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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

2021 四月大歌舞伎「桜姫東文章」

2021-04-23 03:03:44 | Musical
2021年4月21日(水)歌舞伎座、第三部「桜姫東文章」
行って参りました。

前半後半、2回に分けて、後半を6月上演予定という形式で。
玉三郎、仁左衛門での上演は36年ぶりとのことで、話題の作品です。

わたくしは、2004年の玉三郎桜姫、清玄・権助を段次郎、残月が今回と同じく歌六、葛飾のお十を春猿、粟津七郎を門之助で観ており、その時も、お姫様のUPDOWNの激しい奇想天外なピカレスクロマンに度肝を抜かれ、これは再演するなら必ず観たい!と思っていた演目。

である上に、今回は、大好きな仁左衛門様と玉三郎様の並びで観られるというこの幸せよ・・・。

記事にしそびれてしまいましたが、2月にも「於染久松色読販」の悪党夫婦、そして「神田祭」の粋で清々しいカップルの踊りを堪能しており、やはり、わたくしにとっての歌舞伎は「玉孝」なんだなぁと。

さて、この「桜姫」、
鶴屋南北の悪の華が咲き誇り、美しい姫が転落する様を華麗に見せて飽きさせない、そのストーリーとは・・

清玄/釣鐘権助 片岡仁左衛門
入間悪五郎 中村鴈治郎
粟津七郎 中村錦之助
奴軍助 中村福之助
吉田松若 片岡千之助
松井源吾 片岡松之助
局長浦 上村吉弥
役僧残月 中村歌六
白菊丸/桜姫 坂東玉三郎 

「江の島稚児ヶ淵の場」からのスタート。
美しい僧侶清玄と、稚児の白菊丸が心中を決意して、香箱の蓋と本体にそれぞれの名前を入れて持ち、当に飛び込み自殺を図ろうとする場面です。白菊丸が飛び込むも、清玄は怖気づいてしまいます・・・。

そして時は流れて17年後、「新清水の場」
清玄は高僧となりました。今や、鶴岡八幡宮の阿闍梨。
一方、父と弟と家宝を失い、賊に襲われその子を密かに産み落とす・・・というずらりと居並ぶ腰元たちにかしづかれる美しいお姫様にしては過酷な人生を既に歩んでいる桜姫。出家を希望して高僧清玄に十念を授けられますと、生まれたときから開かなかった左手が開き、香箱の蓋が・・・。
それを観た清玄は桜姫が白菊丸の生まれ変わりと確信。
一方で、お家乗っ取りを企む一派、松井源吾と左手が解けた桜姫を妻にと文を用意する悪五郎が、桜姫の父と弟梅若を手にかけて家宝都鳥の一巻を奪った実行犯、釣鐘権助(じつは信夫の壮太)に文を託す。

「桜谷草庵の場」
権助が向かったのは、剃髪の準備をする桜姫のいる草庵。
話の流れで腕まくりした権助の釣鐘の入れ墨をみたとたん顔色を変えて皆を下がらせる桜姫。なんと、同じ入れ墨をわたくしも・・・とお姫様が腕まくりするとそこに釣鐘、という衝撃の展開。更に、手籠めにされたとき、その男が忘れられず、手がかりを自らに彫ったという更なる衝撃。
にやりと告白を聞き悪い顔をする権助。姫の胸元に手を差し込み、帯を解く・・・という様式美の型の中に濃密な色気が立ち上ります。
ここ、型の美しさと悪い男と崩れ落ちる姫の妖艶さが見事に両立し、客席の息を奪う様、さすがのお二人・・・と。
御簾が落ち、そこから姫の着物の裾がはみ出ているのがなんとも想像力をかきたてます・・が。清玄の寺の後釜を狙う僧侶残月と密会を重ねていた腰元長浦が通りかかり、御簾の隙間からのぞき見るが、この時、長浦に書かされた起請文が落ちたのに気づかない。
戻らぬ権助にしびれを切らして草庵に踏み込む悪五郎と源吾。
権助は素早く逃げおおせ、残されたのは恥じ入る桜姫ひとり。
そこに、剃髪のために清玄一行も現れる。桜姫をかばう清玄に、先程左手が解けた時に転がり出た香箱に書かれた清玄の名を持ち出して、相手は清玄ではと疑いがかかる。
白菊丸との縁から、否定できない清玄と、権助をかばって真実が言えない桜姫。
これに乗じて清玄の後任を名乗り出る残月だが、起請文を拾った忠義な家臣粟津七郎により、長浦との不義が露見し、追放されます。

