夕暮菜日記

私的日記、教育、社会、音楽、等々について

『百ます計算の真実』

2009年06月27日 03時34分21秒 | 読書
私が良く読むブログ『とむ丸の夢』で『百ます計算』『反復学習』が話題になっていたので、こんな記事を書いてみた。

隂山英男著
学研新書740円+税

仮にも教育の末席に携わる者として、私は『公文』や『百ます計算』を目の敵にしていた。
今でも「反復練習がすべて」という考え方には、嫌悪感すら抱いている。
子どもは人間であって、電卓ではないからだ。
私は、子どもを『優秀な電卓』にしようとは思わない。
そして『公文』や『百ます計算』を信奉する連中は、子どもを優秀な電卓に仕立て上げて喜んでいるように、私には見えるのだ。
しかし、、、、、、しかしだ、、、、、
計算はできた方がいいし、漢字だって書けて読めた方がいいに決まっている。
そのことが、創造性を強靭に支えることも、私は知っている。
(インド人数学者ラマヌジャンは、多くの立方数を『暗記』していたそうだ!)
そんな私が本書を読んでみた。
驚いた。
『百ます計算』の提唱者、隂山英男は『子どもの電卓化』とは、正反対ことを考えていたことがわかったからだ。
彼の言い分を私なりに要約するとこうだ。

教育の中で子どもたちに、いろいろな実体験をさせたり、実験したり、難しい問題をとことん時間をかけて考る、、、などなどやらせたいことは山ほどある。しかし、時間が足りない。それならば、計算や漢字は、できるだけ短時間で効率良くマスターさせて、それで余った時間の中で、そんな教育をしたい。そのためのツールの一つが『百ます計算』。だから『百ます計算』の目的は、それ自体にあるのではなく、あまった時間の中で、より創造性に富んだ教育をすことにある。

つまり、百ます計算『後』にこそ、教育者の真価が問われることになるわけだ。
子どもを、さらに優秀な電卓に仕上げるのか? 培った基礎力で子どもから創造性を引き出すのか?

『百ます計算』というツールばかりがもてはやされている感があるが、提唱者の真意を知るために本書を読んでみることを薦めたい。

まぁ、読め!

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4 コメント

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おっしゃるとおり (とむ丸)
2009-06-27 09:50:35
TBありがとうございました。
流行り物にはつい眉に唾をつける癖のあるものですから、言葉を聞くばかりで「百ます計算」の中身は知らないのですが、そうでしたか。
本質には目を向けずに自分の都合のよい部分だけを抜き出して利用する。哲学を持たない政治家・権力者はよくこの手を使いますね。
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とむ丸さん、コメントありがとうございます。 (緑虫)
2009-06-27 16:08:06
>流行り物にはつい眉に唾をつける癖のあるものですから、

そうなんですよね(笑)。
まずは、まっさらな気持ちで対峙する、大事なことなんですけどね。

優秀な電卓、優秀な会社員、優秀な兵隊、、、、
そんなものを製造するための教育は拒否していかなければばりませんね。
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Unknown (つちねこ)
2009-06-28 11:13:42
興味深い内容だと思いマス。

反復練習って、いわば筋トレなんですよね。
筋トレしなくても、スポーツの楽しさは味わえますが、
筋トレの結果、基礎体力がアップすれば、
それまで見えなかった楽しさも見えてくるような。
『自分の体験』でしかないんですが、
たとえば数学で、同じ問題集を繰り返しやる反復練習の結果、
自分の中に、そこから得られた『エッセンス』みたいなものが出来上がってて、
後に、より応用的な問題や、あるいは物理・化学・生物に応用できたり…。
『1を聞いて10を知る』ヒトには、必要ない作業かもしれないですけどね。

問題は、そうした『後の楽しみ』を、如何に伝えることができるか、ということで…。
自分がバイトで塾の講師をやってたときは、
そこだけを伝えようとして、空回りした記憶があります(泣)
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つちねこさん、こんばんは! (緑虫)
2009-06-28 23:01:13
そうそう、筋トレなんですよね。

>『1を聞いて10を知る』ヒトには、必要ない作業かもしれないですけどね。

『1を聞いて10を知るヒト』って、先天的に筋トレの意味を知っているヒトかも、って思ったりしますね。だから筋トレでさえ楽しめる、、、。
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