城壁の街で : At The Walled City Blog

カナダ・ケベックシティ在住、ラヴァル大学院生の生活雑記
Université Laval, Québec City

Photologue Nov 28, 2008 No2

2008-11-28 | Photologue
DSC01849
Quebec, QC, Canada
Nov 28, 2008
Sony Cyber-shot W80



家からバス停まで行く道の途中で。

ケベックは冬に突入しています





DSC01850

Chromalveolata

2008-11-26 | おいてけぼりシリーズ
久々の「おいてけぼりシリーズ」。

クダラナイ生活の愚痴やら、ヘタクソな素人写真ばっかりではなく、たまには教養溢れるエントリーで、読者の方々に「城壁の街は理系研究者が書いている知的なブログである」ということを思いだしてもらいたかった。

ただ、今回は自分の専門外のことを扱っているので、ちょっと内容に自信がありません。ので、その道の方が間違いを発見した場合には、「ちょっと違うんじゃないか」ということをやんわりと伝えていただければ素直に勉強しなおして書き直します。でも、僕は小動物のように気が小さいので「わかっていない奴は黙っとけ」みたいな攻撃的なコメントは勘弁してください。いじめないでください。





ここ二週間くらい、地球上の生物の進化・分類について集中的に勉強する機会があった。自分の博士論文には全く必要のない内容なのだけれど、その方面の知識が欠落しているために、きまぐれに読もうとしていたネイチャーのニュース記事が理解できなかったのが悔しかったからだ。

それにしても・・・・・・



最近は、分類学ってすごいことになってんのな



ここ20年くらいはDNAとかの遺伝子解析系の研究の進歩の影響で、生物の進化の道筋の理解とか、それに準じた生物の分類の仕方がものすごい勢いで進んでんのな。大枠をつかむだけでもかなりの労力を要したよ・・・・


以下、その超テキトーな概説


さて、多くの人にとって、もっとも大きな生物のくくりといえば「動物」と「植物」の二種類のみになるかとおもう。これは、リンネの二界説といってかなり長い間(200年くらい?)信じられてきていた考え方だ。あまりに長く信じられ続けてきたせいで、「そんな単純なわけ方では到底説明が付かない」と専門家たちが支持しなくなった今でも、それ以外の一般の人々にはフツーに受け入れらてしまっている考え方になるかとおもう。

ちなみに、手元にある僕が高校生の頃(15年前)の生物の教科書をみると、進化の説明に関してはこの名残が色濃く残っていて、生物の系統樹の項では「動物の系統樹」と「植物の系統樹」という二つの系統樹で生物の進化が説明されている。その教科書は1992年発行の三省堂図説生物。で、リンネの二界説が世に出たのが18世紀の中頃らしい。日本の高校教育は大丈夫なのか?

さて、この二界説なんだけれど、19世紀の終わりから20世紀のはじめくらいの顕微鏡が発達した時期に、そのわけ方では「細菌」、「キノコなんかの菌類」、あと湖なんかによくいる「うようよ動くくせに光合成をしたりする奴ら」あたりの説明が全く付かないことがわかってきた。で、その辺の事情を考え合わせて作られたのが五界説というやつで、生物を

動物
植物
菌類(キノコとかカビ)
原生生物
モネラ(細菌とか)

の五つの「界(Kingdom)」という大きなグループに分けたものだ。まぁ、ある程度歳をとっていたとしても理学、農学系の学部を卒業した方なら、この辺までは知っているかと思う。自分も大学1回生のときに一般教養の授業で何度かお目にかかった覚えがある。しかも、恥ずかしい話だが、つい最近まで生物の分類に関してはこのレベルの理解しかなかった。ちなみに、この説が発表されたのが1950年代のことらしいので、実はこの説も結構古い。

さて、ここまでは「界 (Kingdom)」というのが、最上位の分類単位だったのだけれど、「どうもそれよりも大きな分類を考えないといけないらしい」といわれだしたのが1970年以降で、そこからは「真核生物がどうの」、「原核生物がどうの」、「つうか原核生物って遺伝子的に見て大きく二つのグループに分けられるんじゃね?」ってな感じで議論が進んでいって、「じゃぁ、とりあえず生物を三つの大きなグループに分けましょう」「で、それをドメインと名付けちゃおう」ってな感じで出来たのが3ドメイン説。これに従うと、

