maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

ご挨拶とご案内

Today's maido (日記)を主に、新しい記事と併せて、OCNの旧maidoの”やたけた” 内の関連のある日付のToday's maidoや記事も此方へ再掲載しております。


☆☆☆ お薦め与太話 ☆☆☆
支離滅裂-迷想迷夢-地震対策の妄言 目次 をアップしました。(2015-01-18 )、OCNのHPにアップしたのは 2005/02/19 でした。

虚々実々-喜愛香港 目次 をアップしました。(2016-11-12)
虚々実々-心筋梗塞顛末記 目次 をアップしました。(2016-11-12)
支離滅裂-迷想迷夢-白姫伝説 目次 をアップしました。(2018-09-17)
支離滅裂-迷想迷夢-雨上がりの妄言2004-05-21 をアップしました。(2021-04-18)
虚々実々-U.S.A.-1964-目次 を更新しました。(2022-01-08) NEW

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虚々実々-U.S.A.-1964-目次

2022-06-05 16:25:45 | 虚々実々-U.S.A.-1964

出発まで
前説-U.S.A.-1964 U.S.A.-1964-前説 言い訳ですなぁ...。 (2022/04/08再録)
01-えっ!アメリカ?-U.S.A.1964-No.1 パンプキンからバッファロー(瓢箪から駒?) (2022/04/08再録)
02-渡航準備-U.S.A.1964-No.2 えらいこっちゃ! (2022/04/09再録)
03-人質来る!-U.S.A.1964-No.3 増々、えらいこっちゃ! (2022/04/09再録)

South San Francisco & SanMateo
04-出発-U.S.A.1964-No.4 ホンマに行けるんや! (2022/04/10再録)
05-現実やんか-U.S.A.1964-No.5 うゎ~!本物や・・・ (2022/04/10再録)
06-とうとう来たで! -U.S.A.1964-No.6 居候先へ (2022/04/11再録)
07-う~、言葉が-U.S.A.1964-No.7 家に着いた! (2022/04/11再録)
08-ロンて誰?-U.S.A.1964-No.8 私は誰? (2017/09/09再録)
09-あなたナニジン?-U.S.A.1964-No.9 カリメ~ラ? (2022/04/12再録)
10-学生食堂-U.S.A.1964-No.10 安いどころか、 (2022/04/15再録)
11-家族の一員-U.S.A.1964-No.11 お仕事をもらった! (2022/04/15再録)
12-ギリシャ料理堂-U.S.A.1964-No.12 どう説明すれば...。 (2022/04/17再録)
13-さて、どうするか?-U.S.A.1964-No.13 ちょっと一休み、 ((2020/01/17再録)

14-計画未定-U.S.A.1964-No.14 残留するとしても.. (2022/04/18再録)
15-先ず手始めに-U.S.A.1964-No.15 バスでシスコへ (2022/04/18再録)
16-巨大ザリガニ-U.S.A.1964-No.16 さすがは土地っ子! (2022/04/24再録)
17-サンマテオ市役所-U.S.A.1964-No.17 頼まれ事その2 (2022/04/24再録)
18-市長(?)の自宅-U.S.A.1964-No.18 庶民的というか..。 (2022/04/26再録)
19-言葉あれこれ-1-U.S.A.1964-No.19 チョイト寄り道 (2022/04/26再録)
20-ステーキ-U.S.A.1964-No.20 でかい!! (2022/04/28再録)
21-ハイキング-U.S.A.1964-No.21 ホントに歩くだけ (2022/04/28再録)
22-ハイキング(2)-U.S.A.1964-No.22 お弁当-Lunch (2022/04/29再録)
23-又もやシスコへ-U.S.A.1964-No.23 カナダ行きの切符 (2022/04/29再録)
24-あやとり-U.S.A.1964-No.24 文化の違いか? (2022/04/30再録)
25-プール(1)-U.S.A.1964-No.25 アレッ、タオルだけ? (2022/04/30再録)
26-プール(2)-U.S.A.1964-No.26 困るなぁ・・・ (2022/05/01再録)
27-プール(3)-U.S.A.1964-No.27 微妙な話題 (2022/05/01再録)
28-Polish?-U.S.A.1964-No.28 今度はポーランド? (2022/05/08再録)
29-ホンマにもぉ・・-U.S.A.1964-No.29 真面目に聴いてんか! (2022/05/08再録)
29a-休憩-ぼやき_-U.S.A.1964-No.29a たまには考えますねん (2022/05/09再録)
30-Mustang-U.S.A.1964-No.30 メスティン(グ)? (2022/05/09再録)
31-Birth Day-U.S.A.1964-No.31 七面鳥と初遭遇 (2022/05/10再録)
32-Movie-U.S.A.1964-No.32 何が何やら (2022/05/10再録)
33-我友 Tom_-U.S.A.1964-No.33 知り合えて良かった (2022/05/11再録)
34-VWで遠乗り-1-U.S.A.1964-No.34 Montery (2022/05/11再録)
35-VWで遠乗り-2-U.S.A.1964-No.35(7/26) 35手に汗握る初運転 (2022/05/14再録)
36-魚採-U.S.A.1964-No.36(7/27) Halfmoon Bay (2022/05/14再録)
37-Shooting-U.S.A.1964-No.37(7/27) 37ライフル初撃ち (2022/05/15再録)
38-夜のシスコ-U.S.A.1964-No.38(7/28) 38ちょっと大人気分 (2022/05/15再録)
39-Canada-01-U.S.A.1964-No.39(7/29) 39久し振りの日本語 (2022/05/17再録)
40-Canada-02-U.S.A.1964-No.40(7/29) 40ドレスアップ (2022/05/17再録)
41-Canada-03-U.S.A.1964-No.41(7/30) 41カナダ二日目 (2022/05/19再録)
42-Canada-04-U.S.A.1964-No.42(7/30-31) 42Uターン (2022/05/19再録)
43-帰ってきた!-U.S.A.1964-No.43(7/31) Home sweet home. (2022/05/31再録)
44-残留2日目-01-U.S.A.1964-No.44(8/1) 最初の1ッ歩 (2022/05/31再録)
45-残留2日目-02-U.S.A.1964-No.45(8/1) エンジェルズ・キャンプ (2022/06/01再録)
46-ED BARRAR-01-U.S.A.1964-No.46(8/1) 新米スタッフ (2022/06/01再録)
47-ED BARRAR-02-U.S.A.1964-No.47(8/1) 火付け職人 (2022/06/02再録)
48-ED BARRAR-03-U.S.A.1964-No.48(8/2) オイ、Ed! (2022/06/02再録)
49-ED BARRAR-04-U.S.A.1964-No.49(8/2) スタッフ活動開始 (2022/06/03再録)
50-ED BARRAR-05-U.S.A.1964-No.50(8/2) 歌唱指導? (2022/06/03再録)
51-ED BARRAR-06-U.S.A.1964-No.51(8/3) 人間綾取り (2022/06/04再録)
52-ED BARRAR-07-U.S.A.1964-No.52(8/3) 森の物語 (2022/06/04再録)
53-ED BARRAR-08-U.S.A.1964-No.53(8/3) リス撃ち (2022/06/05再録)
54-ED BARRAR-09-U.S.A.1964-No.54(8/4) キャンプ・ファイヤーの準備 (2022/06/05再録)

