maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

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Today's maido (日記)を主に、新しい記事と併せて、OCNの旧maidoの”やたけた” 内の関連のある日付のToday's maidoや記事も此方へ再掲載しております。


☆☆☆ お薦め与太話 ☆☆☆
支離滅裂-迷想迷夢-地震対策の妄言 目次 をアップしました。(2015-01-18 )、OCNのHPにアップしたのは 2005/02/19 でした。

虚々実々-喜愛香港 目次 をアップしました。(2016-11-12)
虚々実々-心筋梗塞顛末記 目次 をアップしました。(2016-11-12)
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白姫伝説-00 目次

2006-09-27 00:00:00 | 支離滅裂-迷想迷夢-白姫伝説

白姫伝説-01 先ずは時代背景から

白姫伝説-02 起の巻

白姫伝説-03 しつっこい起の巻

白姫伝説-04 まだ起の巻

白姫伝説-05 やっと承の巻

白姫伝説-06 承を今暫くの巻

白姫伝説-07 転の巻

白姫伝説-08 素っ転ころりんの巻

白姫伝説-09 転々と何処への巻

白姫伝説-10 結へ向かって転進の巻

白姫伝説-11 結の巻


白姫伝説-11 結の巻

2006-09-26 06:30:30 | 支離滅裂-迷想迷夢-白姫伝説

<お断り>
例によらず、難儀な事に記事の内容は部分的に特定の団体や個人と関係あるんですねぇ。
というのは、元ネタとして踏まえているのは、大正十三年(1924年)実際にあった出来事なんですよ。
枝葉の部分には見ていたような虚構・フィクションもございますが、幹は実話でございます。

アレレ?と思い当たられる方があったら貴方の事かもしれません。
大正十三年(1924年)生まれなら今年(2006年)82歳。
主要な登場人物は当時既に成人していたから、存命ならば100歳を超えてるでしょうね。
まさかとは思いますが、記事内容について、ご本人から訂正削除のお申し入れがあった場合は、事の如何に関らず全面的に受諾、可及的速やかに実行します。
ただし、ご本人以外の親族・係累・通りすがり等のお方からの因縁・イチャモンにはお相手しかねますので、前以てお断りして置きます。
</お断り>


急な山道を押し合いへし合い頂上へ向かえば、小さな空き地の真中に硬直した佐太郎が。
「ワッ、えらいこっちゃ、佐太郎さまが!」
寄って集って胴かけ脚かけ、神輿や神輿や、ヨ~イサァジァと皆んなで担ぎ下ろした。

頂上から下ろしたは良いけれど、何処も彼処もビシャビシャ、其処を皆が右往左往と走り廻ったので泥々の泥濘。
地べたへ直に寝かせるのもなぁ、と水神さんの祠に突っ張らかった佐太郎を立てかけて、莚や竹で急場の屋根作り。
粗末ながらも屋根が出来た、佐太郎はと見ると、クニャッと硬直が解けて泥まみれになったところは、まるで山伏の酢味噌和え。

仮小屋の中に担ぎいれ、皆が口々に礼を言うても、意識はあるが目が虚ろで反応なし。
兎も角、金助の家まで運んだけれど、呼べど叫べど焦点の定まらん目を開いたままで、一言も言わず一向に変わり無い。
さぁ、これは困った、こんなでかい中年男は始末に困る、まさか保健所に引き取って貰うわけにもいかんやろうし。

言うて居る所へ、内も外も紫色に光ったかと思うたら、飛び切りの雷がバシッ!グワッシャン!
「へ?どうした、今のは何の音や、ここは何処?ありゃ金助なんでお前が居てるねん!」
イヤ良かった良かった、気がついたか、立役者の佐太郎が廃物になったんでは、折角の目出度さも画龍点睛を欠くというもの。

この後も断続的に雨が降り、さしもの旱魃も幕を閉じた。
米は全滅したが、カボチャは今からでもいけるやろう、麦には充分間に合う。
来年米が取れるまで、いざとなればカボチャとハッタイ粉でも命は繋げる。
盆にゃボーブラ食うて祭りにゃ太鼓♪やれ良かった良かったと、大喜び。

