うたた寝映画日記

米子ではたらく税理士の個人的映画論

日本の医療制度はどこへ向かうのか

2007年09月24日 18時32分42秒 | ビジネス
現在、厚労省は平成24年までに、今ある病院の病床数(ベッド数)を38万床から15万床に削減する方針を打ち出している。

ざっと23万床が廃止になるのだ。

これを達成すべくまずは、平成12年に創設された介護療養型医療施設を平成24年に廃止するとしてきた。
国の施策を信じた医療機関はたまったものではない。さすがにこれは酷だろうと、介護療養病床は、老人保健施設やグループホームなどの介護施設に転換してください。さすれば行政も支援しますよ、としているが、厚労省の方針転換に打撃を受ける医療機関もさることながら、現に今療養施設に入院している患者はどうするのか?
それをカバーすべく在宅医療に切り換え、国は地域ケア整備構想を打ち立てる。
つまり、長期入院できる程のベッド数はないので、入院できない患者さんは、開業医の先生方が在宅で面倒見てあげて、最後は昔の日本のように死ぬときは家で看取ってあげてくださいね、ということだ。在宅医療に携わるドクターには診療点数(レセプト)は多めに設定しますので。という机上の空論。
点数配分しか考えていない。
減らしたい分野には、点数を少なめに、増やしたい分野には点数を多めに。

国としては、「医療費削減」が合い言葉である。

シミュレーションではこうすれば確かに医療費は減るらしい。

しかしながら、現場では患者それぞれの事情があるはずだ。できれば住み慣れた我が家で療養したくても、家族の事情で長期入院している人もいるだろう。昔は子供や孫が年老いた両親の介護はしていたものだが、今では様相も変わってきている。
私も高校時代、毎晩夜中、祖母を手洗いまで付き添った記憶がある。

家族の在り方。

小津映画の中の「家族」はもう日本には存在しないのか。

国も歳出削減、医療費削減で苦肉の策であろうが、医療の現場だけでなく、家族の現場を考えねばならない。そうするといちばん根底にあるのは教育の見直しであろうか。
「さればとて墓に布団も着せられず」