マドリッドでは、プラド美術館とソフィア王妃芸術センターの2つを訪れた。
プラドではベラスケスの傑作やゴヤの「裸のマハ」をなどを鑑賞。
そしてソフィア王妃芸術センターに移動し、スペインにおける近代絵画の巨匠、ピカソ、ダリ、ミロの作品を堪能。
中でも、やはり強烈に印象に残るのがこのゲルニカ。
前にも一度、観にきたことはあったけれど、今回はこの絵についての詳しい解説を現地のガイドさんにしてもらい、なるほどそういうことだったのか、と思いを新たにする。
ドイツ軍による、スペイン北部の小さな村ゲルニカ爆撃を批判したといわれるこの絵画。確かにその悲惨な状況が目に浮かぶようなこの絵の描写。
ただ、それだけではなくこの絵の中では闘牛の様子も垣間見ることができるという。
突然ひき出された闘牛場の中で、恐怖と興奮から暴れる雄牛。その牛に腹を突かれながらも場内を歩かされ、いななく馬。
こうして、自らの意思とは違うところで踊らされ苦しむものたち。
闘牛好きだったとされるピカソならではの視点なのかもしれない。
考えてみれば、スペインという国自体、遥か昔からローマ人、西ゴート王国、アラブ人勢力による侵略、その領土を取り戻す為のレコンキスタ、新大陸への進出と王国の衰退、世界大戦、スペイン内戦、と数え切れないほどの試練を抱えてここまできた国である。
今も財政破綻の危機、政権交代などさまざまな問題を抱えているけれどそれでもスペインの人々が明るく強いのは、このような苦しみの歴史をくぐり抜けてきたからかもしれない。
そんなことを考えさせられた、今回の「ゲルニカ」再訪。
ちなみにこの「ゲルニカ」、作品としてはかなり傷みが激しいため、決して他の美術館には貸し出されることのない作品とのこと。現物を見るにはマドリッドまで足を運ばなくてはならないそうである。