Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

LION ライオン 25年目のただいま

2019-01-31 | 日本映画(や・ら・わ行)
★★★☆ 2016年/オーストラリア 監督/ガース・デイビス

(Amazonプライム)
養子縁組によって相応の環境で育ち、大学まで行ったサルー。なぜ彼はそれほど故郷インドへの郷愁を掻き立てられているのか。そこんところがよくわからない。Google Earthを使って、故郷を見つけ出すプロセスも割と普通だし。いいネタがゴロゴロ転がっているのに、なんとも中途半端でもったいない。確かに主人公サルーの生涯はドラマチックであるが、むしろ衝撃を受けたのは終盤のスーの告白である。ニコールキッドマン演じるスーと夫のジョンの志や生き方にもっともっとスポットを当てて欲しかった。素直に育ったサルーと環境に馴染めなかった弟の相克ももっと深められたはずだ。序盤の迷子になるまでに時間を取り過ぎ。むしろ、ジョンとスーがふたりを引き取るシーンから始めてよかったくらい、この家族の物語を見たかった。

僕のワンダフル・ライフ

2019-01-29 | 外国映画(は行)
★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/ラッセ・ハルストレム

(Amazonプライム)

大型犬を飼っていた身からすると、感動するのはわかりきったことなんだけどさ。実際、何度もうるうるしたけどさ。それにしても、昨今のハルストレム、ファンタジーが過ぎやしませんかい?魂を持ったまま生まれ変わるという設定がどうもおとぎ話のようで乗り切れなかった。家族が子どもと一緒に見る映画なら最適。犬は最高である。そんなことはわかりきったことである。ああ、犬最高。

スキャナーズ

2019-01-28 | 外国映画(さ行)
★★★★ 1981年/アメリカ 監督/デビッド・クローネンバーグ

(Amazonプライム)

冒頭の頭部ドッカーンに始まり、これぞクローネンバーグのおもしろグロ描写がラストまで続き大満足。スプラッターものが苦手な私だけどクローネンバーグは全然大丈夫である。むしろ、面白いこと思いつくなあと感心してしまう。精神を集中させると血管が浮き出てくる描写とか、どのように撮影しているのだろうか。人間の神経回路がコンピューターのプログラムと一体になってるから、プログラムを切ればそいつの精神も崩壊するとか、漫画か!みたいな思考回路も面白いんだけど、そうやって見ていると、このストーリー、ほとんどアメコミやんってことに気づく。ひとりの卓越した超能力者がある博士に見出だされ、敵対する超能力者集団と戦うことになったが、実はその集団にはあるバックが付いていて、かつ主人公の出生の秘密は…ってさ。ザ・フライしかり、アメコミをさらにひと捻り精神イッっちゃってる方にひねれば初期クローネンバーグになるんやなってことに、今さら気づいた。

ジョン・ウィック チャプター2

2019-01-25 | 外国映画(さ行)
★★★ 2017年/アメリカ 監督/チャド・スタエルスキ

(Amazonプライム)

前作見てるのに、しかも前作のラストからの続きだってのに、最初の1時間くらいさっぱり話についていけない。自分の理解力が低いのかとも思うが、あまりにストーリーテリングを放棄している展開は不満が募る。接近戦のアクションはおもしろいが、ガンアクションシーンは、主観目線のサバイバルゲーム。ゲーム感覚を味わうために映画を見ているのではないので、ちょっとがっかりだった。前作の方が良かったな。ともあれ、キアヌとシャーリーズセロンはいつか戦うべき。

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

2019-01-24 | 外国映画(は行)
★★★☆ 2016年/アメリカ 監督/ジョン・リー・ハンコック

(WOWOW録画)

「マクドナルドがいかに巨大ハンバーガーチェーンになったのか」という事実を交えたお話は非常におもしろい。特にスピーディーにハンバーガーを作るために厨房のレイアウトを考えるシーンなど、なるほどと感心することしきり。しかし、本作の肝は「システムを考えた人」と「商売を広げた人」が異なり、両者間にどんどんひずみが出てくる人間ドラマの部分なんだが、どうもマイケル・キートンの演技が弱く感じる。表情が豊かでない分、葛藤しているのか、割り切ってるのかあまりよくわからない。マクドナルド兄弟への申し訳なさを背負ってなお事業拡大に邁進するビジネスマンの性も感じられないし、元ネタパクったひでえ野郎とも描いていないし。まあ、実際のモデル企業からのクレームを考えたら、表現にも限界があったか。

