新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

これまでなかったのが不思議な必読書「〈海賊〉の大英帝国 掠奪と交易の四百年史」

2018年11月11日 | 新刊書
〈海賊〉の大英帝国 掠奪と交易の四百年史 (講談社選書メチエ)
著者 : 薩摩真介
講談社 (2018年11月11日発売)


大英帝国の歴史と海賊は切り離すことのできない密接な関係があります。
今までなかったのが不思議な本。
これも必読書かも。



出版社内容情報
イギリスは貿易と戦争、そして「掠奪」で世界の海を制したのだった! 最強の海洋帝国と荒くれ者たちが動かした歴史を描く驚異的論考イギリスは貿易と戦争、そして「掠奪」で世界の海を制したのだった! 最強の海洋帝国と荒くれ者たちが動かした歴史を描く驚異的論考!

暴れまわる掠奪者たちを、法という鎖で縛り猟犬として飼い慣らしたイギリス政府は、新大陸・大西洋世界への進出競争や重商主義による貿易抗争を、「管理統制された掠奪」によって有利に進めんとした。海が世界史を転回させる舞台となった16世紀から、自由貿易が重商主義にとってかわる19世紀まで、軍人、海賊、政治家、商人たちの野望うずまく歴史のダイナミズムを活写する!
スペインの船や植民地を荒らしまわる「掠奪世界周航」をやってのけナイトの称号を得たフランシス・ドレイク、ジャマイカを根城にカリブ海で掠奪をくりひろげる「バッカニア」、インド洋や紅海への掠奪行を敢行する「紅海者」、北米の植民地と深く結びつく海賊たち……彼らはいかに「活躍」したか? 海軍や政府は彼らの力をどう利用したか? 注目の若手研究者が、大きな歴史のうねりと、海の男たちの苦闘とを多層的に、鮮やかに描き出す。大海原の波濤の向こうに、誰も知らない世界史があった!

海洋と掠奪
掠奪者たち、大西洋に乗り出す
同期する掠奪
グローバル化する掠奪
海賊たちの黄昏
私掠者と掠奪
海軍と掠奪
自由貿易思想の興隆と私掠の廃止
第一次世界大戦の勃発とパリ宣言体制の崩壊


薩摩 真介[サツマ シンスケ]
著・文・その他


野心的なギリシャ哲学史の書物が登場「ギリシア哲学30講」

2018年11月11日 | 新刊書
ギリシア哲学30講 人類の原初の思索から〈上〉「存在の故郷」を求めて
日下部 吉信【著】
価格 ¥2,916(本体¥2,700)
明石書店(2018/11発売)
サイズ B6判/ページ数 418p/高さ 19cm
商品コード 9784750347424
NDC分類 131
Cコード C0010


哲学史の専門家である日下部氏のギリシア哲学史講義の記録。
現代の哲学史の研究姿勢にも異を唱える書物らしい。
面白そう。



内容説明
ギリシア哲学の権威にしてハイデガー研究の第一人者でもある著者が、存在の故郷を求むべく古代ギリシアの文献を読み解き、その自然哲学を「みずみずしい姿」で蘇らせると同時に、そこで繰り広げられた哲学者たちの抗争の帰結としての現代人の歪んだ思考に高らかに異を唱える。過激にして痛快な現代文明批判の書(上下巻)。

目次
ギリシア哲学俯瞰
ミレトスの哲学者(1)タレス
ミレトスの哲学者(2)アナクシマンドロス
ミレトスの哲学者(3)アナクシメネス
ピュタゴラス
アルキュタス
ヘラクレイトス
エレア派 故郷喪失の哲学者クセノパネス
エレア派 パルメニデス
エレア派 ゼノンとメリッソス
エンペドクレス
アナクサゴラス
デモクリトス
ハイデガーと原初の哲学者たち―アナクシマンドロス、ヘラクレイトス、パルメニデス

