犯人探し

「誰がいじめてたの？」
「○○君？それとも△△君？」
「〇〇君じゃない？私はそう思うなぁ」

「あんな場で個人的なことを言うべきじゃないよ！」
「そうそう、私もあんな話、聞きたくなかった」
「あそこの子だっていじわるしてるのに、あの人、知らないの？」
「ちょっとおかしいんじゃない？」

先日、学校で子育てについて話し合う場がありました。
先に、講師の先生の講演を聴き、
その後で、疑問や質問、相談したいことなど
自由に発言できる時間がありました。

その時間に、あるお母さんが、
自分の子どものいじめについての発言をされました。

高学年の子にいじめられていたこと。
優しく遊んでもらう日もあったので、
なかなか気づかなかったこと。
今は、外に出るのも怖いこと。
自分達親子は、どうすればいいのかわからないこと。
みんなの知恵を借りたいこと。

学校には相談をされているようですが、
少し状態がこじれ、解決には時間がかかる様子でした。

学校や教育委員会の方が答えられる範囲で話をされましたが、
重苦しい雰囲気を抱えたまま、話し合いは終わりました。

その帰り道から、詮索と非難が始まりました。
噂は、人から人へ猛スピードで広まっているようでした。

すごく悲しかった…。

何故、何のために名前を知りたいですか？
その子を突き止めて、どうしますか？
その子を救う手段を持っていますか？
あなたは、その子のために何ができるのですか？
あなたの満足のためにだけ知りたいのですか？

あの場で精一杯の発言をしたお母さんを
誰が、責めることができるでしょうか？
お母さんと子どもの苦しみを
本当にわかっている人がいるでしょうか？

もし、自分の子が同じ立場だったら…
何でも相談できる親しい知り合いが、いなかったら…

聞いてほしい、助けてほしいと
切実な思いで必死で話されたことを
誰が否定できるでしょうか？

その場に同席された先生方の中にも、
否定的な考えの方がおられるようでした。
「こんなところで言わなくても…」と…。

陰で非難したり、批判することは簡単です。
でも、無責任な噂は、解決を遠ざけていきます。
十分に傷ついている人達を、まだ傷つけたいですか？
一番大切なことは、子ども達を助けることです。
黙っていることも、私達にできることの一つだと
私は思っています。
どうか、これ以上、子ども達を、親を追い詰めないでほしい。
そう願っています。