経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

岡田民主党代表の識見を問う

2015-10-03 18:33:56 | Weblog
岡田民主党代表の識見を問う
 過日、二週間ほど前だったかな共産党の志位委員長が、共産党を含む反集団安保政策での野党連合を提唱した。これに岡田民主党代表は前向きに対処すると言っていた。私は与党の支持者だが、この提案に野党が乗ることは野党の自滅行為だと思うので以下に解説しつつ忠告する。
 共産党がこのような提案をすることには共産党自身の事情がある。共産党は昭和20年代に議席数を30に伸ばした以外ずっと低迷している。現在でもたかだか20議席であり、今後大きく増える状況は考えられない。そこで野党連合戦線を組むことで他党の支持者を取り込もうというのが真の意図だろう。9月19日に成立した集団安保法案に対して、一見派手でヒステリックな反対運動が展開されたが、この運動の一番熱心な遂行者は共産党だった。その勢いに乗って野党連合を推進しようというのだろう。労働組合連合は反対している。当然だ。連合指揮下の組合員を盗られるからだ。こういう陰湿で秘密の地下運動にかけては共産党は、国を問わず上手い。
 歴史を回顧してみよう。共産党が単独で政権を取った例は皆無である。ロシア革命は共産党の力で奪取したとか言われている。この二度の革命で真に力をもって頑張ったのはエスエルというナロ-ドニキの系譜を踏む政党だった。共産党(ボルシェビキ)は少数でロシアの圧倒的多数を占める農民には支持されていなかった。帝政そしてそれに続く短い共和制が打倒されてから共産党は陰謀を駆使してエスエルを追い落とし、政権を握り強引に一党独裁体制を作り上げて70年間君臨した。
 シナではどうだろう。ここでは共産党が主軸として戦い共産政権を確立したかのように言われる。それも嘘だ。毛沢東の共産党はアメリカに支援された蒋介石と日本軍を戦わせ日本軍敗退に乗じて満州(当時のシナの工業資本の90%が集中していた)を奪取し蒋介石軍を退けた。
 第二次大戦後の五年間で東欧諸国はすべて共産化した。チェコスロバキアしかり、東独しかり、ハンガリ-しかり、ポ-ランドしかりだ。共産化の手口は決まっている。他党と連合政権を組む。ソ連の軍事力を背景に他党の合法性を奪い、共産党一党独裁にもってゆく。この手口が横行し欧州全土が共産化されかねないと危惧したアメリカによってNATOができた。庇を借りて母屋を乗っ取るやり方だ。
 逆に共産化しなかった国では他党は一切共産党と連合政権は組んでいない。1937年のレオンブルムの人民戦線結成の時ですら共産党は除外された。あるいわ共産党自らが連合政権に入らなかった。戦後イタリアやフランスに左翼政権ができたが共産党はせいぜい閣外協力に留まった。
 こういう歴史的事情を考えても共産党とは一党独裁でしかありない存在なのだ。ヒットラ-のナチ政権が出現したのにも共産党に大きな責任がある。ドイツの共産党はどういうわけか主敵を社会主義政党である社民党(SPD)とした。社民党の改良政策が、本来なら絶対窮乏化そして革命に至る行程を邪魔しているから、というのがその理由だ。マルクスが予言した絶対的真理の実現を邪魔しているというわけだ。そういうわけで戦後西独は共産党をナチスとともに非合法化した。現在はしらない。
 以上解説したように共産党とは無視するか無視されるかの存在でしかない。連合政権を組み共産党の思うように行けば他党は追い出されて一党独裁になる。共産党はマルクスの「絶対的窮乏化そして暴力革命」論を放棄していない。この神話を信じる限り共産党は唯一歴史の真実を知る者として唯我独尊になる。
 岡田民主党代表は共産党が共同戦線を提案した直後に前向きに対処するとした。これは民主党の自滅行為になる。民主党は四分五裂し崩壊する。健全な野党は育たない。これは日本にとっては不幸なことだ。
 最近の報道では岡田代表は意見を変えて共産党との連合戦線は組まないと明言した。大いに結構なことだ。