著者等紹介
日下部吉信[クサカベヨシノブ]
1946年京都府生まれ。立命館大学名誉教授。1969年立命館大学文学部哲学科卒。75年同大学院文学研究科博士課程満期退学。87‐88年、96‐97年ケルン大学トマス研究所客員研究員。2006‐07年オックスフォード大学オリエル・カレッジ客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報
人類にとって原初の思索・哲学を「みずみずしい姿」で復活させ、従来のギリシア哲学観に変更を求めるとともに、そこから西洋哲学一般、近代科学、人間の思考のあり方そのものに疑問を呈する、過激にして痛烈な現代文明批判の書(上下巻)。

 まえがき



 本書(上巻)に登場する主な哲学者 生没年早見表

 紀元前5世紀ごろのギリシアと周辺諸国地図



第1講 ギリシア哲学俯瞰

 言語について

 本講義の記述方針



第2講 ミレトスの哲学者(?) タレス

 哲学者、タレス。

 タレスの哲学

  コラム:逸話



第3講 ミレトスの哲学者(?) アナクシマンドロス

 アナクシマンドロス哲学の原理

 ヒューマニズムを徹底的に超える哲学

 アナクシマンドロス、自然の境内に住まう。



第4講 ミレトスの哲学者(?) アナクシメネス

 哲学者、アナクシメネス。

 アナクシメネスの自然哲学

  コラム:太古的概念「ピュシス」



第5講 ピュタゴラス

 哲学者、ピュタゴラス。

 ピュタゴラスとテラトポイイア



第6講 アルキュタス

 ギリシア世界に確信を持つ哲学者、アルキュタス。

 アルキュタスの哲学

  コラム一:ピュタゴラス教団

  コラム二:ピュタゴラス派の数形而上学



第7講 ヘラクレイトス

 ロゴスvs主観性

 ヘラクレイトスの自然哲学

  コラム一:世界大火

  コラム二:ヘラクレイトスの出自と著作



第8講 エレア派(?) 故郷喪失の哲学者クセノパネス

 クセノパネスの神観

 クセノパネスの哲学

  コラム:漂白の哲学者クセノパネス



第9講 エレア派(?) パルメニデス(其の一)

 天才も存在の構造を脱しえず、パルメニデス。

 古代のパルメニデス評価



第10講 エレア派(?) パルメニデス(其の二)

