週末、岩波ホールで「セラフィーヌの庭」を観る。
はじめは、ゴッホ、モネ、ルノワール、ピカソ、ルソーなど日本初公開の作品が展示されている「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール」を観ようと世田谷美術館のチケットを購入していたのだけれど、実はその世田谷美術館に、現在岩波ホールで公開されている映画「セラフィーヌの庭」の主人公となった画家、セラフィーヌ・ルイの絵が一枚あると聞き、せっかくなら映画を観てからその絵も観ようと、朝から岩波ホールに出かける。
休日ということもあって、かなり早くから並んでいる人もあり、どんな映画なのか楽しみになってくる。
映画の舞台は20世紀初頭のフランス。シャンティイ郊外のサンリスで家政婦をしているセラフィーヌ・ルイが、アンリ・ルソーなど多くの画家を発掘した画商ヴィルヘルム・ウーデに見出され、画家となっていくが・・・という実際にあった話を映画化したもの。
映画としてもセザール賞など多くの賞を受賞しただけあり見ごたえのあるものだったけれど、それより驚くのがセラフィーヌが描く絵の力強さ。絵画を勉強したこともなく、樹や花などをただ力いっぱいに描いたその作品は、鮮やかな色が画面いっぱいに踊り、命が躍動しはじけるようなエネルギーが感じられる。
とても魅力的な作品の数々を映画の中で観て、ぜひ本物を観たいと向かった世田谷美術館。
ヴィンタートゥールコレクションは、ピサロ、シスレー、モネなどが描く風景画やドガ、ルノワール、ロダンなどの人物彫刻、アンリ・ルソーやゴッホの人物画、カンディンスキーやクレー、ピカソの抽象画やジャコメッティーの彫刻などとても上質の作品が揃っていて、日本ではなかなか観られないこれらの作品をじっくり鑑賞する。
そのあと、世田谷美術館の収蔵品展へ。
こちらでは素朴派の絵画と題して、アンリ・ルソーなど美術館収蔵の作品が展示されている。
その中に一枚だけあるセラフィーヌ・ルイの「枝」。本当に小さい作品で、映画で観た絵画をイメージするのは難しい。それでも額縁からはみ出すほどの力のこもった筆致と鮮やかな赤が彼女の作品であることを証明している。
多くの作品はフランスにあって、一度にたくさんを観るということはなかなか難しいようだけれど、できれば一枚だけでも大きなキャンバスに描かれた絵を観てみたい。次にフランスを訪れる際には実現してみたい目標である。