maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

国についての妄言-7 説明と認識不足ちゃう?(再録)

2021-06-27 09:15:43 | 支離滅裂-妄言虚説

このところ(注:2004/11頃)、お隣の韓国や中国という鏡に映った日本を見ながら思うんですが、我祖国は実に面白いエエ国ですねぇ。
島国と言うのは捨てたもんやおませんなぁ。
ちょっと狭いけれど、庭付き一戸建ち。
仮に大陸と地続きやったら、遠の昔に消し飛んでるやろうし、それどころか国そのものが成立してたかどうか?
これで中央、地方行政官庁やそこに巣食う政治屋、役人がもう少し何とかなってくれたらなぁ。
贅沢を言うたらキリがないですねぇ。

国際化がすすむと、我祖国の美風は廃れる一方、良い所は減って厭な悪い所が増えて来ると心配している向きもあるようですが、それには永~い年月が掛かり、その間には新しい美風が生まれるでしょう、というのは楽観的過ぎるやろか?

確かに昔(私の小学生時代)は電話のある家は少なく呼び出し電話、風呂も貰い湯と称して他所のお宅で入れてもらったり、とプライバシーは限りなく無かったですねぇ。
隣のオカズから財布の中身まで知っているような、度が過ぎて気心の知れた、まるで自分の家の延長みたいな路地や町内は急速に消えつつあります。
もう消えてしまったかな?
しかし、よりプライバシーを大事にする方向に形を変えた地域社会が生まれてるのと違いますかねぇ。
所詮、人はバラバラでは生きて行けません。
昔の極短い距離だけで括られていた狭い地域社会が、その枠を広げて新しい形を模索している過程だと思いたいですねぇ。

これは、家庭内から国際的な国同士の付き合いでも同じ事やと思うんです。
特に国同士、異なる文化圏に対しては、いままで表層的な文化を紹介することはあっても、自国の一般的な価値観、宗教観を含む文化の基盤とでも言うような事柄を説明し理解して貰おうという努力が手薄やったのと違いますかね?
相手国を理解する努力は同じように必要であることは勿論です。

それ以前とでもいうべき問題が、何時までも繰り返される、過去の清算論議です。

韓国とは1961年の「第5回日韓会談予備会談」の「一般請求権小委員会第12、13回会議」で補償問題が討議されています。
この時、韓国政府は、労務者、軍人、軍属、徴用で動員された被徴用韓国人の生存者、負傷者、死亡者、行方不明者の肉体的・精神的苦痛への補償金の支給を請求しました。
そして、韓国政府は「日本政府が提案した韓国人犠牲者個々に対する補償の直接支給方式」を拒否、「韓国政府が一括して補償金を受け取って支給する方法」を要求したんですねぇ。
65年の日韓協定締結後、日本政府は約5億ドルの補償金を支払ってるんです。
(私、丁度この頃に船員やってて、韓国へ何度か行ってたんですわ。)

ところがその5億ドルの補償金は、実際には個々の韓国人犠牲者に支給されなかったんです。
これが、揉め事の元になってるんでっせ・・・。
当時の朴正熙(パク・チョンヒ)政権はその資金を浦項(ポハン)製鉄や京釜(キョンブ)高速道路の建設に充当したんですね。
その後1970年代になって軍人・軍属の死亡者約8000人への補償は実行されたのですが、被徴用韓国人に対する補償はついに行われず終いです。

こういう事情は韓国国民には全く知らされておらず、現政権が維新政権時代を批判する中でやっと表に出てきたんですね
日本が謝罪も補償もしないという「知らされていなかった為の錯誤」を韓国政府は愛国=反日教育に生かそうと意識的に放置していたんです。
日本のマスコミはそういう事情を知っているにも関わらず、一緒になって「日本政府はケシカラン調」の記事を書いているんですねぇ。

中華人民共和国の場合など、なぜ今までの経過を踏まえて、ちゃんと説明しないんのか不思議でなりません。
言いがかり嫌がらせの為に蒸し返しているのを、政略的に中共政府が容認しているとしか思えません。
別に機密でもなんでもない、当時の新聞に掲載された共同声明を読めば、謝罪も清算も済んでいるのは明らかです。
まさか中共と日本で、国内向けにそれぞれ違う内容の共同声明を発表したなんて事はないでしょうね?

遺棄された生物化学兵器等の当時認識されていなかった事柄の処理は、その都度適切に人も費用も負担して行っています。
仮にしなかったら大問題になって、大騒ぎになります。
時代背景がどうであれ、日本が他国を侵略したのは事実ですし、当時としてはやむをえない事情が部分的にはあったにせよ、どう強弁しても正当化出来るものではありません。
それにしても、中共も中共なら、日本も日本でっせ、もう大概聞き飽きて厭になって来ましたねぇ。

1972年に日中(中華人民共和国)は国交を正常化しています。
個人的には、国交正常化のために中華民国(台湾)と断交したのは全くの誤りである、と思っているんですがそれは又の機会に。

