百物語改め「九一三・六物語」

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物語シリーズ 終物語 第2話そだちリドルの数式その他 2

2015-10-18 | 数学

物語シリーズ 終物語 第2話そだちリドルの数式その他

前回の記事の続きです。

【阿良々木くんと老倉さんの式】

阿良々木くんと老倉さんが対峙する背景に式がたくさんあります。


「128√e980」

小さく128sqrt{e980}という式が見えます。

これはジョークみたいなもので、式の上半分を消すと「I LOVE YOU」となります。

阿良々木くんと老倉さんが向かい合う場面で「I LOVE YOU」が隠れているのは何か意味があるのでしょうか。


「E=mc^2」

有名なエネルギーと質量の等価性を表す式。数学というよりは物理です。


「S=klogW」

ボルツマンの関係式。エントロピーと状態数の関係ですが、ボクは詳しくないので詳細は他サイトに譲ります。


「ラプラス変換」

F(s) = int_{0}^infty f(t){e}-^{st}dt

なんか妙にレイアウトがずれていますが下記のラプラス変換の式でしょう。

F(s) = int_{0}^infty f(t){e}^{-st}dt

関数の微分、畳み込みなどについて、ラプラス変換の世界に行くと扱いやすくなるというメリットがあります。

「ラプラス逆変換」

f(t) = lim_{ptoinfty}   frac{1}{2pi i} int_{c-ip}^{c+ip} F(s)mathrm{e}^{st},ds

上記ラプラス変換の逆、ラプラス逆変換の複素線積分を用いた表記です。

実際使うときは経路のチョイスにテクニックが要りそうです。

前回も書きましたがこの場面はわりと複素積分の式が多いです。


「テイラー展開」

f(x)=sum _{n=0}^{infty}frac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n

関数を多項式で近似する式です。1話でのテイラーの定理から現れます。

剰余項によって収束する範囲が有限になりえます。(左辺の関数値は存在するのに右辺が収束しない場合がある)


「留数定理」

f(z)dz=frac{1}{2pi i}int_c frac{f(zeta)}{(zeta-z)}dzeta

zにおいて正則であるfについて成立する式です。左辺のdzは不要なので正しくは

f(z)=frac{1}{2pi i}int_c frac{f(zeta)}{(zeta-z)}dzetaでしょう。


frac{f(zeta)}{(zeta-z)}はzにおいて1位の極となり、そのローラン展開のn=-1での係数はf(z)になるので留数定理によってf(z)が取り出せるわけです。


「不確定性原理」

Delta x Delta p geq frac{hbar}{2}

位置と運動量の測定の正確さの限界を示す不等式です。

多分ド・ブロイ波の式p=frac{h}{lambda}によって波長の短い波ほど運動量が大きいことから導かれるんじゃなかったかなあと思います。詳しくはwebで。


「三角関数」

tantheta =frac{sintheta}{costheta}

高校で習う3つの三角関数の間に成り立つ式の1つです。

正直sintheta= tantheta cdot costhetaと覚えたほうが楽でしょう。


【モンティホール問題】

阿良々木くんと扇ちゃんが下駄箱でみつけた封筒にはモンティホール問題を意識した文が書かれていました。

結果としては扉を選び変えたほうが確率的には得なのですが、

変更してハズレだったら後悔が大きそうです。

はじめに扉を選ぶときにハズレだと思う扉を選ぶのが心理的に楽な気がします。

マリリン・ボス・サバントというIQの高さでギネスに載っている人が解答したことで有名なようです。

↑モンティホールのシーンでの扇ちゃんはかわいい。

 

【世界5分前仮説】

阿良々木くんと扇ちゃんの会話にでてきた「世界5分前仮説」。

人の記憶含めたこの世のすべてが5分前に作られたものだという仮説。

5分という具体的数字にはとくに意味はありません。

証明も反証も不可能でしょうから、仮説は永久に仮説のままでしょう。

時間的な広がりに対する懐疑が「世界5分前仮説」なら

空間的な広がりに対する懐疑は「水槽の中の脳」になるでしょう。

広い世界、宇宙はなくて、世界は水槽の中の脳に入力される信号である、という仮説です。

 

↓中学生時代のショタ版阿良々木くん

 


妖怪ウォッチと最大公約数

2015-10-17 | 数学

数学の問題を見るととりあえず解いてみようとする癖があります。

妖怪ウォッチの90話「妖怪おもいだスッポン」で黒板に書かれていた問題です。数学というか算数です。

 



宿題1
りんごが20個、みかんが64個、いちごが92個あります。
なるべく多くの人に同じ数だけ分けると
それぞれ何個ずつになるでしょうか。

解答
同じ数だけ分けるので人数は個数の約数でないといけません。
なるべく多くの人に分けるので人数は最大公約数になります。
ユークリッドの互除法など使ってもいいですが、20の約数を順にみていったほうが早いでしょう。
答えは4人で分けた場合で、個数は
りんご5個、みかん16個、いちご23個 となります。

宿題2
机の上に6枚のカードがあります。
それぞれ2798,63,27,19837,792,8584と書かれています。
6枚のカードの最小公約数はいくつでしょう。
ヒント:文章をよく読みましょう

解答
数字がカードに書かれているという状況設定に必要性を感じませんが・・・。
ヒントにあるように文章をよくよむと「最大公約数」でなく実は「最小公約数」となっています。
なので計算するまでもなく答えは1となります。
というか「最大公約数」としても答えは1となります。


