新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

なんだかワクワクしてくる「牡蠣の歴史」

2018年11月28日 | 新刊書
牡蠣の歴史 (「食」の図書館)
キャロライン・ティリー (著), 大間知 知子 (翻訳)


牡蠣の歴史というような本がでるとは思っていませんでした。
すばらしい着想ではないですか。
砂糖の歴史などは、抑圧と暴力の歴史としてすでにいくつもの書籍が刊行されていますが
あまり歴史的なエピソードに縁のなさそうな牡蠣の歴史がありなら、
鯛の歴史とかあなごの歴史とかサツマイモの歴史とかニンニクの歴史とかも書けそうです。
なんだかワクワクしてきます。




単行本: 192ページ
出版社: 原書房 (2018/11/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4562055618
ISBN-13: 978-4562055616


有史以前から食べられ、二千年以上前から養殖もされてきた牡蠣をめぐって繰り広げられてきた濃厚な歴史。古今東西の牡蠣料理、牡蠣の保護、「世界の牡蠣産業の救世主」日本の牡蠣についてもふれる。レシピ、牡蠣便利ガイド付。

映画化してもらいたい自伝的な作品ヒシャーム・マタール「帰還: 父と息子を分かつ国」

2018年11月28日 | 新刊書
帰還: 父と息子を分かつ国 単行本 – 2018/11/28
Hisham Matar (原著), ヒシャーム マタール (著), 金原 瑞人 (翻訳)


リビアの小説家として注目されるヒシャーム・マタールの自伝的な作品。
わたしたちのよくしらない歴史と風土についての叙述が
あたかも映画のシーンのように語られる感じが素敵です。
いつか読んでみたい一冊。


単行本: 309ページ
出版社: 人文書院 (2018/11/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4409130412
ISBN-13: 978-4409130414

内容紹介
1979年、リビア。反体制運動のリーダーだった父がエジプトに亡命。だが11年後に拉致され、消息を絶った。2011年、カダフィ政権が崩壊。息子のヒシャームは、ついに故郷の地に降り立つ――。バラク・オバマ、C・アディーチェ、カズオ・イシグロが絶賛する、世界的ベストセラー。ピューリッツァー賞(伝記部門)受賞作。


「本書は、ヒシャーム・マタールが故国リビアに「帰還」した旅の記録であると同時に、そこへ至るまでの家族の歴史と、彼自身の心の軌跡を綴った作品である。ノンフィクションでありながら、ときに抒情的に、ときにシニカルに、ときに激しい憤りをこめて語られるストーリーは、美しい情景描写やリアルな人物描写ともあいまって、まるで小説のようでもある。

印象深い場面がたくさんある。たとえば、十代の頃の親友と、大人になってからロンドンの通りでばったり会って、再会を喜び、電話番号を交換するものの、立場の違いから、お互い決して連絡をとることはないだろうと思って別れる場面。「聖ラウレンティウスの殉教」「皇帝マクシミリアンの処刑」といった絵画にのせて語られる心情や、建築学を専攻した作者ならではの、建築物や街並みに関する考察も興味深い。イタリアの支配に対する抵抗運動に身を投じていた、祖父ハミードのエピソードも印象的だ。故国への旅のあいだ、マタールは様々に心を乱され、不眠に陥ったりもするが、そんな彼をあたたかく迎え入れてくれる人が大勢いたことにほっとさせられる。図書館でのイベントに、昔、彼の父親と一緒に発行していた同人誌を持って訪れる老人、彼の母親から受けた恩に対して深い感謝と敬意を表明する男性、そして、父親の故郷で彼を出迎え、手を握ってくれる、父親にそっくりの目をしたおばたち……。(中略)

『帰還』は、二〇一七年のピューリッツァー賞(伝記部門)ほか、数多くの文学賞を受賞した。二〇一八年七月には、オバマ前米大統領が、退任後初のアフリカ旅行を前に、「この夏、お薦めの本」の一冊にあげて、話題になった。ナイジェリア出身の女性作家、チママンダ・アディーチェは本作について、「心を動かされ、涙した。愛と故郷について教えられた」と述べ、カズオ・イシグロも「引き裂かれた家族をめぐる、不屈の精神に貫かれた感動的な回想録」と称賛している。」

