ふつうの暮らしとリハビリテーションとケア

もし、障害を負ってしまったらどうするか?
今までの生活は??
暮らしを支えるリハビリテーションとケアを考えます。

ケアってなんだろう?

2005年05月19日 | ケアの話
今ちまたに「ケア」があふれている。
心のケア・ケアプラン・ケアワーカー・ケアスタッフ・カーケア、
ヘアケア・褥創ケア・精神的ケア・痴呆ケア・身体ケア・・・

思いつくものを並べても、いっぱいある。
とすると、ケア=非常に大きな概念であることがわかる。

で、写真を見ていただきたい。

仕事が終わって、そろそろ帰ろうかな、なんて思ったときだった。
所長から内線が入る。
「ちょっと事務所まで来て!」

何事かいな?と思いながら行って見た。

そこには施設の機能訓練指導員の看護師と入所者さんと所長。
話を聞くと・・・

靴が破れて、新しい靴を買いたい、そこでカタログを見ているのだが、
PTのたちばからいい靴を選んで欲しい、という事だった。

詳しく聞くと、どうやら破けて指がどこかに当たって血が出たとの事。

「今なら店が開いています。買いに行きましょう!」
私は思わず提案した。

だいたい、カタログの身障者用の靴はロクなのが無い。

その機能訓練指導員に車を手配させ、入所者さんと一緒に乗り込んだ。
その車の中で、ほとんど説教。

「この靴はなに?ここまでほっておいたの?傷つくまで気付かなかったの?
だいたい、車椅子も汚すぎ。タイヤに空気も無い。いったい何してたのよ!!」

思わず口をついてでた。

この靴、普通ここまで履くか?
いや、その前に、このデザイン、あり??

で、店について、靴を選ぶこと5足。
あれでもない、色が悪い、サイズが・・・
これが面白いのだ。入所者さんの価値観がわかる。
そして、選んだ。

そして、この方、食品売り場のほうへ勝手に行かれる。
そりゃそうだ。久しぶりの外出だ。

お餅・お菓子なども購入。
で、帰るのかな?と思ったら、生鮮食品売り場で生卵を購入。

お菓子までは私も想像できた。生卵は意外だった。
で、聞いて見た。なぜ生卵か?

「卵かけご飯が食べたい」という答えだった。

で、施設へ帰って、もう、夕食が来ていたので、
私が早速卵をとこうとすると、
「今栄養士さんに食べていいか聞くので、待っていてください」
と看護師。

プチっという音が私の頭の中で聞こえた気がした。
ひょっとしたら、周りに聞こえたかもしれない(笑)

「そんなの後回し!、こっちが先!!」叫んでいた。

その卵かけご飯をめでたく召し上がり、今日の日当に卵を一つ頂いた。


長い説明だった。
そうしてみると「ケア」ってなんでしょう?

狭義では「看護」「介護」となるかもしれない。
中間の意味では「世話」になるだろう。
広義では「配慮」「関心」「気遣い」であると思う。

今の現場では狭義の意味でしか、解釈していないような気がする。
目の前の利用者さん・患者さんに「配慮」しているのか?
利用者さんに「関心」はあるのか?「気遣い」しているのか?

そんなことを考えさせてくれるエピソードだと思う。