放りっぱなしの池の土手、用水路や樋、畦の手入れもせにゃならん。
田圃もひび割れをそのままにしてて、底でも抜けたら来年に差し支える
生き返ったように忙しく畑や田圃で働きながらも気になるのは佐太郎へのお礼。

そ~っと保治郎が聞いてみると、キョトンとした顔で何の事か判らん様子。
あれ以来どうした訳か、穏やかな表情になって、飯も普通の量で済むようになった。
どうやら落雷のショックで、大砲の弾で吹っ飛ばされた以前に戻ったらしい。

只一つ困ったのは、今度は戦争からこっち雷に打たれるまでのことが素っ飛んでしもた。
まぁ、世の中全てが上手い事は行かん。

一段楽した頃に、銀蔵親分が信じられんような多額のお礼を持ってやって来た。
聞けばさすがは興行師、この龍神話を覗きカラクリに仕立て上げ、そこいら中の秋祭りでやるそうな。
多額のお礼はその一手独占権とモデル料も含めての事やて。

さぁ、この金をどうするか?
そうや!あれだけ霊験あらたかな水神さんを、粗末な祠のままで放って置いたんでは申し訳ない。
龍神さんの祠を建て替えよう、それが良い、それが良いと、村に奉加帳を回したら一向に帰ってこん。

どうしたんやろ、誰ぞ罰当たりが焚き付けにでもしたんや無かろうな?と思っていると、一冊でまわした奉加帳が七冊に増えて帰って来た。
おまけにお金は袋に入りきれず、木箱に入れて二人掛りで担いできた。
あの大騒ぎに参加した連中が、それやったらウチの村もと萱野十ヶ村をグルッと廻ってたんやそうな。

今の祠を一寸大きいのに変えて、木の鳥居を新調したらエエやろ。
お金が余れば小さなお神輿の一つでも、と軽うに考えてたのが、こうなると、それではすまん。
白島(ハクノシマ)の奴らは奉加帳で集めた金を懐に入れたんちゃうか?といわれるようでは村の面子に関る。
話しがえらい大層になって来た。

これは一つ専門家のご意見を聞こうと、佐太郎と金助、保治郎が醍醐寺三宝院へお尋ねに。
「ところで予算は如何程で?」
「実が浄財がこれこれ集まりまして、」
「どれどれ、そういう次第なら、」と本山大先達が現地調査に来る段取になった。

水神さんの祠の前でデカイ護摩を焚いて、何やら長々と唱えていたかと思うと、やにわに尾根を登りだした。
尾根の頂上へ上がると錫仗をトンと突いて「うん、此処が良かろう」
「此処が良かろう」てもう少し下の仕事がし良い所に・・・、と保治郎が言いかけると「紳恩を忘れたか!」とエライ剣幕。

別にあんたは水神さんの旦那や兄弟でも無かろうに、と思いながらも相手は玄人。
いざ建築という時には、遷座の儀式一切を取り仕切ってくれるというから、それは便利。
「水神さんではイカンこれからはこう呼ぶように」と墨痕淋漓とかかれた神名も授かって大感激。

お疲れ様でありがとうございました、と昼食が済むとやおら何やら書類を取り出した。
「それではこういう事で、」というから見てみると、色々項目が並んで、最期に合計見積り額。
驚く無かれ、浄財総額とピッタリ同じ、あっ、そういう事か!と気付いても後の祭り。

「よろしいですな。」とデカイ態度で念を押されて、位負けした三人は思わず「よろしくお願いします。」
翌日から早速材木が運ばれて、人夫がやってくる大工が乗り込む。
呆気にとられている内に、分解されて莚で包んだ石の鳥居や灯篭が荷馬車で乗って来る。

あれよあれよという間に水神さまは頂上に、集まったお金は大先達の懐に。
結局大騒ぎの後に残ったのは、白姫大明神に出世した水神さんのお社、水をたたえた三つの池。
何処にでもいそうな独り者の中年男になった佐太郎、というこれぞ竜頭蛇尾を絵に描いたようなお話。
いや、絵やなしに字に書いたお話か・・・。