San Mateo で留守番のバイト
65-丈〇君現る-U.S.A.1964-No.65(8/10) 何でお前が! (2022/04/05再録)
66-留守番-01-U.S.A.1964-No.66(8/10) とにかくスタート (2022/04/04再録)
67-留守番-02-U.S.A.1964-No.67(8/10) てんやわんや-1 (2022/04/05再録)
68-留守番-03-U.S.A.1964-No.68(8/10) てんやわんや-2 (2022/04/05再録)


Mexico、Taxco ゲレロ(Guerrero)州

128-Taxco-01-U.S.A.1964-No.128(9/16) 懲りない私(2017/09/09再録)
129-Taxco-02-U.S.A.1964-No.129(9/16) 又か?!(2017/09/09再録)
130-Taxco-03-U.S.A.1964-No.130(9/17) ミケランジェロ(2017/09/09再録)

Mexico、Guadalajara、ハリスコ(Jalisco)州
135-Guadalajara-01-U.S.A.1964-No.135(9/20) さよならミケ(2022/01/08再録)☆
136-Guadalajara-02-U.S.A.1964-No.136(9/21) 飛行機が無い?(2022/01/08再録)☆
137-Guadalajara-03-U.S.A.1964-No.137(9/21) リベルタ市場(2022/01/05再録)
138-Guadalajara-04-U.S.A.1964-No.138(9/22) 歩けや歩け(2022/01/04再録)


53-ED BARRAR-08-U.S.A.1964-No.53(8/3)

2022-06-05 16:19:59 | 虚々実々-U.S.A.-1964

リス撃ち

バートのテントの辺りが良かろうと連れ立って出かけました。
途中で食堂に寄ってリス入れの紙箱を貰います。

リスの活動が活発なのは朝と夕方。
枝の茂った中に居る時は撃ちようが無いので、リス撃ちは、木を駆け上がったり、駆け下りたりする朝と夕方が良いんだそうです。
バートのテントは Troop 45 のサイトの先。
テントの向うは緩やかな下り坂です。
銃は必ず水平より上に向けて撃つのが決まりだそうで、安全の為だそうです。
あんなに素早いリスをライフルで撃つよりも、散弾銃の方が良くは無いかと訊いたら、そんなもので撃ったら木が傷むし、リスがグジャグジャになって食べられないんだそうです。
けど、鳥なんかは散弾銃で撃つのと違うかなぁ?

バートのテントに到着すると、ん?リスなんか影も形も見えません。
気配を察したかな?
しばらく息を潜めて待ったけれど、コソッとも音がしません。
猟場をクリスのテントに移動。
此処は安全な方角が30度くらいの狭い範囲なので、撃つほうは一塊にならざるを得ません。
座って撃っていて、頭の上から熱い薬莢が降ってくるのは勘弁願いたいので、一番左端に陣取りました。
パン!と誰かが発射しました。
何だか音も軽薄ですねぇ。
「Boo!」「Oh Dad!」などと文句を言われているのはクリス。
一発撃つとしばらくは出てこないんだそうです。
ワッ!目の前の木にリスが・・・!
10mも離れていない木をリスが駆け下りてきました。
アッチコッチの木に居るみたいですが、目の前の4本以外は危ないので打てません。
パン、パン、パン、と皆が発射しました。
私は銃口をアッチへ向けたりコッチへ向けたりするばっかりで、動いているリスに狙いをつけることも出来ず、引き金を引けないままです。
「撃ち方止め!(Stop the fire!)」
ボブが走っていって2匹尻尾をぶら下げて帰ってきました。
へ~、命中させたんですね!

