新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

ユニークな仏教哲学の試み「冥顕の哲学1 死者と菩薩の倫理学」

2018年11月23日 | 新刊書
冥顕の哲学1 死者と菩薩の倫理学 単行本 – 2018/11/23
末木文美士 (著), 中川和夫 (編集)


仏教について、とくに西田や田辺の哲学を手掛かりにしながら
哲学的に考察する書物のようです。
これまでになかったユニークな試みとして、注目したいと思います。
タイトルはすこし「怖い」感じですが
怖気ずに読んでみたいと思います。



単行本: 282ページ
出版社: ぷねうま舎 (2018/11/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4906791972
ISBN-13: 978-4906791972



紹介
人の間の公共性の領域〈顕〉に対して、不可知の霧に包まれた〈冥〉という場所、そこには他者、死者そして神仏が息づく。日本の中世思想に由来する「冥顕」の構造をもって、現代の哲学的・思想的な閉塞状況に立ち向かう「死者の哲学」と「菩薩の倫理学」。

仏教学から出発し、日本思想史の壮大な流れに立つ著者が、生を導く普遍的な価値を再生しようとした四半世紀にわたる哲学の格闘を集成する。

目次
序 章 見えるもの、見えざるもの──顕と冥の世界観
  Ⅰ 死者と冥顕の哲学
第一章 哲学としての懺悔道──田辺哲学再考1
第二章 懺悔道と親鸞──田辺哲学再考2
第三章 他者・死者と場所──西田・田辺の哲学と現代
第四章 死者と時間──時間はどこに生まれるか
  Ⅱ 菩薩の倫理学へ
第五章 仏教と哲学
第六章 宗教間対話を可能にする理論を求めて
第七章 哲学・神学から仏教へ
第八章 伝統思想から菩薩の倫理学へ
第九章 菩薩の倫理学
終 章 苦闘する哲学──私性からの出発

著者プロフィール
末木文美士 (スエキフミヒコ) (著)
1949年生まれ. 1973年, 東京大学文学部印度哲学専修課程卒業、1978年同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学. 東京大学文学部・人文社会系研究科教授を経て、国際日本文化研究センター教授]、総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻教授併任。現在, 東京大学, 総合研究大学院大学名誉教授.
著書:『解体する言葉と世界──仏教からの挑戦』(岩波書店, 1998), 『「碧巌録」を読む』(岩波書店, 98), 『明治思想家論──近代日本の思想・再考 Ⅰ』『近代日本と仏教──近代日本の思想・再考Ⅱ』(トランスビュー, 2004), 『他者/死者/私──哲学と宗教のレッスン』(岩波書店, 2007), 『仏典を読む──死から始まる仏教史』(新潮社, 2009), 『哲学の現場──日本で考えるということ』(トランスビュー, 2012), 『草木成仏の思想──安然と日本人の自然観』(サンガ, 2015)ほか多数。

仕事への影響の観点からAIについて考える「HUMAN+MACHINE 人間+マシン」

2018年11月23日 | 新刊書
HUMAN+MACHINE 人間+マシン: AI時代の8つの融合スキル 単行本 – 2018/11/23
ポール・R・ドーアティ (著), H・ジェームズ・ウィルソン (著), 保科 学世 (監修),


人間と人工知能の関係についてまた新しい書物が登場しました。
この書物は科学的な側面よりも、実際にAIがわたしたちに影響を及ぼすことになる
経済や仕事の側面に重点を置いているようです。
AIによって単純な仕事は少なくなるかもしれませんが
それによって生まれてくる仕事の数も多いのではないかと、期待したいところです。


単行本: 352ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2018/11/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4492762469
ISBN-13: 978-4492762462

内容紹介
製造、サプライチェーン、会計、R&D、営業、マーケティング
ヒトと人工知能との「協働」が始まる

GE、マイクロソフト、BMW、グーグル、アマゾン・・・・・・
先進企業に学ぶ「これまでと違う仕事」と「これまでと違う仕事のやり方」

AI革命とは「人間の能力を拡張する」ために業務プロセスを根本的に変えることである。
本書はこの新しい時代を理解し、勝ち抜くためのガイドとなる。

【主要目次】
イントロダクション AI時代における人間の役割とは

パート1 「人間+マシン」の未来を現在から考える
第1章 自己認識する工場―製造・サプライチェーン、流通におけるAI
 工場内のAI/倉庫とロジスティクスにおけるAI
第2章 会計業務をするロボット―コーポレートファンクションにおけるAI
 業務プロセスにおけるAI/人間を中心にプロセスを再設計する
第3章 究極のイノベーション・マシン―R&Dとビジネス・イノベーションにおけるAI
 製品・サービスデザインにおけるAI/R&Dのリスク要因
第4章 フロントオフィスにボットがやってくる―カスタマーサービス、営業、マーケティングにおけるAI
 買い物客を自動認識する店舗/小売業におけるAI

