10年ほど前、プレイステーション3を端末機として仮想空間を楽しむ「PS HOME」というコンテンツサービスがありました。
世界の人々が同じヴァーチャル空間に集まりその中で自分のアバターを操作して擬似生活を楽しめ、ショッピングモールに行けば協賛しているファッションメーカーのショップで好みのアイテムを見つけて自分だけのアバターを作るなんて事も可能でした。
数年後はこうして自アバターで試着してみて購入した服が自宅に届くサービスが始まりそうだとワクワクしたのも憶えています。
RedBullのエアレース他ストリーム系スポーツ大会が開催されたり、ゲームセンターでの新作ゲームのお試しプレイや映画館では映画化されたアニメの封切り前のTV版一挙放送といった今ではよく行われているような企業のプロモーション活動の場でもありました。
そういったイベントに参加すると、そこでしか手に入らないアイテムの配布があり、飲料メーカーロゴが入ったアイテムを身に付けたり、また別のイベントで貰った3m程(アバターに比して)のSDF1マクロスや変形可能なVF1Sバルキリーを海辺のタワーマンション高層階にある我が家のリビングに飾ったりして擬似生活を楽しんだものです。
ある時「マクロスF」のライブ開催が告知され、事前PR会場に行くとランカちゃんファン20人ほどの一団がおり(シェリルさんファンの方が多かった)ぼくも彼ら彼女らと同じように配布されたランカちゃんの法被を着て、光るオオサンショウウオアクセサリーを頭に、手には当然サイリウム状の緑色に光る棒で参加。
同じポーズで並んだり流される曲に合わせてダンスしみたりしているうちにチャット機能で話も盛り上がりライブ当日の再会を約束をするまでになりました。
でも、そのライブ半月前にあの東日本大震災があり開催延期に。
4カ月遅れで開催となり再び集まった時には20人ほどいた仲間は6人と減ってしまい彼ら彼女らの安否の心配をしながらもまぁ、こういったことは自分の中のブームみたい物で単に参加していないだけなのか延期によってスケジュールが合わなくなっただけなのか…… それは当然わからない事ではあるのですが、それでもその6人で大いにライブを盛り上げ楽しみました。
内容はというと、シェリルさんランカちゃんのデュオ曲「ライオン」やそれぞれのソロ曲の披露もあり、途中バジュラの襲撃で交戦状態になるもののアルトくんのVF25メサイアが駆けつけて撃退した後そのVF25の手の上で「星間飛行」を歌うランカちゃんなどかなりマクロスFの世界観の中に浸れる計6曲のミニライブでした。
そういった参加企業の盛り上げもあり休日の午後には当時小さな娘を膝に乗せ、時には操作させたりしながらその仮想空間での生活を楽しんでいましたが、やはり黎明期故に面白くない企画やタイトルの話題性のみで内容スカスカな物も多く、そのうち飽きてログインしなくなり、2014年にサービスが終了していたことも知りませんでした。
まぁPS3だけであり、PS4に移行しなかったことから運営のSONYにとっても一時期の実験だったのでしょう。
かなり長い前置きですが、ここからが本題。
昨夜、「メタバース」で新田恵海さん、内田彩さん、鈴木杏奈さんの声優アーティスト3人による合同ライブが(無料)開催されました。
メタバースは初めてなので自分のアバターはデフォルト状態の宇宙船外活動服でとにかくどんなものかと参加。
現実世界でのライブ参加を擬似体験させる為なのか会場建物に入りエレベーターでステージ階に行き、という手順がとにかく不案内で分かりにくい。
どこかで事前レクチャーがあったのかどうか、それよりPS HOMEを楽しんでいたあの頃より自分が衰えていてそういった事に対するカンが鈍っているのかとにかく行ったり来たりでライブ開催時間ギリギリでステージ階に飛び込む事になりました。
遅れて入場したのでえみつんも多くの人混みの向こう。
他のアバターのユーザーネームやアバター本体を非表示にする方法があるのかどうか探りながらもとにかくいろんなダンスポーズをとりそれなりにライブに参加している気分を盛り上げます。
MCをはさみ計4曲で次の鈴木杏奈さんにバトンタッチ。
3人目のうっちーの時にやっと最前で観る方法がわかる。
(単に強引に人混みに割って入り人の頭の上に乗りマウスでzoomさせるだけw)
うーん、やっぱり衰えているな自分。
このミニライブイベントは1時間ほどで終了。
まぁ無料だしね。
有料になっても値段次第で次回も参加かな。
ただ、この前後合わせて2時間ほどうろついてみた感想としては、10年前のPS HOMEの頃から全く変わっていないという事でした。
アバターに関してはむしろ退化しているとさえ感じるのですが、それはリアルでバタ臭かったPS HOMEのタイプより、「サマーウォーズ」のOZワールドのようにディフォルメされたキャラの方がとっつきやすいとの判断なのかも知れないね。
ほとんどの人がデフォルトの船外活動服姿でしたが、中にはHEADのブランドネーム入りスキー用品を纏った姿であったり、ティラノサウルスロボに乗っていたり音ノ木坂制服を着た美少女キャラアバターなんかもチラホラ。
やはり本当にこの仮想空間を楽しむためには長い時間を過ごしていろいろカスタマイズしていく必要がありますね。
仮想空間では現実での事は忘れて違う自分を楽しむ……とは言うものの、自アバターをどれだけ人と違う個性(課金アイテムの組み合わせ)を持たせる事が出来るかという事に関してはリアルでの財力が大きく反映されてしまうのでしょう。
「キングカズマ」や「ナツキ」のようなイケてるアバターはやっぱり相当に課金せねば手に入らないわけですから。
この10年何をしていた?と言うくらい進歩が感じられなかったメタバース初体験。
これ、本当に発展していくのですかね?
VRで入ればもっと違う印象になる?
別サーバーならもっと違う?
いや、もっと根本的なところがだなぁ。
もちろん回線自体は速くなっているので動作のストレスは減ってはいるのですが、文化的な意味では全く変わってはいないように感じました。
それにカギを担う各企業の参加もバブルが崩壊して30年経つ今でも、むしろどんどん減っていっている気さえする。
これでは今のところはこの仮想空間に入り浸る事は無いかな。
次回があるならそれまでにもう少し個性を持たせたいとは思うけど、結局自アバターのネームを変更できる事に気づいたのもライブ終了後だったし、感性豊かな若い人ならもっと楽しめたのだろうか。
PS HOMEが楽しかったあの頃の自分のようにね……