尖閣衝突 船長勾留を延長 中国反発 政府「国内法の問題」(産経新聞) - goo ニュース
沖縄・尖閣諸島周辺の日本の領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、石垣簡裁は19日、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された漁船の船長、●其雄(せん・きゆう)容疑者(41)の勾留(こうりゅう)期限を、29日まで10日間延長することを認める決定をした。
中国側は「強い報復措置」を警告するなど勾留延長に激しく反発した。外務省幹部は中国の反応について「遺憾だが冷静に対応するしかない。これは日本の国内法の問題だ」と述べ、中国が要求する船長の釈放には応じられないとの立場を強調した。
閣僚級以上の交流停止などの報復措置について、日本政府は「事実関係を確認してから対応する」(福山哲郎官房副長官)考えだ。
前原誠司外相は勾留延長が決まる前の19日午前、記者団に対し、衝突事件について「偶発的な事故だ」と指摘。今年は付近の海域が豊漁で、日本の領海内で操業する中国や台湾の漁船が多いとした上で「その都度追い払っていたが、1隻の船長がこちらにぶつかってきた」と説明した。
前原氏は中国で18日に起きた衝突事件への抗議活動については「散発的で参加人員も少なかった。中国政府も冷静に対応していただいた」と評価していた。
それだけに、今回の勾留延長に対する中国の反応について、民主党幹部は「偶発的な事故を政治問題と絡めるべきではない」と不快感を示した。
前原氏によると、国連総会に合わせた21日からの訪米中に中国の楊潔★(よう・けつち)外相との会談は行われない。17日に外相に就任したばかりの前原氏は楊外相に直接見解をただす機会すら得られないことになる。
日中首脳会談に続く見送りで、こじれた日中関係は対話の糸口すらつかめない状況にある。日中間の対立は長期化する可能性が高まっているが、日本側には揺るぎない姿勢が一層求められる。
中国は東シナ海のガス田「白樺(しらかば)」(中国名・春暁(しゅんぎょう))の開発に向けた交渉を一方的に延期し、施設に掘削用とみられる機材を搬入するなど日本側に圧力をかけてきている。
●容疑者の逮捕容疑は7日午前10時55分ごろ、巡視船「みずき」が立ち入り検査のため追跡した際、船のかじを左に大きく切ってみずきの右舷に衝突させるなどし、海上保安官の職務執行を妨害したとしている。乗組員14人は事情聴取後13日に帰国した。(●=擔のつくり、★=簾の广を厂に、兼を虎に)
今回の尖閣諸島における事件は、わが国に落ち度はなく、中国が悪いのは言うまでもないが、一つ危惧されることは、矢継ぎ早に出される「対日カード」に、日本側が変なかたちで折れてしまうことである。
まず、今回の事件について、司法の行動に政府が容喙するのであれば、それは大津事件を引き合いに出すまでもなくわが国の法治国家としての立場上、許されないことは当然だが、ここでいう「変なかたちで折れる」とは、拿捕した船長を不起訴処分にしてしまったり、最悪の場合、中国からの圧力に折れて、船長を送還してしまうようなことである。
今のところ現在の政府は、案外自民党政権以上に中国の不法に対し毅然と対処しているが、これまでこのように毅然と対処してきているからこそ、途中で折れてしまうのは、中国の主張を認めることと等しいのと同時に、わが国が進んで自国の主権を放棄したに等しく、したがって誤ったメッセージを国際社会に発信してしまうことになりかねない。
だからこそ、一度「毅然と対応する」と決めた以上、中国がいかなる報復に出ようとも、これにたじろがず、執行猶予で強制送還でもいいので、きちんとわが国の司法判断により、船長を処罰するべきなのだ。
ところで、尖閣諸島はわが国固有の領土であることは言うまでもない。これは、第二次大戦後沖縄とともにアメリカが尖閣を統治しており、沖縄と一緒に尖閣も返還してきたことからも明らかである。しかもその際、中国が公式にこれについて文句を言ってきた形跡はうかがえない。
中国が尖閣の領有権を主張しはじめたのは、国連の調査により、尖閣近海に大量の天然資源が埋蔵されていることが明らかになってからである。本当に中国が尖閣を自国の固有の領土と考えるならば、どうして沖縄と同時に尖閣がアメリカの施政下に入ったとき、これに異議を唱えなかったのか。
話は戻って、中国の対抗措置が強硬になっていくからといって、こちらもカウンター的に強硬措置を執る必要はないと思う。こちらは法治国家の理念の下、公務執行妨害という日本の刑法に抵触する行為をした船長を、わが国の司法システムの下、粛々と裁いて、刑罰を与えるだけでいい。
うかつに対抗措置を取ることは、子供染みた中国と同じ土俵に上がることになり、逆に尖閣には領土問題は存在しないとするわが国の主張を崩すことになりかねない。これは国際社会においてわが国が尖閣の領有権を主張するにあたり、プラスに働く可能性は高くないと思う。
要するに、一度船長をわが国の法律に照らして処分すると決めた以上、これは絶対に最後まで曲げてはならないということだ。下手に譲歩すると、尖閣に領土問題が存在すると国際社会から思われてしまうからだ。
