うたた寝映画日記

米子ではたらく税理士の個人的映画論

予定調和の安心感~寅さんより~

2006年10月29日 18時36分21秒 | Weblog
毎週、土曜日夜9:00からNHK・BSで寅さんシリーズ映画を放送している。

遅ればせながら、やっとこの歳になって寅さんの面白さがわかってきた。昔は、ただのおじさん映画ぐらいにしか思えなかったのだが。

私はみつお役の吉岡秀隆くんと同世代なので、自分がみつおと同じ歳の頃の作品だと年表がわりに丁度よい。

それにしても、旅先で出会ったマドンナに恋をして、柴又に帰ってひと悶着起こし、結局フラれて旅に出る。

という予定調和の繰り返し。観客を含め、家族もみんなそうなると思っているが、それがなぜか安心する。予定調和の織りなす安心感。だからあの映画があれだけ続いたのはストーリー云々ではないのだ。

じゃあなぜに48作も続いたのか?

寅さんは、みんなに気っ風よくおごってやるのだが、出した財布はいつもお金が足りない。だけども出すのだ。その先のことなんか考えない。素敵だ。

寅さんは「それを言っちゃあおしめえよ」が口癖だ。日本人は、本音を言わないことで他人との関係を上手に保ってきた民族のように思う。だから、何気ないこのセリフは実は奥深い、昔ながらの日本人のココロを表現している。

そして寅さんは、身の回りの人たちの幸せには積極的なのに、自分のことになると一歩引いてしまう。まるで自分が幸せになることが罪であるかのように。幸せに臆病なのだ。たぶん、だから憎めないキャラなんだろう。

こうして日本国民が寅さんの幸せを、世帯(しょたい)を持つことを願うのだ。

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