新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

イスラエルを苦しめているプロパガンダを暴く「イスラエルに関する十の神話」

2018年11月25日 | 新刊書
イスラエルに関する十の神話
イラン・パペ (著), 脇浜 義明 (翻訳)


イスラエル問題とパレスチナ問題は、現代の重要な国際政治の争点です。
この書物はイスラエルの歴史家が、自国のイスラエル建国にまつわるさまざまな「虚偽」と
現代のイスラエルをめぐるさまざまなプロパガンダを暴きながら、
可能な解決策を模索する書物です。
当事者からの真摯な提言として、読んでみたい本です。



単行本: 308ページ
出版社: 法政大学出版局 (2018/11/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4588603558
ISBN-13: 978-4588603556

内容紹介
パレスチナは民なき土地ではなかったし、ユダヤ人は土地なき民ではなかった。パレスチナは植民地化されたのであって、ユダヤ人がイスラエルを回復したのではない。歴史の歪曲と情報操作によって生み出されてきたイスラエルに関する「神話」、すなわち虚偽にまみれた政治的プロパガンダの背景を読み解き、反証をあげて論駁する。イスラエル人の歴史家である著者のエッセンスを集約する入門書。

第一部 過去の虚偽
第一章 パレスチナは無人の地であった
第二章 ユダヤ人は土地なき民族であった
第三章 シオニズムはユダヤ教である
第四章 シオニズムは植民地主義ではない
第五章 一九四八年にパレスチナ人は自ら居住地を捨てた
第六章 一九六七年六月戦争は「やむを得ない」戦争であった
第二部 現在の虚偽
第七章 イスラエルは中東で唯一の民主主義国家である
第八章 オスロー合意に関する諸神話
第九章 ガザに関する諸神話
第三部 未米の虚偽
第十章 二国解決案が唯一の道である
結語 二十一世紀の殖民・植民地主義国家イスラエル

著者について
(Ilan Pappe) 1954年、イスラエル・ハイファ市生まれのユダヤ系イスラエル市民。ハイファ大学講師を経て、英イギリス・エクセター大学教授、同大学パレスチナ研究所所長。パレスチナ・イスラエル史研究。日本語訳に『パレスチナの民族浄化』(田浪亜央江、早尾貴紀訳、法政大学出版局、2017年)、日本での講演録に『イラン・パペ、パレスチナを語る』(ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉訳、柘植書房新社、2008年)がある。

世界平和の可能性を探る「希望としてのカント」

2018年11月25日 | 新刊書
希望としてのカント
高田明宜 (著)


これまでになくきな臭くなってきた世界情勢を考えると、永遠平和についてカントの考察が
ますます重みをもってきているようです。
カントの永遠平和論は、たんに理想ではなく、わたしたちが努力すべき目標として
実現可能なものとして提示されたものです。それではそれはどうして実現可能とみなされたのか、
そのことを考察するための手掛かりとなる本が新たに刊行されました。
読んでみたい一冊です。

単行本: 260ページ
出版社: 日本経済評論社 (2018/11/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4818825077
ISBN-13: 978-4818825079

商品説明
カントが恒久平和を達成するために、人間に要求した人としてのあり方を、市民の精神という形で提示。また、彼の恒久平和の根底には、人間への深いまなざしと、キリスト教的観念が影響していることを明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】

目次
第一部 カント思想における三つのメタ理論
第一章 法の支配に基づく制度設計者としてのカント
第二章 啓蒙による自律した人間を求めるカント
第三章 キリスト教哲学者としてのカント
第二部 恒久平和論の礎としてのカント哲学
第四章 市民性の基礎としてのカント哲学
第五章 道徳とカント的市民性
第六章 カントが見た人間
第三部 恒久平和のためにカントが人間に求めたもの
終章 カントの世界市民とは

著者紹介
高田 明宜
略歴〈高田明宜〉1976年北海道生まれ。国際基督教大学大学院行政学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。桐蔭横浜大学非常勤講師。

沈黙の歴史という不可能に思える主題に挑んだアラン・コルバン「静寂と沈黙の歴史」

2018年11月25日 | 新刊書
静寂と沈黙の歴史
アラン・コルバン (著), 小倉 孝誠 (翻訳), 中川 真知子 (翻訳)


下の訳書リストからお分かりのように、藤原書店はもう30近くもの間、
ほとんど専属のようにしてアラン・コルバンの訳書を刊行しつづけています。
継続は力なり、だなぁ。これほどの傾注は、すばらしいものに思えてきます。
今回はほとんど歴史を語ることが不可能にさえ思える沈黙の歴史です。
渋い!




単行本: 224ページ
出版社: 藤原書店 (2018/11/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4865781994
ISBN-13: 978-4865781991

内容紹介
現代社会で失われつつある、沈黙と静寂の豊かさを再発見する
「静寂(音の不在)」と「沈黙(言葉の不在)」を実践し、その豊かさや恩恵を味わう習慣が失われつつある現代社会。その性質上、行政や司法、教会文書の記録も少なく、痕跡が残らず、歴史家にとって把握するのが困難な「静寂」や「沈黙」を、これまでも、においや嗅覚、音と聴覚的感性など、捉えがたいものの「歴史」に挑んできた“感性の歴史家"が初めて描き出す!
カラー口絵8頁

アラン・コルバンの訳書には次のようなものがあります。

■処女崇拝の系譜
アラン・コルバン [著] ; 山田登世子, 小倉孝誠訳
藤原書店 2018.7
■身体はどう変わってきたか : 16世紀から現代まで
アラン・コルバン [ほか] 著
藤原書店 2014.12
■知識欲の誕生 : ある小さな村の講演会1895-96
アラン・コルバン [著] ; 築山和也訳
藤原書店 2014.10
■英雄はいかに作られてきたか : フランスの歴史から見る
アラン・コルバン [著] ; 梅澤礼, 小池美穂訳
藤原書店 2014.3
■快楽の歴史
アラン・コルバン [著] ; 尾河直哉訳
藤原書店 2011.10
■娼婦
アラン・コルバン [著] ; 内村瑠美子 [ほか] 訳
藤原書店 2010.11 新版 上 , 下
■レジャーの誕生
アラン・コルバン [著] ; 渡辺響子訳
藤原書店 2010.10 新版 上 , 下
■キリスト教の歴史 : 現代をよりよく理解するために
アラン・コルバン編 ; 藤本拓也, 渡辺優訳
藤原書店 2010.5
■空と海
アラン・コルバン [著] ; 小倉孝誠訳
藤原書店 2007.2
■民俗学と歴史学 : 網野善彦、アラン・コルバンとの対話
赤坂憲雄著 ; [網野善彦, アラン・コルバン述]
藤原書店 2007.1
■風景と人間
アラン・コルバン [著] ; 小倉孝誠訳
藤原書店 2002.6
■レジャーの誕生
アラン・コルバン [編著] ; 渡辺響子訳
藤原書店 2000.7
■感性の歴史学 : 社会史の方法と未来
アラン・コルバン著 ; 渡辺響子訳
御茶の水書房 2000.1 神奈川大学評論ブックレット / 神奈川大学評論編集専門委員会編, 5
■記録を残さなかった男の歴史 : ある木靴職人の世界1798-1876
アラン・コルバン [著] ; 渡辺響子訳
藤原書店 1999.9
■時間・欲望・恐怖 : 歴史学と感覚の人類学
アラン・コルバン [著] ; 小倉孝誠, 野村正人, 小倉和子訳
藤原書店 1993.7
■浜辺の誕生 : 海と人間の系譜学
アラン・コルバン [著] ; 福井和美訳
藤原書店 1992.12
■十九世紀パリの売春
アレクサンドル・パラン=デュシャトレ著 ; アラン・コルバン編 ; 小杉隆芳訳
法政大学出版局 1992.4 りぶらりあ選書
■娼婦
アラン・コルバン [著] ; 杉村和子監訳 ; 内村瑠美子 [ほか] 訳
藤原書店 1991
■においの歴史 : 嗅覚と社会的想像力
アラン・コルバン [著] ; 山田登世子, 鹿島茂訳
藤原書店 1990.12 新版
■においの歴史 : 嗅覚と社会的想像力
アラン・コルバン [著] ; 山田登世子, 鹿島茂訳
新評論 1988.12

