
初めてミューザ川崎シンフォニーホールへ。
ちょっと遠いかとも思ったのだけれど、それでも足を運びたかったので、仕事を終えて駆けつけた。
小澤征爾が指揮するというだけで、嬉しい気持ちとともに安堵感がこみ上げてくる。
ここ数年体調を崩し、指揮ができないことが多かったマエストロ。
ボストン交響楽団、新日本フィル時代から聴いてきた馴染み深いあの指揮が懐かしくて、とにかく行きたかった今回の演奏会。
しかも今回振るのはベートーベンの交響曲第7番。
実は生の演奏でこの曲を聴くのは初めてだったので、どんな表現でこの曲を奏でてくれるのか、とても楽しみな気持ちで会場に入る。
指揮者なしの第一部が終わって第二部の幕開け。
かなり細身になったマエストロは楽団員と一緒に拍手の中を登場。
用意された椅子で少し休んだあと、立ち上がって指揮をはじめた。
腕を細かく振り、身振りをまじえながら巧みに音を操り、繊細な音を奏でていく。
昔のような力強さはないけれど、こんな7番があるのか、と思わせる小澤ならではの指揮。
楽章の合間には椅子に座り、呼吸を整えながらも力を振り絞り、最後まで振り切ったマエストロ。
観客はただただ静寂の中、その音に聞き入り、あっという間に終わってしまったその演奏。
今日もまたその音に酔わされ、また再会できることを切望する夜となった。