音がすると一瞬動きを止めるので、そこを狙うんだそうです。
この辺りの木には、相当弾丸が食い込んでいそうですね。
「鉛だし、22口径(直径約5mm強)の小さな弾だから問題無いさ」っていうんですが、製材するときに危なくないんでしょうか?
尻尾をヒモで括ると靴下を干すようにぶら下げて、首の横にナイフを入れて血を抜きます。
思った程、血は出ないですね。
身体が小さいからそんなに血も無いのかな。
生きているのを手で首を締めたり、刃物で刺して殺すよりも鉄砲で撃つほうが生々しさが少ないですね。
出刃包丁で刺し殺すよりもピストル、ピストルよりもライフル、ライフルよりもミサイルの方がという風に、行為の結果としての死と距離が開くほど罪悪感が薄れるのかなぁ。
私以外の全員が「当たったのは自分の弾だ」と小声で言い張っています。
私、発射してないから仲間に入れません・・。

その後待てど暮らせどリスは出てきませんでした。
そりゃ奴らは命懸けですからね。
国旗降納の時間が近づいたので、大きな紙箱に、不運なリスを2匹だけ入れて食堂に持って行きます。
小熊小父さんが受け取って、ニヤッと笑って何か言ったらしく、皆少ししょんぼりしています。
何て言ったのか訊いたけど教えてくれませんでした。

納得出来ない戦果なので、明日の朝、5時にバートのテントに集まってもう一度リス撃ちをする事になりました。
Honey に銃を返しに行くと、リックは国旗降納の為に着替えの最中。

「どうだった?」
「2匹だけなんで、あすの朝早くにもう一度やります」
「じゃあ銃は明日朝食の後にでも返してくれ、今夜は皆自分のテントに持っていっていいよ。クリーニング・キットを忘れるなよ」
今日使った弾はトムのと違ってクリーニングしないと銃が傷むんだそうです。
撃ってないからしなくても良いか?と思ったら、試し撃ちをしてるんです。
テントに持っていったところで、いくら何でも、文字通り「闇夜に鉄砲」は危険すぎるので、正直いって邪魔っけ。
ア、そうか、そうでもしないと、リックは朝早くに起こされることになるんですね。

幾ら明るいといってもテントで分解して部品でも落としたら一大事。
それよりも分解の仕方がわかりません。
夕食後、ここに集まって銃のお掃除をする事になりました。

今日はフライドチキン。
何です?このデカイフライは??
ニワトリを半分にして揚げてあるんですね。
足と手が付いたカシワの半身、これは迫力が有るというか、粗雑というか・・。
鍋で揚げたのでは、こう上手く均一に火が通らないと思いますが、あの雑貨屋は何か秘術を使っているんでしょうか?
見た目は悪いけれど、確り味がついていて美味い!
皆んな2個(1羽分)喰ってますが、とてもじゃないけど1っ個で充分です。
どうやら2つ食べないのは私だけ見たい。
「もう食べないのか?」と聞くから「充分だ」と答えると残っていた半身は一瞬で無くなってしまいました。

しかし、全く、武器をこんなに簡単に私なんぞに持たせてよいものでしょうか。
幾ら豆鉄砲の親分みたいな銃でも、当たれば大怪我、運が悪いと死ぬかも知れません。
大小、白黄取り混ぜた20才ソコソコの兄ちゃん達4人が手に手に銃をぶら下げてウロウロしていても、誰も何んとも感じ無いんでしょうか?
確かに、撃つ場所と方向を守るとか、使い終わったらすぐに、レバーを操作して弾を全部抜いて、必ず銃口を地面に向けて持つなどという安全に関する事はキッチリ守ってますね。

ボスはお年だから良いとして、リックは家族が居ないのかと訊ねたら、息子2人は長期のサマーキャンプに行っているんだそうです。
長期ってどのぐらいかと思ったら、ほとんど夏休み中なんだそうです。
奥さんはサマーキャンプの近くの、両親の所へ帰っていて、リックも8月の下旬には家族を迎えがてら、そこへ行くんだそうです。
何処かと思えば、アイルランド!
「エ~ッ、地図の端と端(both ends of Map)じゃないですか」と驚いたら怪訝な顔で「端?」。
日本の地図では右の端っこがアメリカ、左の端っこがヨーロッパなんですが実は両端は以外に近いんですね。

初めて会った時から「カーク・ダグラス」に似ているなぁ、と思っていたので、そう言うと、
「ワォ!君はそう言った世界中で2人目の人間だ」
もう1人は奥さんだそうです。
バードは「カーク・ダグラスが聞いたら、君を殺しに来るぞ」と言うんですが、そうかなぁ?
そう言えば、小熊小父さんはジェームス・ギャグニィーに似ているけれど、それを言うと喜ぶか、リスのグレービィーをぶっ掛けられるか、の判断が難しいので、いわない方が安全みたいです。

食後、手に手に銃を持って Honey でお掃除。
思ったよりも簡単にブロックが外れるんですね。
ざっとボロ布で拭って、オイルを引きます。
針金の先に小さなボロ布をつけたのを銃身に通してお終い。
明るいところで見ると、角がすれて銀色になっています。
相当酷使しているようです。

「やってるな」とリックが入ってきました。
「キッチンからのプレゼントだ」と新聞紙の包みを開くと、ドーナッツが出てきました。
昼ご飯の無愛想な面構えのとは違って、上に砂糖がかかっています。
フライドチキンを半分で止めたのは正解でしたね。
他の連中はカシワを1羽丸ごと食べたのに、平気な顔でドーナッツをパクついています。
「今、お茶を入れるからな」バードが「カーク・ダグラス」と小声でいってウインクしてますが、まさかねぇ。
丁度良いので、昼に聞いた「自然」の話で良く聞き取れなかったところを教えてもらいました。
判らないような顔をしていると、廻りの皆んなが言い方を色々替えて説明してくれるので助かります。
けどあまり色々言われると、かえって判らなくなることもあるんですよ。
メモが無かったので、ドーナッツを包んでいた新聞紙の端っこに書いたんですが、果たして後で読めるかなぁ?