大正十三年(1924年)大旱魃、白島(ハクノシマ)白姫大明神霊験記、依而如件(よって件のごとし)。
一同、立ちませ~い、やれやれ、終わりましたで、お疲れさん。


へ?後半が蛇足や!てですか、己(ミ)さんが龍になって天に登っただけに、足が生えてた言う事でご勘弁を。

参考:

白姫大明神-由緒書碑文

天理改現 水神白姫大明神
鎮守祭祀勧請事由

暦上大正十三年ハ古来希ニ見ル凶変事ヲ呼ビ 五月ヨリ全国的ニ大旱魃ニ襲ハレ早キ所ハ田植モ出来ヌ府縣モ随所ニ生ジ 国民一般モ飲料水ニモ事欠キ困難一方ナラザリキ 国中ニテ凡ユル雨乞行事ヲ執リタルモ 其ノ効果顕レズ万人困却ニ極ニ達シタ 当地方モ其ノ例ニ漏レズ憂慮シテ居ル折柄明石金助ノ従兄弟ニシテ香川縣大川郡神前村ノ多田佐太郎ト申ス者神霊術修行ノ為メ各地遍歴中神戸ヨリ八月十八日当地ニ来タリテ申スニハ雨乞祈願致シテ必ズ雨降ラストノ事ニテ右多田行人ト明石金助庄司保治郎ノ三名ニテ祈祷イタス事トナッタ 十八日夜ノ神ノ神籤ニハ 廿一日午后三時ヨリ八時間ノ雨ヲ降ラシ其ノ間毎日一時間自至二時間ノ少量ノ雨ハ降ラストノ事ニテ大イニ喜ビ十九日ニハ神前ニテ祈リタルガ其ノ時農民組合員全員同調致シ一心トナリ昼夜ノ別ナク一念込メテ拝ミタレバ神ノ申サル通リ廿一日午后三時ヨリ時刻違ワズ降雨トナリ午后十時マデ降リ続キタリ 民一般万民ノ喜ビハ一方ナラズ神ノ偉力妙法ノ歓喜ハ筆舌ヲ以テ尽シ難ク住民一同神ノ妙味ヲ有難ク感授シタ

水神ノ御社ハ山ノ中腹ニ龍神トシテ祭祀シテ居タガ 神妙光照ニ依リ
神名ヲ天理改現水神白姫大明神ト
改稱シ御社モ頂上ニ遷シタリ



(注)香川縣大川郡神前村(かんざきそん)は現在のさぬき市寒川町神前。

2006/09/26

白姫伝説-00 目次


白姫伝説-10 結へ向かって転進の巻

2006-09-25 06:26:58 | 支離滅裂-迷想迷夢-白姫伝説

<お断り>
例によらず、難儀な事に記事の内容は部分的に特定の団体や個人と関係あるんですねぇ。
というのは、元ネタとして踏まえているのは、大正十三年(1924年)実際にあった出来事なんですよ。
枝葉の部分には見ていたような虚構・フィクションもございますが、幹は実話でございます。

アレレ?と思い当たられる方があったら貴方の事かもしれません。
大正十三年(1924年)生まれなら今年(2006年)82歳。
主要な登場人物は当時既に成人していたから、存命ならば100歳を超えてるでしょうね。
まさかとは思いますが、記事内容について、ご本人から訂正削除のお申し入れがあった場合は、事の如何に関らず全面的に受諾、可及的速やかに実行します。
ただし、ご本人以外の親族・係累・通りすがり等のお方からの因縁・イチャモンにはお相手しかねますので、前以てお断りして置きます。
</お断り>


成り行きで二十一日の三時に雨が降る事になったんはエエのやけれど、午前か午後がハッキリしてなかった。
午前三時には皓々と月が照って雨の気配もなかった。
皆さん少しは気落ちするかと思えば、ヨォシこれで雨は午後に決まりや良かった良かった、と実にエエ性格。

ソレッ、最後の念押し、声が小さい!もっと人数を集めて来いと、何時の間にやら銀蔵が仕切ってるやんか。
おまけにどうやら三交代で、非番の連中が銀蔵の小屋や屋台のお客になるように取り計らってる様子。
もう一踏ん張りや、と一際大きな声唱える真言が寝不足の頭に応えること。

