★★★☆ 2021年/アメリカ 監督/テイラー・シェリダン
森林消防隊員の女性と少年の逃避行を描く人間ドラマ。少年の父が殺された理由はマクガフィンでやさぐれたアンジーと森林火災の恐ろしさを堪能すべしな1本。テイラーシェリダンだと鑑賞前のハードルが上がるしグロリアとか刑事ジョンブックとか既視感のある作劇がやや物足りなし。
★★★★★ 1964年/日本 監督/成瀬巳喜男
結婚後たった半年で夫が戦死。その後18年間も夫家族のために働き続けるが、スーパー経営を機に家族から追い出される女の話。現代女性が見るとしんどすぎる話である。マジでしんどい。結婚して半年って、たぶんろくに夫婦生活も送ってない。
そして、究極のバッドエンディング。あの後、礼子はどうするのか。それを観客に想像させるために全てがあるように感じる。礼子の表情が最高だ。
こんなクソみたいな話に惹かれてしまうのは高峰秀子の抑えた演技がすばらしいのはもちろん、彼女を取り巻くどうしようもない家族が淡々と描かれているから。対象者に入り込まず、引いて描く人間ドラマが好きだから。自分で意思決定できない義母、いけずな妹、ぼんくらなくせに好きとか言う弟。みんなほんっとうに口ばっかり。いるよ、こういう人。悲しいぐらいにリアル。