ロドス島の薔薇

Hic Rhodus, hic saltus.

Hier ist die Rose, hier tanze. 

第二の敗戦―――戦後60年、強姦被害者の心の敗北

2008年12月27日 | ニュース・現実評論

 

昨夜の夕食後、たまたまテレビを付けると、東京の市街地が空襲を受けている場面が出ていた。ほかにとくに見たい番組もなかったので、そのままチャンネルも変えずにそのままつけていた。

とくに気も入れずに見ていたが、先の太平洋戦争の末期頃の東京大空襲が描かれているようだった。その場面では東京の市民がアメリカのB29から焼夷弾を投下され、市街地も人命もすべてを焼き尽くされるような攻撃を受けて、人々の逃げまどう光景がくりかえし描かれていた。それは「東京大空襲スペシャルエディション 」とかいう番組で、この春に放映になったものの再放送らしい。

そして、最後の近くの場面で、堀北真希さんの演じる女の主人公が、アメリカ空軍機からの機銃掃射を受けて殺されるのであるが、その時に彼女がその敵機に向かって何か叫んでいた。その時のせりふに、ただ私は何となく違和感を覚えた。彼女がその時にどのようなせりふを叫んでいたのか、くわしい記憶がなかったので、今一度ネットでこの番組についての情報を調べながらこの記事を書いている。

要するに、この女性主人公がラスト場面の近くで、空から機銃掃射で彼女を殺しに来る敵機に向かって懇願する様子が、ちょうど私にはそれが、完膚無きまでに痛めつけられ脅しつけられている「か弱き女性」が、彼女を殴りつけている強姦野郎に泣いて許しを請うている哀れで気の毒な姿のように見えたことだった。

それほど、当時の東京市民や広島市民など普通の日本国民にとっては、先の太平洋戦争は腰の抜けるほどの体験で、徹底的にやられたと言うことだろう。先の戦争での大空襲や原子爆弾の投下で、普通の一般国民にまで戦争の「恐ろしさ」を思い知らされたということになるのかもしれない。

そして、60余年後の今なお日本国民は、その結果、すでに敵と戦う以前に精神的に完全に崩壊させられていることがこのドラマを見てもわかる。それほど、この戦争によってこうむった日本国民の精神的なトラウマが深刻だったということだろう。そこから日本人が回復できるのかどうか、それはわからない。いずれにせよ、哀れな日本人はこの不幸な歴史的体験を今なお引きずって生きているのだ。

 

 


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