 近代のパルメニデス解釈史、ないしは誤解史

 再び歴史的存在としてのパルメニデスに

   コラム:哲学者パルメニデス



第11講 エレア派(?) ゼノンとメリッソス

 (1)ゼノン

 哲学者、ゼノン。

 ゼノンの哲学

 (2)メリッソス



第12講 エンペドクレス

 哲学者エンペドクレス

 エンペドクレスの自然哲学

  コラム:アクラガスの哲学者エンペドクレス



第13講 アナクサゴラス

 伝統の哲学者、アナクサゴラス。

 アナクサゴラスの自然哲学

  コラム:クラゾメナイの哲学者アナクサゴラス



第14講 デモクリトス

 哲学者、デモクリトス。

 原子論哲学概観



第15講 ハイデガーと原初の哲学者たち――アナクシマンドロス、ヘラクレイトス、パルメニデス――

 初期ギリシアに対するハイデガーの基本スタンス

 アナクシマンドロス

 ヘラクレイトス

 パルメニデス

 回顧と展望



著者の日下部吉信氏には以下のような著書と訳書がある。


1.
ハイデガーと西洋形而上学 : 講演集 / 日下部吉信著.-- 晃洋書房; 2015.-- (シリーズ・ギリシア哲学講義 ; 別冊)
2.
アリストテレス講義・6講 / 日下部吉信著.-- 晃洋書房; 2012.-- (シリーズ・ギリシア哲学講義 ; 3)
3.
プラトニズム講義・4講 / 日下部吉信著.-- 晃洋書房; 2012.-- (シリーズ・ギリシア哲学講義 ; 2)
4.
ヘレニズム哲学講義・3講 / 日下部吉信著.-- 晃洋書房; 2013.-- (シリーズ・ギリシア哲学講義 ; 4)
5.
初期ギリシア哲学講義・8講 / 日下部吉信著.-- 晃洋書房; 2012.-- (シリーズ・ギリシア哲学講義 ; 1)
6.
ギリシア哲学と主観性 : 初期ギリシア哲学研究 / 日下部吉信著.-- 法政大学出版局; 2005
7.
西洋古代哲学史 / 日下部吉信著.-- 昭和堂; 1981.-- (昭和堂入門選書 ; 7)
8.
パルメニデス : 断片の研究 / カール・ボルマン著 ; 日下部吉信訳.-- 法政大学出版局; 1992
9.
プレソクラティクス : 初期ギリシア哲学研究 / エドワード・ハッセイ [著] ; 日下部吉信訳.-- 法政大学出版局; 2010.-- (叢書・ウニベルシタス ; 934)
10.
カテゴリー論史 / A.トレンデレンブルク著 ;

ヘーゲルの「歴史哲学」の全貌「世界史の哲学講義」

2018年11月11日 | 新刊書
世界史の哲学講義(下) ベルリン 1822/23年 (講談社学術文庫)
著者 : G.W.F・ヘーゲル
制作 : 伊坂 青司
講談社 (2018年11月11日発売)




ヘーゲルの歴史哲学はすでに邦訳があるが、これは第一版の講義記録の全訳だという。
これは読んでみなければ。


作品紹介・あらすじ
G・W・F・ヘーゲル(1770-1831年)は、『精神現象学』、『大論理学』などを公刊し、その名声を確かなものとしたあと、1818年にベルリン大学正教授に就任した。その講義は人気を博したが、中でも注目されることが多いのが1822年から31年まで10年近くにわたって行われた「世界史の哲学講義」である。
この講義はヘーゲル自身の手では出版されず、初めて公刊されたのは1837年のことだった。弟子エドゥアルト・ガンスが複数の聴講者による筆記録を編集したものであり、表題は『歴史哲学講義』とされた。3年後には息子カール・ヘーゲルが改訂を施した第二版が出版され、これが今日まで広く読まれてきている。日本でも、長谷川宏氏による第二版の訳が文庫版『歴史哲学講義』として多くの読者に手にされてきた。
しかし、第一版は最終回講義(1830/31年)を基礎にしながらも複数年度の筆記録を区別をつけずに構成したものであり、その方針は初回講義(1822/23年)の「思想の迫力と印象の鮮やかさ」を取り戻すことを目指した第二版も変わらない。つまり、これでは初回講義の全容が分からないのはもちろん、10年のあいだに生じた変化も読み取ることはできない。
本書は初回講義を完全に再現した『ヘーゲル講義筆記録選集』第12巻の全訳を日本の読者諸氏に提供する初の試みである。ここには、教室の熱気とヘーゲルの息遣いを感じることができる。今後、本書を手にせずしてヘーゲルの「歴史哲学」を語ることはできない。

[目次]
〔序論〕世界史の概念
〔A〕歴史の取り扱い方
〔B〕人間的自由の理念
〔C〕国家の本性
〔D〕世界史の区分
〔本論〕世界史の行程
 〔第一部〕東洋世界
〔第一章〕中国
〔第二章〕インド
〔第三章〕ペルシア
〔第四章〕エジプト(以上、上巻)
 〔第二部〕ギリシア世界
〔第一章〕ギリシアの民族精神の起源
〔第二章〕ギリシア精神の成熟
〔第三章〕衰退と没落
 〔第三部〕ローマ世界
〔第一章〕ローマの権力の形成
〔第二章〕ローマの世界支配
〔第三章〕ローマの没落
 〔第四部〕ゲルマン世界
〔第一章〕初期中世の準備
〔第二章〕中世
〔第三章〕近代の歴史