小脇に銃を抱えて自分のテントに向かっていると、いい雰囲気ですねぇ。
探検ゴッコもこうなればかなり本物です。
コッドの下に銃を置いて、椅子に腰掛けて食堂の方を眺めていると、動物の目が光ったような気がします。
今夜はアライグマが見られるかも知れないと、懐中電灯をもってそ~っと餌台の方に近寄りました。
気付かれるといけないので懐中電灯は消したまま。
薄闇を透かして見ると、確かに何かが居ます。
風はドッチから吹いているのか?気持が上ずってしまって、どの方角から近ずいても風上になるような気がします。
10m位の距離に近ずくと、ガサガサ音がしていたのが静かになりました。
感ずかれたか?
しばらくじっと身動きしないで居ると又物音がしだしました。
一旦立ち止まってしまうと、足音を立てそうで中々動き出せません。
そーっと懐中電灯の狙いを定めてパッと照らすと、アライグマです。
一瞬動きを止めたかと思ったら、サッと居なくなったのでゆっくりは見られませんでしたが、少なくとも4匹以上。
すごいですねぇ!アライグマがまるでノラ猫みたいに居るんですよ!

満足してテントに帰ると、中から何かが走り出てきました。
冗談抜きに、腰が抜けるほどビックリしたけど、一体なんだったんでしょうか?
そんなに大きな感じはしなかったからリスかもしれません。
蚊が居ないのを良い事に、夜も戸口を開けっ放しで寝ているので、今までも寝ている間に結構何かがウロウロしていたのかもしれませんね。
眠ってしまったら、少々の事では目覚めないから、悪い事さえしなければ、何方が訪問してくれても良いんですけどね。
もっとも戸を閉めたところで所詮はテント、布1枚ですし、裾から幾らでも入って来れるし、屋根も布でクマやクーガーなら簡単に破るでしょうから、さして効果があるようにも思えません。
リスならともかく、クマなんぞに22口径の豆鉄砲を撃ったところで、果たして効き目があるのやら。
それなら、何かは知らないけれど、私が急に起きて驚かせでもして、焦って噛まれたり引っかかれたりするよりも、戸口を開けて置いた方が逃げやすいからお互いに安心。
第一、開けている方が森の匂いがして気持がいいんですよ。

 

2003/06/12:初出
2022/06/05:再録

54-ED BARRAR-09-U.S.A.1964-No.54(8/4)
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2022-06-05 16:12:28 | 虚々実々-U.S.A.-1964

キャンプ・ファイヤーの準備

昨日の不本意な成績を挽回しようと、朝の早くからバートのテントに集まりました。
木々の上の方ではガサガサと物音がしています。
思い思いの場所に陣取って、息をひそめて待っていると、最初のリスが姿を見せました。
ボブの提案で「リスが出て来ても、しばらく辛抱して、ボブの掛け声でいっせいに撃とう」という事になっています。
石を投げたら当たりそうな距離ですから、リス共にも人間が見えているに違い有りません。
しょっちゅう仲間が殺されても居場所を変えないというのは、よほどこの森に執着があるのか、それとも極め付きのバカなのか?

「Now!」とボブが大声を出すと一瞬リスが動きを止めます。
パン、パン、パン、ほんとに迫力の無い音ですね。
火薬の量が相当少ないのか知らん?
今度は私も一応発射したけれど、狙ったリスは元気に木を駆け上って行ってしまいました。
獲物を拾いに行くと、なんと5匹!
あの短い間に良く撃てたもんですね。
どうやらバートとボブが2匹づつ仕留めたようです。
サッサと吊るして、血抜きをして、二回目までにコーヒーでも入れるかとバートがごそごそやりだしました。
森はシーンとしています。カップが1個しか無いので、毒蛇キットの缶や、食器を総動員。食器はまだいいのですが、毒蛇キットの缶は熱くて口をつけるどころか、持つことも出来ません。
やっと冷めたコーヒーを飲んでいると、リスが動き出しました。
あまり音を立てないように待っていると、出てきましたね。

充分間を置いてパン、パン。
サッとリスは姿を消しました。
今度は3匹、私はまたしても外れ。
もう良いだろうと言うので、リス撃ちはお終い。
弾を抜いて、銃の掃除をして、バートは国旗掲揚の為にユニフォームに着替え。
銃とリスを持って食堂へ行きます。
子熊小父さんは8匹が入った箱を見てニコニコしています。
Honey で銃を返して、三人は例のトイレへ、私はテントに帰ってスコップ片手にお散歩。
昨日の場所に足場の丸太を置いてあるので4,5mはなれたところに穴を掘って、瞑想に耽りました。

今日はキャンプ・ファイヤー。
午前中は子供達も全員で丸太運び。
午後はキャンプ・ファイヤーでの出し物の準備だそうです。
我々スタッフは焚き火の準備。
小山のように有った丸太も、1人2往復でファイヤー・サイトに移動しました。

丸太運びでかいた汗をプールで流して、お決まりのサンドウィッチ。
満腹で Honey のポーチから森を眺めて、気持ちのいい仲間とトグロを巻いていると、今更ながらに夢みたいです。

さて、午後の作業をはじめるか、と広場に行って大仕事を一番にしなければならないのを思い出しました。
ファイヤー・サイトにはEDが居るんです。
彼のおかげで円形に草が食べられて、草刈をしないで済むのは良いんですが、食べたら当然ナニをするんです。
何時もはリックが朝飯前に掃除をしているんですが、EDに本部前まで移動してもらって、今日は我々がお掃除。

このロバというのは身体が小さいくせに、根性が有ってヒモをひっばっても足を踏ん張って動かないんです。
それどころか、あまり無理に引っ張ると、襲い掛かってくるんですよ。
蹴っ飛ばすだけかと思ったら、ヒョコヒョコ寄って来て、パクッと噛むんですね。
「ロバは狂犬病にならないから大丈夫だ」って言っても、そうじゃなくて、噛まれるのがイケません。
歯は大きいけれども尖がっていないので、食いちぎられる事は無いにしても、それなりに痛いし、あんまり嬉しくありませんね。
残念ながらスタッフの誰にも好意を持っていない様子です。
引ヒモを何とかもう1っ本つけることが出来たら、両方から二人ずつで引っ張って移動させられるんですがね。
どうにもこうにも手が付けられないので、ワイワイ言っていると、ボスが現れました。
ED の態度が一変して、犬みたいに擦り寄って甘えるんですね。
さっきまでの不良ロバは、嬉しそうにスキップしながらボスに連れられて行きました。
ED というからてっきり牡だと勝手に思っていたら、雌だそうです。
ナニの始末はどうするのかと思えば藪の中に放り込むだけ。
「草を食って出来たんだから、汚くは無いさ」ッていうけど、賛成しかねます。

