未来への扉

人それぞれに生きた証・生き様があり、それは自己・他者へのメッセージとなります。

『小さな国の大いなる知恵』より(その4)

2015-12-10 22:25:08 | イロコイ族
 『小さな国の大いなる知恵』(著者はイロコイ族の語り部ポーラ・アンダーウッド女史、翻訳は星川淳氏、翔永社刊)より。

 この本にはイロコイ連邦オナイダ族族長スケナンドア(シェナンドア)(1706年~1816年)と合衆国建国の父の一人ベンジャミン・フランクリン(1706年~1790年)(政治家、物理学者)の友情の物語や、建国当時のアメリカとイロコイ族の関係について書かれています。

※アメリカ合衆国憲法にはイロコイ族の精神が反映されているそうです。



 【スケナンドアの歌】

 (P22)

 私が自分で確かめたのは
 複雑な精神の生き姿。
 その心は、まことに数多くの物事を
 現在(いま)という枠の中におさめていた。
 彼はさまざまな考えや着想を
 一度に目の前に並べ
 多くの可能性からどれを選んだらいいか
 どれをシチューに加えたらいいかを
 思いめぐらせることができたのだ。
 そして、選択がすむと
 残りを将来のために貯えておくのだった。
 ちょうど外套(がいとう)のポケットにしまい込むかのごとく―。
 「いまは用がない」
 ときおり彼は言う。
 「しかし、明日のことは誰にもわからないから」と。

 そのうえ
 彼はよく語るだけでなく
 人の話にも同じくらいよく耳を傾けた。
 くだけた話ぶりは
 よもや考え抜かれた言葉とは思えないほどだったが
 耳を傾けるときは
 一変して真剣そのものになった。 
 ただし、言うまでもなく
 話の内容が取るに足らないものであることを
 相手に伝えたい場合は別だった。
 そうなると、目はいたるところをさまよい
 手はたびたび宙をよぎって
 何かもっと重みのあるものを探し求めるか
 ひどく軽いものを払いのけるかのような
 そんなそぶりを見せるのだった。



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