重田園江の多彩な考察が楽しそうな「隔たりと政治: 統治と連帯の思想」

2018年11月24日 | 新刊書
隔たりと政治: 統治と連帯の思想
著者 : 重田園江


フランスの思想家のミシェル・フーコーを初めとして、
近現代の政治思想の研究者である重田園江さんが
連帯と統治について、さまざまな観点から考察した文章を集めた一冊。
連帯の哲学についての本格的な考察から、ナウシカとテロリズムについて考えた文章まで
多彩な探求を読むことができます。
とくに第三部の「ナウシカとニヒリズム」が楽しそう。


単行本(ソフトカバー): 384ページ
出版社: 青土社 (2018/11/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4791771176
ISBN-13: 978-4791771172

作品紹介・あらすじ
人間は孤独だが、ひとりきりでは生きていけない。
自分とは境遇の違う人と共に生きるにはどうすればいいのか。遠くにいる人とつながることなどできるのだろうか。すぐそこにある隔たりから、政治思想の問いは出発する――。規律社会の統治のテクノロジーを鋭く読み解きながら、紛争や暴力を治め、分断に抗う連帯の可能性を構想する試み

【目次】

はじめに

Ⅰ 隔たりと統治

第Ⅰ部について

第一章 監視と処罰の変貌
はじめに/監視と処罰の断絶という様相/ゼロ・トレランスと割れ窓理論/割れ窓理論とコミュニティパトロール/環境犯罪学と犯罪の「機会性」/厳罰化と被害者重視の犯罪政策/おわりに

第二章 リスクを細分化する社会
はじめに/社会的リスク/社会に固有のリアリティ/多様化した社会における連帯/社会保険制度の理念/ゴルドンと多様性の統計学/リスクを細分化する社会/リベラルな保険制度における「個人」

第三章 市場化する統治と市場に抗する統治
はじめに/現在の位置/自由主義への不信/フーコーの統治性論/ポランニーの市場社会論/おわりに

第四章 大学改革における統治性――官僚制と市場のレトリックをめぐって
はじめに/大学改革における「経済の論理」/これは大学の「ネオリベ」改革なのか/「市場の論理」とはなにか/大学間競争/規律と専制/責任の不在――ポスドクの就職難と法科大学院/失敗した改革――天下り不祥事とネイチャーによる国際評価/おわりに

第五章 政治と行政について――「官邸」と「官僚」
はじめに/官僚の不祥事/「政治主導」の弊害/「政治」と「行政」/法学における「政治」の場/執政権力と官僚



Ⅱ 隔たりと連帯

第Ⅱ部について

第六章 「隔たり」について

第七章 なぜ社会保険に入らなくてはいけないの?
誰でも損はしたくない/社会保険は損得の問題なの?/働く場での相互扶助の起源――コンフレリィ/労災の責任は誰に?/個人の選択の自由とは?

第八章 協同組合というプロジェクト
協同組合の歴史についての思い込み/新自由主義的な語りの起源/新自由主義における個人と消費/一九世紀前半の産業世界の無秩序/協同組合という組織化への試み/会社か協同組合か

第九章 現代社会における排除と分断
戦後日本における思想史研究の役割分担/文化へのシフトと政治思想/八〇年代以降の社会批判の諸言説/新自由主義の統治――排除対包摂/現在――分断対連帯/連帯のイメージ――「異なるもの」と「同士」/政治思想の未来

第一〇章 連帯の哲学
切り裂かれた無知のヴェール?/社会連帯思想/ロールズの『正義論』/社会的な視点と連帯



Ⅲ 隔たりと政治

第Ⅲ部について

第一一章 ナウシカとニヒリズム

第一二章 暴力・テロル・情念――『革命について』に見る近代
情念の近代/「同情‐憐れみ」の政治/絶対の善とテロルの嵐/映画『タクシードライバー』/現代思想が向かうべき問い

第一三章 なぜ政治思想を研究するのか
なぜにいまさら読んでいるの?/考える葦って誰のこと?/イエスとロベスピエールのあいだ?/政治思想を研究するとは?

第一四章 天空の城、リヴァイアサン

第一五章 『リヴァイアサン』の想像力



ブックガイド
おわりに
索引

重田園江さんには次のような著書や訳書があります。

■理性の両義性
齋藤純一編
岩波書店 2014.1 岩波講座政治哲学, 5
■社会契約論 : ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズ
重田園江著
筑摩書房 2013.11 ちくま新書, 1039
■災害に向きあう
直江清隆, 越智貢編
岩波書店 2012.7 高校倫理からの哲学, 別巻
■ミシェル・フーコー : 近代を裏から読む
重田園江著
筑摩書房 2011.9 ちくま新書, 922
■連続討論「国家」は、いま : 福祉・市場・教育・暴力をめぐって
杉田敦編 ; 石川健治 [ほか述]
岩波書店 2011.4
■フランス社会連帯主義
重田園江著
勁草書房 2010.10 連帯の哲学 / 重田園江著, 1
■フーコーの後で : 統治性・セキュリティ・闘争
芹沢一也, 高桑和巳編 ; 重田園江 [ほか著]
慶應義塾大学出版会 2007.9
■フーコーの穴 : 統計学と統治の現在
重田園江著
木鐸社 2003.9 明治大学社会科学研究所叢書
■親密圏のポリティクス
齋藤純一編
ナカニシヤ出版 2003.8
■偶然を飼いならす : 統計学と第二次科学革命
イアン・ハッキング著 ; 石原英樹, 重田園江訳
木鐸社 1999.5
■共に生きる
川本隆史 [ほか] 執筆
岩波書店 1998.7 岩波新・哲学講義 / 野家啓一 [ほか] 編集, 6
■連帯の哲学
重田園江著
勁草書房

信仰は身体の病をどこまで癒せるか。「信仰と医学 聖地ルルドをめぐる省察」

2018年11月24日 | 新刊書
信仰と医学 聖地ルルドをめぐる省察 (角川選書 609)
帚木 蓬生 (著)


