Olympus Pen EES-2 を修理した話。
まぁ、いつもの平和な週末の過ごし方です。
しっかし、カメラ本体の購入も含めて今回は金がかかったぜ・・・・
Olympus 壁紙ライブラリーより
さて、勢いで購入した Olympus Pen EES-2 だけれど、ざっとみたところ
1.レンズの状態含めて外観に大きな問題はなし
2.フィルム室も'古いカメラなり'の状態。問題なし
3.シャッターは切れる(ただし 1/30 だか 1/40 秒のみ)
4.フィルム巻き上げ、シャッターチャージも問題なし
5.絞りが全く動かない
6.セレン光電池も反応してんだか、してないんだか・・・・
7.ファインダー内が壊滅的に汚い
と、クラシックカメラにはありがちな状態。「まぁ、セレン光電池さえ死んでいなければ何とかできるかな?」「勝算は7:3くらいだな」という感触だった。
で、レストア情報を検索して、
http://endoscopy.jp/moto/camera/camera_repair/pen-ees2/index.htm
http://blog.goo.ne.jp/right-way64/c/6580f7db4e13f75ab8e08e5ef5fbe31b
このあたりを参考にしつつ分解を開始。
<以下、読まなくていいです>
まず、トップカバーを空ける。ねじ三本と、フィルム巻き戻しクランクを外せば簡単にはずれる。距離計やらのよけいなギミックがないので、内部は異常にシンプルな上に、配線がきれいにまとめられてビニールテープでまとめられているのに感動。とりあえず、ファインダー部分を綿棒で掃除。
で、次に鏡胴をあけて動かない絞りユニットの状況を見ようとするも、ここで軽くつまづいた。ピント調整リングをはずすネジが小さすぎて、うちにあるドライバー(最小は1.4mm) では上手く回らない・・・・・・家の中にあるあらゆる小さ目のドライバーやら、ネジを回せそうなものを試してみても上手く行かない・・・・で、「このままではバラせない」ことが確定してから30分以上逡巡してからドライバーを買いに行くことに。
まず、ウチから徒歩10分くらいのところにある小さな荒物屋を見に行く。ここで無ければ、バスに乗って30分くらいかかる Canadian Tire (カナダのコーナン)まで行かないといけないところだったけれど、無事に1.0mm のマイナスドライバーの入ったドライバーセットを発見。税込みで8ドル26セント。
で、さっさとウチに帰って作業を再開。レンズ周りの細かいネジを三本外して、リングの取り外し。で、次に無限遠の位置を確認して(白い線が入っていた)レンズ前玉をはずす。さらに、ここからネジ三本外したら鏡胴がいとも簡単に外れた。こんな簡単でいいのか?というくらい簡単なつくり。
小汚い作業風景
で、ここで絞りユニットに到達。事前に調べた情報から、この絞りユニットを外して、バラして洗浄すれば動くようになるんじゃないか?とアタリをつけていたのだけれど、絞り羽根を調整するあたりをチョコチョコと触っていたらあっさりと動くようになった。別に羽根が油で粘っていたわけでもなく、ただちょっと引っ掛かりがああっただけの模様。で、後はキコキコと動作を確認して、絞りの修理は終わり。
次は露出計まわりなんだけれど、一応光に反応して針は動いている。セレンは死んでいない模様だ。そして、絞り羽根が動作するようになったら、この露出制御の部分もきちんと動作しだしている。シャッター速度も 1/250 (1/200?) と 1/40 (1/30?) の二速で切り替わるようになった。ただ、光の強さを変えて露出制御の様子を観察すると、どうも反応が弱いのと、針がどこかでひっかかっているらしく最後まで振れない。というわけで、また30分逡巡した後、電圧調整用の抵抗の取り外しと、露出計回りの調整を決断。
ただ、ここまでで結構疲れてきていたので、ここで昼食。んで、作業再開。
抵抗を外して、配線をつなぎなおすのは想像よりも遥かに簡単だった。あと、分解清掃を覚悟していた露出計指針まわりも、部品の角度をほんの少し変えるだけで済んだ。ただ、セレンの光量調整(フィルム感度調整)の板が外れてしまっているのを直すのが少し面倒だったくらい。ここも意外に簡単に直った。
ここまで、びっくりするくらい簡単な設計に軽く感動。そして、今回買った品物の状態の良さに安堵した(取引の相手は最悪だったけど)。
で、全体の動作状況を再度確認して「これは使えるぜ!」と小躍りしながら組み上げを開始したのだけれど、最後の最後、レンズをねじ込む段になって問題発覚。
無限遠の位置にはいっていた印が消えている!
きちんとしたマーカーではなく、蝋石みたいなもんで軽く入れただけの線だったらしい。元の位置がわからなければ、自分でピントを調整しなければならないことに・・・・
で、色々と試してみた結果、レンズからの像を確認することはできるようになったものの(フィルムの位置にスーパーの買い物袋を小さく切ったものを張った)「ルーペなしでは調整は不可能」という結論に達した。で、またしばらく悩んだ末に「もう、ここまできたらルーペを買おう」ということに。
今度は Place de la cite というショッピングセンターにあるカメラ屋に赴きスライドを見るためのルーペを購入。、一番安いやつで10ドル弱だった。
そのままでは、カメラにはまらないので端っこをちょっと切ったり色々してカメラに装着したのがこの写真、
この状態で無限遠を調整して、各距離も確認した後、レンズがずれないように細心の注意を払ってリングをはめ込み、ネジをねじ込み、もう一度ピントの状態を確認。
最後にモルトを張り替え。
ここで、ようやく修理完了。
<読まなくていい部分、ここまで>
疲れた、想像よりは簡単だったもの、やっぱり疲れた。そして、今回は余計な買い物が二点ほどあったから(合計18ドルくらい)、それが痛かった。が、とりあえず動くところまでは持っていけた。
さて、後は試写ですな。
プログラム露出の動作を見る限り、ネガならなんとか撮れそうだけど、ポジは不可能っぽい。とりあえず、一番安いカラーの24枚撮り(ハーフなので48枚になる)で試してみて、いけそうなら白黒の36枚撮りを投入して、Sony Cyber-shot W80 と一緒に常時持ち歩こうと思う。
写るんですかよ!といいたくなるくらい単純なつくりにプログラム露出制御とゾーンフォーカスを組み込むっつうのはスゲェと思った。