佐太郎、保次郎、金助の三人は文字通り不眠不休、特に佐太郎は図体がデカイは山伏装束で目立つから居眠りもままならん。
ここらで、せめて煙草の一服でもせんと気が狂いそうやが、人目があるのでくわえ煙草で祈祷も出来ん。
早い事皆から見えん所へ行って一服着けようと、蚊除け蚋除けの火縄を振り回しながら、頂上めがけてまっしぐら。
急坂を駆けるようにして登って、さすがに息が切れた太郎は尾根の頂上でへたり込んだ。

呼吸の乱れが静まるのももどかしく、煙草を包みから一本抜き出して、吸い口の紙筒を二箇所90度ずらして潰してと。
火縄の火で吸付けて煙を胸一杯に思いっきり吸い込んだら、久し振りのタバコにクラッと眩暈が来て、う~幸せ。
夜中の三時は雨の気配も無く空しく過ぎた。

もう直ぐ午後三時、このまま逃げようかと思っても、笈・肩箱、山伏の商売道具一式は下の祠の傍に置いて来た。
今更この年では商売替え出来へんし、あれが無い事には動きが取れん。
そうかいうてあんな物を担いでウロウロしてたら、逃げ出そうとしてるのが丸判りやしなぁ。

まぁエエわ、這いつくばって謝ったら、命までとは言わんやろ。
下へ降りたら又暫くはタバコが吸えんどころか、これが末期の煙草になるかも知れん、もう一本吸うてから下りよう。

麓から聞こえる、
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
を聞きながら半ば自暴自棄。

地べたに大の字になって空へ登って行く煙草の煙をを見ていると、急に眠気に襲われて、あっという間に意識不明。
手から落ちたタバコが鈴懸けの上で燻って、焼け焦げの火の輪がジワジワと拡がるのにも全く気がつかず熟睡。
鈴懸けの素材は麻布、それが旱魃で乾ききってるから燻り放題。

「そろそろ三時も近いやろうがなぁ、ありゃ金助、佐太郎さんは何処へ行ったんや?」
「さいぜん最期の念押しに、秘法の祈祷を行なうとかいうて尾根を登っていきましたで。」
「どれそんならワシも様子を見に頂上へ行ってみよか。」

「いや、何やら秘密の祈祷で、人が見たら効果がなくなるから、誰一人来てはならん、というて行きましたわ。」
「ふ~ん、そうかいな。しかし一向に雨の気配も無いなぁ・・・。」
と保治郎が見上げた空に、ポチッと小さな陰りが。

ん?気のせいか、霞み目かと目をこすって見直すと、いくらか大きくなったような気が。
「金助、あそこに何か見えんか?」
「どこです?」

「あそこ尾根の上の方」
「空しか見えませんで」 「そうか、やっぱりワシの思い違いかいな・・・」
「いや、一寸待って、ひょっとしたらあれは雲とちゃいますか?うん雲でっせ保治郎さん、間違いなしに雲。」

「雲が出たからというて、必ず雨が降るわけでも無いしなぁ」
というて居ります内に、ほんのシミ程度やったのがたちまち育って立派な入道雲に。
その上、空全体に雲が急に広がって、何やら吹く風も湿気を帯びているような。
「おいおい、これはほんまに降るかも知れんぞ!」

さて、まさかと思っていたことが、どうやら現実の物らしいとなれば、急にはどうしたらよいのか思い付かん。
兎も角ここが正念場と、集まった者全員が声を揃えて、
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
と一心不乱にトランス状態。
そのとき一段と暗くなった空から稲妻がビカッ!

尾根の上で正体も無く眠りこけていた佐太郎も、この稲光ではっと目を醒ました。
ん?あっ、そうかちょっと休憩と思うたら、寝込んでしもたんやな。
しかし、何やら焦げてるような臭いが・・・、ワ~ッ、火事やぁ!

