さて、本論へ入ろう。
植物には単純な膜(Membran)で包まれた空隙があるので、新しい体制の形成がもっとも容易にそして明瞭に観察される場所が2ヶ所ある。
それは、後に種子の胚乳を蓄えることとなる大型細胞すなわち胚嚢の中と、後にそれから胚を生ずるところの花粉管の末端の中である。
元来胚嚢はけっして澱粉を含んでいることはなく、未熟の莢果や穀類に甘味を与える糖溶液やゴム質を含んでいる場合が多いもののようである。この点で花粉管の末端とは相異なる。
それと反対に、花粉はかならず澱粉あるいは前述のそれに代わる粒状の粘液質を必須の構成部分として含んでいる。
いわゆる植物性精虫(vegetabilische Spermatozoen)はおそらく今後の研究の進展によって、その大部分がこれらの物質はやがて溶解し、糖あるいはゴム質のいずれかに転化する。
いずれへの変化ともしばしば起こり、花粉粒が柱頭上に管を伸ばし始める以前にさえも観察され、花粉管が花柱を通って徐々に胚珠に降下するさいに観察されることもある。
いずれの場合においても、まもなくゴム質中に、上に指摘した微細な粘液性小顆粒(Schleimkornchen)が出現してくる。
そのために、それまで均一であったゴム質の溶液は混濁してくる。あるいは顆粒が多い場合には不透明になる。引き続いて、そのなかにより大型の、そしてより明確に識別できる小顆粒(Kernchen)が一個出現する(図70上部)。
ついでまもなく、チトブラストも現われてくる(図70下)。
それは顆粒をとりまく粒状の凝固物のようにみえる。しかしチトブラストは遊離状態で著しく大きくなる。たとえばFritillaria pyrenaicaでは最後に0.00084から0.001パリ・ツオルまで達するのが観察される。
チトブラストが完全な大きさに達するとまもなく、その表面に微細な透明な小胞がもち上がってくる。
これは若い細胞であって、初めは球のごく薄い切片の形をしており、その平坦な面はチトブラストであり、盛り上がった面があたかも時計のガラスを思わせる形でチトブラスト上に付着している若い細胞なのである。
天然の媒体中では、ほとんどこの様相だけで次のことがわかる。
それはその凸表面とチトブラストとの間の空間はまったく透明であり、水性の液体に満たされていると思われる。
その外周は粘液性顆粒がとり囲んでいて、それはその若い細胞が膨れる結果、圧をうけているのである(図72・73・74はそれを示そうとしたものである)。
しかしもしこの若い細胞を単離したとするならば、スライドガラスをゆり動かすことによって粘液性顆粒はほとんど完全に取り除かれるかもしれない。----しかしながら、この状態を長く観察し続けることはできない。
数分後には蒸留水中に完全に溶けさり、チトブラストを残すだけとなるからである。----しかしその小胞はしだいに膨張し、固定される(図69-b)。
そしてつねにその一部を成すチトブラスト以外は、囲壁(Wandung)はゲラチン質でできているようになる。
ついで細胞全体がしだいにチトブラストの輪郭を越える大きさとなり、しかも急速に大きくなるので、ついにはチトブラストは側面の囲壁の一面に埋もれた小体にすぎないかのように見えるほどになってしまう。
同時に、若い細胞が著しく不規則な突起を出す例が多い(図69-c)。
これは膨張がけっして一点から均一に進むのでないことを示す証拠である。
細胞が成長し続ける間、そして明らかに周囲からの圧力の制約をうけて初めて、形はより均一となり、キーゼルがアプリオリに見事に確認した斜方12面体の形に移行してゆくことも希ではない(図69-b・cを図76と対比されよ)。
チトブラストはかならず細胞の囲壁の中に埋もれており、このような状態でそれが作った細胞の全生命課程をすごす。
あるいは、さらに高度の発展を運命づけられた細胞中にある場合には、その位置で、あるいはあたかも不要のメンバーとして遺棄された後に、細胞の空間内で溶かされ吸収される。----観察しえた細胞では例外なく、細胞壁の内表面上に2次的沈着が開始されるのは、チトブラストの吸収後に限られる。