「稲瀬川の場」
稲瀬川堤で、百杖の刑を受ける桜姫と清玄。
赤い衣の姫君と、高僧が公開処刑を受ける、これまた衝撃の場。
そこに、長浦がひそかに預けていた権助との赤子を、この先施しを受けるにも子供連れの方が実入りが良かろうと身もふたもない理屈で桜姫におしつける百姓夫婦。哀れに思って布施として薬を与える清玄。白菊丸=桜姫との思いから、かくなる上は夫婦にと、数珠を切るという破戒行為を。
自らのせいで巻き添えに・・・と申し訳なさでいっぱいだった偉大な僧の思わぬ変身に驚愕する桜姫。そこにしつこい悪五郎が現れて赤子を奪い、七郎がそれを追いかける。源吾が桜姫を連れ去ろうとすると清玄との争いとなり、桜姫のちぎれた片袖とともに稲瀬川に転落する清玄。七郎との書状の奪い合いで赤子を置いていった悪五郎。岸に這い上がった清玄がその赤子を見つけて桜姫を見つける手立てにと連れて行く。

「三囲の場」
都の外れのうらぶれた三囲神社。春雨の夕暮れ時に、赤い振袖にくるんだ赤子をあやしながら、物思いにふける清玄。暗闇迫る中、そこに通りかかった桜姫、赤子の泣き声を耳にして、乳を与えようかと思うが、鳥居にまで尋ね人の人相書きが貼られる身故、そうもいかない。
くすぶる焚火の跡と破れ傘を見つけた清玄、せめて衣を乾かそうと火をおこす。その破れ傘に書かれた恋歌を読む桜姫。清玄からもらった薬をせめてもと投げよこす桜姫。その袱紗を観てもしやと思う清玄だが、その瞬間火が消えて、暗闇の中すれ違っていく二人・・・・。

と、ここまでが上段。下段は6月。楽しみです!

しかし、お二人とも、70過ぎにはとうてい思えない若々しさ、瑞々しさ。
玉三郎の可憐なお稚児と姫君。
片肌脱いで肌を魅せてもなお清潔感のある仁左衛門。
また、それぞれが演じ分ける、愛ゆえに、絶壁から身を投じることも厭わないまっすぐな稚児、世間知らずのようでいて、それゆえに大胆な姫。
若き美青年である僧侶、立派な阿闍梨として多くの僧を従え、仏門を極めた高僧、そして愛欲故に身を持ち崩す転落の破戒僧、赤子を連れてなすすべなくうらぶれた姿・・・と、悪事の相談を聞きとがめられるや、かんたんに首をひねって端女を殺すことも朝飯前の悪党ながら姫を前ににやりと笑う色悪としての顔も持つ悪党の極端な2役。
なんとも演者の魅力と力量が迫る演目であり、舞台も、桜咲く春爛漫の寺、草庵から、罪人をさらし者にする川べり、そして街外れの雨の神社の闇の深さ。。。と、華やかな表舞台と陰影深い業の世界と、光と闇を極端に描き出す南北の世界を駆け巡るこの演目。通しで見るとアップダウン、そしてアップのジェットコースター振りの凄まじさに目がくらくらするのだけれど、今回は2回にわけて、その世界観をじっくりと味わう趣向故、6月大歌舞伎のチケットも必ずや確保しなくては、と誓って客席を後にしたのでした。

今回、開演前と幕間に、イヤホンガイドで玉三郎、仁左衛門それぞれのインタビューが聴ける趣向との情報を得て、普段は使わないイヤホンガイドを借りたのですが、おふたりの役への想い、また、互いへの感想などが・・・
若い頃は、役の解釈について、幕が引けたらすぐに言い合いをしたり、ということもありましたが、今は阿吽の呼吸で・・・とおっしゃる仁左衛門様のお言葉が聴けたので、満足です^^




