新刊の森

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日本思想史研究の指導的役割を果たした村岡の研究に。「村岡典嗣:日本精神文化の真義を闡明せむ」

2018年11月19日 | 新刊書
村岡典嗣:日本精神文化の真義を闡明せむ (ミネルヴァ日本評伝選) 単行本 – 2018/11/19
水野雄司 (著)


村岡典嗣という思想家には、膨大な『日本思想史研究』という著作によって、日本思想史を試みる人はだれもが一度はお世話になる人だと思いますが、その人物が何を目指してこうした著作を執筆したのかについては、あまり考えるところがありませんでした。この書物はその欠落を埋めるものとして、戦前の思想史の潮流を照らし出すものとして、有益なものと思われます。日本思想史学のそなえていた歪みについて考えるためにも、役立ちに違いありません




単行本: 282ページ
出版社: ミネルヴァ書房 (2018/11/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4623084760
ISBN-13: 978-4623084760
発売日: 2018/11/19
内容紹介


「日本的なもの」とは…
国の本源、その思索の軌跡。

村岡典嗣(1884~1946)日本思想史学者。
不穏な世相が戦争へと繋がる大正末期から昭和前半期に「日本思想史学」を確立させた村岡典嗣。アカデミズムにおける
日本思想史研究の指導的役割を果たした村岡は、何を「日本」とし、何を伝えたかったのか。その想いに迫る。

[目次]

はしがき

第一章 精神的故郷
1 父と生い立ち
2 開成尋常中学校での学び

第二章 早稲田大学入学と波多野精一
1 明治期の大学制度と早稲田大学創立
2 波多野精一とキリスト教
3 結婚、そして就職

第三章 『本居宣長』
1 本居宣長を選んだ理由
2 宣長問題とは何か
3 『本居宣長』の後

第四章 「早稲田騒動」と学問的精神
1 「早稲田騒動」とは
2 波多野精一から受け継いだ学問的精神

第五章 東北帝国大学における日本思想史
1 欧州留学
2 東北帝国大学着任と山田孝雄
3 明治以降の「日本思想」
4 平田篤胤とキリスト教
5 時運としての「日本精神」
6 「日本思想」について
7 チェンバレンと国体思想

終 章 学問の永遠の相

主要参考文献
あとがき
村岡典嗣略年譜
事項索引
人名索引

内容(「BOOK」データベースより)
村岡典嗣(一八八四~一九四六)日本思想史学者。不穏な世相が戦争へと繋がる大正末期から昭和前半期に「日本思想史学」を確立させた村岡典嗣。アカデミズムにおける日本思想史研究の指導的役割を果たした村岡は、何を「日本」とし、何を伝えたかったのか。その想いに迫る。


Wikiによりますと、村岡典嗣には次のような著書があります。

著書
『本居宣長』 警醒社書店、1911年。
『本居宣長』 岩波書店、1928年。
『本居宣長』 岩波書店、1974年。 - 復刊。
『日本思想史研究』 岡書院、1930年。
『日本思想史研究』 岩波書店、1940年10月、増訂。
『日本思想史研究』 岩波書店、1975年、増訂。ISBN 4-00-001600-8。 - 復刊。
『国民精神の淵源』 青年教育普及会、1933年。 - 講演集。
『素行・宣長』 岩波書店〈大教育家文庫 第6〉、1938年。
『日本文化史概説』 岩波書店、1938年4月。
『日本文化史概説』 岩波書店、1987年。ISBN 4-00-001660-1。
『日本思想史研究』続、岩波書店、1939年2月。
『日本思想史研究』続、岩波書店、1975年。ISBN 4-00-001601-6。
『平田篤胤』 生活社〈日本叢書 59〉、1946年。
『日本思想史研究』第3、岩波書店、1948年12月。
『日本思想史研究』第3、岩波書店、1975年。ISBN 4-00-001602-4。
『日本思想史研究』第4、岩波書店、1949年2月。
『日本思想史研究』第4、岩波書店、1975年。ISBN 4-00-001603-2。
『村岡典嗣歌集』 青山なを・丸山キヨ子編輯、日本思想史學會、1952年4月。 - 小冊子。
『日本思想史研究』第1巻、村岡典嗣著作集刊行会編、創文社、1956年。
『日本思想史研究』第2巻、村岡典嗣著作集刊行会編、創文社、1957年。
『日本思想史研究』第3巻、村岡典嗣著作集刊行会編、創文社、1957年。
『日本思想史研究』第4巻、村岡典嗣著作集刊行会編、創文社、1961年。
『日本思想史研究』第5巻、村岡典嗣著作集刊行会編、創文社、1962年。
『新編 日本思想史研究 村岡典嗣論文選』 前田勉編、平凡社〈東洋文庫 726〉、2004年5月。ISBN 4-582-80726-7。
『本居宣長 1』 前田勉校訂、平凡社〈東洋文庫 746〉、2006年1月、増補。ISBN 4-582-80746-1。
『本居宣長 2』 前田勉校訂、平凡社〈東洋文庫 748〉、2006年3月、増補。ISBN 4-582-80748-8。
Muraoka Tsunetsugu (1988). Studies in Shinto thought. Classics on Japanese thought and culture. 5. translated by Delmer M. Brown and James T. Araki. Yushodo.