ED をつないでいた鉄の杭を抜きに掛かって驚き!
木ネジの特大版みたいに螺旋になっていて、頭の環ッかに棒を差し込んで、グリグリと廻したら簡単に抜けるんです。
杭が有ったところが円の中心ですから、そこに丸太を積んで準備します。
井桁に積むのは万国共通。
食堂から貰ってきた、直径30cmくらいの浅い空き缶を井桁の真中に仕込むのは、石油を入れて点火と同時に明るく燃え上がらせる為だそうです。
それは邪道だと思うけどなぁ。
ボブが丁度握れるくらいの太枝を1.5mくらいに切って、先にボロ布を巻きつけて針金で縛ってタイマツを作っています。
これでキャンプ・ファイヤーに火をつけるんだそうです。
点火に失敗すると全体の雰囲気がが台無しになるので、エラク真剣に作業しています。

円周に丸太で各Troop の位置を示す印をつけます。
ボスやリックは本部の建物を背に席を設けて、向かい合う半円を三分割したのが各Troop の居場所です。
日本では火の周りをぐるっと囲んでしまうんですが、ここは劇場風の配置ですね。
小規模なキャンプ・ファイヤーの場合は、こちらでも周りを取り囲むんだそうです。

追加用の薪を、各Troop ごとに積み上げて一段落。
汗を流しにシャワーに行ってテントに戻ると Tanaka さんが奥さんと下の息子さんを連れて待っていました。
そうい言えば、今日来られるって聞いてましたね。
「妻と下の息子さ、彼がさっき話していた〇〇。」
英語で話していると言う事は、奥さんは日本語が駄目みたいですね。
「凄く助かったって聞きましたよ。何時までここに居るんですか?」
「次の日曜日までです」
「エッ、それじゃあ私と一緒に帰ろう、昼頃に出発できるかい」
「さぁ、リックに訊ねてみます」
「だって、此処からバスで帰るなんて大変だよ!私からも頼もうか?」
「いえ、それじゃああんまりですから、私からリックに頼んで見ます」
帰りの事は全く考えていなかったですね。
このまま日曜日を迎えていたら途方にくれてましたね。
どうやら、頭のネジが相当緩んでいるみたいです。

やはり、奥さんは全く日本語が駄目。
どうやら日系でも若い人は日本語を喋らないと思っている方が無難なようです。
お昼に此処へ到着したらしいんですが、風邪でも引いたのか、下の息子さんの体調がハッキリしないので、泊まらずに今日帰るそうです。
「キャンプ・ファイヤーが見られなくて残念」と奥さんは口惜しがって居ますが、具合の悪い子供さんと一緒じゃあキャンプ・ファイヤーは止めた方がいいでしょうね。
「ヨセミテは来週出直す事にしたから、良ければその時一緒に行かないか?」と願っても無いお誘いです。
しかし、来週がどんな展開になるか今のところ全く不明。
「是非行きたいんですが、来週の予定は全く判らないんです」
「じゃあ、居場所が決まれば連絡してくれよ。車にはスペースがあるから遠慮は要らないよ」
ひょっとしたら、ヨセミテに行けるかも知れません!

「そうそう、夕食を誘いに来たんだ。もう出来ているから今からいっしょに行こう」
まだ17:00です。
この方もかなり気が早いというか。

一緒にサイトにいって驚き!巻き寿司と稲荷寿司が並んでいます。
メンバーの父兄(母姉?)が朝早くから作った差し入れですって!
傷まないように大きなクーラーボックス2つにドライアイスとこれも差し入れのアイスクリームと一緒に入れてきたそうです。
ご飯がボロボロしているのはそのせいなんですね。
こうして日本人の顔に囲まれて、お寿司を頬張っていると、とてもシェラ・ネバダに居るなんて思えませんね。

これで、飲み物が牛乳じゃなくて、お茶だったらというのは贅沢でしょうねぇ、

 

2003/06/13:初出
2022/06/05:再録

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51-BARRAR-06-U.S.A.1964-No.51(8/3)

2022-06-04 15:18:39 | 虚々実々-U.S.A.-1964

人間綾取り

ED のけたたましい、フオ~、ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッに起こされて、Gray Squirrel がガサガサ駆け回っているのを眺めながら早朝の森を見ていると、こんなことでお金を貰って良いのかなぁ?と思います。
昨夜、食堂の方で光っていた眼はアライグマかなぁ?少なくとも3,4匹分の目玉があったような気がします。
その左手の森の奥の方に、明かりがチラチラしていたのは何なんでしょう。
サイトは全部廻って場所がわかっているんですが、あんな方角にキャンプサイトは無かった筈です。
アライグマもタヌキの親戚みたいなもんですから、人間を化かすのかな?