ルルドの泉がさまざまな病気を治すという信仰が広がり、ルルドは巡礼の重要な目的地となりました。
この泉のもたらす効果を、医学ではなく、精神医学の分野から考察する書物です。
信じることが、身体の病気にどのような好ましい効果を発揮するのか。
それは現地で、治癒された人々と出会わないかぎり、明らかにならないでしょう。
信仰がこれほどまでに強い力を発揮するというのは、不思議なものですね。


単行本: 304ページ
出版社: KADOKAWA (2018/11/24)
言語: 日本語
ISBN-10: 4047036080
ISBN-13: 978-4047036086

内容紹介
現役精神科医が奇跡の泉・ルルドを考察する。

カトリックの一大聖地、フランス・ルルド。現役の精神科医である著者が、病気が治癒すると言われる彼の地を実際に訪れ、科学では説明がつかない現象を徹底検証し、信仰と医学の関係性を論じる一冊。

著者について
●帚木 蓬生:1947年、福岡県生まれ。東大仏文卒後、TBS勤務。その後、九大医学部を卒業し、現在は精神科医。93年「三たびの海峡」で吉川英治文学新人賞、95年「閉鎖病棟」で山本周五郎賞、97年「逃亡で」柴田連三郎賞、10年「水神」で新田次郎賞、12年「蠅の帝国」「蛍の航跡」で日本医療小説大賞、11年「ソルハ」で小学館児童出版文化賞、13年「日御子」で歴史時代作家クラブ章作品賞をそれぞれ受賞し、仏訳にピエール・ピショー「精神医学の二十世紀」がある。

言語学者の野間秀樹の注目の野心作「言語存在論」

2018年11月24日 | 新刊書
言語存在論
野間 秀樹 (著)


野間秀樹さんはハングルの教育の分野で活躍しているだけでなく、
言語学の研究や、こうした哲学的な考察も展開する強みをもった学者です。
言語とは何か、言語はどのようにして生まれ、どのようにして語られるのか、意味はどのようにして形成されるのか。
興味深いテーマが展開されるようです。
注目の野心作でしょう。ぜひ読んでみたい。


単行本: 436ページ
出版社: 東京大学出版会 (2018/11/24)
言語: 日本語
ISBN-10: 4130860542
ISBN-13: 978-4130860543

内容紹介
言語がいかに存在するのか、これまで問いとして立てられてこなかった視座から言語を思考する試みである。言語学的な立場を貫きつつも、談話論やテクスト論、文字論などと呼ばれる、既存の言語学とその境界を越えて、言語をめぐるさまざまな思考、そして〈知〉のあり方に迫る野心作。

【主要目次】
第1章 言語存在論とは何か――言語場へ
1 言語存在論と言語の学
2 言語場論
3 日本語は在るのか?――「何々語」の内実と輪郭
4 言語場と〈文脈〉

第2章 言語の存在様式と表現様式
1 音と光――言語の存在様式としての〈話されたことば〉と〈書かれたことば〉
2 言語の存在様式と表現様式
3 〈話されたことば〉から〈書かれたことば〉へ
4 〈書かれたことば〉はいかに生まれるのか――正音エクリチュール革命

第3章 音が意味と〈なる〉とき、光が意味と〈なる〉とき
1 言語に係わる意味
2 〈書かれたことば〉が意味となるとき
3 〈話されたことば〉が意味となるとき
4 ことばは意味となったり、ならなかったりする
5 〈意味が通じる〉ことから出発する虚構の形而上学
6 発話者と受話者の〈意味〉はなぜ異なるのか
7 〈意味するもの〉と〈意味されるもの〉の統一という擬制

第4章 〈話されたことば〉と〈書かれたことば〉
1 〈話されたことば〉と〈書かれたことば〉の仕掛け
2 オト=言語として在り、ヒカリ=文字として在る
3 〈話されたことば〉と〈書かれたことば〉の〈時間〉
4 〈形音義トライアングル〉の仕掛け
5 引用論
6 〈話されたことば〉の複数の話し手と複数の聞き手
7 〈書かれたことば〉におけるテクストの書き換えと重層的産出
8 IT革命と言語の存在様式、表現様式の変容――新たな言語場
9 言語の存在様式と表現様式の区別が言語教育へ突きつけるもの

第5章 発話論・文論――言語場から
1 言語存在論という問いから言語の内を見る
2 談話とテクスト、そして発話
3 文とはいかなる単位か
4 単語(word)の桎梏、文(sentence)の桎梏
5 言語を語る〈文〉の病

第6章 主述論・省略論――言語化するということ
1 〈主語―述語文〉中心主義の桎梏
2 言語事実における〈主語文〉と〈非主語文〉、〈述語文〉と〈非述語文〉
3 〈省略〉論――言語化されるということ
4 ことばが話し手の「意図」や「目的」の結果だという目的論的言語観

第7章 真偽論・時制論・命名論――言語的対象世界の実践的産出
1 言語外現実――真偽論の陥穽
2 〈非文〉と真偽値、〈非文〉と自然さ
3  「普通の文」と「普通でない文」は連なった広野に在る
4 〈不自然〉を胚胎する言語――意味の二項対立が融解する
5 空想も嘘も矛盾も語る言語――言語が描き出すもの
6 自らに背理する言語――言語は自らのうちに異質なものを蔵す=言語の自己背理性
7 言語存在論が問う時制論
8 命名論――名づけから言語的対象世界の実践的産出へ

第8章 動態としての言語・動態としての意味
1 〈言語静態観〉の桎梏
2 間言語的煩悶――言語の間で動くものたち
3 動態としての意味、〈意味同一性〉という物神化
4 〈教え=学ぶ〉言語――言語の本源的な共生性