燻ってる鈴懸を、慌てふためいて脱いだかと思うと振り回した。
鈴懸けの上で燻っていた火が、燃焼の三条件の内で唯一不足していた酸素の供給を得て一瞬にして燃え上がった。
仰天した佐太郎が「ワォ~!」と叫んで、炎を上げる鈴懸けを地べたへ叩きつけて踏み消した。

麓でその叫び声を聞いた村の連中が尾根を見上げると、一筋の白煙が空を指して登って行く、と見る間にドンガラガッチャ~ン。
立ち上る白煙を迎えるかのように、尾根の頂上へ稲妻が走った。
その途端稲光で照らされた空から、大粒の雨がバラバラ、バラッ。

ワ~ッ、雨や雨や!とどよめきが湧き上がり、雨に力を得た声が、
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
あ、もう雨が降ってるんやからお祈りはせんでもエエのんか・・・。

「おい、見たか金助、白龍さまや、ほんまもんや、雨が降ったや無いか。そうや佐太郎さまをお迎えに行かにゃぁ!」
泣く者、笑う者、久し振りの雨に打たれて、このまま~ぁ、死んでしまいたい。
ん?

転がりすぎやがな。
このまんま転がらしてると、何時までも終われんようになる。
蝶々結びでも何でもエエから次で結びにさせて貰います。(その積りやけど、出来るかな・・・。)

2006/09/25

白姫伝説-00 目次


白姫伝説-09 転々と何処への巻

2006-09-24 06:25:21 | 支離滅裂-迷想迷夢-白姫伝説

<お断り>
例によらず、難儀な事に記事の内容は部分的に特定の団体や個人と関係あるんですねぇ。
というのは、元ネタとして踏まえているのは、大正十三年(1924年)実際にあった出来事なんですよ。
枝葉の部分には見ていたような虚構・フィクションもございますが、幹は実話でございます。

アレレ?と思い当たられる方があったら貴方の事かもしれません。
大正十三年(1924年)生まれなら今年(2006年)82歳。
主要な登場人物は当時既に成人していたから、存命ならば100歳を超えてるでしょうね。
まさかとは思いますが、記事内容について、ご本人から訂正削除のお申し入れがあった場合は、事の如何に関らず全面的に受諾、可及的速やかに実行します。
ただし、ご本人以外の親族・係累・通りすがり等のお方からの因縁・イチャモンにはお相手しかねますので、前以てお断りして置きます。
</お断り>


オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ

(本当なら、結願二十一日までの三日分これを続けないかんのですが、それは余りにもご迷惑。容量のこともありますので、端折らせて貰います。)

水神さまのお告げがあったと近郷近在に口伝(クチヅテ)に伝わると、農作業も出来ず金もなし暇なもんやから続々と人が集まった。
誰が言い出したか「お供えは米二合やそうな」というので日照りで大事においてある中から持ち寄る米が山のよう。
白島の各家々はその米を飯に炊いて、集まった人々に握りメシの炊き出しで大忙し。

東は宿久荘、上穂積、西は牧落、神田に至るまで近郷近在から人が集まって、池の周りからどこから人だらけ。
「えらいすんまへん、ちょっとお通しを、ここの世話役さんはどちらに?」
「保治郎はん、保治郎はん、お客さんでっせ!」

「あ、世話役さんですか。お控えください。」
「お~い、誰か書くもん持ってないか?」
「いや、そうやのうて、挨拶、仁義ですがな。お控えください。」
「何や知らんけど、私は真言を唱えるので忙しいよって、手短に頼みますわ。」

「早速にお控えくださり、ありがとうございます。軒先三寸拝借しましての、おんや?軒がおまへんなぁ、ほんなら庭先三寸お借りしましてのご挨拶失礼いたします。私こと立売組(イタチグミ)の銀蔵といいまして、生まれは堀江、長堀で産湯を使い、三味(シャミ)の音締(ネジメ)を子守唄・・・」

「すんまへん、折角エエ気分でおっしゃてるところを腰を折るようでなんですが、先刻も申し上げたように、今取り込んでますんで、ご用件だけチャッチャとお願いできますやろか。」
「いや、それでは義理を欠くことに、」

「欠いてもよろしおます、何やったら割って砕いて貰ろても結構、ほんでどういうご用件、」
保治郎はん何やらせわしい気分で気が立ってしもてるから、相手が何物やらの判断もつかんのです。
其処は銀蔵も相手は素人はんと呑み込んで、腕捲くりし掛けた若いもんを目で抑えた。