それはそうと、忙しそうに走り回っている Gray Squirrel を、食料に困っている訳でも無いのに、何も殺して食べなくても良さそうな物ですが、昨夜リックに聞いたところでは、あまり増えすぎると森が傷むんだそうです。
この森に何匹居るのか、どんな方法で調べたんでしょう?
そして、多すぎると判断する根拠は一体何なんでしょう?
こういう話になると、自分の英語力の無さが、大きな障害になってしまいます。
止むを得ず殺した以上はそのまま捨てずに、食料として食べるのが命を奪ったせめてもの償いかと思いますが、一番根本の殺す理由がスッキリと理解できません。

ともあれ、いくらデッカイとは言え、所詮はリス。
ウサギですら情け無いほどしか肉がなくて、中々捌くのが難しいのに、あんなネズミの兄弟分みたいなのをどうして捌くんでしょうね。
一体どうして料理するのかと思ったら、先ず皮を剥いで、頭と足先、尻尾を切って、内臓を出した状態で一旦煮るんですって。
煮えたところで少し冷まして、手が入れられるようになったら、煮た鍋の中で肉をほぐして骨を取り出して、野菜とルー、今までの残りのグレービー(Gravy)も入れて、後はぐつぐつ煮るんだそうです。
道理で肉が細切れになっていたはずです。
グレービーというのは今まで聞いたことが無くて、シチューとどう違うのか聞くと、シチューは一本立ちの料理なのに反して、グレービーというのはソースで、例えば豆とかポテトのグレービー添え、と言う風にあくまで脇役なんだそうです。
すると最初の夜の夕食はマッシュポテトが主役だったんですね。

ちなみに、リスの残骸や野菜屑は食堂から10mほどのところに有る、丸太の半割を並べた餌台に夕方置いておくと、夜の間にきれいサッパリなくなるそうです。
クマがよく出る地域では、餌につられたクマがウロウロして危ないから、そんな事は出来ないそうです。
このあたりもクマが居ない訳ではないんですが、夏はもっと高度の高いところで子育てをしていて、キャンプ場の付近には、秋にならないと滅多にあらわれないんですって。
「滅多」と言う事は「決して」ではないんですか?と訊いたら
「そりゃ相手は野生だからね。どんな理由でこちらに来るか我々には判らないさ。」
「万一クマが出没したら ED が大騒ぎをして、すぐわかるから心配無い。第一この辺にいるのは主に大人しいBlack Bearだから」って言うんですが、アメリカのクマって月ノ輪の何倍も大きいんですよ。
州の旗の図案になるぐらいですから、クマは名物?
灰色熊なんかにウロウロされるよりはマシでしょうが、しかし、あんまりぞっとしませんねぇ・・。

お茶を飲むと雰囲気が盛り上がってきたので、スコップと足場用の丸太の半割の切れッ端を持って朝のお勤めに出動。
あの談話室みたいなトイレばかりは馴染めません。

足場に丸太を使ったので、穴の縁も崩れず、中々快適。
明日のトイレは少し違うところにしようかと、スコップを担いで場所を物色がてら、朝のお散歩をしていると、アレッ?これは鹿の骨!
冬に木曽川からの中央アルプスへの登りの途中で、1坪ほどの所に鹿の排泄物が山盛りになったのに出くわした事が有るけれど、行き倒れは初めて。
何かが喰ったか骨の位置が乱れているものの、傍らに角も転がっていて、間違い無し。
1年は優に経っているらしく、きれいに骨だけになって匂いも何もしません。
キツネやタヌキはどうか知りませんが、アライグマ、例のバッジャー、スカンクなんかがご馳走にありついたんでしょうね。
最期のお掃除はオサムシ、ゴミ虫なんかの昆虫が綺麗に食べたに違い有りません。
森を透かしてみて、もう一度来れるように位置を覚えます。

一応鹿の霊に敬意を表して、少しはなれた藪で、することを済まして、この場所にかえって来れるようにしておいた方が良いでしょうね。
下生えが少ないし、石ころが転がっていないので、枝を少し折ったり、石を積む目印が付けられません。
無闇にナタ目をつけるのは気が引けます。
念のために自分のテントへの歩数も測って帰リました。

食堂でクリスに「鹿の骨を見つけた」と話すと
「オーッ、それは良い!子供達に見せてやろう。最高の自然学習じゃないか。リックが素的なストリーを考えてくれるぞ。その前に案内してくれよ、見に行こうぜ」
と大乗り気です。
朝飯もソコソコに、鹿の行き倒れ現場にリックとスタッフをご案内。
骨の脇にしゃがみこんだリックがほんの少しの毛を見つけました。
バッジャーの毛だそうです。
午後は予定変更でここに全 Troop が集まって、この鹿の骨を素材に森の物語をするんだそうです。

「一体どうしてこんな所を歩いてたんだい?」
「朝の散歩ですよ」
「君たちも Honey で駄弁っていないで、サイトをもっと歩か無きゃ」と他のスタッフはとんだ所でご注意をされてしまいました。
「Yep!」と答えているけれど、連中は事情を知っているから、私の方を向いてニヤッとしています。

Troop 7 に行くとサン・マテオ Troop 45 が吊橋見物に来ていました。
この Troop は白人系の子供ばかり。
Tanaka さんが人間綾取りの話をしたらしく、一緒にやろうと何だか大々的な事になりました。
そうなるとキャンプサイトでは手狭です。
カーパークでやろうとリックの許可を貰いに Honey に行くと、何をしようとしているのか最初は判らなかったみたいですが、説明すると大笑い。
「日本人は奇妙なことを考え出すなぁ。午後の準備が済み次第見物に行くよ!」

サイトに引き返して、先ずは Troop Master 2人と役割分担の打ち合わせ。
各 Troop の世話は Troop Master にお願いして、私は綾取の見本を見せる役。
Cat Cladele では面白くないので、課題をハシゴに変更。
壮絶でしたね・・。指役も伝令役も皆へとへと。
ハシゴの真中が細くなってしまって、ハシゴらしくならいんです。
やっと何とか出来たところに、リックと何と大ボスが見にきてくれた。
子供達が「次は何か!」とせっつくので、アメリカで習った Pitching a tent をすることにしました。
日本の箒に似ていますが、ずっと簡単。

両手の親指と小指に糸をかけます。
右手の人差し指で左手の平の糸を下から取って、
二回捻ります。
右手人差し指の掛かっている輪に、左手人差し指を上から入れて、右手の平の糸を下からすくい、両手の間隔を開きます。
右手の親指と小指の糸を外して、パッと両手を引けば出来上がり。

