高田博厚の思想と芸術

芸術家の示してくれる哲学について書きます。

ひとりの理想主義者もいない日本的意識の日常性と、ヨーロッパの負の反復

2023-05-24 03:08:21 | 日記

ひとりの理想主義者もいない日本的意識の日常性と、ヨーロッパの負の反復


「高田博厚」

 
高田博厚は、真の理想主義者は日本にはひとりもいないと言いきっている。ぼくも、多くの日本人は条件反射的に、理想主義と言うだけで甘いと反射実験用の犬のように吠えることを、経験している。つまり日本人は、自己が行動することが思想であること、理想と結びついていることが、解らない。だからデカルトの原理命題「コギト エルゴ スム」の、思想即行動であることの意味が解らない。じぶんが甘いことを認める代わりに理想主義が甘いと吠える。ヨーロッパの理想主義は、たとえばロマン・ロランの軌跡が示しているように、むしろ悲劇的闘争の連続である。いわゆる現実も、理想が格闘しなければ、真の現実ですらないのである。
 
その高田が、ヨーロッパの第一次世界大戦へ至る過程は、第二次世界大戦後の、当時における「現在」までの過程と酷似していると書いている。第三次世界大戦の危機意識は多くの人物たちにおいてずっと維持されてきた。それが、現在における「現在」まで引き延ばされてきたということだろう。事実としては欧米はずっと戦争をやってきた。それがG7なのだ。正義の旗振り役の意味はそういうことである。文化的には斯くも偉大なヨーロッパは、政治によって破壊された。再び破壊されようとしている。自業自得である
 
 
高田博厚訳「ジャン・クリストフ」 訳者解説を読んで 
 
 
 
 
 
 

参照「西側の対ロシア経済戦争敗北は 古い世界秩序の終焉を物語っている」(独誌)

2023-05-23 02:58:57 | 参照

 
西側の対ロシア経済戦争敗北は、古い世界秩序の終焉を物語っている
 
2023年5月18日, 23:00
 
 
独誌デア・シュピーゲルは、西側諸国は経済戦争でロシアに勝てなかったどころか、今年2023年のロシア経済の成長率はユーロ圏の平均を上回るだろうと報じている。同誌は、これは古い世界秩序が終焉を迎えたことを物語っているとし、欧米は「言うことを聞かない」国々に対する説教や制裁を広く行使しているにもかかわらず、世界における支配的な地位を失いつつあると強調している。
デア・シュピーゲルの記事の筆者、ヘンリック・ミュラー氏は「西側はロシアのドル、ユーロ、ポンド建ての外貨準備を凍結し、西側と東側の貿易の大部分を停止し、(ロシア産の)石油およびガスの輸入を削減し、価格に上限を設け、(ロシア産石油を輸送する)船舶に対する保険の提供を禁止し、その他にもたくさんのことを行った。しかし、ロシア経済は機能し続けている。途切れ途切れではあるが、それでも引き続き機能している。そして、このようなことが可能であるということは、世界が何年もの間にどれほど大きく変化したかを示している」と指摘している。
同氏によると、1990年代にグローバリゼーションのプロセスが始まる前、G7諸国は世界の国内総生産(GDP)の約半分を占めていたが、現在は3分の1にすぎないため、西側諸国はもはや自分たちのルールを世界のその他の国々に押し付けることはできない。ミュラー氏は、その結果、中国やインド、その他の国々はかつての「世界覇権国」である米国の指示を無視し、対ロシア制裁には加わらず、西側は手にすることができなかった自分たちに大きな利益をもたらすロシア産の石油およびガスを積極的に購入し続けたと強調している。そしてロシア政府は、欧州と米国向け供給分の損失を補うことができた。さらにロシアは各国通貨での取引に移行した。その結果、欧米はユーロを武器として使って状況に影響を与えるチャンスを失った。
 
(日本はロシアからの天然ガス供給を増やすだろう=在札幌ロシア総領事 5月16日, 17:43)
 
デア・シュピーゲルは、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの大部分は集団的な西側諸国の懲罰的措置を無視し、現在は国際舞台でさらに独立した行動をとっており、それは石油の問題に限らないと報じている。ミュラー氏はその一つの例として、今年1月に就任したブラジルのルラ大統領の北京訪問を挙げ、これは同氏がワシントン、ベルリン、ブリュッセルに彼らの利益のためにブラジルを利用するのを許すつもりはないことを示していると指摘している。ミュラー氏によると、グローバル・サウスの動きに対抗して米国と欧州連合(EU)は現在、ロシアが西側の規制を回避するのを支援する国々に制裁を加えると脅しているが、これによって西側の人気が向上することはなく、かつての同盟国をますます遠ざけているという。
同氏は、世界覇権国の役割を取り戻すことができるのは、例外なくすべての国に平等な権利を保証するリベラルな世界秩序を提供できた場合に限られるとの見方を示している。一方、ミュラー氏は、米国とEUが世界経済の舞台を戦略的対立の場とみなしている現在、事態がそのように進展する可能性は低いとしている。
 