ミスター・ガラス

2019-01-23 | 外国映画(ま行)
★★★★ 2019年/アメリカ 監督/M・ナイト・シャマラン

(映画館)

「アンブレイカブル」も「スプリット」も見てるよね!?って、前提でサクサク進む。よっ!我が道を行くシャマラン。アメコミの話は「本当に」現実世界で起こっていることの記録である。というおったまげー解釈で独自の世界観を展開。いや、好きですよ!この思い切り!今回から参加しているサラ・ポールソンは「アメリカン・クライム・ストーリー」がとってもすばらしかったけど、今回も裏の顔を持つ精神科医を熱演。強烈なキャラ3人に負けてない。妙に現代の道徳観やポリコレに合わせてくるDCやマーベルユニバースよりも、シャマランユニバースの方がバカバカしくて好きだわ。今回は24人格を演じるマカヴォイのスピーディ人格チェンジも面白かった。私も人格チェンジボタン押してみたーい。

武士の献立

2019-01-15 | 日本映画(は行)
★★★ 2013年/日本 監督/朝原雄三

(Amazonプライム)

包丁侍なのに料理には興味ない夫、その陰で支える妻は料理の腕も確かで舌も一級品。この夫婦関係を現代の観客に向けてアレンジしたら、もっと面白くなりそうなんだけどね、夫を立てることに終始するのは時代劇だから仕方がないのではなく、この物語を今届ける意味を持たせても良かったんじゃないのかと思ってしまう。何も妻が包丁侍の代わりに大活躍しろ!と言っているわけではないんだけど、才能はあれど社会的には評価されない女性を描くという点において、もう少し作り手の提案があってもいい。面白いテーマなのにもったいないなあ。上戸彩の料理シーンは非常にていねいに撮られていて、そこは良かった。

誰よりも狙われた男

2019-01-14 | 外国映画(た行)
★★★★ 2013年/アメリカ・イギリス/ドイツ 監督/アントン・コービン

(Amazonプライム)

「スパイ物だけど地味」としつこく言われるルカレだが、本作はF・S・ホフマン、レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー、ロビン・ライトとなんとまあ俳優陣の豪華なことよ。主役クラスの俳優陣が全員揃って抑えた演技に徹底しているのがすばらしい。各国諜報機関の駆け引きが実にスリリングで、ロシアから密入国した男の身柄がどうなるのか最後までハラハラさせられる。本作が遺作となったF・S・ホフマンのラストの慟哭が胸を打つ。惜しむらくはドイツが舞台なのに、全員英語なこと。ドイツ、アメリカ,ロシアなど各国の策略入り乱れる展開なのに、全員英語を話すもんだから、関係性がわからなくなる&緊迫感が薄れることしばしば。多国籍語を話せるダニエル・ブリュールまで投入しているのにもったいない。

エヴァの匂い

2019-01-13 | 外国映画(あ行)
★★★★☆ 1962年/フランス・イタリア 監督/ジョセフ・ロージー

(WOWOW録画)

ベネチアの美しい街並を映す流麗なカメラワークにジャジーな音楽がのっかる。冒頭から「かっけー!」「おしゃれー!」の連発で語彙を失いアホになる。音楽はミシェル・ルグラン。ロシュフォールもいいけど本作も負けてない。ジャンヌモローの悪女っぷりも冴え渡っていて、「よっ!もっとやれ!」と声をかけたくなるほどの徹底ぶり。最後まで全く反省しないその心意気に拍手。蔑んだ目で「哀れな男!」。一回言ってみたいわあ。

プロメテウス

2019-01-12 | 外国映画(は行)
★★★☆ 2012年/アメリカ 監督/リドリー・スコット

(Amazonプライム)