「実はこれだけの人出、一つ小屋掛けで出店をしたいと思いまして、その場所割と場所代(ショバ)を・・・」
「あぁ、そんな事かいな、この日照りで畑も田圃もどのみち使い物にならんのやし、二三日の事やから、何処なと空いてる場所で、好きにしてもろたら結構でっせ。」

「そう言うて頂いたら助かりますわ、ところでその場所代(ショバ)は如何程?」
「要らん要らん、気ぃ使わんといて。」
「要らんと言われたから、とタダで済ましたとあっては、仮にも立売(イタチ)の銀蔵と呼ばれてるワタイの顔が、」

「イタチかムジナか知らんけど、いま忙しいんですわ、あなたにお任せするよって、お気の済むように好きにしとくんなはれ。」
「へぇ、ありがたいお言葉、後日ご挨拶に伺いまして、この銀蔵必ずご納得いただけるようにさせてもらいます。」

バタバタと屋台が建って、下の田圃にはサーカス小屋、流れるジンタ「天然の美」。
「オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ」に混じって客引き売り声オッペケケの提琴にドジョウ掬いの桶太鼓。
ゾウの鳴き声もパォ~ンとこだまするという、まぁその賑やかな事。

白島一帯に突然一大歓楽街が出現、人は人を呼び町方の連中も見物にやって来て大賑わい。
箕面有馬電気軌道の駅からは乗合馬車が列をなしてピストン輸送。
何時の間にやら白蛇と鼬を描いた旗を用意した立売組(イタチグミ)の銀蔵。
これをつけてない馬車は如意谷、坊島、萱野の要所に設けた検問所で通行料を徴収するという手回しの良さ。

銀蔵自身は水神さんのお社から一寸脇へ寄ったところに据えた、賽銭箱ほども有ろうかという銭函を背に大あぐら。
小屋崖屋台からの場所代、アガリ、乗り合い馬車の鑑札代、通行料期間限定の荒稼ぎ。
朝昼晩一日三回日本勧業銀行が巡査に守られて受け取りに来る。

さすがに三日目ともなれば、最初から出ずっぱり交代なしの佐太郎、保治郎、金助は不眠不休でヨレヨレ。
「こないに人が集まるとは思わんかったなぁ。それにしても、何とか口実をつけて休憩せんと、もぉ、保(も)たん。おい金助。」
「オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ」
金助!

「わっ、何やねん、人が眠(ネ)てるのに耳元で大きな声上げて!」
「何と器用な、眠(ネ)もって真言を唱えてたんかいな!」
「いやもぉ、頭の中がワンワンいうて、起きてるのやら眠(ネ)てるのやら、ようわからん。」

「さ、それや、こうぶっ続けでは到底体が保たん。どこぞ目に付かんで休憩できるところは無いか?」
「この小径を上がって行くと、尾根の上に小さな広場があるがなぁ。」
「ほな、ワシちょっとここを抜けるよって。」

「お前が行くならわしも行く!」
「二人とも居らんようになったら具合が悪いやないか。一服したら交代したるから、もう一寸辛抱してくれ。」
「ほんまやな、頼むで!」

「おっと、タバコを切らした。金助タバコ。」
「吸わんから持ってない。」
「木で作った牛を仰向けに置いたように愛想の無い奴やなぁ。」

「何やねん、その木で作った牛がどうとか言うのは。」
「お前も細かい事に拘らんでもエエやないか、思い付きや思い付き。」
「思い付きにしては念の入った言い草やなぁ・・・」

「卒爾ながらタバコのお好みは刻みでっか紙巻でっか?」
「これは銀蔵親分、いえ煙さえ出たら何でもエエんですわ。」
「これでよければ、ど~ぞお持ちを。」

「おや敷島!そやけど真っ新(サラ)のを一箱丸ごと頂戴したんでは気の毒な。」
「何を仰います、こうして人を集めていただいて、私どももお陰様で稼がして頂いております、タバコでよければ貨車一杯でも差し上げます。」
「そないに貰ろてもタバコ屋をするわけやなし、それではありがたく頂戴を。」

ムッ、どうやら着陸点が見えてきたような・・・。
ここでドジを踏んでは何をしてるこっちゃわからん。
徐々に高度を下げぇ、針路そのまま宜候(ヨォソロォ~)