――訳者あとがきより

内容(「BOOK」データベースより)
1979年、リビア。反体制運動のリーダーだった父がエジプトに亡命。だが11年後に拉致され、消息を絶った。2011年、カダフィ政権が崩壊。息子のヒシャームは、ついに故郷の地に降り立つ―。バラク・オバマ、C・アディーチェ、カズオ・イシグロが絶賛する世界的ベストセラー。ピューリッツァー賞(伝記部門)受賞。

著者について
ヒシャーム・マタール(Hisham Matar)/1970年、ニューヨークでリビア人の両親の間に生まれる。幼少年期をトリポリ、カイロで過ごす。1986年以降、イギリス在住。2006年、『リビアの小さな赤い実』(金原瑞人・野沢佳織訳、ポプラ社、原題 In the Country of Men)で小説家としてデビュー。自伝的要素の色濃い作品は高い評価を受け、ブッカー賞の最終候補にノミネートされたほか、英国王立文学協会賞など、数々の賞を受けた。その後、二作目の長編小説、『消失の構造』(原題 Anatomy of a Disappearance、2011年、未訳)を発表。リビアのカダフィ政権崩壊後に発表した本作The Return: Fathers, sons and the land in betweenでピューリッツァー賞(伝記部門)を受賞した。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
マタール,ヒシャーム
1970年、ニューヨークでリビア人の両親の間に生まれる。幼少年期をトリポリ、カイロで過ごす。1986年以降、イギリス在住。2006年、『リビアの小さな赤い実』(金原瑞人・野沢佳織訳、ポプラ社、原題In the Country of Men)で小説家としてデビュー。自伝的要素の色濃い作品は高い評価を受け、ブッカー賞の最終候補にノミネートされたほか、英国王立文学協会賞など、数々の賞を受けた。リビアのカダフィ政権崩壊後に発表したThe Return:Fathers,sons and the land in betweenでピューリッツァー賞(伝記部門)を受賞した

イギリスの著名な歴史家による貴重な第三帝国の歴史『第三帝国の歴史(全六巻)』

2018年11月28日 | 新刊書
第三帝国の到来(上) (第三帝国の歴史(全六巻))
リチャード・J・エヴァンズ (著), 大木 毅 (監修), 山本 孝二 (翻訳)


ビスマルクからヒトラーまで。
ドイツの近現代の歴史の焦点となる第三帝国の形成と発展の歴史は、
本格的な通史がいくつあってもまだ足りないほどの複雑さを抱えています。
イギリスの著名な歴史家による貴重な貢献です。


単行本: 402ページ
出版社: 白水社 (2018/11/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560096643
ISBN-13: 978-4560096642

内容紹介
記念碑的名著、待望の翻訳!

本書は、豊富な史料を駆使して、19世紀のビスマルク帝国から、第一次世界大戦、ヴァイマール共和国とナチスの台頭、1933年にナチスが権力の座に就くまでを物語る、通史の決定版だ。政治・経済から社会・文化、戦争まで幅広く網羅し、同時代の人びとの肉声も再現している。
ナチスがいかにして、何故に権力を得たのかを理解することは、これまで同様に、今日でも重要である。おそらく、人びとの記憶が薄れていくにつれ、いっそう重要になるだろう。われわれには、ナチス自身の心のなかに分け入っていく必要がある。なぜ、彼らの対手がナチスを止められなかったか、理由を見出す必要がある。第三帝国がヨーロッパと世界を他に類を見ない残虐な戦争に追いやり、ついには自ら破滅、崩壊していった過程を理解する必要がある、と著者は「第三帝国の歴史」の執筆意図を述べている。
著者はケンブリッジ大学で近代史欽定講座担当教授を務めた、ドイツ近現代史家。学術的功績を称えられてナイトに叙されている。口絵写真・地図多数収録。

著者について
ケンブリッジ大学で近代史欽定講座担任教授を務めたドイツ近現代史家。2012 年、学術的功績を称えてナイトに叙される。編著の抄訳『ヴィルヘルム時代のドイツ――「下から」の社会史』、D・ブラックボーン及びG・イリーの論文を合わせて共著という形を取った『イギリス社会史派のドイツ史論』、単著の『歴史学の擁護――ポストモダニズムとの対話』(以上、晃洋書房)、『力の追求 ヨーロッパ史1815-1914 上・下』(白水社)の邦訳がある。