パート2 ミッシング・ミドル―AIで業務プロセスを再考する
第5章 アルゴリズムを正しく設計する―「責任あるAI」を実現する上で人間が演じる3つの役割
 トレーナー(訓練者)/エクスプレイナー(説明者)/サステイナー(維持者)
第6章 普通の人々が素晴らしい結果を生み出す―AIが新しいレベルの生産性を実現する3つの方法
 能力拡張の3つのタイプ/増幅/相互作用/具現化
第7章 業務プロセスを再設計する―リーダーのための5つのステップ
  [ M ] マインドセット:あるべき業務プロセスを想像する
  [ E ] 実験:実験をデザインする
  [ L ] リーダーシップ:人間とマシンのミックス文化をつくる
  [ D ] データ:データのサプライチェーンを設計する
第8章 人間とマシンのコラボレーションを発展させる―AIが働く職場のための8つの新しい融合スキル
 人間性回復スキル―仕事に人間らしさを取り戻す力
 定着化遂行スキル―人間とマシンの共存を日常化する力
 判断プロセス統合スキル―マシンの力を借りて判断する力
 合理的質問スキル―マシンから必要な情報を引き出す力
 ボットを利用した能力拡張スキル―ボットを使いこなす能
 身体的かつ精神的融合スキル―心身ともにマシンと融合する力
 相互学習スキル―マシンに教え、マシンから学ぶ力
 継続的再設計スキル―マシンとともに変わり続ける力
結論 人間+マシン時代を生き残るために
解説 日本語版監修によせて、日本と日本企業が取り組みべきこと

著者について
監修者について

ポール・R・ドーアティ アクセンチュア最高技術責任者(CTO)兼最高イノベーション責任者(CIO)
AI、研究開発部門のリーダーとして、アクセンチュアにおいて長年にわたりAI関連の研究、ビジネスの立ち上げに携わっている。ベンチャービジネス、先端技術開発、エコシステム部門も統括。1980年代初めから、ミシガン大学にて、コンピュータービジネスを専攻、ダグラス・ホフスタッターとともに認知科学、心理学を学び、AI研究に取り組む。オンラインメディア「Computerworld」の「2017年のテクノロジー・リーダー100人」の1人にも選ばれている。

H・ジェームズ・ウィルソン アクセンチュア・リサーチ マネジング・ディレクター
バブソン・エグゼクティブ・アンド・エンタープライズ・エデュケーション、ベイン・アンド・カンパニーにて、調査、研究業務に携わった後、アクセンチュアのIT、ビジネスリサーチ部門のリーダーとして活躍。バブソン大学のチームによる共著、The New Entrepreneurial Leader: Developing Leaders Who Shape Social and Economic Opportunityの著者の1人。パーソナル・アナリティクス、ソーシャルIT、ウェアラブル、ナチュラル・ユーザー・インターフェイス(NUI)など、マシンによる人間の能力拡張に早い時期から言及している。

保科学世 アクセンチュア アプライド・インテリジェンス(AAI)日本統括 マネジング・ディレクター
慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了。博士(理学)。アクセンチュアにてAI・アナリティクス部門の日本統括、およびデジタル変革の知見や技術を結集した拠点「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」の共同統括を務める。『データサイエンス超入門』(共著、日経BP社)など著書多数。厚生労働省 保健医療分野AI開発加速コンソーシアム 構成員など歴任。

切り口がユニークな「イラストでわかる映画の歴史」

2018年11月23日 | 新刊書
イラストでわかる映画の歴史 いちばんやさしい映画教室
アダム・オールサッチ・ボードマン (著, イラスト), 細谷由依子 (翻訳)


これはとても面白そうな書物ですね。
映画の歴史を技術の歴史と重ね合わせて考察するユニークな切り口の書物のようです。
テーマも豊富で、興味深い。
ただこのページ数で、そもそも足りるものなのでしょうか。
それだけが心配ですが。



単行本: 104ページ
出版社: フィルムアート社 (2018/11/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4845918056
ISBN-13: 978-4845918058

内容紹介
映画の起源は洞窟にあった!?
"世界のクロサワ"は何が評価された!?

