万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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0699 大伴像見

2007-11-30 | 巻四 相聞
一瀬二波 千遍障良比 逝水之 後毛将相 今尓不有十方

一瀬(ひとせ)には 千(ち)たび障(さは)らひ 行く水の 後(のち)にも逢はむ 今にあらずとも


「川瀬では、幾度ともなく障害に妨げられるが、“行く水の”いずれは合流する。それは今ではなくとも (僕たちの恋愛もきっと成就するよ)」

0698 大伴像見

2007-11-29 | 巻四 相聞
春日野尓 朝居雲之 敷布二 吾者戀益 月二日二異二

春日野に 朝居(ゐ)る雲の しくしくに 我れは恋ひ増す 月に日に異(け)に


「春日野の、朝にかかる雲が、絶え間ないがごとく。僕は(きみへの)恋しさが募ってくる。月日を重ねるたびに」

0697 大伴像見

2007-11-28 | 巻四 相聞
大伴宿祢像見歌三首

吾聞尓 繋莫言 苅薦之 乱而念 君之直香曽

我が聞きに 懸けてな言ひそ 刈り薦(こも)の 乱れて思ふ 君が直香(ただか)ぞ


大伴宿祢像見の歌三首

「僕に聞こえるように、いわないでよ。“刈り薦の”切ないほどに思うのは、きみだけなんだよ」

0696 石川広成

2007-11-27 | 巻四 相聞
石川朝臣廣成歌一首 (後賜姓高圓朝臣氏也)

家人尓 戀過目八方 川津鳴 泉之里尓 年之歴去者

家人(いへびとに)に 恋過ぎめやも かはづ鳴く 泉の里に 年の経ぬれば


石川朝臣広成の歌一首 (のちに高円朝臣氏の姓を賜うなり)

「(自宅に残した)家人(妻)を、恋しく思うこの頃。カエルが鳴く、泉の里に(住んで)、年月を経てしまった」

●泉の里:京都府相楽郡

0695 広河女王

2007-11-26 | 巻四 相聞
戀者今葉 不有常吾羽 念乎 何處戀其 附見繋有

恋は今は あらじと我れは 思へるを いづくの恋ぞ つかみかかれる


「恋なんて。今さら無縁だと、わたくしは思っていたぞ。(だのに)どいつの恋なんだ。(わたくしの)胸ぐらを掴んでくるのは」