万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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0694 広河女王

2007-11-25 | 巻四 相聞
廣河女王歌二首 (穂積皇子之孫女上道王之女也)

戀草呼 力車二 七車 積而戀良苦 吾心柄

恋草を 力車に 七車 積みて恋ふらく 我が心から


広河女王の歌二首 (広河女王は穂積親王の孫娘。(穂積親王の嫡男・)上道王の娘である)

「恋のハーブを、荷車に。(全部で)7台にも、積むほど(あなたを)愛しているぞ。わたくしは心から」

0693 大伴千室

2007-11-24 | 巻四 相聞
大伴宿祢千室歌一首(未詳)

如此耳 戀哉将度 秋津野尓 多奈引雲能 過跡者無二

かくのみし 恋ひやわたらむ 秋津野に たなびく雲の 過ぐとはなしに


大伴宿祢千室の歌一首(未詳)

「このようにして、恋は過ぎてゆくのか。秋津野に、たなびく雲が、遠くへ移動するように」

●大伴宿祢千室:伝未詳 大伴宿祢小室と同一人物か

0692 大伴家持

2007-11-23 | 巻四 相聞
得羽重無 妹二毛有鴨 如此許 人情乎 令盡念者

うはへなき 妹にもあるかも かくばかり 人の心を 尽さく思へば


「うわべだけでもつくろわない。悪女のきみは、こんなにも、ぼくの心を、翻弄させる」

0691 大伴家持

2007-11-22 | 巻四 相聞
大伴宿祢家持贈娘子歌二首

百礒城之 大宮人者 雖多有 情尓乗而 所念妹

ももしきの 大宮人は 多かれど 心に乗りて 思ほゆる妹


大伴宿祢家持が、女性に贈る歌二首

「“ももしきの”宮中に仕える女官は、多いのだが。ぼくの心をとらえて離さない、魅惑的なきみ」

0690 大伴三依

2007-11-21 | 巻四 相聞
大伴宿祢三依悲別歌一首

照月乎 闇尓見成而 哭涙 衣沾津 干人無二

照る月を 闇に見なして 泣く涙 衣濡らしつ 干す人なしに


大伴宿祢三依が、別れを悲しむ歌一首

「照らす月を、闇とみなして、泣いた涙で、着衣を濡らす。(それを)乾かしてくれる女(ひと)もなく」