製作総指揮:パトリック・ケリー
製作:ジョージ・ロイ・ヒル
ロバート・L・クロフォード
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
脚本:スティーブ・テシック
撮影:ミロスラフ・オンドリチェク
原作:ジョン・アービング
出演:
ロビン・ウィリアムズ
メアリー・ベス・ハート
グレン・クロース
ジョン・リスゴー
ヒューム・クローニン
ジェシカ・タンディ
ジェニー・ライト
ブレンダ・カーリン
イアン・マクレガー
1982/米/2h17m ☆☆☆☆☆
現代アメリカ文学の輝ける旗手アーヴィングの自伝的長編であるベストセラーを名匠G・R・ヒルが映画化。一大ベストセラー(社会現象とまで言われた)になったものの、その筋とディーテイルの複雑さから「映画化は不可能」と言われていたこの原作を、G・R・ヒルは個々の断面を積み重ねる方法で見事に傑作に仕上げました。最近の例で言うとタランティーノが「パルプ・フィクション」で場面場面を織り込んで上手くまとめていったような感じです。
子供だけが欲しいという思いから看護婦ジェニーは傷病兵と一方的に「欲望」抜きのセックスをして子供を作る。子供の名はT・S・ガープ。やがで成長したガープは、ふとしたきっかけで作家を志す。文章修業のため母ジェニーと赴いたウィーンで、ガープは小説の、母は自伝の執筆に励む。帰国後、ジェニーがガープのユニークな出生の経緯や、金を払って娼婦を取材したりして書いた自伝的小説『性の容疑者』はベストセラーとなりウーマンリヴの象徴的存在になるが、その事に端を発した騒動によって物語はあっけなく終息していく。
この話の一番の魅力は「笑える」でしょう。勿論、大笑いするようなものではありません。話全体は悲劇的な出来事が多く起こり、不安な死の予感に満ち溢れています。登場人物は皆、どこか欠点や問題を抱えています。欲望に振り回され、人生を複雑にします。でも、そうした問題や出来事が過剰なユーモアで包まれているのです。例えば、ガープが憧れのヘレンと結婚して住む家を不動産屋に案内させていると、目の前の家に飛行機が突っ込んで大破します。そこでガープはその家に決めます。一度そういう事故があった所に2度ある確率は非常に低いからだと。ちなみに飛行機で突っ込んだ男は、監督のジョージ・ロイ・ヒルが演じています。
ガープのR・ウィリアムズは適役だし、ガープ以上と言ってもいいくらいの重要人物(母親)であるジェニー・フィールズ役のG・クローズは、この映画デビュー作でいきなりオスカーにノミネートされ注目を浴びます。この役がはまり過ぎて、そのイメージを払拭するのに苦労したので「危険な情事」に出たとか。性転換して女になった元フットボールプレーヤー役のジョン・リスゴーはこの映画で芽がでた巨漢舞台役者。助演男優賞にノミネートされ、その後「トワイライト・ゾーン」「ハリーとヘンダーソン一家」「リコシェ」など出演作多数です。それと渋い所ではヒューム・クローニンとジェシカ・タンディがジェニーの両親役で出ています。この二人は双方共に一流キャリアの役者ですが、実生活面でも夫婦で映画「コクーン」や「ニューヨーク東8番街の奇跡」でも夫婦役で出演しています。
映画冒頭、青い空に赤ん坊が舞うという美しいシーンにビートルズのポール・マッカートニーの「When I'm 64」が流れる。で、この絵はラストでも「I'm flying!」という言葉と共に繰り返されます。ガープは幼い頃から、パイロットだった父親に憧れ、絵に描いて空想上で一緒に空を飛んだりします。母親には想像もつかない事ですが。レスリング用のヘッドギアをして屋根の上でパイロットの真似をしたりもします。妻が妊娠したと判った時には喜んでパイロットの自分の絵を彼女のお腹に描きます。最後までガープにとってパイロットの父親は、素敵な夢であり喜びの代名詞であったような気がします。
ラストシーンは突然、あまりにあっけない最後で締めくくられます。しかし、この映画がガープの母のセリフ“Everybody dies. I'm going to die, too.So will you. The thing is, to have a life before we die.”と訴えるなら、あのラストシーンは必要不可欠なものである。あんな風に終わってしまうからこそ、ガープの学生時代や妻となったヘレンとの人生が美しく映える。あの最期によって、人間は何時こんな風に「あっけない最期」を迎えるか分からないからこそ人生、今を大切にしなきゃいけない、というメッセージなのでしょう。“Now or Never”私の好きな言葉です。
ガープによると「人生はX指定のメロドラマ "Life is an X-rated soap opera,"」と言っています。誰も否定は出来ないと思います。
P.S.「Ewan McGregor - ... Ian」
ガープの愛らしい次男ウォルト役の子がクレジットで“IAN McGregor”となっています。名前が似ているだけかも知れませんが、Ian-Ewan-Ieuan(ロシア語)は同じ名前と聞いた事があります。ユアン・マクレガーは92年に映画デビューとされてますが、1971年3月31日生まれだから当時11歳になるかどうか位なので年齢的には合致するのですが、別人なのかな?