パレスチナでの生きがたさについて想像させてくれる「ガザに地下鉄が走る日」

2018年11月19日 | 新刊書
ガザに地下鉄が走る日
岡 真理 (著)


パレスチナで生きるのがどのようなものなのか、わたしたちにはうまく実感できませんが
地下鉄がまだ遠い夢であるという現実は、
そのような空間で生きることの息苦しさについて
わたしたちの想像力に訴えかけるところがあります。
ぜひ読んでみたい一冊。


単行本: 304ページ
出版社: みすず書房 (2018/11/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4622087472
ISBN-13: 978-4622087472


内容紹介
イスラエル建国とパレスチナ人の難民化から70年。
高い分離壁に囲まれたパレスチナ・ガザ地区は「現代の強制収容所」と言われる。
そこで生きるとは、いかなることだろうか。

ガザが完全封鎖されてから10年以上が経つ。
移動の自由はなく、物資は制限され、ミサイルが日常的に撃ち込まれ、数年おきに
大規模な破壊と集団殺戮が繰り返される。そこで行なわれていることは、
難民から、人間性をも剥奪しようとする暴力だ。

占領と戦うとは、この人間性の破壊、生きながらの死と戦うことだ。
人間らしく生きる可能性をことごとく圧殺する暴力のなかで人間らしく生きること、
それがパレスチナ人の根源的な抵抗となる。

それを教えてくれたのが、パレスチナの人びとだった。
著者がパレスチナと関わりつづけて40年、絶望的な状況でなお人間的に生きる
人びととの出会いを伝える。ガザに地下鉄が走る日まで、その日が少しでも早く
訪れるように、私たちがすることは何だろうかと。

目次
第1章 砂漠の辺獄
第2章 太陽の男たち
第3章 ノーマンの骨
第4章 存在の耐えられない軽さ
第5章 ゲルニカ
第6章 蠅の日の記憶
第7章 闇の奥
第8章 パレスチナ人であるということ
第9章 ヘルウ・フィラスティーン?
第10章 パレスチナ人を生きる
第11章 魂の破壊に抗して
第12章 人間性の臨界
第13章 悲しい苺の実る土地
第14章 ガザに地下鉄が走る日

