書くことが多く、とても参考になりました。
現在は、言いたいことがうまく英語にできない時は、日本語で他に簡単な言い回しを考えてから改めて英語にするようにしていますが、そうすると、案外簡単な英語で表現できるんだな、と気付かされますね。
そして、外国語を習得するには、何より日本語力が必要だなと改めて感じています。

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Unknown (Lilac)
2010-06-19 02:03:40
@佐藤秀さん

なるほど。そういう解釈もありますか(笑)
いずれにしても、それでは英語として意味が通じない気が。
「広げる」という意味ではDevelopって単語は余り使わないかと。写真の現像じゃないんだから・・(笑)
使うならspreadかと思います。そもそも進行形にしませんね、過去形で聞きます。

このときはこの韓国人の友人とこの話題について盛り上がったので、間違っては無いと思うです。
私が日本でも、「実はCultivate(育てる)という単語を使う人がいるんだ」と話したら、
「そうそう、そういう意味!」と通じ合ってたので、面白いと思いました。
焼肉も「育てる」というのは農耕民族なら通じ合えるかもしれません。
アメリカ人も半分は農耕文化の人ですから、勘のいい人なら、「Cultivate」を使えばもしかしたら通じるかもしれませんよ。試したこと無いですが・・・。

@taktak0088さん
おっしゃる通りと思います。
単純化と分解はたいせつですよね。結果として元の分より長くなってしまうことがあるので、「単純化」に見えないこともあるかもしれませんが・・。

実は私はこのブログの文章を書くときも、英語で話すのと同じような認識で書いています。
誤解をなるべくさせないように、という努力は日本語でも英語でも同じことかもしれません。

@fuaさん
「外国語を習得するには日本語力」よくわかります。
結局日本語でも自分がイイタイコトわかってなかったんじゃない、ということに気づかされることが多いです。
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Unknown (佐藤秀)
2010-06-19 08:29:34
>いずれにしても、それでは英語として意味が通じない気が。

そんなこと韓国人だけじゃなくネイティブの人に聞けばいいじゃないですか。他の人にも聞かなかったんですか。
アメリカでは自分のテーブルの上で焼くことってないから、そんな発想ないかもしれませんけれど、韓国風焼き肉の流儀を理解してもらえればdevelopがどういうことを意味するかネイティブでも、というより、ネイティブならこそ十分理解できますよ。

>「広げる」という意味ではDevelopって単語は余り使わないかと。写真の現像じゃないんだから・・(笑)

焼き肉は写真の現像に似てますよ。冗談でなく。生の肉を焼けば色が変わるでしょ。色が変われば完成、食べられます。

>使うならspreadかと思います。そもそも進行形にしませんね、過去形で聞きます。

spreadでは盛られた皿の生肉を「展開」し、網に広げて、焼いて変色させて完成させるという一連のプロセスを十分表現できないと思いますよ。進行形はまさにいま、あなたその肉やっちゃうの?、て感じで、過去形を使うのは不適切です。本当の過去はこの場合、焼けた肉が食べられる状態になった時点で過去形になるんです。

そもそも農耕民族とか関係ないですよ。日本や韓国のどこに肉を焼くことを「育てる」なんて発想で考える人いるんですか。いるワケないでしょ。
韓国の友達は物凄く英語のセンスあるなあ、と感心しちゃいました。自国の料理の作法をたったワンフレーズで見事に簡潔に表現しちゃうのですから。ただLilacさんにはちゃんと話が通じなかったみたいですけど。
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Unknown (shiro)
2010-06-19 08:33:34
内容は大いに賛同しますが、「英語そのもの」の話と「米国で日本人が直面する異文化コミュニケーション」の話が混ざっているようで気になりました。

もちろんこのブログの性質からしてぽんと「英語では~」が出てきたら「非ネイティブの日本人がアメリカで使う英語」を前提としているのだ、という解釈は充分ありだと思うのですが、それも特有のコンテクストに依存している文章ではありますね。