ウィーンフィル ニューイヤーコンサート 2021 巨匠ムーティと

2021-01-04 06:35:07 | MUSIC
新年おめでとうございます。
毎年、元旦夜に放映されるウィーンフィルのニューイヤーコンサート。
楽友協会を埋める世界のクラシック愛好家たちは今年は渡航できないはず・・・。さて、と思っておりましたら、無観客での上演となりました。
話題を呼ぶ会場の装花は今年も暖色系の華やかな彩を添えていましたが、ただ、客席に観客がいない・・・という。その代わり、世界中からあらかじめ選ばれた7000人のファンが、オンライン拍手で参加、という趣向が。途中、時折、彼らの写真が映し出されて拍手の音が入る、という演出がありました。

今年の指揮者は80歳の巨匠リッカルド・ムーティ。彼はウィーンフィルの名誉団員にもなっていて、ニューイヤーコンサートの指揮者としては、1993年、1997年、2000年、2004年、2018年と今年6回目だとか。
重厚で艶やかな音色のムーティと、瀟洒でエレガントなウィーンフィルの音色、ちょっと持ち味が異なる感じが致しますが、一流同士、どんな化学反応が生まれるか、聴く側としては楽しみです。

1.Franz von  Suppè   Fastinitza Marsch
2.Johan Strauss II.  Schallwellen, Walzer, (音波)op. 148
3.Johann Strauß II. Niko-Polka, op. 228
4.Josef Strauß Ohne Sorgen, Polka schnell, op. 271
5.Carl Zeller Grubenlichter, Walzer
6.Carl Millöcker In Saus und Braus. Galopp
ここまでが前半
後半は、
7.Franz von Suppè Ouvertüre zu "Dichter und Bauer"
8.Karl Komzák Bad'ner Mad'ln. Walzer, op. 257 
ここで、ウィーン近郊の町バーデンの映像が。
ベートーヴェンの第9作曲の家も見られました。
9.Josef Strauß Margherita-Polka, op. 244
ここではウィーン中心部のロースハウスで、ウィーン国立オペラ座バレエ団のバレエの映像が!これが毎年楽しみなのですが、今年は、マニュエル・ルグリ芸術監督がミラノ・スカラ座に移籍した影響がどうでるのだろうかと思っていましたら、振り付けが、ルグリがエトワール時代に少し後の世代のエトワールとして活躍していたスペイン人のジョゼ・マルティネス!彼は物語性の強い振り付けが得意なイメージがあるのですが、移り気な1人の男性が3人の女性に翻弄され最後は元の女性と結ばれる、というフランス宮廷小説風?な寸劇仕立てのバレエ。衣装が、豪華さを追求するあまり採算が合わなく?オートクチュールの世界から引退し、今は舞台衣装を手掛けるクリスチャン・ラクロワ!色彩豊かでとても美しい場面でした。 
10.Johann Strauß I. Venetianer-Galopp, op. 74
11.Johann Strauß II. Frühlingsstimmen. Walzer,(春の声) op. 410
ここではウィーンのリヒテンシュタイン宮殿でのウィーン国立オペラ座バレエ団によるバレエが再び。ルグリ芸術監督時代、日本人ダンサーも男女とも実力主義でソリストとして活躍し、来日公演にも帯同されていたのですが、今回の放送で、その中で、木元全優さんと橋本清香さんがご夫婦になられたこと、お二人とも(今回はそれぞれ違ったパートナーと組んで)この場面に登場されていたことが、嬉しかったです。木元さんが初めてニューイヤーコンサートのバレエに登場されたときにはアジア人だからか、あまりお顔がわからないカットになっていて複雑な気持になったのですが、ウィーンフィル自体も、男性のオーストリア人中心だったのが、女性団員が増え、日本人の血を引くご兄弟も団員として、Wilfried Hedenborgさんが第一バイオリン、Bernhard Naoki Hedenborg さんがチェロで活躍されていて、時代は変わったなと思ったことでした。
この春の声は1883年にこの楽友協会ホールで初演されたそう。
 