著者について
野間秀樹:言語学者/前明治学院大学教養教育センター客員教授


野間秀樹さんには次のような多数の著書があります。

■対照言語学, 類型論, 語彙史, 文法史, 文字史, 共和国・延辺・中央アジアの朝鮮語, 宗教と言語
野間秀樹編著
くろしお出版 2018.1 韓国語教育論講座 / 野間秀樹編著 第3巻
■日本語とハングル
野間秀樹著
文藝春秋 2014.4 文春新書 973
■韓国・朝鮮の知を読む
野間秀樹編 ; 金石範 [ほか執筆]
クオン 2014.2
■韓国語をいかに学ぶか : 日本語話者のために
野間秀樹著
平凡社 2014.6 平凡社新書 737
■文法論・談話論・言語行動論・表現論・社会言語学・民族語教育論
野間秀樹編著
くろしお出版 2012.10 韓国語教育論講座 / 野間秀樹編著 第2巻
■きらきら韓国語
野間秀樹 [ほか] 著
同学社 2010.6
■ハングルの誕生 : 音 (おん) から文字を創る
野間秀樹著
平凡社 2010.5 平凡社新書 523
■はばたけ!韓国語
野間秀樹, 村田寛, 金珍娥著
朝日出版社 2008.3 第2版
■文化論, 文学・映画・漫画・メディア・飲食論, 歴史学, 翻訳論, 言語存在論, 文献解題
野間秀樹編著
くろしお出版 2008.1 韓国語教育論講座 / 野間秀樹編著 第4巻
■はばたけ!韓国語
野間秀樹, 村田寛, 金珍娥著
朝日出版社 2007.4
■韓国語教育論講座
野間秀樹編著
くろしお出版 2007.4-
■総論・教育史・方言・音論・表記論・語彙論・辞書論・造語論
野間秀樹編著
くろしお出版 2007.4 韓国語教育論講座 / 野間秀樹編著 第1巻
■韓国語
野間秀樹, 金珍娥著
白水社 2007.11 ニューエクスプレス
■新・至福の朝鮮語
野間秀樹著
朝日出版社 2007.5
■絶妙のハングル : 直訳を超える! : 入門を終えたら
野間秀樹著
日本放送出版協会 2007.2 CD BOOK . NHKラジオハングル講座||NHK ラジオ ハングル コウザ
■韓国語
野間秀樹著
ナツメ社 2005.7 暮らしの単語集
■Viva!中級韓国語
野間秀樹, 金珍娥共著
朝日出版社 2004.10
■朝鮮半島の文字「ハングル」と言葉
野間秀樹監修 ; こどもくらぶ著
小峰書店 2004.4 世界の文字と言葉入門 3
■韓国語
野間秀樹著
ナツメ社 1999.6 暮らしの単語集



ユニークな仏教哲学の試み「冥顕の哲学1 死者と菩薩の倫理学」

2018年11月23日 | 新刊書
冥顕の哲学1 死者と菩薩の倫理学 単行本 – 2018/11/23
末木文美士 (著), 中川和夫 (編集)


仏教について、とくに西田や田辺の哲学を手掛かりにしながら
哲学的に考察する書物のようです。
これまでになかったユニークな試みとして、注目したいと思います。
タイトルはすこし「怖い」感じですが
怖気ずに読んでみたいと思います。



単行本: 282ページ
出版社: ぷねうま舎 (2018/11/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4906791972
ISBN-13: 978-4906791972



紹介
人の間の公共性の領域〈顕〉に対して、不可知の霧に包まれた〈冥〉という場所、そこには他者、死者そして神仏が息づく。日本の中世思想に由来する「冥顕」の構造をもって、現代の哲学的・思想的な閉塞状況に立ち向かう「死者の哲学」と「菩薩の倫理学」。

仏教学から出発し、日本思想史の壮大な流れに立つ著者が、生を導く普遍的な価値を再生しようとした四半世紀にわたる哲学の格闘を集成する。

目次
序 章 見えるもの、見えざるもの──顕と冥の世界観
  Ⅰ 死者と冥顕の哲学
第一章 哲学としての懺悔道──田辺哲学再考1
第二章 懺悔道と親鸞──田辺哲学再考2
第三章 他者・死者と場所──西田・田辺の哲学と現代
第四章 死者と時間──時間はどこに生まれるか
  Ⅱ 菩薩の倫理学へ
第五章 仏教と哲学
第六章 宗教間対話を可能にする理論を求めて
第七章 哲学・神学から仏教へ
第八章 伝統思想から菩薩の倫理学へ
第九章 菩薩の倫理学
終 章 苦闘する哲学──私性からの出発

著者プロフィール
末木文美士 (スエキフミヒコ) (著)
1949年生まれ. 1973年, 東京大学文学部印度哲学専修課程卒業、1978年同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学. 東京大学文学部・人文社会系研究科教授を経て、国際日本文化研究センター教授]、総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻教授併任。現在, 東京大学, 総合研究大学院大学名誉教授.
著書:『解体する言葉と世界──仏教からの挑戦』(岩波書店, 1998), 『「碧巌録」を読む』(岩波書店, 98), 『明治思想家論──近代日本の思想・再考 Ⅰ』『近代日本と仏教──近代日本の思想・再考Ⅱ』(トランスビュー, 2004), 『他者/死者/私──哲学と宗教のレッスン』(岩波書店, 2007), 『仏典を読む──死から始まる仏教史』(新潮社, 2009), 『哲学の現場──日本で考えるということ』(トランスビュー, 2012), 『草木成仏の思想──安然と日本人の自然観』(サンガ, 2015)ほか多数。

仕事への影響の観点からAIについて考える「HUMAN+MACHINE 人間+マシン」

2018年11月23日 | 新刊書
HUMAN+MACHINE 人間+マシン: AI時代の8つの融合スキル 単行本 – 2018/11/23
ポール・R・ドーアティ (著), H・ジェームズ・ウィルソン (著), 保科 学世 (監修),


人間と人工知能の関係についてまた新しい書物が登場しました。
この書物は科学的な側面よりも、実際にAIがわたしたちに影響を及ぼすことになる
経済や仕事の側面に重点を置いているようです。
AIによって単純な仕事は少なくなるかもしれませんが
それによって生まれてくる仕事の数も多いのではないかと、期待したいところです。


単行本: 352ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2018/11/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4492762469
ISBN-13: 978-4492762462

内容紹介
製造、サプライチェーン、会計、R&D、営業、マーケティング
ヒトと人工知能との「協働」が始まる

GE、マイクロソフト、BMW、グーグル、アマゾン・・・・・・
先進企業に学ぶ「これまでと違う仕事」と「これまでと違う仕事のやり方」

AI革命とは「人間の能力を拡張する」ために業務プロセスを根本的に変えることである。
本書はこの新しい時代を理解し、勝ち抜くためのガイドとなる。

【主要目次】
イントロダクション AI時代における人間の役割とは

パート1 「人間+マシン」の未来を現在から考える
第1章 自己認識する工場―製造・サプライチェーン、流通におけるAI
 工場内のAI/倉庫とロジスティクスにおけるAI
第2章 会計業務をするロボット―コーポレートファンクションにおけるAI
 業務プロセスにおけるAI/人間を中心にプロセスを再設計する
第3章 究極のイノベーション・マシン―R&Dとビジネス・イノベーションにおけるAI
 製品・サービスデザインにおけるAI/R&Dのリスク要因
第4章 フロントオフィスにボットがやってくる―カスタマーサービス、営業、マーケティングにおけるAI
 買い物客を自動認識する店舗/小売業におけるAI

パート2 ミッシング・ミドル―AIで業務プロセスを再考する
第5章 アルゴリズムを正しく設計する―「責任あるAI」を実現する上で人間が演じる3つの役割
 トレーナー(訓練者)/エクスプレイナー(説明者)/サステイナー(維持者)
第6章 普通の人々が素晴らしい結果を生み出す―AIが新しいレベルの生産性を実現する3つの方法
 能力拡張の3つのタイプ/増幅/相互作用/具現化
第7章 業務プロセスを再設計する―リーダーのための5つのステップ
  [ M ] マインドセット:あるべき業務プロセスを想像する
  [ E ] 実験:実験をデザインする
  [ L ] リーダーシップ:人間とマシンのミックス文化をつくる
  [ D ] データ:データのサプライチェーンを設計する
第8章 人間とマシンのコラボレーションを発展させる―AIが働く職場のための8つの新しい融合スキル
 人間性回復スキル―仕事に人間らしさを取り戻す力
 定着化遂行スキル―人間とマシンの共存を日常化する力
 判断プロセス統合スキル―マシンの力を借りて判断する力
 合理的質問スキル―マシンから必要な情報を引き出す力
 ボットを利用した能力拡張スキル―ボットを使いこなす能
 身体的かつ精神的融合スキル―心身ともにマシンと融合する力
 相互学習スキル―マシンに教え、マシンから学ぶ力
 継続的再設計スキル―マシンとともに変わり続ける力
結論 人間+マシン時代を生き残るために
解説 日本語版監修によせて、日本と日本企業が取り組みべきこと