 
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2022年のロシアの国民1人あたりのGDP、過去最大水準に近づく
 
2023年5月20日, 20:24
 
© Sputnik / Vitaliy Ankov
 
2022年のロシアの国民1人あたりの国内総生産(GDP)は1万5000ドルを上回り、2013年の過去最大水準に近づいた。スプートニク通信が国際通貨基金(IMF)のデータを分析した。
データによると、ロシアの2022年の国民1人あたりのGDPは1万5440ドル(約213万円)だった。前年より2820ドル増加(前年比22.3%増)し、2013年(1万5930ドル)以来の高水準となった。
2022年の国民1人あたりのGDPは、調査した100か国のうち74カ国で増加した。成長率が最も高かったのは、ガイアナ(89.1%)で、続いてアルメニア(40.6%)、グルジア(ジョージア、33.4%)、クウェート(32.7%)、セーシェル(31%)の順だった。
 
(ロシア、世界の経済大国上位10か国に返り咲き 2014年以来
5月7日, 17:54)
 
一方、25か国で減少した。そのうち19か国は欧州の国だった。最も減少幅が大きかったのは日本(マイナス15.2%)で、スウェーデン(マイナス8.6%)、韓国(マイナス7.9%)と続いた。そのほか減少幅が大きかった上位10か国には、ハンガリー、フランス、チリ、フィンランド、ルクセンブルク、ドイツ、イタリアが入った。
 
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ロシア、世界の経済大国上位10か国に返り咲き 2014年以来
 
2023年5月7日, 17:54
 
© Sputnik / Vladimir Trefilov
ロシアは2022年、世界の経済大国上位10か国に返り咲いた。2014年以来8年ぶり。スプートニク通信が世界銀行と各国の統計局のデータに基づいて算出した。
2022年のロシアの商品・サービス生産は2兆3000億ドル(約310兆円)で、8位だった。ロシアが上位10位に入ったのは2014年以来。2014年のロシアの国内総生産(GDP)は2兆500億ドルで9位。2021年は11位だった。
2022年の世界第1位の経済大国は米国(GDPは25兆4600億ドル)、2位は中国(17兆9400億ドル)、3位は日本(4兆1700億ドル)で、前年と変わりはなかった。
4位は前年と同じくドイツ(4兆700億ドル)、5位はインド(3兆4000億ドル)、6位は前年と変わらず英国(3兆700億ドル)、7位も前年と同じくフランス(2兆7800億ドル)だった。


(ロシア経済はウクライナや欧州よりはるかに強い 欧州では政治的分裂も=米誌
5月2日, 13:30)
 
9位はカナダ(2兆1400億ドル)、10位は前年の8位から順位を下げたイタリア(2兆100億ドル)となった。
 
 
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G7の対露制裁強化は西側諸国の失敗の証=英紙

2023年5月22日, 13:40
 
 
英紙ガーディアンのコラムニストであるラリー・エリオット氏は、G7(先進7カ国)による対露制裁強化の決定は、西側の無力さを示すだけだととの見解を示した。
エリオット氏によれば、G7首脳の声明は、ロシアと対峙する西側諸国の「失敗」を示している。
「この15ヶ月間で、ロシアのように天然資源と技術的ノウハウに恵まれた国を経済的に包囲することの難しさが露呈した。国際通貨基金(IMF)による初期の予測では、ロシア経済は2022年に8.5%縮小するとされていたが、2.5%の下落に修正された。IMFは、今年は0.7%の成長率になると予測している。インフレ率は3年ぶりの低水準となる2.3%で、米国、英国、ユーロ圏よりも低い」とエリオット氏は指摘。
 
 
同氏の見解では、制裁はロシアが輸入品を国産品に置き換えることを促している。
またエリオット氏は、「いくつかの技術はまだ習得されていないが、ロシアは食料、燃料、原料、科学技術人材など、基本的な要素には欠けていない」という米経済学者ジェームス・ガルブレイス氏の見解を共有した。
 
 
 