12.Johann Strauß II. Im Krapfenwaldl. Polka française, op. 336
13.Johann Strauß II. Neue Melodien-Quadrille. op. 254
新・メロディカドリーユ、これはヴェルディの4つのオペラの旋律を取り入れたもので、この時代の新曲は、時代の息吹をウィーンに伝えるものでもあったのだなと。もちろん、イタリア人指揮者ならでは、の選曲でもありますが^^
14.Johann Strauß II. Kaiser-Walzer, (皇帝円舞曲)op. 437
この時にはウィーンの王宮、シシィ博物館、銀器博物館などの映像が。とても興味深い展示物が次々と映し出されて、演奏も堂々として聴きごたえ満点なのに目も忙しいという・・・ 
15.Johann Strauß II. Stürmisch in Lieb' und Tanz. Polka schnell, op. 393
ここまでが本公演。
次からはアンコール曲の扱いです。
16.Johann Strauß II. Frioso-Pola  op.260
ファナティックなまでに熱狂的な音楽で、無観客、コロナ禍の状況を打ち破ぶろうとする情熱が見られました。
マエストロ・ムーティの挨拶、そして、
17.Johann Strauß II.  An der shcönen blauen Donau, Waltzer 0p.314
美しく青きドナウです。
 例年なら、優雅なバレエが最後、会場に登場するという演出で盛り上がるのですが、今年は演奏のみ。
最後も恒例の
18.Johan Strauss Vater  Radetzky-Marsch"    op.228  ラデツキー行進曲です。
ここも、いつもならば、指揮者が観客の拍手を指揮するという趣向があるので、まさか、オンラインの登録者に向けて・・?と思っていましたら、さすがにそれはなく、普通に楽団員を指揮していました。御任せとばかり、敢えて振らないで任せているという場面もありましたが・・・。

無観客でどうなることかとハラハラしながらの鑑賞でしたが、毎度ながら選曲から指揮ぶりまで、マエストロの個性をしなやかに受け止めるウィーンフィルの懐の深さを堪能できる、豊かな時間を過ごせました。

今年も芸術に力をもらう年になりそうです。
本年もよろしくお願いいたします。

東京バレエ団の「くるみ割り人形」

2020-12-12 12:10:05 | Musical
2020年12月11日金曜日19:00公演
久方ぶりの東京文化会館。
東京宝塚劇場と共に、一カ月に何度も足しげく通う、我が心の劇場・・・
コロナ禍で、来日公演がバタバタと中止になり、すっかり足が遠のいてしまって、上野の公園口の位置も変わった。
横断歩道を渡るとすぐに、東京文化会館の楽屋口に続くスロープがあったのだが、今は、西洋美術館側にあるJR改札から斜めに進んで、客席に続く正面入り口を目指す形になる。

さて、本日の配役は・・・
マーシャ:沖香菜子
くるみ割り王子:秋元康臣
ドロッセルマイヤー:柄本弾
ピエロ:樋口祐輝
コロンビーヌ:中川美雪
ウッデンドール:岡崎隼也
- 第1幕 -
マーシャの父:ブラウリオ・アルバレス
マーシャの母:奈良春夏
弟のフリッツ:岸本夏未
ねずみの王様:岡﨑司
- 第2幕 -
スペイン:秋山瑛、池本祥真
アラビア:三雲友里加、生方隆之介
中国:岸本夏未、昂師吏功
ロシア:伝田陽美、岡﨑司、鳥海創
フランス:涌田美紀、足立真里亜、南江祐生
花のワルツ(ソリスト):政本絵美、加藤くるみ、上田実歩、髙浦由美子
            ブラウリオ・アルバレス、和田康佑、後藤健太朗、山下湧吾

指揮:磯部省吾
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
協力:東京バレエ学校
※16:00現在、下線の配役に変更が生じております。何卒ご了承のほどお願い申し上げます。
(元の配役は中国涌田さんでフランス金子さんだったから、金子さんが体調不良とか?金子さんは13日のマーシャ役だから大事をとったのかしら、などと)

