
中医学は本当に難解で解読困難な漢方医学です。それをものにして医師として立派に生活していける土壌を持ちながら、(中国では、産婦人科の外来医として勤務しながらも、海外に出張に出かける先輩医師をいつも羨ましく思いつつ)S先生は、「いつか自分も国際ビジネスをやってみたい!」という夢に胸を膨らませていたそうです。彼女は、留学生として日本にやってきて、数々の苦労を経験し、それまではお金には困らない生活であったものが、日本ではお金にも苦労しながら、現在のビジネスに辿り着いたそうです。最初は、あまたの人から、そのビジネスを訝しく疑われ、歯牙にもかけてもらえず、試行錯誤を繰り返したそうですが、「私は絶対に成功してやる!」と固く心に誓ったのだそうです。道半ばとはいえ、その誓いは現実のものとなりました。人は例え成功しても、その過程の中では、何度も迷い不安になり、「これでいいのだろうか?」と自問自答するはずです。自分の場合は成功できたとしても、人をも成功させられるかどうかなんて、責任が持てなくて、しり込みするのが普通ではないでしょうか?でもS先生は違います。私に対して、「絶対に成功させる!」と言われます。もっと正確に言えば、私に対してだけでなく、彼女を信じてついていく人には、すべての人にそう言われることでしょう。私が揺らぐ時、そんなことが出来るわけがないと思う時、刺すような目つきで、「あなたは私を信じてないネ!」と言われます。信じていないわけではないけれど、何を根拠に、信じるとか信じないとかを決めればいいのかが私には分からないだけ…と、心の中で、私はつぶやいています。でも、このビジネスの仕組みが、私なりに分かってくるにつれ、S先生は、私を最短コースで成功に導こうとしてくれているのだ、ということに気づき始めてもいます。人生って恐いです!誰が応援してくれていても、核の部分の決断は自分がする以外にはないのですから…誰にも寄りかかれません。実は、人生の仕組みというのは、誰にも依存できないように出来ているのです。そうだったのですネ。依存なんて、最初からそんなに容易くは出来ないものなんですよネ…。でも、協力はし合えます。競うことからは勝つか負けるかの結果しか出ませんが、助け合えば、二人の人間が共に勝つことが出来るのです。今の世の中は、競い合わせても、協力させて成果を掴むことを仕組みの中に取り入れてくれていません。だから殺伐として、自分だけが甘い汁を吸えばいいと考えざるを得ない人間が増えてしまうのでしょうネ。