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紀子さま御懐妊

2006年02月06日 18時00分00秒 | 政治

秋篠宮妃紀子さま懐妊 男子なら皇位継承第3位 (共同通信) - goo ニュース 

 とりあえず、おめでたいニュースである。この状況での皇室典範改正は慎重に、という空気にならざるを得ないだろう。「雅子さま御懐妊」というニュースもないとは言えないわけで…。

 この直前の記事の通り、私は女系天皇の容認および皇室典範改正に賛成の立場であるが、必ずしも今国会で改正を成し遂げる必要はないと思う。小泉首相もどうやら今国会での改正は見送るようだ。さすがは世論の空気を読むのは天才的な感性の持ち主である。

 もしこの秋に男子が誕生すると、「別に無理して皇室典範を改正しなくてもいい」という流れになりそうだ。しかし、依然として、側室もなしに男系の皇統をつないでいくのは困難なことに変わりない。

 この秋に男子が誕生すると仮定して考えてみると、今の皇室典範のままであれば、その御子は、次の次の天皇となる資格を有することになる。今の皇太子さまの年齢から言うと、その御子が即位する時期は、おそらく今から3、40年後となるだろうか。

 このまま皇室典範を改正しないとなると、今から3、40年後には、眞子さまや佳子さまも今のまま行くと民間の方と結婚すれば皇族ではなくなり、三笠宮さまの系統も同様であり、今以上に天皇家が、寂しい状態になる。この秋に男子が生まれたとしても、その男子以外に男子がいなければ、その次はどうするのか。今の平成天皇には二人の男子に恵まれたが、男子が一人だと非常に難しい状況になる。

 ここまで考えてきて思うことは、そんなに男系にこだわる意味はあるのだろうか、ということだ。前の記事の内容とも重複するかもしれないが、今の天皇は現人神ではない。男系論者は、神武天皇以来、2665年も続いてきた男系の皇統をここで断ち切っていいのかと言うが、2665年の皇統というけれど、戦後から今に至る天皇と、戦前より前の天皇は、その存在あるいはそれに対する国民の意識が根本的に違うといわざるを得ない。

 天皇は日本国の統治者ではなく、国民統合の象徴に過ぎない。悪く言えば、お飾りに過ぎないのである。西部氏の言葉を借りれば、今の皇室は「プリースト・キング・ファミリー(祭祀王族)であり、それの取り行う国家儀式が(日本国民の最高意識としての)神道によって装われるということに注目すれば、「最高位の神主家族」である」ということだ。そうすると、天皇家の家長が男系である必要性はない。この理解が、日本国憲法の想定するところであると思うが、このことを男系論者はどう考えているのだろうか、甚だ疑問である。

 たとえば、男系維持の急先鋒の平沼赳夫議員は、先日の皇室典範改正の反対集会において、「守るべきものは、断固、命を懸けて守らなければならない」とスピーチしていた。さすがは政治家、しかも徳川慶喜の孫を義父に、そして戦前の総理大臣、平沼騏一郎を養父に持つというサラブレットだけあって、鬼気迫る表情から発せられる言葉には迫力があった。しかし、平沼さんは、もし天皇が崩御されたら、殉死でもなさるおつもりか、と思ってしまった。なぜ、そこまで男系にこだわるのか、私には理解できない。

 おそらく平沼さんたちは、2665年も続いてきた男系が守られてこそ、天皇の正当性が確保され、国民の信頼が得られるというお考えだろう。それを安易に変えてしまえば、国家の根本としての天皇制が崩壊し、ひいては日本という国が瓦解するのではないか、そこまで危惧しているのかもしれない。しかし、はたしてそうだろうか。

 男系論者の方々が危惧しているのは、かつての道鏡のような人物が出現することのようだが、たとえ、そういう人物がたとえば愛子さまの婿になったとしても、皇室と政治が厳格に切り離されている限り、その現代版道鏡には大した影響力は有さない。かつての道鏡の時代と現代は全く違うのである。

 ここで何より大事なのは、天皇家と政治権力が結びついてはならないということだ。その意味で、皇室典範の改正にあたっては、天皇陛下その他の皇族の意見を聞く必要はない。これまで三笠宮寛仁殿下がいろいろと述べられているが、もちろん個人的にどうお考えになろうがそれは自由であるが、それをマスメディアを通じて明らかにしたり、あるいは皇室典範の改正という国会の問題に大きな影響力をもたらすということは、あってはならない。三笠宮殿下の意見を有識者会議の吉川座長は取り上げなかったのはそういう趣旨だと思う。それを、無礼だとか不敬だとかいうのは、それこそ戦前である。今の皇室典範は戦前と違い、あくまで法律に過ぎないのであり、それをどう改正するかは、国権の最高機関たる国会の役割である。

 男系論者は、すべてとは言わないが、天皇を神と思っているのではないかと思われる。そう思っていなくても、その主張は、明治憲法第一条「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」という規定の趣旨を、言葉を変えて述べているに過ぎないものも多いと感じる。

 要するに、日本国憲法における天皇制ということをよく考えれば、女系天皇容認という方向にならざるを得ないということである。


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