実は、これが難物でした。
最終段階の1っ歩手前までは何の苦も無く出来るんですが、それからが大変。
手でするときは、右手の親指と小指に掛かっている糸を外して、パッと開けば箒の出来上がりなんですが、指の1っ本、1っ本が人間ですから、パッと引くのが至難の業。
指役は途中で6人、最終仕上がりの形では4人。
指役でない子供達も手伝って、ああだ、こうだと騒がしい、騒がしい。
子供達の息が揃っていないと上手く行かないんですね。
何度も挑戦してやっと出来た時には嬉しかったですね。

御大の Leverend さんも一緒になって大歓声が起こりました。
サン・マテオ Troop 45 もヘトヘトになりながら頑張りました。

汗だくになったので、皆でプールに水浴びに行くことに決まりました。
予定は未定とはこの事で、よく言えば臨機応変、悪く言えば行き当たりバッタリ。
川の水を引き込んだ、幅こそ4,5mと狭いですが、長さは20mくらいの立派なプールが有るんです。
腰ぐらいの深さですから、先ず溺れる事は有りません。
「充分体操してからゆっくり入れよ」と一緒にきたクリスが怒鳴っています。
水に手をつけると、まるで氷水。
これでは言われなくてもゆっくりしか入れません。
それでも我慢してジリッ、ジリッと入ってしまうと、気持いいですね。
身体が火照っていたんで、一層冷たく感じたんでしょうね。
50人近くの子供が一度に入ったので、プールというよりも風呂屋気分

「頭を洗うと気持が良いだろうなぁ」とクリスに言うと、あそこにシャンプーを置いてるから、好きに使ってくれよ、大きく名前を書いてあるからすぐにわかるよ」と指差したプールの傍らに細長い小屋が有ります。
「あれは何の建物?」
「エッ、あれはシャワーさ。水しか出ないけどね。リックに聞かなかった?昨夜何でシャワーに来ないんだろうと思ってたんだ」
聞いたのか判りませんが、全く記憶に残っていません。
午後は子供達が交代で使って、スタッフはミーティングの後、寝る前に来るんだそうです。
寒いのを辛抱するなら朝浴びても構わないんだそうです。
ボスは朝にシャワーを浴びるのが好きなんですって。

ははーん、昨夜明かりが見えていたのは、アライグマが人間をタブラかしていたのではなくて、此処だったんですね。

2003/06/10:初出
2022/06/04:再録

52-ED BARRAR-07-U.S.A.1964-No.52(8/3)
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52-ED BARRAR-07-U.S.A.1964-No.52(8/3)

2022-06-04 15:16:52 | 虚々実々-U.S.A.-1964

森の物語
椅子代わりの丸太を持って13:30に餌台付近に集合する事にして、サッパリしたところで夫々昼食に別れました。

食堂で毎日同じというサンドウィッチをミルクで食べて、食堂への分かれ道から、シカの骨までの道しるべをクリスと取り付けます。
道しるべといっても片一方を削った枝を立ち木にくくりつけるだけ。
そうこうしている内に皆んなシカの骨の周りに集まってきました。
子供達は興味深そうに骨を見ています。
今朝トイレに使った場所が直ぐ近くですが、そんなことを言い出して、話が縺れては一大事。
少々深い目に掘ったし、針葉樹の腐葉土は防臭効果があるのか、匂いもせず、まったく痕跡なし。
骨を中心に環を描くように丸太を並べて子供達を座らせて待っていると、西部劇に出てくる百姓みたいな格好のボスが背中に荷物を積んだEDを引き連れてやってきました。

その後ろからインディアンの扮装をしたリックもやってきました。
何が始るんでしょうか。

ボスが意外に張りのある声で子供達に語りかけているのは、ゴールドラッシュ時代の話しらしいんですが、所々しか単語を理解出来ないので、話の全体像が良く掴めないのが残念です。
ボスが腰を下ろすと、リックが代わって話し出しました。
こちらはまだ白人が現れる前のこの辺りの様子を話しているようです。
こちらは、扮装に合わせているのか「山、高い、雪、降る。食べ物無い、シカ餓えた」という感じで、単語を並べるような話方なので、まだ少しは聞き取れます。
それは助かるんですが、どうも、この話方は Native American を馬鹿にしているように思えます。
考え過ぎかなぁ?

名前を呼ばれたので自分の鼻を指差すと、リックが出て来いという身振りをしています。
全く打ち合わせ無しで、一体何をどうするのか?

この赤鹿は我々の森で命を終えた。
彼の身体はバッジャーや虫たちの糧となって、
その生命の跡は今もこの森に存在している。
そして遠い国から来た彼が、偶然にその生命の跡を見つけた。
彼が我々と共にここで暮らさなかったら、
この赤鹿は存在した事さえ誰にも知られず土になっただろう。
我々が此処に集まっている事は、数多くの偶然が重なった結果なのだ。
しかし、それを偶然と呼べるだろうか?
我々が偶然と呼ぶ事柄こそ、神の仕事に他ならないのではないか。
(確か、この辺りで戻っていいような素振りをしたので、元の位置に帰ったような記憶が・・・)
人間は火を手に入れ、自動車を、飛行機をその他色々な物を作った。
しかし、自然の生命は作ることは出来ない。
ちっぽけな虫一匹でさえ、作り出すことは出来ない。
虫は偶然に生まれたのだろうか、
小さな虫でさえ、今の姿となるまで、永い、永い年月と、
数限りない生と死の歴史を経てきたのだ。
無数の幸運な偶然に助けられて命の鎖をつないできた。
その間にただの1つでも不幸な偶然に遭えば、
その種は今の世に存在していなかっただろう。