2006/09/24

白姫伝説-00 目次


白姫伝説-08 素っ転ころりんの巻

2006-09-23 06:23:27 | 支離滅裂-迷想迷夢-白姫伝説

<お断り>
例によらず、難儀な事に記事の内容は部分的に特定の団体や個人と関係あるんですねぇ。
というのは、元ネタとして踏まえているのは、大正十三年(1924年)実際にあった出来事なんですよ。
枝葉の部分には見ていたような虚構・フィクションもございますが、幹は実話でございます。

アレレ?と思い当たられる方があったら貴方の事かもしれません。
大正十三年(1924年)生まれなら今年(2006年)82歳。
主要な登場人物は当時既に成人していたから、存命ならば100歳を超えてるでしょうね。
まさかとは思いますが、記事内容について、ご本人から訂正削除のお申し入れがあった場合は、事の如何に関らず全面的に受諾、可及的速やかに実行します。
ただし、ご本人以外の親族・係累・通りすがり等のお方からの因縁・イチャモンにはお相手しかねますので、前以てお断りして置きます。
</お断り>


「ホンマや言うてるやろ、保治郎はんもちゃんと見はったし聞きはってんから!」
「どれ、耳を見せてみいな。コラあかんわ!」
「何があかんねん?」

「詰ってしもうてて、向こうが見えへん。」
「間に脳味噌があるねんわい、耳の穴が行け行けに向こうまで突き通ってるわけが無いやろ!」
「ありゃ、お前の頭にも一人前に脳味噌が入ってるか?」

「しかし、水神様が現れて、21日の3時に雨が降るとお告げがあったと、突然いわれてもなぁ。」
「雨が降るて、あのお月さん見てみいな、傘も何んにも被ってないし、まるで真冬みたいに銀色やがな」
市衛門をからかいながらガヤガヤ言うてやってくると、ひしゃげた仮小屋の中からのっそりと佐太郎が立ち上がった。

「ウワ~、出た~!!天狗、天狗が・・・」
「天狗やない、佐太郎さんやがな。今雨が降るとのお告げがあったぞ。」
「天狗が保治郎さんの声で喋ってる!気の毒に丸呑みされたんやろか?」

「お前等の頭はどういう構造になってるねん、丸呑みされたら喋れる筈がないやろが。」
「あっ、保治郎さんご無事で、これはこれは祝着至極。」
「アホな事いうてんと落ち着いて聞きや、水神様のお告げでは雨が21日の3時に降るそうな。」

「えっ、市衛門のいうてたんはホンマやったんかいな。そやけど一向に雲が出たようにも見えませんで。」
「今すぐやないがな『21日の3時に降る、心配するな』と水神様のお告げがあったというてるやろ。」
「何です、時間まで指定してますのんか?そんなもん出任せに決まってますがな、信用出來まっかいな!」

「信用するもせんも、もし降ったら儲けもん、どっちみち雨が降らんことには仕事も何も出來はせぇへんのじゃ。ここは一つ佐太郎さんに教えてもろて、皆で水神さんにお祈りしょうやないか。」
「成る程、そういえばそうや、やっぱりマイタリ、マイタリ、ソワカを百八回でっか?」

「それは庚申さんやがな、サルと己さんと一緒ではいかんやろ。佐太郎さん一つお祈りの仕方を皆に教えてやってください。」
「何やねんな、引っ張りな、引っ張りな!いうてるやろが!」
「そやけど、どうする積もりや佐太郎。話が妙な方向に進んでるやないか。21日に雨が降らんかったら逃げようがないぞ」
「逃げようがないなら、ここに居らんとしょうがないやないか。そないオロオロせんと腹を括らんかい!」

「お前はどつかれるかどうされるか知らんが、みんなの気が済んだらエライお騒がせと何処えなと行ってしもて、それでええやろうが、ワシは狭いながらも田畑があるのやさかい、此処から逃げられんのや。」
「心配ない、逃げんでもこのまんま雨が降らんかったら、早晩あの世からお迎えが来て楽になるわいな。」