~上演時間~
第1幕 19:00 - 19:55 休憩25分 第2幕 20:20 - 21:10

東バのくるみと言えば、ベジャール版の母を思う子供がモチーフになったバージョンを思い浮かべるが、今回は、ロシアにゆかりの深い斉藤由香里芸術監督肝いりの新制作。ロシアに発注したというお衣装もすてき。
雪の精のヘッドドレスにクリスタルガラスがたくさん使われていてとてもきれい。
今の東バでお気に入りの沖さんが主役ということで、この日を選んだのですが、東京バレエ団のプリンシパル、ソリスト総出演で、とても豪華な配役。
ボリショイに学んだ主役二人の伸びやかで端正な踊りはもちろん、気になる人がいっぱい。
まず、オーバーチュアからして胸いっぱい・・・。
生オケのチャイコフスキーですよ・・・。それが、この、東京文化会館の空間を満たすのですよ・・。久しぶりのこの感覚。ありがたいありがたい・・・。
で、温かな親族揃ってのクリスマスパーティ。
少年少女たちを女性のバレリーナさんが演じているのがとても可愛い。
中でもとりわけ目を惹く美少年が・・・。表情が豊かで、演技が上手。あとで、スタッフの方に確認したところ、セカンドソリストの加藤くるみさんと判明。12日には弟のフリッツ、13日には2幕のロシアを踊るのか・・・そちらも観てみたかったなと。
ドロッセルマイヤーを東バの看板、柄本弾氏が。人形劇で出てきて、最後までマーシャのお供をする3体のお人形の内、ピエロの樋口祐輝くんが上手かった。人形ぶりの重心が高くてカタカタ動く感じとともに、飄々とした味わいがあって^^。
1幕終わりに、生コーラスのNHK東京児童合唱団のご挨拶があったのもほっこり。白のブラウスに紺のジャンパースカートが可愛い。
2幕はマーシャたちの船をねずみたちの船が追いかける冒頭から、夢の世界に。舞台背景に窓があり、ディベルティスマンで踊る各国のダンサーが窓から顔をのぞかせているのが楽しい。
スペインの池本祥真くんの踊りが実に爽快で。後方に伸びる脚の高さ!
秋山瑛さんの華やかさも。
打って変わってのアラビアの長身ペアの優雅でまったりとした味わいがまた素敵。三雲さん、大人っぽくて長い手足と引き締まったボディが鮮やかなグリーンのお衣装に似合ってました。
ロシアの男性二人、岡崎司さん、鳥海創さんもはじけてましたね。これからの注目株かな。
フランスのお衣装がピンクとブルーに巻き毛で、とても可愛らしくて。
足立真里亜さんと涌田美紀さん。涌田さんは、元宝塚宙組の彩花まりさんにちょっと似た美人さん。セカンドソリストで、サンノゼバレエにもいらしたそう。
なんだか、ちょっと見ないうちに東京バレエ団のメンバーが世代交代したのかなと、色々と新鮮に鑑賞しておりました。
大好きな沖さんは、マーシャがぴったりな豊かな表情と少女らしい清潔感のある演技。秋元さんもさすがの端正な王子っぷりでしたね。
ただ、くるみのGPDDは、観るだけで落涙するバーミンガム時代の吉田都さん、イレク・ムハメドフペアの圧倒的なオーラを期待してしまうので、このお二人の繊細にして軽やかな演技はちょっと物足りない・・などと、贅沢な印象を持ってしまいました。
新演出、お衣装も装置もとても良いです。東京文化会館の装花も、ロビーのそこここに飾り付けられていたクリスマスツリーも華やかで、久しぶりのバレエ鑑賞を満喫しました。









マリインスキー・ガラ

2018-12-04 08:26:07 | BALLET
昨日、東京文化会館で、マリインスキーバレエのガラ公演「マリインスキーのすべて」を観てまいりました。

2018年12月3日(月)6:30p.m.~9:30p.m.
≪マリインスキーのすべて≫~スペシャル・ガラ~<全3部>

第1部「ショピニアーナ」全1幕
音楽:フレデリック・ショパン 構想・振付:ミハイル・フォーキン 振付改訂:アグリッピナ・ワガノワ
舞台装置:オレスト・アレグリの原スケッチに基づく