ともかく、共同声明では「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」となっているんです。
これが謝罪でなくて何なんです?
仮に「謝罪」という文言が無い、というのを問題にするのであれば、毛沢東主席も周恩来首相も一体どう言う積りで、謝罪もしない国と国交を正常化する調印をしたんでしょうか。

まして、戦争賠償の請求も放棄したんです。
これは何も日本側が戦争賠償を拒否したのではありません。
日本の謝罪と反省が充分であると感じたからこそ、請求を放棄したんです。
実のところは、中華民国が賠償請求権を放棄しているからには、面子に掛けても請求出来なかったんです。
中華民国との間の話は長くなるのでいずれ又。
(またの機会が多いですなぁ、相当溜まってしもたねぇ・・・)
その代わり、賠償という言葉こそ使っていませんが、確りと経済援助や借款を獲得しています。
国交回復という国家にとって重要な事を、内外に内容を知らさずに、当事者だけで隠密裏にコソコソと出来よう筈もありません。

共産化していても大義名分、面子と建前を大事にする国です。
1972年といえば、まだ抗日、共産革命第一世代が政府の、党の、軍の中枢に頑張ってた時代ですよ。
いかに毛沢東のカリスマ性が偉大でも、周恩来の智謀が優れていても、謝罪も反省もしていない日本と国交を回復することを中共国内に納得させられた筈がありません。
例え内実は日本の経済援助が何としても欲しかったにせよ大義名分、面子と建前を捨てて妥協したのでは政治生命どころか本物の命さえ失ったでしょう。

問題は、日本人でも国交正常化の内容を知らない人が多く、中共国内に到っては全くと言っていいくらい認識されていないことなんですね。
その知っていない連中が「謝罪も反省もしない」と声高に叫ぶのを中共政府は放置するどころか、外交圧力に使ってるとしか思えないですねぇ。
「大義名分は大事にしていても、信義はぶち投げたのか?」と悪態をつきたくなります。
こうなると、人民に知らせることを故意に怠っているというよりも、隠しているとしか思えません。

中共の一般市民や学生に「国交回復時に当時の中共の指導者が戦争賠償の請求を放棄した」などと言えば、嘘つき呼ばわりされて袋叩きに遭いかねませんよ。
公式的に言われている「侵略戦争は日本帝国主義が起こしたので日本の人民が悪いのではない」「日本帝国は敵であったが日本国は友人である」てな事は中共人民の誰一人思っていません。
マイクを突きつけられて喋っていることが本心などと思うのは大きな間違い。
そんな状況で、本音を言えるのは脳天気な日本人ぐらいのもんです。
今の日本=過去の侵略者、中華の辺境の東夷の成り上がりで「小日本(シャオルゥペン)」そらそうですわねぇ。

ところが、個人対個人になるとこれは話が全く違ってくるのは韓国でも同じ。
心が通じる友人同士になれるんですねぇ。
小難しいことを言わんでも、お互い個人的なつながりが増えてゆけば、違いを認め合った上で仲良く出来るし、相手の国を見る目も変わってくると思いますなぁ。
そうなると、韓国が怪しからん、とか中共がムカつく、てなアホの似非右翼みたいな皮相的な事を言えんようになるでしょうねぇ。
これこそが国際親善の根っ子やと思うんですが、中々そうも行かんようです。

中国共産党機関紙「人民日報」馬立誠元高級評論委員によれば、「1972年の国交回復以来2001年までの期間に、日本政府は戦争問題で中国に21回謝罪している」そうです。
ここに全部羅列するのはあんまりなんで最初と最後だけをご紹介します。

先ず第1回目1972年9月29日の日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明で日本国内閣総理大臣田中角栄は「日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し,深く反省する。」と言っています。
21回目は2001年の秋に日本国内閣総理大臣小泉純一郎が北京の「中国人民抗日戦争紀念館」を参観した後「侵略によって犠牲になった中国の人々に対し心からのお詫びと哀悼の気持ちを表明する」と言ったんですね。
お詫びと言うのは間違いなく謝罪と同義語です。

北京に限らず「中国人民抗日戦争紀念館」は愛国教育(=反日教育)に大きな役割を果たす施設です。
当然展示内容も淡々とした事実の展示ではなく、いかに中国人民が正義で日本が悪逆無道であったかを宣伝する為のものです。
参観は中共のお膳立てでしょうが、当事国の首相をわざわざそういう施設に案内するというのは如何なる神経で何の意図があったんでしょうねぇ。
まぁ、彼の事ですから心がこもっていたかどうかは知りませんが、謝罪した事に間違いはありません。
その後今日までの3年間にも何度か同じような事を言っている筈ですなぁ。

人民日報に全面広告で、1972年の国交正常化共同声明の全文を何の説明も加えずに載せればどうでしょうねぇ。
靖国問題で突っ張っているよりも、お互い自国の国民に事の経緯をキッチリ教え説明し、是々非々を明らかにする事が先決やと思うんですがねぇ。

2004/11/16:初出(旧OCNホームページ)
2021/06/27:再録

国についての妄言-6 ⇔ 国についての妄言-8:近日再録予定です。



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