チックのお多福サン
愛想が第一の
客商売ですので、これは悩みましたね
動かしていないのに、頻繁に瞬きしたり。
ピクピクと目元が顫動したり
唇が片方つり上がったり
まったく自分の顔なのに制御不能
これを救ったのが、同じ長屋に住む
東西屋(チンドン屋、といっても通じないか。街頭パフォーマンス宣伝マン)。
お多福サンの顔の表情に合わせて鉦や太鼓の音曲を。
チチン・ドンドン「東西東西、これにいますはお多福さん。ただいま顔の並べ変えを。珍無類の表情を」とやったものですから、たちまち評判が評判を呼び、お客はその表情を見んモノと連日押すな押すなの大盛況。
お多福さんお顔に苦り切っていた店の主人も。お多福さんのニュースをひろめたかわら版やに入れ知恵されて。「福笑い」なるものを正月を当て込んで作ったのです。