甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

ギナギナいこう!

2020年05月15日 16時51分13秒 | ことば見つけた!

A:三重県に住んで何年? もともと三重県?

B:いえ、ボクの実家は大阪なんです。京セラドームから少し行ったところです。生まれたところはカゴシマなんですけど……。とにかく、大阪の子なんです。それから、いろいろ紆余曲折があって、三重県に住むことになり、三十年になります!

A:そうですか。三十年、縁もゆかりもないところだったんですか? 奥さんがそちらの人?

B:いえ、妻は東北の人なんです。二人とも、未知の土地で暮らして、あっという間にこんな年になりました。何だかイヤになっちゃいます。どうしてそんなに時間は過ぎていくんだろうと、少しだけ悲しくなります。

A:そりゃ、誰もが思うことであって、キミだけじゃないよ。老眼にはなるし、頭は薄くなるし、足腰は弱っていくし、酒ばっかり飲むし、イビキはかくし、家族から冷たくされるし、もうクソミソだよね。

B:はい、まあ、そういうところですね。みんな同様に、平等に時間は過ぎて、年はとるんだから、せいぜい毎日を楽しむしかないですね。でも、近ごろは自分の中で、何が楽しいのか、よく分からなくなりました。

A:それは、どういうこと?

B:はい、昔楽しかったこと、野球やサッカーを見たりすること、映画を見ること、おもしろい本を読むこと、観光地で遊ぶこと、美術館に行くこと、音楽を聴くこと……どれも受け身の楽しみだな。そういうこと、楽しいのは楽しいけど、ムチャクチャ楽しいというわけではないんです。
 ボクには、アクティブな楽しみってないですね。ギャンブルするとか、パチンコ行くとか、ゲームするとか、スポーツするとか、山に登るとか、テニスするとか、そんなの一切してきませんでした。受け身の楽しみで満足だったし、怠け者だから、何かをするというのは面倒でした。

A:遊びのために思い切り計画立てて、あれこれ工夫するという楽しみなかったの?

B:はい、そうかもしれません。受け身の楽しみです。与えられたものの中で、折り合いを付けながら楽しむ、今の若い人たちとどこか似てるでしょうか?

A:その楽しみは、今でも楽しいんでしょ?

B:はい、楽しいはずなんだけど、どれもこれも、どうでもいいや、というふうになりがちです。
 何もしたくなくて、ボンヤリとパソコン見てるとか、そういうことの方が多いかな。それで、何となく楽しくないんです。それらしく時間は過ぎるけど、イヤではないけど、爆発的な喜びというのではないです。

A:今は、みんながそんな気持ちなんですよ。何もかも、おもしろくなくて、もちろんテレビなんて全くおもしろくなくて、みんなが貝のように閉じこもって、貝殻の中で誰にも会いたくない、みんな嫌いだ、ってしてる感じですよ。

B:はい、そうだと思うんですけど……。
 そうでしたね、ボクは三重県で三十年、楽しいときもあっただろうし、まあ、思い出せないけど、悲しいこともあったでしょうか。いや、悲しいことなんて、キャラメル食べてて歯のつめものがとれたとか、つまらない悲しさはありますけど、家族がいなくなるのも悲しいですけど、それもこれも、悲しいし、とんでもないのに、どんどん流れていく感じです。気持ちが長続きしないというべきなんだろうか。



A:それで、三重県で何か見つけたものって、あるの?

B:はい、ささやかな楽しみはあるんですけど、そういうことはブログに書いたら、次の瞬間には忘れています。時間ごとに何もかもリセットされてしまって、何も残るものがない感じです。

A:キミはもう、過去のない男になりつつあるんだ。今、この瞬間しかなくて、過去もなければ、未来もないし、将来への夢も希望も持ててないのか。

B:はい、そうなんです。今はコロナで、ずっと引きこもりで、毎日が同じように過ぎていきますし、毎日に違いがありません。ただ、時間が過ぎていくのをボンヤリ見ているだけのような気がします。

A:三重県には何もないの? ホントに?

B:はい、この中途半端なままの、進んでいるのか進んでないのか、退いているのか、どうなっているのか、よくわからないままに、とりあえず物事だけを進行させていくこと、そういうことがあるみたいな感じです。
 大阪弁だったら、「ボチボチ」「チョボチョボ」とか、そんな表現かなと思うんですけと、そういう時に三重県では、「ギナギナいく」ことになりそうやわと、男も女も言います。若い人は言わないでしょうけど。

A:変な言葉だね。語源は何だろうね。不思議ですね。ネットで見たら、語源分かるかな。日本語ですか?

B:はい、たぶん、日本語です。三重県では通用しています。あまり使われることはないけど、「ボチボチ」よりも三重県らしくて、サバサバしてなくて、何だか気持ちが落ち着かないけど、イライラもするけど、それでも少しずつ、一進一退を繰り返しつつ進もうよ、みたいな感じで、ボクは使わないけど、好きになりました。それ聞いて、「ほら、三重県に住んでる!」というのを実感してます。変な喜びかな?

A:「ギナギナいく」の反対語は何かな?

B:反対語? そうですね、フルオープンでいくということですね。今の政府の「全面再開」ということですね。そんなのあるかな。三重弁ではないけど、「イケイケどんどん」というのがあります。「コロナが収まったから、イケイケどんどんで経済活動を始める」とかいう風に使うのかな。

 いや、三重弁はそんな積極・勇猛果敢な状態を自分たちの言葉で表現するのって、ない気がします。最近習った言葉で、「なるい」という形容詞も思い出したんですけど、これも若い人は使いませんけど、なまぬるいでもないし、なまぬるいの積極版というのか、自分はこのやんわり感が好きだよという気持ちを込めて、……はなるいなあ、とか言うみたいです。ズバッと言う時には三重弁は役に立たないみたいです。


 


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