未来への扉

人それぞれに生きた証・生き様があり、それは自己・他者へのメッセージとなります。

『一万年の旅路』より(その14)

2013-02-28 00:05:00 | イロコイ族
 『一万年の旅路-ネイティヴ・アメリカンの口承史-』((ポーラ・アンダーウッド(著)、星川淳(訳)、翔泳社刊))より。



 【守られた盆地】

 (P288)

 この目的意識の強い一族は想いを一つにし、最後にいくつかの取り決めをした。それは次のようなものであった。
 <古(いにしえ)の歌>を一部の者が大切に守り、全員が聞くことにしよう。
 この役目をだれが担うかをはっきりさせ、古き価値ある貯えの所在を明らかにしておこう。
 この安らかな暮らしの中でも、いまの状態がいつかある朝一変してしまうかもしれないことを心にとどめよう。
 そのうえで、変化とそれがもつ多くの形を探し求めよう。
 いざ、われら目的意識の強い一族にふさわしく、この場所にいる目的を定めよう。
 ときおりあふれる沢とともに生きる道を見つけよう。
 年ごとに降り方の異なる雪ともに生きる道を見つけよう。
 いままで知っている丸い住まいよりもっと大きな家を建てる方法を見つけよう。かつての大地の深くて暗い場所のように、もっと大勢の集団が住める家を考えよう。
 そして、いまのこの安らかな場所に、ほかの場所で一族が授かった贈り物のいくつかを与える方法を見つけよう。
 われらは手近に大海
(おおうみ)が見つかるとは思わないが、そのことを心にとどめる。その塩辛さを憶えておく方法を何か見つけて、子どもたちの子どもたちが東にあるわれらの目的地を心にとどめられるようにしよう。
 明日になっても、ここにいることが一番賢い選択であるのは変わらないかもしれない。われらはこの<守られた盆地>をあとにしようとは思わない。が、ときには一族のある者たちをここからいろいろな方角へ送り出して、もどってきた彼らからそういうはるかな可能性について教えてもらおう。
 ありとあらゆる糧にあふれ、種を喜んで受け入れる大地に恵まれて、一族をよく養ってくれるこの盆地だが、多くの患いを和らげてくれると昔語りに語られるような温かい水たまりはどこにも見あたらない。痛みのもとが年のとりすぎか、ひどい寒さか、働きすぎかによらず、癒しを求める者たちに安らかな温かさをもたらす方法を見つけようではないか。




※一つひとつの【エピソード】の中で語られる【教訓(知恵)】を一部ご紹介していますが、エピソードについては割愛させて頂きます。
 エピソードと教訓のセットで一つひとつの物語が成り立っていますので、なぜ教訓が得られたのかを説明するエピソードが無いと片落ち状態です。
 興味のある方は、是非この書籍をご購入して読んで頂きたいと思っています。

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