旅してマドモアゼル

Heart of Yogaを人生のコンパスに
ときどき旅、いつでも変わらぬジャニーズ愛

舞台「オレステス」

2006-09-26 | 観たものレビュー
「オレステス」を観たのは先週の木曜日なのですが・・・
レポが遅くなったのは、ちょっと書く気が起きなかったから・・・

というわけではないのですが、それもまた正のひとつなり・・・

今回の舞台を観終わって脳裏を過ぎったのは、「蜷川さんは、これで満足だったのだろうか」という疑問。

蜷川さんのギリシャ悲劇はいくつか観ておりますが、ギリシャ劇の複雑な台詞や、神を中心として独特な構図も私にとっては難解ながら、けっこう楽しむことが出来た。
それは遠い異国の話でありながら、親子兄弟姉妹親類縁者の間に起こる感情や行動に、日本人の私でも理解できるものがあったから。

ただそれは脚本や演出の力だけではなく、それを絵にしてみせる役者陣の力量もあったからかもしれない。

なにが言いたいのかというと

タイトルロールを演じた藤原君は、初めてギリシャ悲劇への挑戦にしては、オレステスの苦悩と絶望を体全体で表現して見所があった。
やっぱり彼は天性の舞台役者なのだと思う。
彼の舞台はいろいろなジャンルで見ているけれど、彼ほどの若手で、これほどまでに観る者を引きつけられる役者はいない。
なんというか、観る側の心の奥に自然な状態で入ってくるのだ。
いままで「彼の語る台詞に感動した」ということは一度もない。
台詞じゃないのだ、私を感動させるのは彼からほとばしる感情の渦なのだ。
言葉の意味がストレートに分からなくても、彼の動き、吐く息、声の響き、そういう彼が持っている素質がひとかたまりになって私にぶつかってくる。
その塊に私は打ちのめされ、そして涙があふれてくるのだ。

蜷川さんがよく使う、小栗君や成宮君も藤原君ほどではないのだけれど、そういう要素を持っていると思う。
その最たる人が大竹しのぶ。
大竹しのぶもまた、その大小揺れ動く感情がバイブレーションとなって、私の心にバンバン響いてくる役者さんだ。
どんなに難しい台詞を発しても、感情がすっと理解できる心地よさ。

でもそれが出来る役者というのは限られていて・・・だって天性だから。
ただ正直なところ、役者としてのカンに優れている人たちがいるだけでも十分。
観客への魅せ方、巧みな台詞回し、ステージ上での演技のカン。
私が大好きな役者さんたちは、これがすっごく上手なんですよね~
堺さんとか、古田さんとか、橋本じゅんとか、上川さんとか・・・

いったい何が言いたいのか、自分でもわからなくなってきましたが
ていうか、言いたくないのかもしれない。

藤原君の演技が際立ってしまったせいで・・・
ちょっと観ているのが心苦しくなってしまった人が・・・

彼女は演技は上手い方だと思うのですが、今回の舞台ではその本来の巧さが、なんというか・・・ヘンなベクトル向いちゃった?・・・なんか空回りしてる?
とにかく観ていて彼女の絶叫じみた台詞が気になって落ち着かない。
私のおでこのあたりで言葉が跳ね返って、首筋がザワザワと気持ち悪い。
舞台に引き寄せられるより、引いちゃう感じ?
どうしても芝居にのめりこめなくて、私にしては珍しく椅子のなかでモゾモゾ・・・

ふーん・・・

なんちゃらちゃら将門(タイトル長すぎて忘れた)の時の演技がとてもよかったので、きっと今回のエレクトラ役に抜擢されたんだろうなあと思うのですが・・・
大竹しのぶのエレクトラに影響受けて、思わずコピーして失敗しちゃった?みたいな感じ?(時々、大竹エレクトラを彷彿させる台詞回しも見受けられ)
ありきたりな言い方ですが彼女なりのエレクトラを演じればよかったのに・・・
どうしちゃったんだろうデスヨ?

ちょっと考えすぎちゃったのかなー?
かつてオレステスを演じたときの岡田君みたいに。

おわり。