古細菌 (Archaea)
真正細菌 (Eubacteria)
真核生物(Eukaryota)

の三つに分けるところから、全ての分類が始まり、今まで最上位の分類単位だった界はその下に位置することになる。(動物、植物、菌、原生生物やらはみんな真核生物の枠内)。この考え方が発表されて、専門家たちに間で認知されるようになったのが1990年代にはいってからなので、ここまで知っていたらアンタもその道の人ということになる。ちなみに、自分は今の研究室に来てからこの話を知った。


この時点で、城壁の街で読者の誰一人としてついて来れなくなっているのは百も承知なんだけれど、本番はここから。冒頭でも言ったけれど、ここ10-20年で遺伝子解析関連の知識が急速に蓄積していった結果、この三つのドメインの下にあった界の部分で、かなり大きな変更が山ほどあったようなのだ。まず目に付く大きな変化が、原生生物という枠でくくられていた「ちっさくて、うようよ動いている奴ら」の分類、系統立てがかなり進んだこと。あと、真核生物ドメインのなかでの類縁関係というか、進化の道筋がかなりわかってきたことにある。それを、比較的わかりやすく描いてあるのが、下のWikipediaでめっけてきた絵だとおもう。




誰も望んでいないと思うけれど、順番に見て行こう(現在進行中の研究なので、ほとんど全てが仮説です。悪しからず)。

まずはじめに、The Last Universal Common Ancestor (LUCA: 地球上の生命の起源)となる生物がいて(これが図の真ん中一番下の系統樹の根元)、そこから「真正細菌」と「古細菌と真核生物」へ行くグループが分かれる。そして、その後で「古細菌」と「真核生物」が枝分かれする。これが、現在考えられているもっとも上位の分類単位であるドメインレベルでの分岐で、この絵では下の方のうすいブルーで塗られている辺りの話になる。で、それぞれのドメイン内でさらにガンガンと分岐していっているわけだけれど、ここからは「真核生物 Eukaryota」の方面を追っていく。

さて、古細菌から分かれた真核生物だけど、最近のもっとも"ナウい説"によると、まず動物、菌類、アメーバなんかを含んだユニコンタというグループと、そのた植物とか色々含まれているバイコンタの二つに分かれたということになるらしい。

で、ユニコンタのほうをみると、オピストコンタとアメーバ的な奴らのアメーボゾアに分かれた後、そのオピストコンタが動物と菌類が分かれるという按配らしい。この辺、動物と菌類が近縁っつうのが結構面白いと思うんだけれどどうですかね。

バイコンタのほうはまずエクカバータ(ミドリムシとかが含まれるらしい)とリザリア(有孔虫とからしいがよくわからん)が含まれるグループと、植物、渦ペンモウ虫やらがばらばらと含まれるグループに分かれた後(絵の中央部の分岐)、クロムアルベオラータというグループと、陸上植物やらワカメやらの本格的に植物っぽいものがふくまれるアーケプラスチーダというグループに分かれたらしい。で、このアーケプラスチーダは、緑っぽい奴ら(クロロプラスティーダ)、赤っぽい奴ら(ロドファイタ)、なんか青っぽい奴ら(グラウコファイタ)に分かれたと、まぁそういうことらしい。



さて、ここまで読んだところで読者の皆さんはさっぱり何のことかわからないと思う。でも、心配しなくてもいい、結局のところ僕も全くわからない



要は、200年以上前の考え方である「植物と動物」という分け方は、今となっては全くもって意味を成さないということ(だって、動物と菌類が近縁なんだぜ)。そして、その後に出てきた五界説ですら、生物分類を説明し切れていないということ。さらに、色々とわかってきた今、ここまでにいたる進化の分岐が結構複雑な関係上、ドメイン-界と段階を追って順番に分類してゆくだけのやり方がかなり難しくなっているということ。ま、その辺がわかっていればいいんじゃないかというのが、今の自分の中での結論かな(弱気)。ま、あと3,40年もすれば、もっと正確な系統樹(っつうか系統網になるだろうな)が完成しているだろうから、それを楽しみにしましょうかね。



