城壁の街で : At The Walled City Blog

カナダ・ケベックシティ在住、ラヴァル大学院生の生活雑記
Université Laval, Québec City

白い箱の奥底に潜む闇

2006-05-17 | おいてけぼりシリーズ
興味の無い人はおいてけぼりシリーズ第二弾(第一弾はMike Anderson at Mizzouですな)。



現在使用しているPCは二台。主に部屋で使っているラップトップと、学校に置きっぱなしにしているデスクトップだ。「貧乏学生の分際でPCを二台も保有とはこれ如何」と思う人もいるかもしれないが、二台とも4年超の化石化一歩手前のマシンだ。

ラップトップはアメリカに渡る直前に購入したIBMのi Series(細かい型番は忘れた)。「ただの黒い箱」という超ミニマルなデザインが気に入っているが、既に五年モノであり、LCDが黄ばんでいる、スピーカーの調子が怪しい、ビデオボードが古すぎてGoogle Earthが動かないなどと色々な問題は有るのだが、当時の最上級機種を買った甲斐があって、とりあえずは現役で動いている。Missouriでの修士論文はコイツで書いた。今考えれば、こんなPCでよくもまぁSAS(統計解析ソフト)なんて重いソフトを走らせながら、SigmaPlotでグラフを書いて、その横でメーラーが開きっぱなしなんて無茶をやったもんである。

デスクトップはMissouri仲間が卒業して帰国する際に強奪した代物。DellのDimention XPS B800とかいう機種で、プロセッサーはPentium III 800mHz, メモリーは128MB。これもかなり古いが、何とか動いてはいる(同じくGoogle Earthは動かなかったがな)。




さて、今日の記事はこのDell号に関してである。

新しい大学に移って、自前のPCをフルに使わねば仕事にならなくなってきているので、こいつの設定をやり直すことに決めたのが一週間前のこと。主な目標は以下の三点

Windows2000の再インストール
内臓HDDの増設
勝手に電源が入ることがあるので、それの解決

である。

OSの再インストールは何度もやっていることなので、なんとでもなる。面倒なので好きにはなれないが、必要に迫られれば簡単に出来る(いつも丸一日かかるが)。元々、あの悪名だかきWindows Meを使っていたので、再インストールは必要なスキルだったのだ。

HDDの増設は・・・・金が無いので大分と悩んだが、20Gドライブでは、OSを快適に起動させつつ、膨大な量のPDFやら、近い将来には信じられない量になるはずの研究データを扱いきることは出来ないと予想されるので、仕方なく導入することにした。まぁ、新しいPCを買うことを考えれば安くつくかなと思ったのだ。で、扱うデータ量なんかを考慮すると、60-80GBで十分だと思ったので、それくらいのドライブを探していたのだけれど、学校近くのFutureShopというチェーンの電気屋で250GBのドライブが110ドルで売っているのを見つけたので、何も考えずに接続端子だけ確認して購入した。(この時点では「250GBもいらないけれど、でかいドライブが安く手に入るのならラッキーだな」と軽く考えており、後からとんでもない問題が起こるとは考えてもいなかった。)

勝手に電源が入るのは、はじめウイルスの可能性を疑っていた。Unviersity Ottawaでは電源をつけっぱなしで放置していることが多かったし、明らかにセキュリティが甘いネットワークだったからだ。でも、ウイルスチェックをかけると、どうもそうではない。となると・・・・・である。

まぁ、再インストールもドライブの増設も基本的にはそんなに難しい仕事ではないので、再インストール>ドライブ増設 の流れで一気に済ませてから電源問題を解決しようと思った。というか、再インストールしたら電源問題も解決するかもという甘い期待もしていた。



で、作業開始

Windowsの再インストールは比較的簡単に済んだ。Ottawaでは特に勉強しなかったので、保存すべきデータも無く、面倒な設定は何も無かったからだ。で、先にも書いたように「電源の問題」もこれで片付いてくれると楽だなぁと、勝手に希望していたのだけれど、そうは問屋が卸してくれず、ハードウェアかBIOSの問題であることにほぼ確定。別件として処理することになった。


とりあえず、次はHDDの増設である

再インストールして基本的な設定を終えたところで、電源を抜いて、PCの蓋を開けた。ほこりが結構溜まっていたので、軽く掃除してドライブをマウント。ジャンパの設定も確認したし、マスター・スレイブもきちんとと確認して接続した。で、マウントされたかを確認するために電源をいれてBIOS画面に行く・・・・・・・・・・・・





「あれ、137GBしか認識されていない」





買ったドライブは250GBである、でもBIOSは137GBと言い張っている。




・・・・・・・・・




とりあえず、Windowsは正常に立ち上がるので、ネットで「大容量HDD、Windows2000、認識しない」などのキーワードで検索。すると出るわ出るわ、教えてGOOやら、Windowsコミュニティみたいなところの質問コーナーが山ほどヒット。

