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国についての妄言-9 ところで国て何やろ?-1(再録)

2021-07-08 07:04:47 | 支離滅裂-妄言虚説

さて、改めて国て何んやねん?と考えてみると実は判ってるようでよう判れへんのです。

1988年(新装版)、小学館国語大辞典によると国には3種類あるそうで、
nationは一つの独立政府の下にまとまったもの、
stateは主権のある国家、
countryは人が国民として帰属するところ。
これを日本語では引っくるめて「国」というてるんやそうです。

その国とは何かというと、
一定の地域に住む人々を支配、統治する組織。
特に、近代、一定の領土を有し、そこに居住する人々で構成され、一つの統治組織をもつ団体。
地球上の各政府の統治権下にある土地。
基本条件として、国民・領土・統治権の三要素を必要とする。

と書いてあるんですなぁ。
なるほど、判ったような判らんような・・・。

基本条件を順に考えるとなると、まず国民ですねぇ。
よく「民族自決を要求して・・・」という言葉を目にするんですが、この民族という概念は時によって種族と混同されているような気がします。
民族というのは、同じ文化、生活様態を持つ集団であって、動物的な分類である人種とは別のものの筈です。
民族の結びつきは共通の文化的伝統や歴史を持っているところから生まれるんですねぇ。

「共通の文化的伝統や歴史」にどれほどの振幅を認めるか?これは難しい問題です。

第二次大戦終結時、朝鮮半島は38度線以北はソビエト連邦が、以南は米軍が進駐しました。
北部ではソビエト領内の朝鮮族を含むソ連軍が各地に人民委員会を設置共産主義を基にした軍政を敷きました。
1948年9月、金日成を首相とする朝鮮民主主義人民共和国が成立しました。
一方南部では、1948年5月米軍の軍政の下で、国会議員選挙が行われ、李承晩を大統領とする大韓民国が独立しました。
以後、朝鮮戦争を経て50数年間、「文化的伝統」は一部共通して残っているとはいえ、「歴史」「価値観」は全くといって良い程異なった時代が続いています。
南北の双方とも自国の領土は朝鮮半島全域であると規定して、民族統一を悲願としているんですね。

同じように共産主義(社会主義?)と資本主義に分かれた中共と台灣の場合は少々異なります。
蒋介石率いる国民党が実質的な進駐軍としてやってきた台灣では、戦時体制が長く続き「大陸反攻、民族統一」などのスローガンが街角を彩っていました。
しかし大陸とは桁違いの経済発展を遂げ、内省人の李登輝が国民党総裁となり、国民党が外省人の代表であった時代が終わると台灣独立の機運が再燃しました。

第二次大戦後、一度台灣独立の運動が起きたのですが、当時の国民党に徹底的に弾圧されてしまったんですねぇ。
最近は政府主導で台灣人としての意識を高めようとしています。
そしてその台灣人とは河洛、客家、原住民、大陸の他の省籍出身者、外国籍の新婦などの入籍した外国人の五大族が和したものであると陳水扁総統が表明しています。

以前中華民國談漢滿蒙回藏五族共和,但在台灣的中華民國則是談新五族共和,即河洛、客家、原住民、來自大陸的外省籍和外籍新娘等入籍的外國人五大族群。
台灣、中央社2004/11/28

国名を「中華民国から台灣にしよう」とか国有企業の名称を「中国〇〇」や「中華〇〇」から「台灣〇〇」に使用などという意見が出てきています。
もっとも今回の選挙(2004年:再録時注)で中華民国の社稷を守る国民党が優勢やったから、そう簡単には変わらんでしょうがね。

こういう相反するように見える現象を目の当たりにすると、ますます民族というものをどう考えればよいのか判らなくなりますなぁ・・・。
台湾には独立国であった時期が無かったから、という説もありますが、それでは朝鮮半島に正真正銘の独立国と呼べる国が歴史上存在していたのか?てなことを迂闊に言い出すとエライ事になるので、この件はいずれ準備を整えてから別立てということにします。

それはさて置き、100%同じ民族だけで構成されている国が単一民族国家なんですが、現実にはそんな国は存在していないんですね。
少数民族を内包していても、その他の圧倒的多数(約90%)が同一民族であると条件を緩めたところで、世界中の国で単一民族国家は10%有る無しという説もあります。
この条件を当てはめると、中共や日本は単一民族国家ということになります。

中共は漢族が94%(1999年統計資料、一説では92%)を占めているといいます。
ただし、漢族てのは大変定義があいまいで、仮に「漢王朝の国民であったものが漢族である」として前後漢の最大版図を適用すれば、西域から朝鮮半島北半の諸民族は全て漢族ということになります。
漢族を「種族を問わず漢化した者」と拡大すれば南蛮、西胡、北狄、東夷も含まれますね。
加えて漢化もピンからキリまで、どの程度まで漢化したものを漢族と見なすか?そうなると、いよいよ何が何やら判らなくなります。
後漢などは沙陀突厥出身の劉知遠が建てたといわれているので、トルコ族の王朝のようです。
これをも漢族というのは、あまりにも無茶ですわねぇ。

秦の中国統一時の版図は大まかに現在の省でいえば、遼寧、河北、河南、山西、山東、陜西、四川、湖北、安徽、浙江、江蘇なので、この一帯の民族を広義の漢族と見る方がまだしも納得できそうです。
それにしても、秦代ではタイ族やメオ族は揚子江流域に居たと言う説もあるんですよねぇ。
漢族94%というのは、少数民族と認定した人口を全体から引いた残りを漢族と見なしたという事でしょうね。
はっきり言って甚だあいまいな数字やと思いますなぁ。
それはともかく、中共自身は54種類かの漢族以外の民族を抱えた多民族国家であると称しています。

韓国の場合、現実には地理的な環境も有って華僑も多数在住しているのですが「サッカーのヒディング監督に帰化してもらおう!運動」が巻き起こったことで象徴されるように、多民族国家であるというよりも単一民族国家でありたいという気分が強いようです。

日本では外国人登録者180万人、比率が1.5%(2004年統計資料)で、この中には帰化した外国人は勿論入っていません。
数値がどうあろうと、日本は多民族国家であるという自覚が必要だと思います。

民族の定義に釈然としない気分を残しながらも、民族という言葉を使わざるを得ないのは甚だ忸怩たるものがあるんですが、まぁエエか。

2004/12/20:初出(旧OCNホームページ)
2021/07/08:再録

国についての妄言-8 説明と認識不足ちゃう? 続(再録) ⇔ 国についての妄言-10 ところで国て何やろ?-2(再録)



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