ふつうの暮らしとリハビリテーションとケア

もし、障害を負ってしまったらどうするか?
今までの生活は??
暮らしを支えるリハビリテーションとケアを考えます。

「ユキエ」

2007年05月31日 | TV・映画・DVD
昨日からなんだか肌寒い。
あれほど暑かったのに、今日は雪でも降りそうだ。
また気温差で体調崩す方が出るんだろうなあ・・・

さて、某理学療法士・作業療法士養成校の講義まで10日をきった。
先日資料は完成したので、先方に渡した。

ただいま、パワーポイントのスライドチェック。
話す内容と、アニメーションを頭に入れる。

そしてもう一つ、授業で紹介するDVDをチェックする必要がある。

そのうちの一つが「ユキエ」である。
「スローグッバイ」がこの映画のキーワード。

監督は「折り梅」も手がけた松井久子氏。

戦争後、結婚したユキエに認知症症状が現れて、
本人がそれを受け入れるまでの葛藤と混乱、
家族のそれぞれの思いが交錯し、その狭間で揺れるご主人。

なんとしても生活を守ろうとする、二人の物語。
そして、過去への思いと現在の別れ、「スローグッバイ」。

暖かくも、なんだか寂しさも感じる作品と思う。

今、施設勤務であり、認知症を抱える方たちと暮らしているが、
現在本や何かで紹介される認知症状が描かれている。

どんな風に人は老い、生活が変わり、その変化についていけないか、
そしてそれを受け入れるときは?

暮らすということ、老いるということ、生活するということ、
そして家族とは?を考えさせてくれる映画である。

もうこれで何回見たかな?
何度見ても新たな発見・感覚がある映画と思う。




言葉とケア

2007年05月30日 | ケアの話
先ほどから雷と断続的な激しい雨・・・
雷が落ちて、パソコンがダウンということがありませんように・・・(祈)

さて、最近なんだかショートステイご利用の方も、新規入所の方も、
認知症を抱える方が多くなってきたなあ・・・、と感じる。

認知症をかかえる方のケアは、ほんと職員にとって課題である。
業界全体にとっても課題であろう。

さて、介護職員は介護を生業。
利用者さんはなんとなくの介護しか知らない。

したがって、そこにはギャップが生まれやすい。
特に認知症を抱える方にとっての介護意識なんて、さらに薄い。

ということで、さらに工夫が必要。
「言葉がけ」もそうである。

先日、とある認知症を抱える方に対して、
ダイレクトに「パンツを変えましょう!そろそろ濡れてますから!」
なんて声かけをしている新人さん・・・(汗)

もちろん、「変えません!トイレなんか行きたくもありません!」
と返答される。

まぁ、当たり前でしょうなあ・・・
介護職が介護をやろうとするときに、
余りに直球を投げると、あっさり断られることが多い。

介護とは言いながら、普通に接することが必要。
この場合、私もその場に居合わせていて、助けを求めるまなざし・・・

上司として何とかせねば!という訳でもないが、変わって言葉をかける。
「あの~、Aさん、私トイレ行きますけど、一緒に行きません?」
「このお姉さん(職員)も行きたいそうですから、ついでに一緒に・・・」

ということで、トイレに行くことができました(汗)

パンツを変えたい!トイレに連れて行きたい!のは職員の都合。
言葉がけの中で、利用者さんの都合を作り出す必要があると思う。

お風呂を嫌がる方がおられた。
手で引っ張ろうが、順番が来たのでお風呂に!
なんて説明してもテコでも動かない。

んで、また助けを求められ(汗)、
一緒に並んで座り、
「今お風呂が沸いたそうなので、一緒に入ってすっきりしましょう・・・」
「パーと入って、気持ちよくなりましょう・・・」と声かけしてみると、
ご自分からお風呂へ歩いて向かわれた。
#一緒には入りませんでしたが(汗)

利用者さんに何かさせる、のではく、一緒に○○したい!
と伝えることが大事なのかなあ・・・と感じる今日この頃です。

機能訓練事業卒業者の会

2007年05月29日 | 生活を思う
いや~、昨日はいったい何が起きたの?
という事件がたくさんありましたね・・・(汗)

さて、一ヶ月くらい前に以前一緒に仕事したことがある保健師さんより電話あり。
「機能訓練事業卒業者の会の講師をして欲しい」
というものだった。

機能訓練事業とは、
いわゆる特定高齢者・虚弱高齢者を対象にした、町の健康向上事業である。
近い将来、介護保険をお使いになりそうな方々を対象にした事業の事。

その機能訓練事業を卒業された方々の「会」である。
お題は「家でできる運動の話」であった。

まぁ、機能訓練事業を卒業された方々なので、
それなりにお元気な方たちなのかな・・・?
と思いながら、資料を作成していた。

でも、何か引っかかったので、介護保険の話・老化の話を取り入れた。
#この点で内容が少し難しくなってしまった気がするので、反省点・・・

で、用意をして、いざ講師!

