其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

ソマリア海賊

2008-11-16 15:46:31 | 日常雑記
海賊といえば、大航海時代のロマンチックな海洋映画の雰囲気があります。アフリカ東部ソマリアの周辺海域で、海賊が暴れまわっている状況に、危惧を深めた国際社会が動き始めています。
ただ海賊集団が漁師であったこと、外国漁船が漁獲を収奪し尽くし、仕事も奪われたとの言い分には、充分な調査の必要があるのでは、と思います。
アフリカでは約2億人が魚介類を主なタンパク源としているそうです。世界的にも魚は、畜産によるタンパク資源を補うばかりでなく、漁業生活を含めると、10億人の生活を支えているといわれます。
伝統漁法とハイテク漁法の収奪の差は、歴然としています。その上輸出に好条件のものだけが目当てにされ、網にかかっても捨てられる魚も多いのです。嘗てシシャモの雄は、海に捨てられるという、噂がありました。
激減する地中海のクロマグロなどの水産資源を守るため、EU=ヨーロッパ連合は、やっと違法な操業を繰り返す域内の漁船に対して、取締りや罰則の強化を盛り込んだ規制をまとめました。
また火災事故のため、判ったのですが、名ばかりの日本船(実は台湾系資本の漁業会社「玲豊漁業」(静岡市)が所有)で、宮城県気仙沼市の気仙沼港を出港し、シンガポールを拠点にメバチマグロなどを追っていたのです。フィリピン人が20人で、中国人が4人。乗組員のうち日本人は漁労長1人でした。
輸入のおよそ7割を地中海産に頼っている日本に対しても、クロマグロの保護に取り組むべきだと呼びかけています。地中海沿岸諸国は、違法操業を一致して取り締まることが困難な事情にあるようです。
ソマリア海賊は許されない行為ですが、経済のみ重視する法規範だけでは、無くし得ない国際事情も存在しています。海には海の自然に逆らえないルールがあるはずです。海は人類のものであり、生存の共同資産であります。