日本語の方が擬態語が多いのはきっとそうなのだと思いますが、英語でも会話なら名詞を勝手に動詞化したり文脈上明らかなところで主語をがんがん省略したりしますし、ひとつの動詞が広い意味をカバーすることもありますよね。言葉の指す範囲が一致していないというだけで。「日本語は英語より曖昧/ハイコンテクストだ」というのは一般化しすぎになるだろうと思います。
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外国語を使うということ (changediapers)
2010-06-19 11:39:47
こんにちは。

いつも楽しく拝見しています。


今日のエントリ普段私も仕事で英語を使う中で、よく思うことだったので、「そうそう!」って頷いてしまいました。


一点だけ。


>日本語は、これまた擬態語が多くて、これまた感覚的に話せる言語なんだけど、
>当然英語にはこんなに無いから、考えないとならない。


これは我々が英語ネイティブではないから、たぶん知らないだけなんではないかって気がします。


同じことを他国人も思ってるはず。例えば「フランス語は、これまた擬態語が多くて、・・・・」みたいな。


日常的に英語を使う中で、私も英語を話すときのコツは、『「説明的に」考える』こと、と思ってきたのですが、実はこれは英語特有ではなくて、外国語を使う場合のコツなのかなぁ、と最近思います。


というのも、私の同僚に、日本語の上手い外国人がいますが、彼の話すコトバは全く難しい表現を含んでいないのです。でも、通じるし、ロジックもユーモアも表現出来る。


なにか人間の扱う言語って共通のベースがあるんでしょうね。基本表現としては、表現の仕方の違い(時制or態)はあるものの、代替表現はある。


ただ、例えば「いらっしゃ~い(桂三枝風)」みたいなことを唐突に発言したとしても、日本語を外国語として話す外国人には、理解できない様に、我々が馴染んでいる擬態語表現もどこかその国の時代や歴史を含んでいるのかも知れませんね。

from @changediapers on Twitter
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Unknown (Lilac)
2010-06-19 13:26:53
@佐藤さん
なるほど、韓国焼肉のカルビ肉のように、肉が丸く肉にくるまっているものを広げて焼くことをDevelopと呼んでいるのではないか、と佐藤さんは想像されているのでしょうか?

日本語でも英語でも同じだと思いますが、例えば佐藤さんは、「韓国風焼肉の流儀を理解してもらえば」と、相手が流儀を理解していることを前提にこの文章を書いていますよね?
その表現が「説明的じゃないよ!」と私が呼んでいるものです。
例えば私が上に書いたように、「肉が丸くくるまっているものを広げて焼く」と表現すれば、それを知らない人でも、何をもってDevelopと佐藤さんが呼んでいるのかすぐに分かりますよね。これがただ一例だったとしても。

私が「説明的に表現せよ」と言ってるのはそういうことなのです。
韓国風焼肉を理解しない人でも、どういう意味なのか分かるような表現をせよ、というのがこの私の記事の趣旨です。

ワンフレーズで表現できることを評価するのではなく、
それがどういうことなのか説明できる能力が、英語で表現するためには重要だ、と言ってるんです。
そこを理解していただければ嬉しいです。

@Shiroさん
私はどちらかというと、英語と日本語の違いにフォーカスしたいのではなく、(日本語が英語よりもハイコンテクストな言語であるのは確かだと思いますが)
異なる文化的背景を持つ人でも、理解できるように話せ、というところが趣旨のつもりでした。

@changediapersさん
おっしゃってることには同感です。
>これは我々が英語ネイティブではないから、たぶん知らないだけなんではないかって気がします

全くその通りで、同じく日本語の擬態語の感覚が分からない人に、論理的に、説明的に話すのが大切なんだろうな、と思っています。

英語にも擬態語はあります。ただ日本語に比べてその数は圧倒的に少ないのだそうです。
(ということを研究している友人から以前聞きました。すぐに示せるソースが無くて申し訳ないですが)

にしても、擬態語というのは、いや実は擬音語もそうですが、その国の文化的背景を理解しないと、理解するのが難しいですよね。
おっしゃるとおり、同じことは異なる言語を学ぶ際には必ず感じるものなのだと思います。
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