いやぁ、生物学たのしいよね





個人的に面白かったのが、クロムアルベオラータ(Chromalveolata)というグループで、このグループの単一起源説が本当なら、渦べん毛虫やら、珪藻やら、ミズカビやらがおんなじグループになるという話らしい。ただ、このグループはその妥当性が未だ審議中で、つい3,4年前にもネイチャー誌上で有名な先生たちが文字で殴り合いのケンカしていた。


某社の表計算ソフト

2008-11-20 | 雑記

どうしよう・・・・言ったほうがいいんだろうか・・・・それとも、見なかったことにして知らん振りを決め込んだほうがいいんだろうか・・・・・



今日、研究補助のバイトの子が出してきたデータをチェックしていたんですね。で、その子は「お前、本当にケベック人か?ちょっとDNA鑑定させろ。つか、まず家系図をみせろ」といいたくなるほど優秀で、彼女がやった部分に全く問題はなかったんだけど・・・・うちの研究室のみんなが使うために用意されているエクセルファイル本体にエラー発見。。。。。。。。。

あーーー、あんなに細かく数式やら、全体の計算過程の流れまでチェックするんじゃなかった。つか、自分で確認計算なんてするんじゃなかった。。。。。


いや、あのね、大きな視野でみてみると、そんなに大きな問題ではないんですよね。ただ、最終的に出てくる数値が ± 0.1 とか 0.2 (μg/L) とか違ってくるだけなんすよ。しかも、元々の誤差がフツーに ± 0.5 (μg/L) くらいある実験だから、本当に些細な問題なんだけど・・・・・・・・


ぬうん


というかですね、Excel で回帰分析はしてはいけないとあれ程言っているのに、なんでみんな平気で使うかなぁ。この間も、別の修士の学生がやったデータ解析の内容を見せてもらったら、非線形回帰(Power Model)をExcelでやっていて、出てきている結果はそれはもう無残なほどめちゃくちゃだった。ったく、小数点以下の計算もかなり怪しいソフトフェアなのに(単純な足し算ですら誤差を出す)なんでデファクトスタンダード的な位置にあるんだ。大体だな、あのソフトウェアがいかに間違った答えを出すかに関しては、統計学の学術誌にも論文が出ているくらいなのに、なぜ大学でそのことを教えんのだ。

いや、普通の人が家計簿やら住所録で使ったり、会社でちょっとした顧客データ管理やら簡単なデータ管理に使ったりする分には別にかまわんと思う。あと、科学専攻ではない学生が演習なんかでデータを処理して簡単なグラフを書くくらいなら、別にいい。が、大学院レベルの自然科学研究で使っちゃイカンと思う。



この件に関しては、大学の3,4年次、もしくは大学院に入ってからでもいいから、誰かがきっちりとしたガイダンスをやって



Excel は一般人が使うには便利だが、
計算能力はクソだから科学研究には使うな



ということを、学生に教え込まんとイカンと思う。









<参考>
日経PCエクセル「演算誤差」対策

日本の統計学者のブログ記事Excel使うな

Photologue Nov 18, 2008

2008-11-18 | Photologue
mx5 02-04
Rue St-Vallier, Quebec, QC, Canada
August 6, 2008
Minolta X-570 w/ MD W.Rokkor-X 28mm F2.8
Fujifilm Neopan 400




ここ一年ほど気に入って聴きこんでいる「凛として時雨」。
なんか、来週末に神戸やら京都でライブがあるらしい。
いきてぇ・・・・


Photologue Nov 16, 2008

2008-11-16 | Photologue
DSC01733
Place d'youville, Quebec, QC, Canada
October 8, 2008
Sony Cyber-shot W-80





ちょっと、最近書けなくなってきているし、撮った写真も溜まってきているし
で、Photologue 的な要素も加えてみようかと・・・・


関西国際空港の終焉

2008-11-15 | 雑記

うめずせんせの漂流教室より



ノースウェスト航空の関空-デトロイト便が三月から運休だと!


