Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

オペレッタ狸御殿

2008-02-07 | 日本映画(あ行)
★★★ 2005年/日本 監督/鈴木清順
「爺様の壮大なるお遊び」


見終わってすぐさま浮かんだのは「じさま演出による学芸会」。私は敬老会に呼ばれたような気分だった。いえいえ、何も鈴木清順氏をバカにしているわけではありません。とにかく壮大なお金のかかった学芸会だな、と。人を食ったかのような開き直りと、大人の大真面目なバカ騒ぎについていければ楽しめます。お気楽に手拍子でも打ちながら鑑賞すれば、堪能できるかも知れない。

しかしながら、わたくしはこの清順ワールドを呑み込み、堪能するところまで到達できなかった。と、いいますのも、オダギリくんの雨千代というキャラへのなりきり度が気になって、気になって仕方なかったから。やはりこの手の映画は役者のなりきり度が観客に伝わるもの。きっとオダギリくんは、この演技が恥ずかしいんじゃないだろうか。鈴木清順だからと、即返事したものの本当は後悔しているのではないか。そんなことばかり考えてしまった(笑)。実は「嫌われ松子」の中谷美紀を見ていても同じことを考えていたんだよなあ。

その点、チャン・ツィイーはさすが母国を出てアメリカくんだりまで飛び出しただけあって、根性が座っている。うろ覚えの日本語に臆することなく、お姫様になりきっている。墨絵や尾形光琳など日本の美術セットにしっかりおさまって、美しい表情を見せるのはさすがプロ。オダギリくんは、今この役のオファーが来たら断るだろうなあ…。

これを斬新と言うことに異存はないけど、やっぱり観る者を選ぶ作品。残念ながら私は全くついていけなかった。