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外国人の人権

2005年03月17日 18時30分55秒 | 
 このポストで、ちょうど100件…まぁ、何の記念というわけではないけど。
以前からあたためていた、ちょっと長めのものをポストする。
(あんまり長いのは自分で書いてても、読む気しないけれど…)


 竹島問題でゆれている中で、こういう問題を考えるとバランス感覚を逸してしまいそうになるが、
竹島の問題と、外国人の参政権については別である。


 だいぶ前のことになってしまったが、1月26日、最高裁大法廷判決が出た。
事件は、東京都の保健師に採用された在日韓国人二世の女性が管理職試験を受けることができず、都に受験資格の確認と損害賠償を求めたものである。
 争点は外国人の公務就任権、要するに、日本国籍を持たない外国人は公務員(特に
管理職)になれるのか、ということである。

 従来、日本の判例・通説は権利性質説をとってきた。つまり簡単に言うと、国民主権原理からして、日本人のことは日本人だけで決める、外国人が日本の国政に関わることは許されないとし、外国人の参政権などは制限されてきた。
 平成7年の最高裁判決では外国人に地方レベルでは特別永住者には参政権を認めてもよいということを判示したが、国政レベルでは依然、国民主権原理からの制約が認められた。
 今回の判決もこの路線からもれることなく、国民主権原理からの当然の帰結として、
外国人の公務就任権が否定された。

 産経新聞はこの判決を「極めて常識的」な判決として歓迎した。
国籍条項訴訟 常識にかなった合憲判決 <産経新聞>

 しかし、僕はどうも納得いかない。生まれてこのかた、産経新聞を読んで育っているが、
この主張のように単純に割り切れるものなのか、疑問である。
 産経新聞批判を展開するつもりはなく、外国人、特に永住外国人の人権について改めて考えてみたい。

 まず、権利性質説の論拠は、人権が前国家的なものであること、憲法が国際協調主義を採用していることから、外国人にあらゆる人権を日本人と同様に保障することはできないが、国民主権原理に反しない程度で保障するということである。

 人権が前国家的なものであるということは、国家という存在以前に、人間が人間であるがゆえに人権が保障されるということである。そうであるなら、外国人も人間である以上、当然にあらゆる人権が保障されることになるのではないか。
 
 また、憲法が国際協調主義を採用していることも、権利性質説の論拠であるが、日本は国際人権規約を批准している。B規約の第二十五条は、
「すべての市民は、第二条に規定するいかなる差別もなく、かつ、不合理な制限なしに、次のことを行う権利及び機会を有する。

(a) 直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。
(b) 普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票により行われ、選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、投票し及び選挙されること。
(c) 一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること。 」

 以上のことからして、国民主権原理からの当然の帰結というだけで、在日朝鮮人の
人権制約が正当化されるものではない。それに、在日朝鮮人は参政権はないけれども、
消費税や住民税は負担している。つまり、権利はないけれど、国民としての義務は
負っているわけである。このことを国民主権原理からどう説明するのか。

 また、平成7年の判決では、外国人の中でも特別永住者について、参政権を付与する
ことは憲法に反するものではないという許容説を採った。地方自治は「民主主義の学校」
である。いわば地方自治の積み重ねが、国政なのである。では、地方レベルならOKで、
国政レベルとなるとダメだという理由はどこにあるのか。

 よって、私は在日朝鮮人・韓国人にも、参政権(被選挙権・選挙権・公務就任権)を保障すべきであると考える。産経新聞などは特別永住者をどういう人たちだと考えているのだろうか。
北朝鮮工作員などを想定しているとしか思えない。
在日朝鮮人といえど、日本人となんら変わることなく、この日本と言う地で暮らしている。
もちろん、その中に本国から送り込まれてきた工作員がいるかもしれない。
そして、もし、在日朝鮮人に参政権が認められていると、本国の指示で工作員が
たとえば衆議院議員に立候補できてしまうではないか、という危惧もある。
しかし、選挙に立候補できたとしても、その工作員が実際に当選できるとは言えないし、
もし当選したなら、それには民主的な正当性があるのである。
在日朝鮮人の人でも、国政を任せようという意志の表明だと考えられる。
工作員に国政を乗っ取られたら、それは日本の民主主義が軟弱だということだ。

 民主主義は多様性を前提とする。たとえば、アメリカでは大統領に立候補するには、
①アメリカ生まれ、②14年以上アメリカに在住、③現在35歳以上という条件さえクリアすればよい。もちろん、実際に大統領になれるかは別問題である。
「アメリカがそうだから、日本でもそうしろ」というのではない。
私は、日本人という国籍を有する人だけでなく、在日朝鮮人・韓国人の意思も国政に反映させることによって、多様な意思が反映され、真の民主主義が実現すると確信しているのである。

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