カメラが発明される前、セットが生まれる前、
ハリウッドができあがる前…そこに光があった。

ポップなイラストで中高生から大人まで楽しめる、
知識ゼロから学べる映画の教科書が登場!


長い人類史において「映画」が生まれ、
発展したのはこの100年ちょっとのこと。

今や全国数多くの映画館や動画配信サービスの発展等で、
手軽に作品にふれることが出来る時代になりました。

この本は、映画がどのようにつくられてきたかを
「人」「テクノロジー(技術)」「テクニック(撮影技法)」の面から
イラストで分かりやすく解説。

遥か昔、洞窟に画を投影した時代から、
□1890年代のエジソン、リュミエール兄弟による映画の発明
□1930年代 『風と共に去りぬ』『オズの魔法使い』
□40年代 フィルム・ノワール
□50年代 サムライの美学
□60年代 ヌーヴェルヴァーグ
□70年代 『スターウォーズ』
□80年代 3DCGの登場
□2010年代 マーヴェル・スタジオ/『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
□未来におけるVR、仮想現実
など、全部で35項目を紹介。

用語集や映画製作チームの職業別解説なども収録し、
思わず人にに喋りたくなる情報が満載です!


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◎目次(予定)
イントロダクション

先史時代
光と遊ぶ──洞窟、幻灯機、カメラ・オブスクラ

19世紀
1800年代──初期の映画作家たち
1890年代──動画の始まり、エジソン、リュミエール兄弟
最初のスクリーン上映──リュミエール兄弟

20世紀
1900年代──動画の拡大、劇場の誕生
手品とイリュージョン──映像の魔術、メリエス
1910年代
『イントレランス』のセット
映画館
時代ごとの映画館の変遷
1920年代──ソヴィエト(ジガ・ヴェルトフ)、ドイツ(フリッツ・ラング)
音響──初期の音響機器、言葉を超えた表現
1930年代──スター監督の誕生(ヒッチコック、溝口健二)
カラーの時代 ──『風と共に去りぬ』『オズの魔法使い』
1940年代──戦争の兵器、戦争と前線映画
フィルム・ノワール──オーソン・ウェルズ『市民ケーン』
1950年代──ギミック、3D映画のはじまり、ワイド・スクリーン
サムライの美学──黒澤明、『用心棒』、西部劇への影響、『荒野の用心棒』
『七人の侍』のセット
編集
1960年代──公民権運動、ハリウッド
ヌーヴェルヴァーグ──ゴダール、アニエス・ヴァルダ
1970年代──エクスプロイテーション・フィルム、ステディカムの時代、ジョージ・ルーカス
『スターウォーズ』のセット
1980年代──ビデオテープ〜光学ディスクへ、CG
合成技術
1990年代──デジタルの時代、DVD、オンデマンドサービスのはじまり、『スピード』、『ツイン・ピークス』

21世紀
2000年代──パーソナルコンピュータでの映像制作、クロマキー合成
文化的転換──アジア映画の盛り上がり
2010年代──マーヴェル・スタジオ、『ゼロ・グラヴィティ』
合成──『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
未来──ヴィデオゲーム、VR、仮想現実
歴史的遺産──『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

映画製作チームに出会おう
用語集
索引
著者について
[絵と文]
アダム・オールサッチ・ボードマン(Adam Allsuch Boardman)
イラストレーター、英国リーズ在住。
イラストを通じてわかりやすく情報を伝えることを心がけて活動している。時間があるときは、SF小説を読んだり、テレビや映画鑑賞を心ゆくまで楽しんでいる。
ボードマンは本書において、撮影機材から監督・役者にいたるまで、映画の歴史という壮大な旅へと読者を誘う。金字塔的な映画作品や、合成などの技術革新について、親しみやすいイラストで紹介し、娯楽産業や、時代によって異なる人々の価値観、記憶、歴史の記録行為において映画が果たした偉大な業績をたたえている。
http://aaab-illustration.com/

[訳]
細谷由依子(ほそやゆいこ)
1996年より数多くのインタビュー通訳、翻訳を手掛け、2000年以降はフリーランスとして出版翻訳、映像制作・翻訳者、聴覚障害者向け字幕ライターとして活動する。主な翻訳歴に『模様と意味の本』、『本を読むときに何が起きているのか』、『色と意味の本』(フィルムアート社)、『It's All For You』(青幻社)などの書籍や、映画『ラプシーとドリー』、『さとにきたらええやん』、『躍る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像』ほか、音楽番組やアニメなどの字幕翻訳がある。