著者について
監修者について

ポール・R・ドーアティ アクセンチュア最高技術責任者(CTO)兼最高イノベーション責任者(CIO)
AI、研究開発部門のリーダーとして、アクセンチュアにおいて長年にわたりAI関連の研究、ビジネスの立ち上げに携わっている。ベンチャービジネス、先端技術開発、エコシステム部門も統括。1980年代初めから、ミシガン大学にて、コンピュータービジネスを専攻、ダグラス・ホフスタッターとともに認知科学、心理学を学び、AI研究に取り組む。オンラインメディア「Computerworld」の「2017年のテクノロジー・リーダー100人」の1人にも選ばれている。

H・ジェームズ・ウィルソン アクセンチュア・リサーチ マネジング・ディレクター
バブソン・エグゼクティブ・アンド・エンタープライズ・エデュケーション、ベイン・アンド・カンパニーにて、調査、研究業務に携わった後、アクセンチュアのIT、ビジネスリサーチ部門のリーダーとして活躍。バブソン大学のチームによる共著、The New Entrepreneurial Leader: Developing Leaders Who Shape Social and Economic Opportunityの著者の1人。パーソナル・アナリティクス、ソーシャルIT、ウェアラブル、ナチュラル・ユーザー・インターフェイス(NUI)など、マシンによる人間の能力拡張に早い時期から言及している。

保科学世 アクセンチュア アプライド・インテリジェンス(AAI)日本統括 マネジング・ディレクター
慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了。博士(理学)。アクセンチュアにてAI・アナリティクス部門の日本統括、およびデジタル変革の知見や技術を結集した拠点「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」の共同統括を務める。『データサイエンス超入門』(共著、日経BP社)など著書多数。厚生労働省 保健医療分野AI開発加速コンソーシアム 構成員など歴任。

切り口がユニークな「イラストでわかる映画の歴史」

2018年11月23日 | 新刊書
イラストでわかる映画の歴史 いちばんやさしい映画教室
アダム・オールサッチ・ボードマン (著, イラスト), 細谷由依子 (翻訳)


これはとても面白そうな書物ですね。
映画の歴史を技術の歴史と重ね合わせて考察するユニークな切り口の書物のようです。
テーマも豊富で、興味深い。
ただこのページ数で、そもそも足りるものなのでしょうか。
それだけが心配ですが。



単行本: 104ページ
出版社: フィルムアート社 (2018/11/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4845918056
ISBN-13: 978-4845918058

内容紹介
映画の起源は洞窟にあった!?
"世界のクロサワ"は何が評価された!?

カメラが発明される前、セットが生まれる前、
ハリウッドができあがる前…そこに光があった。

ポップなイラストで中高生から大人まで楽しめる、
知識ゼロから学べる映画の教科書が登場!


長い人類史において「映画」が生まれ、
発展したのはこの100年ちょっとのこと。

今や全国数多くの映画館や動画配信サービスの発展等で、
手軽に作品にふれることが出来る時代になりました。

この本は、映画がどのようにつくられてきたかを
「人」「テクノロジー(技術)」「テクニック(撮影技法)」の面から
イラストで分かりやすく解説。

遥か昔、洞窟に画を投影した時代から、
□1890年代のエジソン、リュミエール兄弟による映画の発明
□1930年代 『風と共に去りぬ』『オズの魔法使い』
□40年代 フィルム・ノワール
□50年代 サムライの美学
□60年代 ヌーヴェルヴァーグ
□70年代 『スターウォーズ』
□80年代 3DCGの登場
□2010年代 マーヴェル・スタジオ/『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
□未来におけるVR、仮想現実
など、全部で35項目を紹介。

用語集や映画製作チームの職業別解説なども収録し、
思わず人にに喋りたくなる情報が満載です!


−−−
◎目次(予定)
イントロダクション

先史時代
光と遊ぶ──洞窟、幻灯機、カメラ・オブスクラ

19世紀
1800年代──初期の映画作家たち
1890年代──動画の始まり、エジソン、リュミエール兄弟
最初のスクリーン上映──リュミエール兄弟

20世紀
1900年代──動画の拡大、劇場の誕生
手品とイリュージョン──映像の魔術、メリエス
1910年代
『イントレランス』のセット
映画館
時代ごとの映画館の変遷
1920年代──ソヴィエト(ジガ・ヴェルトフ)、ドイツ(フリッツ・ラング)
音響──初期の音響機器、言葉を超えた表現
1930年代──スター監督の誕生(ヒッチコック、溝口健二)
カラーの時代 ──『風と共に去りぬ』『オズの魔法使い』
1940年代──戦争の兵器、戦争と前線映画
フィルム・ノワール──オーソン・ウェルズ『市民ケーン』
1950年代──ギミック、3D映画のはじまり、ワイド・スクリーン
サムライの美学──黒澤明、『用心棒』、西部劇への影響、『荒野の用心棒』
『七人の侍』のセット
編集
1960年代──公民権運動、ハリウッド
ヌーヴェルヴァーグ──ゴダール、アニエス・ヴァルダ
1970年代──エクスプロイテーション・フィルム、ステディカムの時代、ジョージ・ルーカス
『スターウォーズ』のセット
1980年代──ビデオテープ〜光学ディスクへ、CG
合成技術
1990年代──デジタルの時代、DVD、オンデマンドサービスのはじまり、『スピード』、『ツイン・ピークス』

21世紀
2000年代──パーソナルコンピュータでの映像制作、クロマキー合成
文化的転換──アジア映画の盛り上がり
2010年代──マーヴェル・スタジオ、『ゼロ・グラヴィティ』
合成──『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
未来──ヴィデオゲーム、VR、仮想現実
歴史的遺産──『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

映画製作チームに出会おう
用語集
索引
著者について
[絵と文]
アダム・オールサッチ・ボードマン(Adam Allsuch Boardman)
イラストレーター、英国リーズ在住。
イラストを通じてわかりやすく情報を伝えることを心がけて活動している。時間があるときは、SF小説を読んだり、テレビや映画鑑賞を心ゆくまで楽しんでいる。
ボードマンは本書において、撮影機材から監督・役者にいたるまで、映画の歴史という壮大な旅へと読者を誘う。金字塔的な映画作品や、合成などの技術革新について、親しみやすいイラストで紹介し、娯楽産業や、時代によって異なる人々の価値観、記憶、歴史の記録行為において映画が果たした偉大な業績をたたえている。
http://aaab-illustration.com/

