新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

イスラエルを苦しめているプロパガンダを暴く「イスラエルに関する十の神話」

2018年11月25日 | 新刊書
イスラエルに関する十の神話
イラン・パペ (著), 脇浜 義明 (翻訳)


イスラエル問題とパレスチナ問題は、現代の重要な国際政治の争点です。
この書物はイスラエルの歴史家が、自国のイスラエル建国にまつわるさまざまな「虚偽」と
現代のイスラエルをめぐるさまざまなプロパガンダを暴きながら、
可能な解決策を模索する書物です。
当事者からの真摯な提言として、読んでみたい本です。



単行本: 308ページ
出版社: 法政大学出版局 (2018/11/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4588603558
ISBN-13: 978-4588603556

内容紹介
パレスチナは民なき土地ではなかったし、ユダヤ人は土地なき民ではなかった。パレスチナは植民地化されたのであって、ユダヤ人がイスラエルを回復したのではない。歴史の歪曲と情報操作によって生み出されてきたイスラエルに関する「神話」、すなわち虚偽にまみれた政治的プロパガンダの背景を読み解き、反証をあげて論駁する。イスラエル人の歴史家である著者のエッセンスを集約する入門書。

第一部 過去の虚偽
第一章 パレスチナは無人の地であった
第二章 ユダヤ人は土地なき民族であった
第三章 シオニズムはユダヤ教である
第四章 シオニズムは植民地主義ではない
第五章 一九四八年にパレスチナ人は自ら居住地を捨てた
第六章 一九六七年六月戦争は「やむを得ない」戦争であった
第二部 現在の虚偽
第七章 イスラエルは中東で唯一の民主主義国家である
第八章 オスロー合意に関する諸神話
第九章 ガザに関する諸神話
第三部 未米の虚偽
第十章 二国解決案が唯一の道である
結語 二十一世紀の殖民・植民地主義国家イスラエル

著者について
(Ilan Pappe) 1954年、イスラエル・ハイファ市生まれのユダヤ系イスラエル市民。ハイファ大学講師を経て、英イギリス・エクセター大学教授、同大学パレスチナ研究所所長。パレスチナ・イスラエル史研究。日本語訳に『パレスチナの民族浄化』(田浪亜央江、早尾貴紀訳、法政大学出版局、2017年)、日本での講演録に『イラン・パペ、パレスチナを語る』(ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉訳、柘植書房新社、2008年)がある。

世界平和の可能性を探る「希望としてのカント」

2018年11月25日 | 新刊書
希望としてのカント
高田明宜 (著)


これまでになくきな臭くなってきた世界情勢を考えると、永遠平和についてカントの考察が
ますます重みをもってきているようです。
カントの永遠平和論は、たんに理想ではなく、わたしたちが努力すべき目標として
実現可能なものとして提示されたものです。それではそれはどうして実現可能とみなされたのか、
そのことを考察するための手掛かりとなる本が新たに刊行されました。
読んでみたい一冊です。

単行本: 260ページ
出版社: 日本経済評論社 (2018/11/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4818825077
ISBN-13: 978-4818825079

商品説明
カントが恒久平和を達成するために、人間に要求した人としてのあり方を、市民の精神という形で提示。また、彼の恒久平和の根底には、人間への深いまなざしと、キリスト教的観念が影響していることを明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】

目次
第一部 カント思想における三つのメタ理論
第一章 法の支配に基づく制度設計者としてのカント
第二章 啓蒙による自律した人間を求めるカント
第三章 キリスト教哲学者としてのカント
第二部 恒久平和論の礎としてのカント哲学
第四章 市民性の基礎としてのカント哲学
第五章 道徳とカント的市民性
第六章 カントが見た人間
第三部 恒久平和のためにカントが人間に求めたもの
終章 カントの世界市民とは

著者紹介
高田 明宜
略歴〈高田明宜〉1976年北海道生まれ。国際基督教大学大学院行政学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。桐蔭横浜大学非常勤講師。

沈黙の歴史という不可能に思える主題に挑んだアラン・コルバン「静寂と沈黙の歴史」

2018年11月25日 | 新刊書
静寂と沈黙の歴史
アラン・コルバン (著), 小倉 孝誠 (翻訳), 中川 真知子 (翻訳)


下の訳書リストからお分かりのように、藤原書店はもう30近くもの間、
ほとんど専属のようにしてアラン・コルバンの訳書を刊行しつづけています。
継続は力なり、だなぁ。これほどの傾注は、すばらしいものに思えてきます。
今回はほとんど歴史を語ることが不可能にさえ思える沈黙の歴史です。
渋い!