「何を二人でゴジャゴジャいうてますねん。みんな待ってますよって佐太郎さんおねがいしますわ。」
「どれ、それでは私の言う通り後からついて唱えなされ。漸傀慣悔、六根清浄(ザンギザンゲ、ロッコンショウジョウ)。大峰八大、全剛童子(オオミネハチダイ、コンゴウドウジ)。大山大聖、不動明王(オヤマダイショウ、フドウミョウオウ)。石尊大権現。大天狗小天狗(シャクソンダイゴンゲン、ダイテングショウテング)。哀患納受、一律礼拝(アイミンノウジュ、イチリツライハ~イ)。」

「わ~い、保治郎はんえらいこっちゃ!」
「どうした、どうした!」
「松島の千代蔵じいさんと浅上の鶴松じいさんが舌噛んだ・・・」

「あのぉ、それは余りにもややこし過ぎますんで、もう一寸短い素人向けの簡単なんはおまへんやろか。」
「無い事もないが、それで雨を降らそうと思えば、ワシは渾身の念を込めて祈らんといかん。そのためには満願の日まで毎日一升の白飯が要るが承知か?」
「へぇへぇ、それで済むなら一つお願いします。後押しに近郷近在から人を集めて一緒に唱えさしますよって、どうぞ雨のほうをよろしく。」

「そうかそうか、よし心配するな。ところで、雨は何時(イツ)降るというた?」
「あなた自分で言うといて、今更、何時(イツ)降るとはどういう事でっか!先刻も言いましたやろ、21日の3時と言うたと、ひょっとしてあれは出任せ?」
出任せとはぬわにを言うか、あれはワシが言うたのであってワシが言うたのやない、水神様がワシの口を借りておっしゃったのじゃ。又何やねんな、引っ張りな、引っ張りな!いうてるやろが」

「あんまり偉そうに言わん方が身の為・・・」
「此処まで来てしもたら、どうしようが一緒や。どのみち逃げられはせん、お前も覚悟を決めぇ。」
「そんな殺生な、お前の道連れは厭じゃ!」


「何です?」
「いや、こっちの話ですよって、お気になさらず。それでは始めますぞ、よろしいか?」
「へい、なるべく短いのんでお願いします」

「オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ!」


「へ、それでお終い?」
「お気に召さんかったら、もっと長~いのんにしまひょか?」
「いえいえ、鱶(フカ)除けの六尺褌(フンドシ)やあるまいし、それで充分でおます。」

「オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ」
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ
オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ


収拾が付かんようになったら胴体着陸をせんならん。
そういう場合に備えて前持って高度を充分取って置かんとね。
上がれるだけ上がっておけば着陸点が見えるやも知れず、万が一錐揉みで墜落しても苦しまんで済みますやんか。
そこで目下出鱈目度を高めるべく、エンジンのぉ音ごぉごぉおと♪全開急上昇を試みております。

ところで「オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ」というのはご存知のように勢至菩薩さんの正真の真言(真言宗)です。
場所は香川県で真言宗弘法大師には縁が深い、ウチの総本家とされてる神社が神さんの世界では高野山の地主。
同じことなら一寸でも引っ掛りがあるほうが、と真言宗の方を採用したんですわ。

ちなみに天台宗では「オン サンサンサク ソワカ」とにごりが無くてちと短いんですなぁ。

さて勢至菩薩さんに雨を降らせる力が有るなどと聞いた覚えは全くおません、この部分は口から出任せです。(キッパリ)
もっとも、勢至菩薩さんのお姿は冠に水瓶の装飾があるのがおおいようで、その水瓶にはご本尊を供養する水、又は、甘露の宝水を貯えてるんやそうです。
ま、そう思えば、水と関係が有るどころか、まともに水がらみ、てぇことで、恐れ多くも担ぎ出してまいりました。

で、勢至菩薩さんのお縁日が二十三日、是が又私の誕生日♪
水瓶座(the Water Bearer、Aquarius)との関連もありそうで、そうなると水瓶座は私の星座だけにますます縁が深い。
勢至菩薩の誕生の秘密と黄道十二星座なんてぇのは実に面白そうやけれど、今はそんな方へ寄り道どころや無い。


この真言を唱えると、煩悩が去って、智慧を授かり、悟りの境地に入れるということです。
さぁ、それでは皆さんもご一緒に、
「オ~ン サン ザン ザンサク ソワカァ」

2006/09/23

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