[訳]
細谷由依子(ほそやゆいこ)
1996年より数多くのインタビュー通訳、翻訳を手掛け、2000年以降はフリーランスとして出版翻訳、映像制作・翻訳者、聴覚障害者向け字幕ライターとして活動する。主な翻訳歴に『模様と意味の本』、『本を読むときに何が起きているのか』、『色と意味の本』(フィルムアート社)、『It's All For You』(青幻社)などの書籍や、映画『ラプシーとドリー』、『さとにきたらええやん』、『躍る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像』ほか、音楽番組やアニメなどの字幕翻訳がある。

これまで書かれていなかったのが不思議な「情報がつなぐ世界史 」

2018年11月22日 | 新刊書
情報がつなぐ世界史 (MINERVA世界史叢書)
南塚信吾 (編集)


世界史は文字で書かれた歴史ですので、実際に起きた事件そのものではなく、あくまでも
そうした事件を報道し、その報道からひとつの物語を読み取る人間が作りだすものです。
それだけにそうした事件を伝える媒介がどのようなものであったかということは、
歴史を構成する重要な要件になります。
世界史を、それを構成する情報という観点から見直そうとする野心的な書物です。
これまでこうした書物がなかったのが、不思議なくらいです。




単行本: 322ページ
出版社: ミネルヴァ書房 (2018/11/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4623084701
ISBN-13: 978-4623084708

内容紹介
世界をつないだ「媒体」の意義と役割
写本からインターネットまで、メディアの変遷を辿り世界史に与えたインパクトを多角的に読み解く。

世界をつなぐ重要な担い手、「情報」。本書では、印刷術発明以前の「写本」「世界図」「人物図」にはじまり、「書籍」「新聞」「雑誌」など
印刷物による伝達手段を経て、さらに19世紀以降のマスメディアの展開として、「電信」「映画」「テレビ」「インターネット」を取り上げる。
それぞれの媒体がいかにして情報を伝え、世界をつなぎ、どのような世界史像を生み出したのかを検討するとともに、どのように世界の一体化を促進し、世界史に新たな問題をもたらしたのかについても読み解く。


[目次]


序 論 情報がつくる世界史(南塚信吾)


 第Ⅰ部 文字と図による伝達

第1章 写本が伝える世界認識(大塚 修)
 1 イスラーム史研究と写本
 2 普遍史書における世界認識の図表化の萌芽
 3 普遍史書における世界認識の図表化の成熟
 4 『選史』が後世の普遍史書に与えた影響

第2章 世界図はめぐる(応地利明)
 1 プトレマイオス世界図と中国発同時代地理情報
 2 古今華夷区域揔*要図──中国王権思想の正統図
 3 イドリースィー図と古今華夷区域揔*要図──地図情報の東西交流

コラム1 地図屏風に見る世界像(三好唯義)


 第Ⅱ部 印刷物による伝達
 
第3章 書籍がつなぐ世界──『千一夜物語』(杉田英明)
 1 写本から書籍へ
 2 さまざまな翻訳
 3 異文化を見る窓
 4 非ヨーロッパ世界での受容

コラム2 書籍商としての長崎屋(片桐一男)
 
第4章 近代的新聞の可能性と拘束性──日露戦争の時代における新聞のメディア的変容(加藤裕治)
 1 「出来事を知らせる」ことの変容──日露戦争における新聞報道への熱狂
 2 初期新聞から近代的新聞へ──新聞報道の「誕生」とその意味
 3 新聞が報道する戦争と戦場(1)──「瞬間」と「俯瞰」から伝える
 4 新聞が報道する戦争と戦場(2)──「人」への興味から伝える
 5 日露戦争の新聞──初期新聞の時代と疑似環境化する時代の狭間で

コラム3 新聞の世界的ネットワーク(澤田 望)

第5章 イギリスのイラスト紙・誌が見せた19世紀の世界(東田雅博)
 1 イラスト紙・誌とは
 2 世界をどう見せたか──大博覧会
 3 アジアをどう見せたか
 4 アフリカをどう見せたか
 5 イラスト紙・誌が見せた世界

コラム4 世界をつなぐ郵便制度(星名定雄)

第6章 反奴隷制運動の情報ネットワークとメディア戦略(並河葉子)
 1 イギリスにおける反奴隷制運動
 2 『奴隷貿易廃止の歴史』にみる奴隷貿易廃止運動
 3 運動の広がり──西インド産砂糖ボイコット運動


 第Ⅲ部 信号・音声・映像による伝達

第7章 海底ケーブルと情報覇権(有山輝雄)
 1 「文明開化」とコミュニケーション
 2 海底電線をめぐる日本・清国・朝鮮三国関係
 3 朝鮮・清国陸上線と漢城・釜山線問題
 4 東北アジア地政学の中の朝鮮半島電信線
 5 東アジアにおける二重の情報覇権

コラム5 通信社の世界史(里見 脩)
 
第8章 アメリカの政府広報映画が描いた冷戦世界──医療保健援助船「ホープ号」をめぐって(土屋由香)
 1 USIS映画と冷戦
 2 USIS映画の概要
 3 『ホープ計画』とアメリカの対アジア医療保健援助
 4 USIS映画が描いた「世界の中のアメリカ」「アメリカから見た世界」

第9章 サイゴンの最も長い日──ヴェトナム戦争とメディア(生井英考)
 1 情報とヴェトナム戦争
 2 プレスとメディアの戦争
 3 アプ・バクからテト攻勢へ
 4 残された傷

第10章 衛星テレビのつくる世界史(隅井孝雄)
 1 宇宙衛星時代のあけぼの
 2 宇宙に架ける対話の橋
 3 戦場からの生中継
 4 新しい情報通信時代への胎動

コラム6 インターネットとモバイル革命(大森義行)

人名・事項索引

著者について
《責任編集者紹介》*本情報は刊行時のものです
南塚信吾(みなみづか・しんご)
1942年 生まれ。
1970年 東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
1967年 国際学修士(東京大学)。
現 在 NPO歴史文化交流フォーラム付属世界史研究所所長、千葉大学・法政大学名誉教授。

日本論というテーマで書評をまとめた松岡正剛 「千夜千冊エディション 面影日本 」

2018年11月22日 | 新刊書
千夜千冊エディション 面影日本 (角川ソフィア文庫)
松岡 正剛 (著)


長年にわたって長文の書評を書き続けてきた松岡正剛さんの書評は
インターネットでも読めますが、このように文庫として、
テーマ別にまとめられると、また別の視点から眺めることができるようになって
さらに興味が掻き立てられます。
集積が大きな力となる重要な一例ですね。




文庫: 432ページ
出版社: KADOKAWA (2018/11/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044003556
ISBN-13: 978-4044003555

内容紹介
「常世、鳥居、正月、翁、稜威」という覗き窓をモチーフに面影を考察。

第一章面影の原像へ
谷川健一『常世論』一三二二夜
萩原秀三郎『稲と鳥と太陽の道』一一四一夜
大林太良『正月の来た道』四五一夜
山折哲雄『神と翁の民俗学』一二七一夜
山本健吉『いのちとかたち』四八三夜
丸山真男『忠誠と反逆』五六四夜