エカテリーナ・オスモールキナ
フィリップ・スチョーピン
クセーニャ・ファテーエワ
ラウラ・フェルナンデス
タマーラ・ギマディエワ
スヴェトラーナ・ルースキフ


第2部「マリインスキーの現在」
《眠れる森の美女》よりローズ・アダージョ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー 原振付:マリウス・プティパ 改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ

マリア・ホーレワ
ローマン・ベリャコフ
コンスタンチン・ズヴェレフ
アレクサンドル・ベロボロドフ
アレクサンドル・ロマンチコフ

《ソロ》
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ(ヴァイオリンのためのパルティータ第1番ロ短調)
振付:ハンス・ファン・マーネン 舞台装置・衣裳デザイン:ケーソ・デッカー
照明:ヨープ・カブールト 振付助手:メア・ヴェーネマ

フィリップ・スチョーピン
ヤロスラフ・バイボルディン
マキシム・ゼニン

《海賊》第2幕のパ・ド・ドゥ
音楽:アドルフ・アダン、リッカルド・ドリゴ 原振付:マリウス・プティパ

永久メイ
キミン・キム

《バレエ》101
音楽:イェンス=ペーター・アーベレ 振付:エリック・ゴーティエ 振付助手:レナート・アリスメンディ

ザンダー・パリッシュ

《別れ》
音楽:ジョン・パウエル(アサシンズ・タンゴ――映画『Mr.&Mrs.スミス』より) 振付:ユーリー・スメカロフ

エカテリーナ・イワンニコワ
コンスタンチン・ズヴェレフ

《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》
音楽:ピョートル・チャイコフスキー(《白鳥の湖》より) 振付:ジョージ・バランシン
舞台指導:フランシア・ラッセル 衣装デザイン:カリンスカ

ナデージダ・バトーエワ
ウラジーミル・シクリャローフ


第3部「パキータ」よりグラン・パ
音楽:ルートヴィヒ・ミンクス 原振付:マリウス・プティパ
復元振付・演出:ユーリー・ブルラーカ 舞台美術:アンドレイ・セフボ 衣裳デザイン:エレーナ・ザイツェワ

エカテリーナ・コンダウーロワ
アンドレイ・エルマコフ
ヤナ・セーリナ
マリア・イリューシキナ
マリア・ホーレワ
ナデージダ・バトーエワ

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【上演時間】約3時間00分      【終演予定】 21:30
第1部 35分 - 休憩 25分 - 第2部 60分 - 休憩 25分 - 第3幕 35分



2018 世界バレエフェスティバル FUNNY GALA

2018-08-19 20:07:35 | BALLET
世界最高のバレエフェスティバルの最期を飾るのはいつもこれ。
バレエフェスティバル千秋楽の第5部。

通称「FUNNY GALA」

かつては構成力のあるジョゼ・マルティネスやアイデア豊富でサービス精神旺盛なウラジーミル・マラーホフが牽引して驚くべき祝祭空間を作り上げていたのですが、今回はプロデューサー役を買って出るような人材はいたかしら?と
若干不安を持っていたのですが・・・・。

さすがのパフォーマーぞろいのメンバー。
バラバラな個性を無理やり(笑)つなぎ合わせる力業も楽しい、スペシャルナイト、でした。

一応、配役表は以下の通り。

『眠れる森の美女』より「ポロネーズ」

入場する王(笑顔の可愛いシルヴィア・アッツォー二)と王妃(お澄ましした頬紅がフェミニンなマチュー・ガニオ)。
ゲストの入場時に杖を突く式典長はなんと指揮者のオブジャニコフさん。
基本、オーロラ姫の婚礼の場に集ったゲストのパフォーマンスをお楽しみください、なのですが・・・。

『フォー・ミー・フォーミダブル』

マチアス・エイマン、ダニール・シムキン、デビッド・ホールバーグ

1階を前後に分ける通路から登場のピンク尽くしのドラッグクイーン、歌ってます。
ノリノリで、後方の演説壇?のような手すりに寝そべります(近くてあせりました^^;)
ひきつれているのはツインテールに赤リボンの二人のセーラームーン?
日本アニメ通のシムキンくんの発案かと思われます・・。
デビッドはお付き合い。