で、ざーっと読みながら学んだのは、

ハードウェアの限界の問題で、基本的に解決不可能
ハードウェアの限界の問題だが、Windowsでフォーマットすれば自然と認識する
ハードウェアの限界の問題だが、BIOSの設定でなんとかなる
ハードウェアの限界の問題だが、レジストリを触れば何とかなる
BIOSが古すぎるから、更新すれば読めるようになる

という、いくつかの見解と解決方法だった。


ここで、希望的観測に生きる自分は、まずはいちばん簡単な方法と思われる。Windowsで普通にフォーマットするやり方を試してみた。(よくもまぁ、こんな解決方法を信じる気になったもんだ思う。無知は怖い)


Mission No.1 失敗


フォーマットしても、結局130GBそこそこのドライブが追加されただけだった。まぁ、Windowsうんぬんの前に、コンピューター自体がドライブを認識できていないのだから当然の話である。



次に、BIOSの設定を変えようとしてみた。IDEの設定次第で認識できるようになるはずだと書いてあるページがあったことと、Maxtorの説明書にも「ディクスが正常に認識されなかった場合はIDEの設定を変えろ」と書いてあったからだ。



Mission No.2 失敗



DellのHPで各種マニュアルをあさったり、MaxtorのHPを何度も調べてみたが、今のままでは、どうしようもなさそうだった。で、次になにをトチ狂ったかBIOSのアップグレードを試してみる気になった。なんか、「BIOSが古いとダメだ」みたいな記述が結構あったし、件の「電源問題」に関してもBIOSのバージョンがどうのという記述を目にしていたのだ。実際DellのサポートページをみるとBIOSの新バージョンが出ているので、ダウンロードして実行してみた。



Mission No.3 失敗



BIOSの管理項目に変化があるわけではなし、ドライブは137GBのままだ。



さて、ここまで試してやっと、もっと真剣に勉強する気になったので、2時間ほど色々と検索してみると、だいぶ問題の概要がつかめた(もっと早く気づけ、馬鹿)。

結論であるけれど、

2002年以前のATAの使用では、128GB(正確には137GB)以上のドライブは認識できない。これはとても有名な話で、世間では「128GBの壁」と呼ぶ

らしいことが分かった。
(参考 http://wakouji.hp.infoseek.co.jp/ugoke2/pcsub37.htm)


解決策はレジストリやらの面倒な設定を変えるか(本当にそんなことできるのかなぁ)、ATAを根本的に取り替えるしかない、ということらしい。しかもレジストリを触って無理やり認識させた場合、その後の管理が難しくなって、問題が起きやすくなるとのこと・・・・・



はい、返品決定



で、250GBが110ドルのドライブをFutureshopに返品して、学校の生協で80GBが75ドルのドライブを購入。1GBあたりのコストパフォーマンスが大きく下がったが、80GBのドライブは何の問題も無くマウントできた(中途半端な欲を出さず、はじめからこうしていれば・・・・・・。つうか、解決を探す段階でメンドクサがらずに、しっかり勉強してから取り組めば・・・・・)



ちなみに、ここまでで3日が経過している
記事を書くのはXXX時間・・・・・聞くな!




さて、HDD問題は解決したものの、電源問題がまだ残っている。これに関しての修理方法に関しては全く見当がつかなかったので、いろいろと検索すると、BIOSの設定、BIOSのアップグレード、もしくはPCIスロットの入れ替えで解決する場合が多い、と書いてあった。

HDD問題で奔走する間にBIOSは最新版(といっても2002年版だ)にアップグレードされている。が、問題は解決していない。で、設定だが、「Call by LAN: disable」がどうのと書いてあるのも試してみた。Bootのほかの項で怪しそうなのも全てDisableにした。で、とりあえず、様子を見ることにすると・・・・



電源が勝手に入ってWindowsが起動することはなくなったが、シャットダウン時にいやな点滅を繰り返すようになってしまった。



更に検索をして、解決方法を探ったがその中で実行可能なものは「PCIスロットの入れ替え」だけになってしまった。で、半信半疑でPCIスロットをいろいろと入れ替えてみた・・・・・・・・・・・



まったく立ち上がらなくなった



電源ボタンを押すと、一瞬電気がつくが次の瞬間に「ビー」と警告音がなって、全てが固まる。




・・・・・・・・・・・



正直、全ての終わりを覚悟した。もうこうなったら「洗おう」とも思った。が、そう簡単には諦めきれないので、いろいろ試してみたら。。。


PCIスロットを触ったときにビデオボードが接触不良になっていたらしく、差し込みなおしたら、無事に動いた。



「安堵」という言葉の意味を再認識した瞬間である。


とりあえず、この時点で全てオーケーとしてしまうことに決めた。電源問題は解決していないが、正直なところ、このぼろパソコンをこれ以上触るのは怖い。というか、自分にはその意欲も、知識も、技術もない。なので、主要なソフトをインストールするなどして、PCの設定を終えることにした。



今回の教訓
古いPCを無理やりアップグレードするのはあまり良いことではない。
素人が生兵法でBIOSやらレジストリを触ったりすると、混乱と不安が加速するだけである
つか、全部貧乏が悪い