皆様の中にも、体がだるい、体がほてる、動悸がする、頭が重い、胃腸の調子が今ひとつなどなんとなく調子が悪いと感じていらっしゃる方もおられるかもしれません。血液検査や画像検査などの検査を受けても大きな異常がなく、医者から原因はストレス、疲労、睡眠不足で自律神経がうまく働いていないのでしょうと説明をうけることもあると思います。
さて自律神経とはどんな働きをしているのでしょう。体の神経には、運動神経、知覚神経、自律神経があります。私達は意識して、運動神経を介して手足を動かすことができますし、知覚神経を介して痛みや触覚などを認識することができます。
一方自律神経は、私達が意識をしないところで血圧、呼吸、体温の調節、食べ物の消化吸収、排泄など生命活動を維持するために必要な調節をしています。
自律神経は、交感神経と副交感神経にわけることができます。交感神経は、興奮・緊張する場面で活発に働き、副交感神経は逆にリラックスする場面で働きます。これは、車のアクセルとブレーキの関係に例えられます。アクセルばかりだと車は暴走しますし、ブレーキばかりだと前に進めません。両者がバランスよく働くことによって本来の力を発揮することができるのです。
現代社会に生きる私達は、普段から多くの肉体的・精神的ストレスにさらされており、交感神経優位になっている人が多いです。したがって、十分な休養をとったり、趣味に興じたり、温泉につかり美味しいものを食べるなどリフレッシュすることにより副交感神経活動を高めて自律神経のバランスを整える必要があります。
時間のない日常生活の中ですぐに交感神経優位から副交感神経優位に変更する方法はないでしょうか。意識しないところで働いている自律神経を唯一自分の意思でコントロールできる方法は、ずばり呼吸です。
通常、私達の一分間の呼吸数は15回程度です。副交感神経を活発にする呼吸とは、呼吸数が通常の半分以下の深呼吸です。ゆっくり鼻から息を吸い込み(おなかを膨らませるイメージ)、その倍の時間をかけて息を吐き出します。これは腹式呼吸といわれます。イライラした時は、是非深呼吸してみてください。体がふっと落ち着くことが実感できるでしょう。
尚、呼吸法には様々なバリエーションがあり、きちんと習得するには修練が必要です。興味のある方はネットで検索して自分にあった呼吸法をみつけるのもお勧めです。