黒澤明 続姿三四郎

2023-05-22 02:14:22 | 日記

黒澤明 続姿三四郎


 
(1945年作)を数時間前に久しぶりに再び観た。そして、ああなるほどと、その価値に気づいたところである。これは書かねばならない。前作姿三四郎の際もそうであったが、主人公は、争いの瞬間に争いを超越しているのである。これは観念的な構えを黒澤が構成しているのではないという証が この作品にはある。なぜなら、この作品を観て(黒澤の作品だけではないが)なによりも感銘をおぼえるのは、あの大変な時代の頂点の時期に、よくこのような人間性の情調のある世界をつくれたものだという、そのことだからである。この作品も、根本において争いを超越している、あるいは争いの波濤の水面の底に潜った、日常の変わらなさを証しているのだ。黒澤は、この作品をつくることで、意識して、戦争に抵抗しているのである。人間を護るために。戦いの最中に、戦いを超越した彼方を見遣る表情を、姿に数度させている。あれだけの白人を作品に動員できたのも、根本において争いを超えたものをつくりたいという黒澤の気持が通じたからだろう。「きっと勝ちます」という台詞を女優に言わせているのも、表面的な戦勝祈念の表現ではなく、人間は争いそのものに勝って人間の証を立てなければならないことを言っているのだ。そして争いは人間に負ける。このことを全演出で黒澤は観る者に読み解かせているのだ。あの時期にこれをやった黒澤のみならず、これを理解し、この作品と公開に参与したすべての者たちは、偉大である。人間の偉大さとは、時流に抵抗して創造する行為なのである。われわれの高田博厚も、同時期に、地球の裏側で、それを、人間の証を行ない、記録したのである。
 
 
 
 
 
 

日本人の民族的精神病 ””⁂本人にたいする他人という問題 行為は役に立つか ””

2023-05-21 01:26:30 | 日記

日本人の民族的精神病 ””⁂本人にたいする他人という問題 行為は役に立つか ””


二度目の再呈示
 

2023年02月28日
初再呈示 
 

2022年02月28日
  訓 
 
他人が本人を理解しないのはまだいい。本人が承服できない誤解や信念を本人に押しつける他人というのが、有害なのだ。この単純な問題をどうにかできないものだろうか。
 
 
知性の欠如と言うしかないわね。
 
日本人全体の民族病だ。それをますます感想する。学の有無にかかわらないところが深刻なんだよね。
 
勉強したからどうなるものでもないとおもうわ。
 
なにを(どういう次元のものを)勉強したかも問題だしね。
 
 
ぼくは勉強や行為から遠ざかることが大事なんだ。気持を整える思惟状態にじぶんを保つには、行為は役立たないどころか大穴を開けてしまう。 
 
ブッダさんみたいな心境ね。 
 
じじつそうおもうんだよ。勉強はほんとうはぼくにはもう必要ない。副作用のほうがおおきくってね。克服したものがよみがえる大隙を意識につくってしまう。それを義理がたくやっているんだから。勉強している人々を振り返ってみなよ。どこに、尊敬をおぼえる賢人がいるかね。いたるところその反対だ。
 
勉強そのものが、精神状態によくないのね。
 
人間にかかわった記憶が付いてるかぎりはね。
 
 
デカルトに倣う瞑想がいちばん効果があるよ。この世からじぶんを分離する意志だ。
 
 
うまくじぶんを調整していってね。 気づいてらっしゃるんだから。
 
 
あっ!そうか! ディオティーマは行為じゃなくて瞑想していたんだね。 ヘルダーリンみたいじゃなくて。 
 
 
 
 
 
 

”「人間」を護る”

2023-05-20 23:23:30 | 高田博厚の芸術哲学

”「人間」を護る”


「高田博厚」

 
2021年06月07日

高田博厚 芸術論

 
高田さんは、いちばん恐ろしいことは「人間」が無くなることだ、と書いている。これは、人間が「自然」や「神」と自分とを照応させることをかんがえなくなることだ、と言い換えられるだろう。この根本的な文化課題について深く思いを巡らすことが、ぼくがぼくとして生きる課題でもある。 
 
 世のなかはおかしなことばかりで、ぼくの遭遇した事件も、いまの禍も、高田さんが経験した戦争も、人間を人間ならぬものへと背かせ呑み込もうとすることでは同じである。人間から矜持を奪おうとする。 「芸術は反運命的なものだ」 とアンドレ・マルローは言ったが、これは、宿命に抗して己れの運命を成就する、と言っても同じだとぼくは思う。己れの運命さえ持ち得ないのが、いまの世の大方の人間である。 
 
 高田さんは、争乱の渦中においても先ず自分の「人間」を護ろうと、デカルト的な決意で臨んだ。それがどれだけ「個」を超えて普遍的な意味をもつものか、われわれがその「遺品」を前にして感じ思うのは、そのことでなければならない。『無言館』のそれと同じである。