第二章をかし・はかなし・無常・余情
清少納言『枕草子』四一九夜
和泉式部『和泉式部日記』二八五夜
西行『山家集』七五三夜
堀田善衛『定家明月記私抄』一七夜
鴨長明『方丈記』四二夜
吉田兼好『徒然草』三六七夜
唐木順三『中世の文學』八五夜
尼ケ崎彬『花鳥の使』一〇八九夜

第三章連鎖する面影
大隅和雄・西郷信綱ほか『日本架空伝承人名事典』四一五夜
三浦佑之『浦島太郎の文学史』六三五夜
石田英一郎『桃太郎の母』一二四四夜
近藤信義『枕詞論』一五九九夜
伊地知鉄男『連歌の世界』七三九夜
心敬『ささめごと・ひとりごと』一二一九夜
西郷信綱『梁塵秘抄』一一五四夜

第四章ニッポンを感じる
ドナルド・キーン『百代の過客』五〇一夜
渡辺京二『逝きし世の面影』一二〇三夜
ウィリアム・バトラー・イエーツ『鷹の井戸』五一八夜
アレックス・カー『美しき日本の残像』二二一夜
ロジャー・パルバース『もし、日本という国がなかったら』一五四五夜
イ・オリョン『「縮み」思考の日本人』一一八八夜

著者について
●松岡 正剛:編集工学者、編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。80年代に情報文化と情報技術をつなぐ方法論を体系化し「編集工学」を確立し様々なプロジェクトに応用。2000年「千夜千冊」の連載を開始。同年、eラーニングの先駆けともなる「イシス編集学校」を創立。近年はBOOKWAREという考えのもと膨大な知識情報を相互編集する知の実験的空間を手掛ける。また日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し独自の日本論を展開。著書に『フラジャイル』『ルナティックス』『自然学曼荼羅』『擬』ほか。

文庫になった永井均の西田論「西田幾多郎 言語、貨幣、時計の成立の謎へ 」

2018年11月22日 | 新刊書
西田幾多郎 言語、貨幣、時計の成立の謎へ (角川ソフィア文庫)
永井 均 (著)


ユニークな哲学を展開する永井均の西田幾太郎論が、
付論として「時計の成立「死ぬことによって生まれる今と生まれることによって死ぬ今」」を加えて
文庫になりました。
もとはNHK出版『シリーズ・哲学のエッセンス 西田幾多郎<絶対無>とは何か』ですが、
文庫で手軽に入手できるようになったのはうれしいですね。




文庫: 176ページ
出版社: KADOKAWA (2018/11/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044001847
ISBN-13: 978-4044001841


内容紹介
西田哲学のエッセンスを永井流に丁寧に考察、あらたな付論を加えた文庫新版

私の底に汝があり、汝の底に私がある――。「私」と「汝」がともに「彼」に変容することが、言語の成立ということなのだ。西田哲学を他の哲学論と丁寧に比較、論じながら独自の永井哲学を展開。さらに文庫版付論・時計の成立「死ぬことによって生まれる今と生まれることによって死ぬ今」で、マクタガートの「時間の非実在性」の概念を介在させ、考察を深めた。無と有、生と死の本質にせまる圧倒的な哲学書。NHK出版『シリーズ・哲学のエッセンス 西田幾多郎<絶対無>とは何か』に新しく付論を加えて文庫化。

著者について
●永井 均:1951年生まれ。慶應大学大学院文学研究科博士課程単位取得。日本大学教授。専攻は、哲学、倫理学。著書に、『転校生とブラックジャック』『改訂版 なぜ意識は実在しないのか(以上、岩波現代文庫)、『翔太と猫のインサイトの夏休み』(ちくま学芸文庫)、『〈子ども〉のための哲学』『これがニーチェだ』『私・今・そして神』(以上、講談社現代新書)、『存在と時間――哲学探究1』(文藝春秋)、『世界の独在論的存在構造』(春秋社)など多数。訳書に、マクタガート『時間の非実在性』(講談社学術文庫)などがある。

