昨日もちょっと触れた「国宝・薬師寺」展ですが、感じたことをいくつか。
先日NHKBS(だったかな?)にて、特集 「薬師寺」を放送していたのを、用をしながら横目で見ていましたが、はるばる奈良から無事日光・月光菩薩像が到着され、その厳重な養生が解かれたとき、学芸員の方でしょうか、若い女性が思わず合掌されていました。
地球上には偶像崇拝を禁じる宗教もあるようですが、何かにうたれ、自然と手を合わせる、その素直な心こそが信仰だと思うのです。
偶像っていっても、ここまで有難ければ!
そりゃー、言ってしまえばただの金属の塊なんですが、すでに千年以上善き祈りを吸い込んで、科学では割り切れないなにかを醸し出しているのだなあ、形が美しいというだけで人々の心を動かしているのではないのだということを、会場で両菩薩を取り巻く人々の顔を見て感じました。
それにしても、展示方法も良かったです。
東博、昔はほんとうに「はくぶつかーん」という感じで、感情を揺り動かすことを狙うなんて下世話だとでもいうような展示だったのが、近年エンターテイメント精神が芽生えたのでしょうか、展示方法自体を見るのも楽しくなってきました。
今回は特に良かった。赤を多用したのは、奈良という時代の建物を再現したというのもあるでしょうが、こちらの気持ちを知らず知らずのうちに昂ぶらせるという効果も狙っているのでしょう。
聖観音菩薩立像でまず感動、日光・月光菩薩像へすすむスロープを登っているうち心拍数も上昇、そしていきなり両菩薩の全身が現れる、これじゃ血管と心臓の弱い人は危ないぞ~。
そしてまた、像の黒く鈍い輝きに赤が合う~。
皆さん、微熱のあるようなお顔で拝観されていました。
こういう演出には乗らなきゃ損というものです。みなさん純で素直だからこその感動をいただき、両菩薩はさらにパワーアップというわけで、薬師寺展、大成功。
人工の美を満喫して庭園に出ると、ここにも仏性の宿りしものたちが。