夕焼けを掴まえたくて…
すっかり取り込むのを忘れた洗濯物
時計はもう既に夕刻を告げてる
慌てた私の動作にするりと対流する
冷たくなり始めた外の空気が滑り込む
ふと見上げた頭の上は薄紅色の無数の羽根
緩やかな流線型を描いて羽ばたく
まるでフラミンゴの群れ
取り込みかけの洗濯物は途中のまま
無造作に部屋に放り込んだ
愛用の小さなカメラをポケットに押し込んで
茜の空を追いかけた
地平を遮るマンションの向うに沈んでいく太陽
お願いだからまだ沈まないでって
ずっと繰り返し唱えながら追いかけた
太陽は鮮やかに染まった空も吸い込んで
はやる私にお構いなしに色褪せていく
あと10分早くこの空に気付いてたなら
悔しい気持ちに舌打ち
私が今まで見た中できっと一番美しかっただろう
やっと掴まえた数パーセントの夕焼けでさえ
これほど美しいのだから
どうかまた会えますようにと呟きながら
やっぱり惜しさは拭いきれなくて
駄々を捏ねる子供を宥めるみたいに
諦めの悪い私がリピートしてる
見上げる夕闇にぽつりと星明り
わくわくすればするほど夕焼け狩りは
ちょっぴり寂しいなって…思った
私の影も闇に飲み込まれて行って
ちょっぴり寂しいなって…思った