ニュース記事

世界不況だか、原油高だか、関西経済がヤバイだかなんだか知らないが、これはちょっと待ってほしい。ついこないだ、エアカナダが関空-バンクーバー便を運休させたところなんだぞ。それ以外にも、JALのロサンゼルス便、アメリカンのダラス便、ユナイテッドのシカゴ便(元はANAの路線)も廃止になってんだぞ・・・・・・・残るはユナイテッドのサンフランシスコ便とエバー航空(よく知らない)のロス便・・・・・・・・・国の基幹的な国際空港である「第一種空港」の北米便が二都市、週14便って・・・・・・・・・終わりだ、関空マジで終りだ。


そして、駄目航空行政で関空沈没っつうのもそうだけど、それよりも問題のなのは・・・・



俺は一体どうやって日本に帰ればいいんだよ・・・・・




まず、エバー航空は論外。そして、カナダの東海岸に住む自分がユナイテッドのサンフランシスコ便を使うのは現実的じゃない・・・・この便は朝の11時台発なので、ケベックシティからじゃ絶対に乗り継ぎが成立しない。モントリオールに住んでいたらギリギリ何とかなるかもしれないけれど、ケベックシティからでは乗り継ぎ回数が異様に増える上に(北米内で2、3回か・・・)、ユナイテッドの乗り継ぎシステム(いつも何か変)だと、いくら東部と三時間差の西部時間とはいえ、朝の11時の便に間に合うようにサンフランシスコに到着することは・・・・無理だろうな。となると、旅程のどっかで一泊。。。。 これは死ねる、軽く死ねる。

そうなると、エアカナダかノースウェストを使って成田へ行って、そっから伊丹しか方法が・・・・・それか、成田到着→羽田に移動→神戸か伊丹到着か・・・・・・実家に着くの一体何時になるんだよ・・・・・・・ デトロイト-関空便さえあれば、夕方の5-7時の間には実家に到着できて、そっから家族と晩飯食ってとかが出来たのに・・・こっちの戻ってくるときも、昼前に家を出て関空で軽く食ってから飛行機に乗れたのに、下手したら早朝出発か?

いや、ちょっとまてよ、スケジュールもそうだけど成田経由とかだと、なんかの理由で成田到着が遅れて伊丹便に乗れなくなったら(まま有ることだ)東京で一泊か?それ以上に乗り継ぎが増えれば増えるほど疲れるし、ロストバゲッジの確率も上がる。。。。。。。

ん、待て待て、乗り換え回数は一体何回になるんだ?

ノースウェストなら
ケベック-デトロイト-成田-伊丹-バスで三宮

エアカナダなら
ケベック(超絶早朝便)-トロント-成田-伊丹-バスで三宮

希望的に観てこの3回乗り換えが最短か・・・・ ただ、日本行きが出ている空港にケベックから直接に行くことが出来ない他の航空会社の場合、超絶早朝便(5時発とか)に乗った上で、北米内で二回(もしくはそれ以上)乗り換え、、、 そうなると帰国はまだいいかもしれんが、こっちの戻ってくるのが悲惨だな。ケベック着が夜11時以降とかかもな。


嫌だ、嫌すぎる・・・・・


もしかしたら、ド田舎出身のカッペ諸兄は「それくらいどうした?そんなの普通だぞ」と思われるかもしれん。が、こっちは都会生まれの都会育ちという高貴な出自だ。国際線が出ている空港と実家の距離は1時間程度、つまり日本についたすぐあとに実家に到着することに慣れきっている。出国も同様、家を出てから1時間程度で国際線に直接チェックインして次の乗り換えは北米大陸についてからが当たり前だった。それが、国際線に乗り込むまでにひと旅程有るって・・・・・・


俺はそんなの嫌だ!




中途半端に使えない空港が三つ(関空、伊丹、神戸)とかはいらんから、ものすごく使える空港一つとそれに見合った域内交通網をきちんと整備してくれ。つまんねぇ見栄とかしがらみに絡め捕られてしまって、そういうことがきちんとできんから、関西経済が駄目になっ・・・・・ぶつ、ぶつ

死ね、行政寄生虫はみんな死んでしまえ