ところが対象者を見て、びっくり(汗)
ほとんど介護保険対象になりそうな方々・・・

申請すれば、要支援1か2はつくなあ・・・
という方ばっかり(汗)

介護保険の話は盛り込んでおいてよかった・・・
話の後、質問が出る出る(汗)

家の運動プログラムの話から、
福祉用具のこと、肥満のこと、靴のこと、家のベッドの高さ・マットレスの硬さ、
散歩の仕方、腰痛、姿勢、膝痛etc・・・

まぁ、私の話を一方的に話すより、質疑応答のほうが盛り上がる(苦笑)
まぁ、そういう風にもっていったんだけど。

その後お茶を飲んで、
さて、体操やりますか・・・
というときに時間切れ(苦笑)
会場の時間と、バスの時間。

保健師さん、ちゃんとコントロールしてね・・・(汗)

でも、本当に体操をしようと思ったら、大変であった。
なんといっても、身体状況がばらばらの方がお集まり。

元気老人さんから、本当は要支援と思われる方まで、
一緒にできる体操って、なかなか難しい。
その点ではバスにすくわれた(汗)

でも、考えてみる。
機能訓練事業の卒業者といえども、
ここまで生活機能が落ち始めている実態。

それが、月一回の集まりでどこまで維持できるのか?
次回案内を見せてもらったが、バスでお出かけ。

それがいつまで継続可能なんだろう・・・?
と心配しながら見ていた。

「リハビリテーション」の介入が、
それぞれの方の人生の中で適切なポイントで介入されることを!
そういうシステムができて欲しい!
と思ったのでした。

昼と夜

2007年05月28日 | ケアの話
この週末、なんやかんやとバタバタ・・・
結局いつもの仕事より忙しかった気がする・・・(汗)

さて、先日職員から利用者さんのことで相談。
まぁ、カンファレンスで話し合うことにしたのだが、
昼と夜が入れ替わった、
すなわち昼夜逆転担ってしまった方。

そのカンファレンスでいろんな意見が出る。
このまま様子を見よう、薬を調節しよう、日中の声かけを多くしてみよう・・・

すべてが正解。
ケアって間違い探し・正解探しではないので、
いろんなものが組み合わされてナンボである。

さて、そこで私の意見を言ってみる。
じゃあ、その方を起こすとして何を提供するの?と。

確かに認知症を抱える方は、時間・場所の見当識が崩れやすい。
健常人の24時間と、認知症を抱える方の24時間は違う。
そこを理解するのも一つ。

健常人が夜寝るから、認知症の方も夜寝ないといけないか?
ということも頭のどこかでおさえておかないといけない。

以前、90歳の方の手記を読んだことがあって、そこには
「年をとって、一日ボーっと過ごすことが、
     こんなに気持ちのいいものだとは知らなかった」
なんて書いてあって、声かけして起こしても、
そこにケアが無ければ、ボーっとすることより面白い!
と思ってもらわないと、結局またベッドに戻られるんじゃない?

一同「う~む・・・」
介護職員さんが声を出さずに「む・ず・か・し・い・な・ぁ・・・」
と口が動くのが見えた。

まぁ、起きてもらって、車椅子に乗って、
お出かけいただくことはいいことである。
しかしながら、座って何をするの?と職員さんに聞いても、
「離床です」となる。

んで、結果は車椅子に乗って、机に突っ伏す方々。
これを「寝たきり」ならぬ「座らせきり」となる。

起こすだけでなく、掟からのケアも考えて行こう!
と思うのでした。

とある老夫婦の会話

2007年05月25日 | 生活を思う
久しぶりの雨。
すでに取水制限もされてるので、
一気に解決!とまでは行かなくてもいいが、
せめてしっかりと降って欲しい・・・

さて、先日、定期的にショートステイをご利用されるご夫婦がいらっしゃった。

お茶を飲んでももらっていると、
「ちょっと・ちょっと、lifeさん・・・」と奥様より呼ばれる。

「いらっしゃいました~」と私。

妻)lifeさん、手があいたときでいいですから、
  この人(夫)の歩行訓練やリハビリはしてもらえませんか?
  家でなかなか歩けなくて・・・

夫)lifeさん、俺はねぇ、人生哲学があってねぇ、
  この年になっていまさら歩いてどこに行くわけでもないしねぇ・・・

妻)そんな事いって、お母さん(お嫁さん)にも歩くように言われてるがね・・・
  それでもお前さん歩かんが。だんだん歩けんようになってるが。

夫)もう歩いて、何をするわけでもなし。
  もう公園の隣(斎場のこと)へ連れて行ってもらってもいいし。

life)でも、あそこは勝手に行くわけにいかないでしょ(笑)
   せめて呼んでもらわないと(汗)

夫)もう、御釈迦さんでも、仏さんでも、こっちに来いって、
  声が聞こえる気がするなあ・・・

life)ひょっとして、御釈迦さんは目に見えるかもよ・・・
   (と奥様のほうに向いてみる)
   目に見えるお釈迦様の言うこともたまには聞いてみたら?

夫)この御釈迦様はねぇ、ちょっと勉強が足りんだ(笑)

妻)勉強が足りんのは、どっちかねぇ(苦笑)
  楽なことばっかり(車椅子のこと)してからにぃ・・・

life)まぁ、後はご夫婦でよく話し合って、決めてくださいね(一堂笑)
  よく話し合って、決まったら教えてください。
  歩く練習くらいなら、いつでもしますから。

といって離れる。
まぁ、たぶん歩行練習なんかされないでしょうね。
介護職員に促されて、いやいや歩行器で歩いておられる(汗)
まぁ、それで十分と思う。

そんな生活もありかもしれない。
そういう生活を支えていけたらな、なんて思うのでした。