単行本: 224ページ
出版社: 藤原書店 (2018/11/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4865781994
ISBN-13: 978-4865781991

内容紹介
現代社会で失われつつある、沈黙と静寂の豊かさを再発見する
「静寂(音の不在)」と「沈黙(言葉の不在)」を実践し、その豊かさや恩恵を味わう習慣が失われつつある現代社会。その性質上、行政や司法、教会文書の記録も少なく、痕跡が残らず、歴史家にとって把握するのが困難な「静寂」や「沈黙」を、これまでも、においや嗅覚、音と聴覚的感性など、捉えがたいものの「歴史」に挑んできた“感性の歴史家"が初めて描き出す!
カラー口絵8頁

アラン・コルバンの訳書には次のようなものがあります。

■処女崇拝の系譜
アラン・コルバン [著] ; 山田登世子, 小倉孝誠訳
藤原書店 2018.7
■身体はどう変わってきたか : 16世紀から現代まで
アラン・コルバン [ほか] 著
藤原書店 2014.12
■知識欲の誕生 : ある小さな村の講演会1895-96
アラン・コルバン [著] ; 築山和也訳
藤原書店 2014.10
■英雄はいかに作られてきたか : フランスの歴史から見る
アラン・コルバン [著] ; 梅澤礼, 小池美穂訳
藤原書店 2014.3
■快楽の歴史
アラン・コルバン [著] ; 尾河直哉訳
藤原書店 2011.10
■娼婦
アラン・コルバン [著] ; 内村瑠美子 [ほか] 訳
藤原書店 2010.11 新版 上 , 下
■レジャーの誕生
アラン・コルバン [著] ; 渡辺響子訳
藤原書店 2010.10 新版 上 , 下
■キリスト教の歴史 : 現代をよりよく理解するために
アラン・コルバン編 ; 藤本拓也, 渡辺優訳
藤原書店 2010.5
■空と海
アラン・コルバン [著] ; 小倉孝誠訳
藤原書店 2007.2
■民俗学と歴史学 : 網野善彦、アラン・コルバンとの対話
赤坂憲雄著 ; [網野善彦, アラン・コルバン述]
藤原書店 2007.1
■風景と人間
アラン・コルバン [著] ; 小倉孝誠訳
藤原書店 2002.6
■レジャーの誕生
アラン・コルバン [編著] ; 渡辺響子訳
藤原書店 2000.7
■感性の歴史学 : 社会史の方法と未来
アラン・コルバン著 ; 渡辺響子訳
御茶の水書房 2000.1 神奈川大学評論ブックレット / 神奈川大学評論編集専門委員会編, 5
■記録を残さなかった男の歴史 : ある木靴職人の世界1798-1876
アラン・コルバン [著] ; 渡辺響子訳
藤原書店 1999.9
■時間・欲望・恐怖 : 歴史学と感覚の人類学
アラン・コルバン [著] ; 小倉孝誠, 野村正人, 小倉和子訳
藤原書店 1993.7
■浜辺の誕生 : 海と人間の系譜学
アラン・コルバン [著] ; 福井和美訳
藤原書店 1992.12
■十九世紀パリの売春
アレクサンドル・パラン=デュシャトレ著 ; アラン・コルバン編 ; 小杉隆芳訳
法政大学出版局 1992.4 りぶらりあ選書
■娼婦
アラン・コルバン [著] ; 杉村和子監訳 ; 内村瑠美子 [ほか] 訳
藤原書店 1991
■においの歴史 : 嗅覚と社会的想像力
アラン・コルバン [著] ; 山田登世子, 鹿島茂訳
藤原書店 1990.12 新版
■においの歴史 : 嗅覚と社会的想像力
アラン・コルバン [著] ; 山田登世子, 鹿島茂訳
新評論 1988.12