永井均さんには次のような多数の著書や訳書があります。

■今という驚きを考えたことがありますか : マクタガートを超えて
左右社 2018.6 大澤真幸Thinking 「O」 / 大澤真幸 [編著] 015
■『青色本』を掘り崩す : ウィトゲンシュタインの誤診
永井均 [著]
講談社 2018.2 講談社学術文庫 [2499]
■哲学の密かな闘い
永井均著
岩波書店 2018.3 新版 岩波現代文庫 学術 ; 379
■世界の独在論的存在構造
永井均著
春秋社 2018.8 哲学探究 / 永井均著 2
■時間の非実在性
ジョン・エリス・マクタガート [著] ; 永井均訳・注解と論評
講談社 2017.2 講談社学術文庫 [2418]
■明るい哲学の練習最後に支えてくれるものへ : 香山リカと哲学者たち
中島義道 [ほか] 著
ぷねうま舎 2017.3
■「仏教3.0」を哲学する
藤田一照, 永井均, 山下良道著
春秋社 2016.9
■存在と時間
永井均著
文藝春秋 2016.3 哲学探究 / 永井均著 1
■なぜ意識は実在しないのか
永井均著
岩波書店 2016.6 改訂版 岩波現代文庫 学術 ; 350
■哲学者に会いにゆこう = Take a walk to see philosophers
田中さをり著者代表 ; 永井均 [ほか述]
ナカニシヤ出版 2016.4-2017.8
■考える方法
永井均 [ほか] 著 ; 桐光学園, ちくまプリマー新書編集部編
筑摩書房 2015.2 ちくまプリマー新書 227
■哲おじさんと学くん
永井均著
日本経済新聞出版社 2014.9 日経プレミアシリーズ 268
■哲学の密かな闘い
永井均著
ぷねうま舎 2013.3
■哲学の賑やかな呟き
永井均著
ぷねうま舎 2013.9
■「自己」と「他者」
木村敏, 野家啓一監修
河合文化教育研究所 , 河合出版 (発売) 2013.1 臨床哲学の諸相 [4]
■ウィトゲンシュタインの誤診 : 『青色本』を掘り崩す
永井均著
ナカニシヤ出版 2012.8
■倫理とは何か : 猫のアインジヒトの挑戦
永井均著
筑摩書房 2011.1 ちくま学芸文庫 [ナ13-2]
■「私」の存在の比類なさ
永井均 [著]
講談社 2010.7 講談社学術文庫 [2000]
■なぜ人を殺してはいけないのか?
永井均, 小泉義之[著]
河出書房新社 2010.1 河出文庫 な25-2
■「私」の哲学を哲学する
永井均 [ほか] 共著
講談社 2010.10
■転校生とブラック・ジャック : 独在性をめぐるセミナー
永井均著
岩波書店 2010.5 岩波現代文庫 学術 ; 238
■子どものための哲学対話
永井均 [著] ; 内田かずひろ絵
講談社 2009.8 講談社文庫 [な-80-1]
■マンガは哲学する
永井均著
岩波書店 2009.4 岩波現代文庫 社会 ; 183
■道徳は復讐である : ニーチェのルサンチマンの哲学
永井均著
河出書房新社 2009.11 河出文庫
■なぜ意識は実在しないのか
永井均著
岩波書店 2007.11 哲学塾
■翔太と猫のインサイトの夏休み : 哲学的諸問題へのいざない
永井均著
筑摩書房 2007.8 ちくま学芸文庫 ナ13-1
■君はいま夢を見ていないとどうして言えるのか : 哲学的懐疑論の意義
バリー・ストラウド著 ; 岩沢宏和 [ほか] 訳
春秋社 2006.6 現代哲学への招待 / 丹治信春監修 . Great works
■西田幾多郎 : 「絶対無」とは何か
永井均著
日本放送出版協会 2006.11 シリーズ・哲学のエッセンス
■主体概念の再検討
永井均編
千葉大学大学院社会文化科学研究科 2005.3 千葉大学社会文化科学研究科研究プロジェクト報告書 第101集
■マンガは哲学する
永井均[著]
講談社 2004.8 講談社+α文庫
■私・今・そして神 : 開闢の哲学
永井均著
講談社 2004.10 講談社現代新書 1745
■倫理とは何か : 猫のアインジヒトの挑戦
永井均著
産業図書 2003.1 哲学教科書シリーズ
■転校生とブラック・ジャック : 独在性をめぐるセミナー
永井均著
岩波書店 2001.6 双書現代の哲学
■ニヒリズムからの出発
竹内整一, 古東哲明編
ナカニシヤ出版 2001.3 叢書倫理学のフロンティア 8
■なぜ悪いことをしてはいけないのか
大庭健, 安彦一恵, 永井均編
ナカニシヤ出版 2000.9 叢書倫理学のフロンティア 9
■マンガは哲学する
永井均著
講談社 2000.2 Kodansha sophia books
■なぜ人を殺してはいけないのか?
永井均, 小泉義之 [著]
河出書房新社 1998.10 シリーズ道徳の系譜
■これがニーチェだ
永井均著
講談社 1998.5 講談社現代新書 1401
■歴史と終末論
野家啓一 [ほか] 執筆
岩波書店 1998.8 岩波新・哲学講義 / 野家啓一 [ほか] 編集 8
■「私」の存在の比類なさ
永井均著
勁草書房 1998.2
■子どものための哲学対話 : 人間は遊ぶために生きている!
永井均著 ; 内田かずひろ絵
講談社 1997.7
■ルサンチマンの哲学
永井均著
河出書房新社 1997.5 シリーズ道徳の系譜
■「子ども」のための哲学
永井均著
講談社 1996.5 講談社現代新書 1301
■ウィトゲンシュタイン入門
永井均著
筑摩書房 1995.1 ちくま新書 020
■翔太と猫のインサイトの夏休み : 哲学的諸問題へのいざない
永井均著
ナカニシヤ出版 1995.12
■他者・関係・コミュニケーション
井上俊 [ほか] 編集
岩波書店 1995.11 岩波講座現代社会学 / 井上俊 [ほか] 編 3
■自己と他者
池上哲司 [ほか] 編
昭和堂 1994.2 叢書《エチカ》 3
■道徳の理由 : Why be moral?
安彦一恵, 大庭健, 溝口宏平編
昭和堂 1992.12 叢書《エチカ》 1
■「魂」に対する態度
永井均著
勁草書房 1991.2
■コウモリであるとはどのようなことか
トマス・ネーゲル著 ; 永井均訳
勁草書房 1989.6
■「私」のメタフィジックス
永井均著
勁草書房 1986.9


新たな展開に期待したい若尾政希の「百姓一揆」

2018年11月21日 | 新刊書
百姓一揆 (岩波新書)
若尾 政希 (著)


百姓一揆というと、多くの時代劇などのドラマで通念が生まれていますが
この書物はそうした通念をひっくり返しながら
これが人々のパワーを発揮した自己主張の営みであったことを明らかにすることを試みるもののようです。
岩波新書では1982年に勝俣鎮夫の「一揆」が刊行されています。
この書物は一揆をその歴史的な発生からたどる有益な書物でした。
今回の「百姓一揆」がどのような新たな展開を示してくれるか、楽しみです。



新書: 240ページ
出版社: 岩波書店 (2018/11/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4004317509
ISBN-13: 978-4004317500

内容紹介
「反体制運動ではなかった」、「竹槍や蓆旗(むしろばた)は使われなかった」――百姓一揆の歴史像は、研究の進展によって大きく転換した。なぜ百姓は、訴訟や一揆を通して粘り強く自己主張することができたのか。各地に残る「一揆物語」には、どんな思想が織りこまれているか。その独特のピープルズ・パワーから、近世という時代を考える。

今から読むのが楽しみな「日本の同時代小説」

2018年11月21日 | 新刊書
日本の同時代小説 (岩波新書)
著者 : 斎藤美奈子


優れた書評の書き手である斎藤美奈子が、いわば総決算のようにして
現代の日本の小説について語った書物のようです。
詳しいことは不明ですが、いつもながらの筆力で
大いに読者を楽しませてくれることを期待します。
楽しみな一冊。



新書: 288ページ
出版社: 岩波書店 (2018/11/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4004317460

内容紹介
メディア環境の急速な進化、世界情勢の転変、格差社会の深刻化、そして戦争に大震災──。創作の足元にある社会が激変を重ねたこの50年。「大文字の文学の終焉」が言われる中にも、新しい小説は常に書き続けられてきた! 今改めて振り返る時、そこにはどんな軌跡が浮かぶのか? ついに成る、私たちの「同時代の文学史」。

眺めるだけでも楽しそうな「ウンベルト・エーコの世界文明講義」

2018年11月21日 | 新刊書
ウンベルト・エーコの世界文明講義
ウンベルト・エーコ (著), 和田忠彦 (監修), 石田聖子 (翻訳), 小久保真理江 (翻訳), & 3 その他


エーコが「見えないもの、聖なるもの、美と醜、絶対と相対」などの概念を手掛かりに、
古代からの歴史をたどりながら
文明論的な考察を展開する書物のようです。
図版も多数あって、眺めるだけでも楽しそう。
まずは図書館で手に取ってみてみたい。



単行本: 432ページ
出版社: 河出書房新社 (2018/11/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4309207529
ISBN-13: 978-4309207520

内容紹介
現代人は古代・中世・近代より進歩しているのか。
見えないもの、聖なるもの、美と醜、絶対と相対、パラドックス、嘘、秘密、陰謀……
太古からつづく普遍的課題をやさしく解き明かした、知の巨人による最後の贈り物。
絵画、音楽、文学、映画、漫画など、カラー図版120点以上! ! !

著者について
ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)……1932年イタリア生まれ。小説家・記号論学者。現代を代表する碩学として幅広い著作を発表。中世の修道院を舞台にした小説『薔薇の名前』は世界5500万部を超えるベストセラー。小説に『フーコーの振り子』『プラハの墓地』など、評論に『記号論』『美の歴史』『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』など。2016年没。