あとがき

岡真理さんの著書や訳書には、次のようなものがあります。


■シンポジウム「《文学》からシリアを考える」
岡真理編
中東現代文学研究会 2018.3 中東現代文学リブレット 3
■アラブ、祈りとしての文学
岡真理 [著]
みすず書房 2015.11
■火によって
ターハル・ベン=ジェッルーン著 ; 岡真理訳
以文社 2012.11
■ガザの絶望を突き破る力を求めて
岡真理著 ; 第9条の会・オーバー東京編
第9条の会・オーバー東京 , 影書房 (発売) 2010.5 「あーてぃくる9」ブックレット 15
■格闘する思想
本橋哲也編 ; 萱野稔人 [ほか述]
平凡社 2010.11 平凡社新書 554
■ホロコーストからガザへ : パレスチナの政治経済学
サラ・ロイ著 ; 岡真理, 小田切拓, 早尾貴紀編訳
青土社 2009.11
■ガザ通信 = The message from Gaza
サイード・アブデルワーヘド著 ; 岡真理, TUP訳
青土社 2009.4
■アラブ、祈りとしての文学
岡真理 [著]
みすず書房 2008.12
■棗椰子 (なつめやし) の木陰で : 第三世界フェミニズムと文学の力
岡真理著
青土社 2006.7
■イスラム報道
エドワード・W・サイード [著] ; 浅井信雄, 佐藤成文, 岡真理共訳
みすず書房 2003.4 増補版
■シャヒード、100の命 : パレスチナで生きて死ぬこと
アーディラ・ラーイディ著 : イザベル・デ・ラ・クルーズ写真 : 岡真理, 岸田直子, 中野真紀子訳
「シャヒード、100の命」展実行委員会 , インパクト出版会 (発売) 2003.8
■テロ後 : 世界はどう変わったか
藤原帰一編
岩波書店 2002.2 岩波新書 新赤版 770
■アイデンティティ : 解体と再構成
青木保 [ほか] 編集委員
岩波書店 2002.12 アジア新世紀 / 青木保 [ほか] 編集委員 3
■いのちを考える
小林圭二, 岡真理著 ; [大地震から6年のセミナー実行委員会編]
大地震から6年のセミナー実行委員会 2001.6
■「グローバル・フェミニズム」について考える : 私たちは何を知らないのか
岡真理[述], 新潟ウィメンズ企画編
新潟ウィメンズ企画 2001.9 新潟ウィメンズ企画Women's studies in にいがた 2001
■彼女の「正しい」名前とは何か : 第三世界フェミニズムの思想
岡真理著
青土社 2000.9
■記憶/物語
岡真理著
岩波書店 2000.2 思考のフロンティア

これを読んでまた映画を見直したい「すごく科学的: SF映画で最新科学がわかる本」

2018年11月19日 | 新刊書
すごく科学的: SF映画で最新科学がわかる本
著者 : リック・エドワーズ マイケル・ブルックス


これはすばらしい企画ですね。
SF映画はたくさんありますし、その科学的な裏付けは、ハードSFなら
どうしても問われなければならないものです。
「2001年宇宙の旅」では専門家による考察の本も出ているくらいです。
また「宇宙戦艦ヤマト2199でわかる天文学: イスカンダルへの航海で明かされる宇宙のしくみ」という本もありました。
この本を読んで、また映画を楽しみたいですね。
本日の一押しです。




制作 : 藤崎 百合
草思社 (2018年11月19日発売)
本 (367ページ) / ISBN・EAN: 9784794223623


作品紹介・あらすじ
絶滅種再生や人工知能、ブラックホールにゾンビまで。
映画から科学の最前線が見えてくる!

「デロリアン」は理論的に可能?――バック・トゥ・ザ・フューチャー
遺伝子操作で賢いサルは作れる?――猿の惑星
人間の行動を変える病原体が存在する――28日後…
カンフーを脳にインストールする方法はある?――マトリックス
火星旅行が健康に与える影響は?――オデッセイ
絶滅種の再生は原理的には可能――ジュラシック・パーク
……などなど!

初歩からわかるあっぱれな解説で、映画の世界が、現実の科学者の挑戦(と危険な実験!)や、私たちの日常へと結びついていく。『エイリアン』『猿の惑星』から『インターステラー』『エクス・マキナ』まで、新旧名作SF映画の科学に正面から切り込んだ、笑いも無駄に詳しい知識も満載の一冊。映画よりも面白い!

【本書に登場する映画】
『オデッセイ』……火星旅行は身体に良い?
『ジュラシック・パーク』……絶滅種は再生すべき?
『インターステラー』……ブラックホールで何が起こる?
『猿の惑星』……遺伝子操作でチンパンジーは人間並みになる?
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』……タイムトラベルでできること
『28日後…』……ウイルス感染で人間はゾンビになる?
『マトリックス』……人間はシミュレーション世界を生きている?
『ガタカ』……遺伝学は完璧な人間を生み出す?
『エクス・マキナ』……人工知能は意識を持つ?
『エイリアン』……地球外生命体に会いたい?