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多摩、ときどき山

多摩の暮らしと山のブログ

初冬の黒戸尾根へ/甲斐駒ケ岳 《前編》

2010-11-23 14:59:41 | 山のこと

11/20(土)~22(月)の3日間、南アルプス・甲斐駒ケ岳(かいこまがたけ/2967m、山梨県北杜市・長野県伊那市)へ行きました。

《前編》と《後編》に分けての報告です。

メンバーは、本ブログでおなじみの山岳同人K代表・T氏とS山岳会のHさん、そして私の3名。

お目当ての積雪が予想より少なく拍子抜けの感はありましたが、登山口からの標高差約2200m、「甲斐駒へ登るならこのルート」と憧れていた黒戸尾根から、初めて頂上に立つことができました。

何よりも、七合目にある七丈(ななじょう)小屋が快適で、担ぎ上げたご馳走と宴会がメーン?のとても楽しい山行になりました。

20日朝。
T氏の自家用車で山梨県北杜市、竹宇(ちくう)駒ケ岳神社の駐車場へ。
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8:50 樹々の色付きがいい感じの登山口を出発しました。

この辺りの標高は760m。同約2400mにある七丈小屋まで、1600mを超える標高差に早くもため息…?

P1030413
「甲斐駒ケ岳登山口」の標識(写真左)。愛嬌たっぷりです。

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黒戸尾根は、甲斐駒ケ岳への表参道。この竹宇駒ケ岳神社から頂上までの長い道中、石仏や石柱、板碑などがいたるところで導いてくれ、「信仰の山」を強く実感できます。

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日本唯一の落葉針葉樹、カラマツ(唐松/マツ科)の黄葉がまぶしい。

このカラマツ、「中国の唐絵の中に描かれている松に姿が似ていることからその和名が付いた」こと、ご存じでした?ウソのような本当の話です。

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ここでもシカが、針葉樹のツガや広葉樹のリョウブなどの樹皮を剥がし、食べた跡がありました。

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標高900m付近の落葉広葉樹林、紅葉と木漏れ日が気持ちいい。

個人的に気になった標識です…
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最近は、樹木に釘で直接打ちつけたタイプのものはあまり見かけない気がするのですが…樹の立場からすると少し痛々しく感じます。このルートでは、普通に
見られました。

標高1300mを超えるあたりから…
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足元に雪がチラホラと現れはじめました。
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コケやカラマツの幼樹との対比が美しい。

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随所に現れる石仏や石柱が、1816年、信仰登山によって開かれたこの山の歴史を偲ばせます。江戸時代の人たちは、この険しい岩山を崇め、大小の石を運び上げることも厭わなかったのでしょうね。

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標高1600mを超えると、ミズナラやブナの広葉樹に代わりコメツガ(米栂/マツ科)、さらに2000m付近になるとシラビソ(白檜曾/同)に、いずれもダケカンバ(岳樺/カバノキ科)が混じる、
針葉樹中心の森林(もり)へ。

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通称“刃渡り”の岩場。20mほどと意外に短く、鎖も張ってあるので難なく通過。

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標高2150mの五合目から、長大に連なる黒戸尾根を見上げます。目指す甲斐駒は、写真中央の一番高いピークのさらに奥。まだ見えません。

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この辺りから長い梯子や鎖が連続し、これまでの快適な森林歩きが一転、険しさを増しました。雪が付くと、かなりいやらしくなるでしょう。

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この樹皮に付着したトロロ昆布のようなもの、何かおわかりですか?実はこれ、コケに近い地衣類でサルオガセ(猿麻薯/ウメノキゴケ科)です。

霧がかかるような森林の樹上などに着生し、空気中の水蒸気を吸って育つのだそうです。その神秘的な生態もさることながら、「深山幽谷」を演出する独特の存在感…ちなみにこのサルオガセ、空気が澄んでいる場所でしか育たないそうです。

ひたすら続く登りに3人とも口数が少なくなってきたころ…
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16:05 七丈(第一)小屋に到着。出発から7時間あまり、長かった…。

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定員30人ほどの小じんまりとした七丈小屋ですが、中は清潔。何より、1泊素泊まり¥3500(寝具希望の場合はプラス¥1000)は今どき安い!

さらに山小屋としては珍しく(というか私は初めて)、一晩中ストーブが焚いてあり冬でも暖かい上、ヤカンのお湯が使い放題!!(写真奥)という、登山者にとっては、神様仏様のようにありがたい小屋です。

一人で小屋を預かる管理人の、口数は少ないですが、細やかな心遣いと仕事ぶりにも脱帽。すっかりファンになりました。奥多摩の某小屋の従業員に修行に来させたい…と、真面目に思いました。

本日の宿泊者は、私たちを含めて9人。この上なく快適な空間で、さっそくビール片手に晩餐の始まりです。
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本日のメニュー。
豚肉とキノコの生姜焼き、温野菜盛り合わせ、生ハムと玉ねぎのマリネ、たくあん、白ご飯、さらに、T氏持参のボジョレヌーボーにチーズ…たまりません。

女性がいると、山のメニューもここまで充実するのかというお手本?Hさんに感謝の、至福のひと時でした。

長丁場の登りに疲れていたのか、ご馳走をお腹に収めた19時過ぎには眠気と幸福感に襲われ(笑)、3人とも早々と床に付いたのでした。

明日はいよいよ、頂上を目指します。

                         《後編》につづく-








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