「佐々木さんのために」
マリア・アレクサンドローワ、ウラディスラフ・ラントラートフ

ステージ上で、初めのゲストのパフォーマンスが。
次からは結構コメディ色が強まるのですが、このペアは、一つの作品をしっかりと踊り上げる感じに。
レモンイエローのチュチュに小さな黒リボンをアクセントにしたマーシャと同じ配色で蝶タイのラントラートフさんの並びはちょっとファニーな可愛らしい雰囲気。
フェリーニ映画やフィギュアスケートのイタリアペアのイメージ。
音楽がジブリの「ハウルの動く城」だったと後で友人に教えてもらいました。
タイトルと言い、この日のために準備してくれたのだなと胸が熱くなりました。

「ジゼル」
マリア・アイシュバルト
レオニード・サラファーノフ

アイシュバルトは本当にイケメン。
繊細な目鼻立ちで、ボロ家の扉をノックするところから、完璧マイム。でもちっこいのです。
大きなジゼル、サラファーノフもブルーと白のジゼルの清楚なお衣装がとてもお似合い。
二人で花占いまで忠実に、大真面目に男女逆転を演じるのがおかしくて。
時々サラファーノフジゼルが男らしくふるまう塩梅が絶妙。
でも、わたくしはアイシュバルトアルブレヒトが優しくジゼルをエスコートしたり、誓いのポーズをとったりするその一つ一つの仕草の美しさにキュンキュンきておりました。
コメディなので、帽子をとったら波平さん、というベタなギャグも仕込まれていましたが、アイシュバルトのあまりのイケメンぶりに笑うのを忘れて見とれてしまいました^^
サラファーノフも見た目だけでなく、しっかりとポアントでジゼルを踊りこなしていてさすが!

「カルメンズ」

イサック・エルナンデス、ジェルマン・ルーヴェ

えーと、ふたりのカルメンなのですが、お化粧が濃くてどちらがどちらだか・・。
ショートボブでアイシャドウ濃い目のカルメンが震い付きたくなるような洗練された美女で・・・。
シャープな面立ちからわたくしはエルナンデスかと思ってみていたのですが、感想がUPされているのを見ると皆さんルーヴェがきれいだったとおっしゃるので、そうなのかも・・。
明らかにギャグを狙っているにも関わらず美しさに驚くカルメンでした。

「ホセ」
ヴェイングセイ・ヴァルデス

誰だろう、とずっと思いながら見ていたのですが・・・
女性の男装は、おひげをつけたりするのでちょっとわかりづらい上に、
結構筋肉質なしっかり目の体形のダンサーでも、男装するととても華奢にみえるんですよね。
皆、とても小さくとても美形な男性っぷりでした^^

『眠れる森の美女』より「猫」

レオノール・ポラック、フリーデマン・フォーゲル

あのコケティッシュな白猫ちゃんと長靴をはいた猫がじゃれ合うシーン。
白猫フォーゲルくんの扮装が抱腹絶倒。1メートル四方ではきかない巨大なキティちゃんの被り物に全身白タイツ姿なのですから・・・@@
登場時の衝撃はアレですが、音楽もチャイコフスキーでフルに踊り、あの白猫ちゃんの脚を愛でる長靴をはいた猫の手をぴしゃりとたしなめるところとか、二人で揃ってのパ・ド・シャとか、振り付けは原典に忠実でそれがまたおかしい。ポラックのネコちゃんも可愛かったです。

『ドン・キホーテ』より「パ・ド・トロワ」

タマラ・ロホ、ダニール・シムキン、デヴィッド・ホールバーグ

おじさんっぽいタマラはその場では判別不可能。あとで配役表をみてあれタマラだったのねと。
シムキンくんとホールバーグはセーラー服のまま軽快に踊っていました。というか、ここはほぼお笑い場面。
とはいえ、何気にレベル高いのはこのメンバーならでは。