コヴェナントを見ようと思って再見。昨年2度も劇場で見たからでしょう。これ「2001年」とプロットがほぼ同じやんということに気づく。地球人をクリエイトした存在が宇宙にいて、そのメッセージを研究者が受け取り宇宙の旅に出るも乗組員は本当の目的を知らされてなくて、AIが同乗しててそいつが叛乱。何が違うって、乗組員が勝手な行動しすぎ。地球外生命体を発見したという一大事に個人行動が過ぎるよー。宇宙船に乗るエリートがこんなことします?の連続が萎える。まあ、これがエイリアンシリーズの持ち味ということなんでしょうか。しかし、腹の子を自分で手術するくだりは痛そうだったな…。

TRUE DETECTIVE/二人の刑事

2019-01-11 | TVドラマ(海外)
★★★(Amazonプライム)

マシューマコノヒーの使用前・使用後感がハンパない。見どころはほとんどそれだけだったという残念感もあるのだが…。「殺陣の追憶」同様、猟奇殺人物で追いかける刑事も毒されていくという展開は大好物なのだけど、いかんせん1話の犯人がなかなか逮捕されないという引っ張りように疲れた。マシューマコノヒーとウディハレルソンの演技合戦が確かにすばらしいのだけど。

ゲティ家の身代金

2019-01-10 | 外国映画(か行)
★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/リドリー・スコット

(Amazonプライム)

屋敷内の公衆電話で吹いた。何とまあキャラの立ったジジイだこと!そして、孫に渡した置物が●●だったとは…。ゲイルが美術館に入ってから観客をじわじわと奈落の底に突き落とすリドリーの演出、ほんと意地が悪くて最高だな!(褒めてます)クリストファープラマーに交代したから、大金持ちの悲哀が出てきて妙に格調高くなってしまった。それが結局、吉と出たのか凶と出たのか。個人的にはケヴィンスペンシーの嫌みな演技全開で、悪童ゲティの最期にざまあとなる展開も面白かったのではないかと想像してしまう。超ムカつくジジイVS強気なシングルマザーという対立も際立っただろうし、よりエンタメとしては消化できル作品になっただろう。

IT イット “それ”が見えたら、終わり。

2019-01-09 | 外国映画(あ行)
★★★ 2017年/アメリカ 監督/アンディ・ムスキエティ

(Netflix)

子どもたちが自分の中の恐怖に立ち向かい乗り越えていくジュブナイルものであるが、そのジャンルの他の秀作群に比べて本作は特にここが優れているというのが見当たらないというのが正直な感想。なんで、そんなにアメリカで爆発的に売れたんですかね?赤い風船、黄色いレインコート、ピエロと記号的なビジュアルの羅列は印象に残るが、元の事件の真相や街に根付く因縁などの詳細がうやむやのままなのは消化不良。最後はキスの相手はぽっちゃりくんだろうが!とツッコミ。大人編ではでぽっちゃりの大逆転があるのだろうか。

スノーデン

2019-01-08 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/オリバー・ストーン

(Amazonプライム)
実にサスペンスフルな展開で見応え抜群。劇場で見ていたら間違いなく2017年のベスト10だった。天才の苦悩の物語であり、ラブストーリーであり、国家機密を暴露する政治物であり、逃亡劇であり。とても多面的な楽しみ方ができる秀作。国家機密を持ち出すルービックキューブのシーンのなんとハラハラしたことか!国家を告発する作品にこれだけの予算をかけられるのもすごい。社会派と構えて見始めたが、一級のエンタメ作品だった。これは、ドキュメンタリー見るしかないね。

ブラックミラー バンダースナッチ

2019-01-07 | 外国映画(は行)
★★★ 2018年/イギリス 監督/デヴィッド・スレイド

(Netflix)

朝ごはんの選択という軽いジャブから始まり、ゲーム感覚のノリで進めていると酷い選択を迫られ、悪趣味な遊びだな…と思わなくもない。あるシーンの選択はまるでハネケのファニーゲームやんけ…。「言うことを聞かない」「おまえは誰?と突っ込まれる」くだりなどは、いわゆる映画における第四の壁を越えるものに近いと思われるが、頻発すると萎える。こちらが物語を作っていると思わさせておいて、結局は相手の思う通りだったという提示が確固として行われれば、それも受け入れるがよくわからないままだ。終わるんかい?終わらへんのんかーい?というツッコミを新喜劇ばりに繰り返してようやく終了。面白い試みだとは思うが楽しめなかった。多分、楽しみ方がわからないのだと思う。私が。