物語シリーズ 終物語 第2話そだちリドルの数式その他

2015-10-15 | 数学

 

終物語第2話を視聴しました。

1話に続いて数式その他数学的な話題が登場したので少し解説します。

【OPの図形】

オープニング(mathemagics)で出てくる二つ並んだ図形は立方体の四次元バージョン(の3次元への投影・・・の2次元への投影)です。

頂点が16個、辺が32本なのですが、それはイラストでも確認できます。

【阿良々木くんと老倉さんの式】

阿良々木くんと老倉さんが対峙する背景に式がたくさんあります。

前回に比べると複素解析に関する式が多い気がします。

「留数定理」(1位の極)

frac{1}{2pi i}int_C f(z)dz=lim_{zto a}(x-a)f(z)

1位の極において成立する留数定理の表現です。右辺にミスがあって、正しくは

frac{1}{2pi i}int_C f(z)dz=lim_{zto a}(z-a)f(z)です。

「42」

42という数が表示されています。

「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え=42」という数式(?)からかも知れません。

 

↑google先生に聞くと42という答えを返してくれる。

 

ほかにもたくさん式がありますが、あとは後日。


物語シリーズ 終物語 第1話おうぎフォーミュラの数式

2015-10-11 | 数学

さて、西尾維新の物語シリーズ、終物語が始まりました。 なかなかおもしろかったので、視聴継続かなと思っているところです。

メインキャラの老倉育が数学マニアであり、序盤に数式が登場したので、ごく簡単に取り上げようかと思います。

 

まず阿良々木君が「数学史上最も美しい式」として紹介しているオイラーの等式です。

e^{ipi}+1=0

これは数学で重要なe,1,0,πが現れるシンプルな式として美しいと言われていて、

美しいだけでなく、そのもととなるオイラーの公式e^{itheta} =costheta +isintheta.

非常に活躍機会の多い式です。小説「博士の愛した数式」でも登場しました。


他、背景に現れた数式をいくつか書きます。

 

【スターリングの近似】

log(n!)=nlog(n)-n+O(log(n))

これは階乗(n!=1・2・3・・・n)を近似する式ですごくおおざっぱに言えば

n!=left( frac{n}{e} right)^nと近似されると言っています。

【二項定理】

(a+b)^n = sum_{k=0}^n {n choose k}a^k b^{n-k}

多項式の展開に関する式です。高校で習います。

高校生のかたには{n choose k}より_nC_kという表現の方がなじみかも知れません。

【タンジェントの加法定理】

tan(alpha+beta)=frac{tanalpha+tanbeta}{1-tanalpha tanbeta}

説明不要の三角関数に関する等式。


【二次方程式の解の公式】

x =cfrac{-bpmsqrt{b^2-4ac}}{2a}

中学で習う公式。一時期高校で教えてたかも。この式の歴史は結構古くて、古代ギリシアでも知られていました。

 

【テイラーの定理】

f(x)= sum_{k=0}^{n-1} frac{f^{(k)}(a)}{k!} (x - a)^{k}+f^{(n)}(c)frac{(x-a)^n}{n!}

関数を多項式で近似する式です。第2項は剰余項といい、テイラー展開ではこれの評価が重要になります。

【フーリエ級数】

f(x)=frac{a_0}{2} + sum_{n=1}^{infty} (a_n cos frac{2pi nx}{T} + b_n sin frac{2pi nx}{T})

上のテイラー展開に対して関数を三角関数で近似します

【コーシーシュワルツの不等式】

left(sum_{i=1}^n a_i^2right) left(sum_{i=1}^n b_i^2right)= left(sum_{i=1}^n a_i b_iright)^2 +left(sum_{1leq i < j leq n}^n a_i b_j - a_j b_iright)^2

内積に関する「コーシーシュワルツの不等式」の mathbb{R}^nバージョンの導出に現れる式です。

Σの添え字と、カッコのつけ方は多分ミスで、下記が正しいと思います。

left(sum_{i=1}^n a_i^2right) left(sum_{i=1}^n b_i^2right)= left(sum_{i=1}^n a_i b_iright)^2 +sum_{1leq i < j leq n} left(a_i b_j - a_j b_iright)^2

 

【フレネル積分】

int_{-infty}^{infty} sin(x^2)=int_{-infty}^{infty} cos(x^2)=sqrt{ frac{pi}{2}}

sin(x^2),cos(x^2)の積分です。証明にはコーシーの積分定理を使います。

下図(ウィキペディアより)を参考にしたら計算できる・・・はずです。

 

「円弧部分の積分は0に漸近し」の部分が、サラッと書いてありますが示すのが難しそうです。

【n次元球の体積】

frac{pifrac{n}{2}}{Gamma left( frac{n}{2}+1right)}

画像では多少レイアウトが崩れていますが、半径1のn次元球の体積

frac{pi ^{frac{n}{2}}}{Gamma left( frac{n}{2}+1right)}と思われます。

証明はいろいろありますが、ガウス積分を用いた証明は一度読む価値はあると思います。

 

【その他物語シリーズの数式関係】

終物語ウェブサイト背景の数式

終物語原作扉絵の数式1

終物語原作扉絵の数式2

物語シリーズ 終物語 第2話そだちリドルの数式その他

物語シリーズ 終物語 第2話そだちリドルの数式その他

 

 

 


老倉育(おいくら・ そだち)↑

一年生の時の阿良々木君のクラスメイト。数学オタクで「オイラー」と呼ばれたがっているがあだ名は「ハウマッチ」。

数学の成績は阿良々木君のほうが上。