『眠れる森の美女』より「青い鳥」

マリア・コチェトコワ、エドウィン・レヴァツォフ

コチェトコワが青い鳥のお衣装でふわりとジャンプすると・・・背後から大きな黒子がお手伝い!
すごいアイデア!黒子の助けで空中にとどまったままあの青い鳥の振り付けを忠実にコチェトコワは実に綺麗に踊っていましたが・・・^^;
レヴァツォフはフロリナ王女のコスチュームを付けていたので、踊るのかなと思ったらまさかの黒子。
お似合いだったので、次回は是非。

「スパルタクス」

エリサ・パデネス、ダニエル・カマルゴ

フリーギアをカマルゴが、パデネスはスパルタクス。あの雄大な音楽にのせて・・・の愛のPDD.
ま、まさかあのフリーギアが倒立したような体制でのリフトをするんじゃ・・と思いきや、この胸に飛び込んでおいで!の体制のパデネスに向かって猛ダッシュのカマルゴ、ギリギリのところでかわされてズゴーと倒れこむなど、
ギャグ要素多め。
カマルゴは黒髪ロン毛のウィッグを撫でつけたりフェミニンな仕草など、なりきり度高し。脇の付け毛にドッキリ。
そこまでしていただかなくても・・・でも、そんなところにもサービス精神を感じます。
A.Bプロ、SASAKI GALAでまったくちがった役柄をそれぞれはまり役と思わせた彼はなかなかの演技派なのかもしれません。

『白鳥の湖』より「三羽の白鳥」

ロベルト・ボッレ、フェデリコ・ボネッリ、ウラディスラフ・ラントラートフ

なんとも・・大きな白鳥ですが、結構本気のポアントでの踊りで。ボッレは白鳥としての役作り?も。
ラントラートフさんはダイナミックで軽快な持ち味をここでも発揮!マーシャの特訓があったに違いなし、の完成度。
ボネッリは本気の二人に挟まれてちょっとはにかみながらも嬉しそうでした^^

『白鳥の湖』より「黒鳥」

ドロテ・ジルベール、マルセロ・ゴメス

ドロテの王子もまたイケメン。男装すると女性はより華奢に、女装した男性はより大きく見えるので時空がゆがんでいるのですが(笑)女性ダンサーの王子っぷりはなかなかのもの。
王子のマネージュもダイナミックで素敵!
でも、そんなドロテもゴメスが踊り始めると一気にかすんでしまいます・・・。
もう、ポアントテク完璧!いつこんなに踊りこんだの?!と驚愕の黒鳥っぷり。
ガチな黒鳥(でも筋肉質で巨大)に息をのんでいると最後はなんとグランフェッテまで!しかもダブルも入れての大健闘です!
ヒュー!
今年のファニーガラ大賞はゴメス様。
銀賞サラファーノフ。

名前がない?とお思いになりましか?
サーシャ(アレクサンドル・リアブコ)は救急班の扮装で倒れたダンサーの介護で活躍されていました^^
気づいたときに観たら結構細かく演技していましたが、なにせ舞台のセンターがすごかったので・・・。
脇に退いたダンサーたちが色々とリアクションしているのも面白く、まったくもって目が足りない濃厚で楽しすぎる時間でした。

最後はなぜかリンボーダンス。
巨大な頭のKITTYフォーゲルくんの番では固唾をのみましたが、成功!さすがはダンサーの腹筋。

グランフィナーレでは、FUNNY GALAのお衣装のダンサーとちゃっかり着替えてくるダンサーの比重が、前者が少ないとなんとなくお気の毒な感じになるのですが、今回はFUNNYのままでカーテンコールを迎えるダンサーが多くて和みました。

3年後の開催に向けて、今回COSME DECORTEの試供品を会場で配布されていた大口パトロン小林コーセーさんに高橋氏がアピールされていましたが(笑)オリンピックと重なるのですよね。
ホテルの確保など、いつも以上にハードルが上がりそうですので、一年ずれても構いませんが・・・
とにかく、世界バレエフェスティバルという素晴らしい文化遺産がずっと続きますようお祈りしています。
もちろん、次回も客席参加いたします!