植物には単純な膜(Membran)で包まれた空隙があるので、新しい体制の形成がもっとも容易にそして明瞭に観察される場所が2ヶ所ある。
それは、後に種子の胚乳を蓄えることとなる大型細胞すなわち胚嚢の中と、後にそれから胚を生ずるところの花粉管の末端の中である。
元来胚嚢はけっして澱粉を含んでいることはなく、未熟の莢果や穀類に甘味を与える糖溶液やゴム質を含んでいる場合が多いもののようである。この点で花粉管の末端とは相異なる。
それと反対に、花粉はかならず澱粉あるいは前述のそれに代わる粒状の粘液質を必須の構成部分として含んでいる。
いわゆる植物性精虫(vegetabilische Spermatozoen)はおそらく今後の研究の進展によって、その大部分がこれらの物質はやがて溶解し、糖あるいはゴム質のいずれかに転化する。
いずれへの変化ともしばしば起こり、花粉粒が柱頭上に管を伸ばし始める以前にさえも観察され、花粉管が花柱を通って徐々に胚珠に降下するさいに観察されることもある。
いずれの場合においても、まもなくゴム質中に、上に指摘した微細な粘液性小顆粒(Schleimkornchen)が出現してくる。
そのために、それまで均一であったゴム質の溶液は混濁してくる。あるいは顆粒が多い場合には不透明になる。引き続いて、そのなかにより大型の、そしてより明確に識別できる小顆粒(Kernchen)が一個出現する(図70上部)。
ついでまもなく、チトブラストも現われてくる(図70下)。
それは顆粒をとりまく粒状の凝固物のようにみえる。しかしチトブラストは遊離状態で著しく大きくなる。たとえばFritillaria pyrenaicaでは最後に0.00084から0.001パリ・ツオルまで達するのが観察される。
チトブラストが完全な大きさに達するとまもなく、その表面に微細な透明な小胞がもち上がってくる。
これは若い細胞であって、初めは球のごく薄い切片の形をしており、その平坦な面はチトブラストであり、盛り上がった面があたかも時計のガラスを思わせる形でチトブラスト上に付着している若い細胞なのである。
天然の媒体中では、ほとんどこの様相だけで次のことがわかる。
それはその凸表面とチトブラストとの間の空間はまったく透明であり、水性の液体に満たされていると思われる。
その外周は粘液性顆粒がとり囲んでいて、それはその若い細胞が膨れる結果、圧をうけているのである(図72・73・74はそれを示そうとしたものである)。
しかしもしこの若い細胞を単離したとするならば、スライドガラスをゆり動かすことによって粘液性顆粒はほとんど完全に取り除かれるかもしれない。----しかしながら、この状態を長く観察し続けることはできない。
数分後には蒸留水中に完全に溶けさり、チトブラストを残すだけとなるからである。----しかしその小胞はしだいに膨張し、固定される(図69-b)。
そしてつねにその一部を成すチトブラスト以外は、囲壁(Wandung)はゲラチン質でできているようになる。
ついで細胞全体がしだいにチトブラストの輪郭を越える大きさとなり、しかも急速に大きくなるので、ついにはチトブラストは側面の囲壁の一面に埋もれた小体にすぎないかのように見えるほどになってしまう。
同時に、若い細胞が著しく不規則な突起を出す例が多い(図69-c)。
これは膨張がけっして一点から均一に進むのでないことを示す証拠である。
細胞が成長し続ける間、そして明らかに周囲からの圧力の制約をうけて初めて、形はより均一となり、キーゼルがアプリオリに見事に確認した斜方12面体の形に移行してゆくことも希ではない(図69-b・cを図76と対比されよ)。
チトブラストはかならず細胞の囲壁の中に埋もれており、このような状態でそれが作った細胞の全生命課程をすごす。
あるいは、さらに高度の発展を運命づけられた細胞中にある場合には、その位置で、あるいはあたかも不要のメンバーとして遺棄された後に、細胞の空間内で溶かされ吸収される。----観察しえた細胞では例外なく、細胞壁の内表面上に2次的沈着が開始されるのは、チトブラストの吸収後に限られる。