沖縄・尖閣諸島周辺の日本の領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、石垣簡裁は19日、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された漁船の船長、●其雄(せん・きゆう)容疑者(41)の勾留(こうりゅう)期限を、29日まで10日間延長することを認める決定をした。
中国側は「強い報復措置」を警告するなど勾留延長に激しく反発した。外務省幹部は中国の反応について「遺憾だが冷静に対応するしかない。これは日本の国内法の問題だ」と述べ、中国が要求する船長の釈放には応じられないとの立場を強調した。
閣僚級以上の交流停止などの報復措置について、日本政府は「事実関係を確認してから対応する」(福山哲郎官房副長官)考えだ。
前原誠司外相は勾留延長が決まる前の19日午前、記者団に対し、衝突事件について「偶発的な事故だ」と指摘。今年は付近の海域が豊漁で、日本の領海内で操業する中国や台湾の漁船が多いとした上で「その都度追い払っていたが、1隻の船長がこちらにぶつかってきた」と説明した。
前原氏は中国で18日に起きた衝突事件への抗議活動については「散発的で参加人員も少なかった。中国政府も冷静に対応していただいた」と評価していた。
それだけに、今回の勾留延長に対する中国の反応について、民主党幹部は「偶発的な事故を政治問題と絡めるべきではない」と不快感を示した。
前原氏によると、国連総会に合わせた21日からの訪米中に中国の楊潔★(よう・けつち)外相との会談は行われない。17日に外相に就任したばかりの前原氏は楊外相に直接見解をただす機会すら得られないことになる。
日中首脳会談に続く見送りで、こじれた日中関係は対話の糸口すらつかめない状況にある。日中間の対立は長期化する可能性が高まっているが、日本側には揺るぎない姿勢が一層求められる。
中国は東シナ海のガス田「白樺(しらかば)」(中国名・春暁(しゅんぎょう))の開発に向けた交渉を一方的に延期し、施設に掘削用とみられる機材を搬入するなど日本側に圧力をかけてきている。
●容疑者の逮捕容疑は7日午前10時55分ごろ、巡視船「みずき」が立ち入り検査のため追跡した際、船のかじを左に大きく切ってみずきの右舷に衝突させるなどし、海上保安官の職務執行を妨害したとしている。乗組員14人は事情聴取後13日に帰国した。(●=擔のつくり、★=簾の广を厂に、兼を虎に)
今回の尖閣諸島における事件は、わが国に落ち度はなく、中国が悪いのは言うまでもないが、一つ危惧されることは、矢継ぎ早に出される「対日カード」に、日本側が変なかたちで折れてしまうことである。
まず、今回の事件について、司法の行動に政府が容喙するのであれば、それは大津事件を引き合いに出すまでもなくわが国の法治国家としての立場上、許されないことは当然だが、ここでいう「変なかたちで折れる」とは、拿捕した船長を不起訴処分にしてしまったり、最悪の場合、中国からの圧力に折れて、船長を送還してしまうようなことである。
今のところ現在の政府は、案外自民党政権以上に中国の不法に対し毅然と対処しているが、これまでこのように毅然と対処してきているからこそ、途中で折れてしまうのは、中国の主張を認めることと等しいのと同時に、わが国が進んで自国の主権を放棄したに等しく、したがって誤ったメッセージを国際社会に発信してしまうことになりかねない。
だからこそ、一度「毅然と対応する」と決めた以上、中国がいかなる報復に出ようとも、これにたじろがず、執行猶予で強制送還でもいいので、きちんとわが国の司法判断により、船長を処罰するべきなのだ。
ところで、尖閣諸島はわが国固有の領土であることは言うまでもない。これは、第二次大戦後沖縄とともにアメリカが尖閣を統治しており、沖縄と一緒に尖閣も返還してきたことからも明らかである。しかもその際、中国が公式にこれについて文句を言ってきた形跡はうかがえない。
中国が尖閣の領有権を主張しはじめたのは、国連の調査により、尖閣近海に大量の天然資源が埋蔵されていることが明らかになってからである。本当に中国が尖閣を自国の固有の領土と考えるならば、どうして沖縄と同時に尖閣がアメリカの施政下に入ったとき、これに異議を唱えなかったのか。
話は戻って、中国の対抗措置が強硬になっていくからといって、こちらもカウンター的に強硬措置を執る必要はないと思う。こちらは法治国家の理念の下、公務執行妨害という日本の刑法に抵触する行為をした船長を、わが国の司法システムの下、粛々と裁いて、刑罰を与えるだけでいい。
うかつに対抗措置を取ることは、子供染みた中国と同じ土俵に上がることになり、逆に尖閣には領土問題は存在しないとするわが国の主張を崩すことになりかねない。これは国際社会においてわが国が尖閣の領有権を主張するにあたり、プラスに働く可能性は高くないと思う。
要するに、一度船長をわが国の法律に照らして処分すると決めた以上、これは絶対に最後まで曲げてはならないということだ。下手に譲歩すると、尖閣に領土問題が存在すると国際社会から思われてしまうからだ。