製作:ジョージ・ロイ・ヒル
ロバート・L・クロフォード
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
脚本:スティーブ・テシック
撮影:ミロスラフ・オンドリチェク
原作:ジョン・アービング
出演:
ロビン・ウィリアムズ
メアリー・ベス・ハート
グレン・クロース
ジョン・リスゴー
ヒューム・クローニン
ジェシカ・タンディ
ジェニー・ライト
ブレンダ・カーリン
イアン・マクレガー
1982/米/2h17m ☆☆☆☆☆
現代アメリカ文学の輝ける旗手アーヴィングの自伝的長編であるベストセラーを名匠G・R・ヒルが映画化。一大ベストセラー(社会現象とまで言われた)になったものの、その筋とディーテイルの複雑さから「映画化は不可能」と言われていたこの原作を、G・R・ヒルは個々の断面を積み重ねる方法で見事に傑作に仕上げました。最近の例で言うとタランティーノが「パルプ・フィクション」で場面場面を織り込んで上手くまとめていったような感じです。
子供だけが欲しいという思いから看護婦ジェニーは傷病兵と一方的に「欲望」抜きのセックスをして子供を作る。子供の名はT・S・ガープ。やがで成長したガープは、ふとしたきっかけで作家を志す。文章修業のため母ジェニーと赴いたウィーンで、ガープは小説の、母は自伝の執筆に励む。帰国後、ジェニーがガープのユニークな出生の経緯や、金を払って娼婦を取材したりして書いた自伝的小説『性の容疑者』はベストセラーとなりウーマンリヴの象徴的存在になるが、その事に端を発した騒動によって物語はあっけなく終息していく。
この話の一番の魅力は「笑える」でしょう。勿論、大笑いするようなものではありません。話全体は悲劇的な出来事が多く起こり、不安な死の予感に満ち溢れています。登場人物は皆、どこか欠点や問題を抱えています。欲望に振り回され、人生を複雑にします。でも、そうした問題や出来事が過剰なユーモアで包まれているのです。例えば、ガープが憧れのヘレンと結婚して住む家を不動産屋に案内させていると、目の前の家に飛行機が突っ込んで大破します。そこでガープはその家に決めます。一度そういう事故があった所に2度ある確率は非常に低いからだと。ちなみに飛行機で突っ込んだ男は、監督のジョージ・ロイ・ヒルが演じています。
ガープのR・ウィリアムズは適役だし、ガープ以上と言ってもいいくらいの重要人物(母親)であるジェニー・フィールズ役のG・クローズは、この映画デビュー作でいきなりオスカーにノミネートされ注目を浴びます。この役がはまり過ぎて、そのイメージを払拭するのに苦労したので「危険な情事」に出たとか。性転換して女になった元フットボールプレーヤー役のジョン・リスゴーはこの映画で芽がでた巨漢舞台役者。助演男優賞にノミネートされ、その後「トワイライト・ゾーン」「ハリーとヘンダーソン一家」「リコシェ」など出演作多数です。それと渋い所ではヒューム・クローニンとジェシカ・タンディがジェニーの両親役で出ています。この二人は双方共に一流キャリアの役者ですが、実生活面でも夫婦で映画「コクーン」や「ニューヨーク東8番街の奇跡」でも夫婦役で出演しています。
映画冒頭、青い空に赤ん坊が舞うという美しいシーンにビートルズのポール・マッカートニーの「When I'm 64」が流れる。で、この絵はラストでも「I'm flying!」という言葉と共に繰り返されます。ガープは幼い頃から、パイロットだった父親に憧れ、絵に描いて空想上で一緒に空を飛んだりします。母親には想像もつかない事ですが。レスリング用のヘッドギアをして屋根の上でパイロットの真似をしたりもします。妻が妊娠したと判った時には喜んでパイロットの自分の絵を彼女のお腹に描きます。最後までガープにとってパイロットの父親は、素敵な夢であり喜びの代名詞であったような気がします。
ラストシーンは突然、あまりにあっけない最後で締めくくられます。しかし、この映画がガープの母のセリフ“Everybody dies. I'm going to die, too.So will you. The thing is, to have a life before we die.”と訴えるなら、あのラストシーンは必要不可欠なものである。あんな風に終わってしまうからこそ、ガープの学生時代や妻となったヘレンとの人生が美しく映える。あの最期によって、人間は何時こんな風に「あっけない最期」を迎えるか分からないからこそ人生、今を大切にしなきゃいけない、というメッセージなのでしょう。“Now or Never”私の好きな言葉です。
ガープによると「人生はX指定のメロドラマ "Life is an X-rated soap opera,"」と言っています。誰も否定は出来ないと思います。
P.S.「Ewan McGregor - ... Ian」
ガープの愛らしい次男ウォルト役の子がクレジットで“IAN McGregor”となっています。名前が似ているだけかも知れませんが、Ian-Ewan-Ieuan(ロシア語)は同じ名前と聞いた事があります。ユアン・マクレガーは92年に映画デビューとされてますが、1971年3月31日生まれだから当時11歳になるかどうか位なので年齢的には合致するのですが、別人なのかな?