我々は、神の創り賜うた自然と生き物を、守り育て、
その中で安全に生活する方法を学ぼう。

そのためには、知識と観察力と強い身体を待たなければならない。

この赤鹿の骨からどのようなことが判るか?
この骨は1つの物語を現している。
角が有る事でオスだと判る、形から年齢が判る。
散らばり具合から、クーガーやコヨーテに襲われたのではない。
銃で撃たれたのでもない。
骨の色から、雪のある季節に飢か病気で此処で倒れその命を終えた事がわかる。
もっともっと色々な事をこの骨は我々に語っている。
草も木も、虫や鳥、動物たち、
岩や土や山、水の流れ、大空さえもが我々に語っている。
その言葉を理解できるようになろう。
自然の物語に耳を傾けよう。

その時にはこの1/10も聞き取れませんでした。
後でリックに教えてもらってメモしたのですが、簡単にしかメモっていなかったので、この程度しか復元できませんでした。
もっともっと長い話だったし、もっとやわらかな雰囲気の話だったはずです。
何か大事な事を抜かしているような気がしてならないんですよ・・・。

ただ、ベースに「人間は自然の保護者であり管理者である」というのが少し私の考えと違うような感じがしました。
もっとも、自分の考えというのが、いまだに矛盾だらけで纏まってないんですがね。
けど、その辺りの感覚の違いがリスのグレービィーに現れているのかな?とチラッと思いました。

リックとボスが交代で自然との接し方、目の前にある自然の物語の読み方を話してくれました。
間に子供達、 Troop MasterやStuff との会話を交えて、学校の授業のように説教臭くなく、如何にも先輩が後輩に、親が子に話しているような雰囲気は素晴らしいなぁと感じました。 何時もは仔犬のように騒がしい子供達も神妙に聞き入っています。

リックとボスのお話が終わって、2人は Honey へ引き上げて行きました。
頭の骨と角は「自然教室」に飾るそうです。
「記念に1つ持って行かないか?」と言うので、首のところとおぼしい骨を拾いました。
「皆んなも好きに持って帰っていいよ」とクリスが言うと子供達が好き好きに骨を拾って行きました。
先ほどの話が効いたのか、赤鹿の残骸に対して敬意を払っているように思えたのは考え過ぎかなぁ。

日本の子供達はこういう骨を見ると、きっと気味悪がるだけでしょうね。
自然と生命、神の話は賛成できないところも有るように思いますが、自然との向き合い方を教えられる大人が居ると言う事は素晴らしい事です。
たかだか百数十年前までNative American を蹴散らし、バイソンを絶滅寸前にまで殺戮していた歴史を持った国というのが不思議ですね。
改めて、この国の人々の多様さに感心します。

今日は午後のプログラムはこれでお終い。
夕方まで時間があるのでクリスと一緒にボブとバートの薪作りを手伝いに行きました。
森の奥に行くともう既に作業は終わっていて、山のような丸太が切られています。
ボブが「シャワーを浴びてからリス撃ちをしよう」と言い出しました。
そう言えばミーティングでそんな事を言ってましたね。
冷たいシャワーを浴びてスッキリした気分で Honey に銃を借りに行きます。

ヨレヨレのノートに銃に書いてある番号と自分の名前を書いて、借り出し手続きは終わり。
返しに来たら、横にリックがサインするだけですって。
トムと射撃場で使ったのに較べると、同じ22口径らしいんですが、二周りくらい小さなチャチな銃ですね。
持った感じも軽い、ところがチャチに見えても、こちらは連発式。
弾の形も随分違います。
ストンとした形で長さも短い。
手掴みで一握りずつ弾を貰って出発。
こんなに簡単な管理で良いんでしょうかね?

借りてきたライフルを良く見ると、西部劇でジョン・ウェインが振り回しているのと良く似ています。
トムのは戦争映画などでお馴染みの、取っ手を前後に動かして操作するタイプのでしたが、これは引き金のカバーと一体になったレバーを操作するんですね。
ただ、トムのは如何にも精密機械という感じだったのに、何だかガタが有ります。
ボブに言うと「あいつのは射撃競技用なのさ。あれ1丁でこの銃なら3つは楽に買えるよ」
へ~、そうか、それならこの如何にもチャチな作りも納得です。
そうは言う物の、銃ですから弾が飛び出すんですよ。
おまけに連発。
馬鹿の悪ガキがこんなのを持ったら危なくてしようがないなぁ。

照準も小さな穴から覗くのではなくて、夜店の射的みたいな簡単なものです。
こんなので当たるんでしょうか?

バートのテントへ行く前に Honey の側の小さな射撃場で試し撃ち。
土手が築いてあって、ハの字型に板囲いがして有ります。
銃には夫々癖があるんだそうです。
台尻に白いペンキで丸が描いてあって、クロの点が撃ってあるのはそちらへ外れる癖があるという印なんですって。
今度も凄く近くで撃つんですが、的は紙箱を開ろげたのに、自分たちで丸を適当に描いた物です。
試し撃ちは水平に撃つので、寝転がって撃つんですが、実際にリスを撃つときは、寝転がって上向きに撃つのはやりにくいので、立って撃つんだそうです。
他の連中はともかく、私はそんな生意気な真似をしたら、それこそ何処に弾が飛んで行くやら。
「じゃあ座って撃つといい」とバートが見本を見せてくれました。
立膝で座って、膝の上に左肘を据えて撃つんですが、首を傾けないと照準が見えず、結構苦しい姿勢です。

5,6発ずつ試し撃ちをして「さぁ、行こうか!」は良いんですが、私の試し撃ちはまんべん無く弾痕が散らばってるから、一体この銃の癖はどうなのか全く不明です。
台尻に描いてあるのを信用すれば、左上に逸れるようなんですが、それ以前の問題ですよ。

2003/06/11:初出
2022/06/04:再録

53-ED BARRAR-08-U.S.A.1964-No.53(8/3)
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